イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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第17話 無視した気持ち。

八幡「何で俺達まで······暑い」

 

クルル「まぁまぁ······ダメ、やっぱ暑いわ」

 

色々あったのをとりあえず保留にして、俺達はオカルト研究部が何故か引き受けたプール掃除に駆り出されていた。リアス・グレモリー曰く、生徒会がコカビエルとの戦闘でぶっ壊した校舎の修復をやったから、その代わりに······ということらしい。完全に俺の自業自得だった。あ〜····撃退して引き渡してそれでもだめとは······

 

にしても、ホント日本の夏は暑すぎる。プールまだ水張ってないのに、なんでこうも湿度高いんだよ。あ~······日本神話との取引がなきゃ、ずっとサングィネムに居るのに。

 

リアス「······その代わり、終わったら一足先にオカルト研究部だけのプール開きよ」

 

イッセー「プール開き!!?」

 

また始まった。塔城の目が·······またか兵藤。

 

小猫「イッセー先輩、厭らしいです」

 

イッセー「な!!?」

 

八幡「·····早いとこ終わらして帰ろ······」

 

俺は周りがはしゃいでるのに付いていけず、先に着替えに向かった。

 

 

 

 

着替え中······何か木場にヤバい疑惑が浮かんだ。真顔でイッセーにあんなことを言うとは·······確定でいいのか? うん、最近は国際的にもどんどん寛容になってきてるからいいんじゃないか? 日本は中々に遅れてるが。

 

イッセー「先に行ってるからな!!」

 

裕斗「イッセー君!?」

 

何か慌てた様子のイッセーが飛び出してきた。やはりあの木場は危険だ。

 

イッセー「痛っ!!」

 

八幡「ん?イッセー···か······」

 

見ると、イッセーの左腕が『赤龍帝の籠手』の状態になっていた。

 

イッセー「あ、八幡か。最近よくこうなっちまってな······」

 

なるほど。どうりで最近よく赤龍帝の力を外で感じるわけだ。おそらく、アザゼルとの複数回接触が原因だろう。更に、アルビオンとも出会ったことも影響しているかもしれない。

 

八幡「ちょっと待ってろ。おいトカゲ、これは最近のことか?」

 

『ああ。相棒がフェニックスとやった時に、左腕を龍にしてからな』

 

あのレーティングゲームで、腕を龍にしたんだったか。負けてたが。

 

八幡「そうか」

 

俺も左腕に籠手を展開し、イッセーの左腕に翳す。溢れた龍の力を吸い出すだけだ。

 

イッセー「お前こんなことも出来んの!?」

 

八幡「そりゃな。ていうか、お前は今までどうやって抑えてたんだよ」

 

イッセー「いやぁ······それはその······」

 

朱乃「それは、私が直接指から吸い出していたんですよ」

 

その答えは姫島が直接答えた。

 

八幡「··········今までで初めてですよ。直接吸い出す人」

 

指からって何だ?

 

朱乃「あら?そうなのですか?」

 

八幡「まぁそっすね」

 

基本的に、魔法なりが使える人は、手を翳すだけで吸い出すことが出来る筈だ。イッセーの願望が直接じゃないと吸い出せないようにしたのだろうか。

 

 と、着替え終わったクルルが女子更衣室から出てきた。

 

クルル「あら······似合ってるわね八幡」

 

クルルが着ている水着は、黒を基調としたビキニタイプだ。眼福眼福。

 

八幡「どうも。クルルも似合ってんぞ」

 

クルル「そう? ありがと」

 

少し照れるクルル。可愛い。俺もクルルも、水着なんて着たのいつぶりだろうか。

 

と、イッセーがクルルを変な目付きで見ていたので

 

イッセー「うおっ!······これはまた·······「何見てんだ?」····ヒッ!!?」

 

殺気を纏い、肩を思いっきり掴む。若干「ミシッ」という音が聞こえた気がするが気のせいだ。

 

イッセー「痛い痛いごめんなさい!!」

 

八幡「チッ······いいだろう。本当は骨を砕こうかと思ったんだがな?」

 

殺意を収めて(警戒は解かずに)手を離す。

 

イッセー「嘘だろよな······?」

 

馬鹿言え。本気に決まってんだろ。次は目だな。

 

朱乃「あらあら。ふふふ」

 

 

 

 

閑話休題(それはおいといて)

掃除終了。早いって?別にいいんだよ。特に何もなかったんだから。それに、作者に文才なくて描写なんて無理なんだから。

 

八幡「あ〜······終わったー······」

 

当たり前だろ。息抜きがてら見に来たら何の得もしない掃除に付き合わされるんだぞ。水着は亜空間にあったが。

 

イッセー「棒読みだな······」

 

プール掃除終わった。今は姫島がプールに魔法で水を張っている。一般人が見たら卒倒するだろうな。何もない所から大量の水が出て来るとか。

 

八幡「眩しい······」

 

なので、6枚の羽根で即席の日傘を作る。うん、そこそこ快適······でもないな。暑いもんは暑い。まぁさっきよりはマシになった。

 

クルル「······私も入れて」

 

クルルも暑いのは苦手だ。隣を軽く叩く。クルルがそこに座るので、羽根がクルルも覆うように少し広げる。

 

クルル「あ~······ちょっとはマシね」

 

八幡「ならよかった」

 

と言いつつ、魔法で局所的に雨でも降らそうか······なんて考えていると、ゼノヴィアが話しかけてきた。

 

ゼノヴィア「······すまないが、イッセーはどこにいるか知らないか?」

 

何でイッセー?······ってそもそもプール掃除してる時こいつどこいたんだ? サボりか?

 

八幡「イッセーならすぐそこに······ってあれ?」

 

ゼノヴィアがもういない。ていうか、兵藤もいない。俺は幻覚でも見るくらい疲れたのか?

 

クルル「いや······幻覚ではないと思うわよ?」

 

八幡「だよな······って木場しかいねぇぞ」

 

この場にいるのが、俺とクルルと木場だけになっていた。いつの間に? 他は何処に?

 

「だぁぁぁぁぁっ!!!!?」

 

裕斗「······?」

 

八幡「今の兵藤か······今度は何したんだ」

 

揃いも揃って兵藤好きだなこの部は。

 

 

 

 

 

 

夕方。プールで一通り遊んだ(?)あと部室に戻ると兵藤が正座してゼノヴィアと共に他の女子陣に囲まれていた。なんだこれ。

 

リアス「··········全く。イッセーたらどうしてこうもエッチなのかしら」

 

ゼノヴィア「いや違うんだ。イッセーはただ私と子作りを」

 

どこからそんなぶっ飛んだ発想出てきたんだこいつ······

 

イッセー「いいから、ゼノヴィアは黙っててくれ!!」

 

と、兵藤が叫んだその時。

 

「皆愉快だね。私も混ぜて欲しいくらいだ」

 

床に、紅色の魔法陣が展開される。グレモリーの魔法陣。無論、リアス・グレモリーではない。

 それは、魔王ルシファーであるサーゼクスのものだ。因みに、大のシスコンとしてその筋では割と有名らしい。どこで何してんのお前。

 

 

それはさておき、魔法陣が開き、サーゼクスとグレイフィアが現れる。何しに来たシスコンよ。

 

サーゼクス「何かのイベントかい?」

 

リアス「お、お兄様!?」

 

イッセー「お兄様!?ってことは、魔王様!?」

 

何も跪かなくてもいいと思うんだが·······

 

八幡「どうしたシスコン。授業公開は今日じゃないぞ」

 

クルル「久しぶりサーゼクス」

 

本当なら授業公開自体して欲しくない。こいつとセラフォルーが何を仕出かすか分かったもんじゃない。小さい頃は、俺がこいつらの仕出かしたことで、何故か一緒に怒られていたのは今でも理解出来ない。今更だが。

 

サーゼクス「久しぶりだねクルル。八幡、開口一番がそれかい? 君は。昔からだなぁ······」

 

八幡「で?用件は?俺は帰ってもいいのか?」

 

サーゼクス「まぁまぁそんなこと言わないでくれよ。幼馴染みのよしみで頼むよ」

 

「「「「「幼馴染み!!?」」」」」

 

周りが驚いているが、それは無視して進める。

 

八幡「何回お前とセラフォルーのとばっちり食らってると思ってんだ······」

 

こいつも今は仕事中の筈だが······

 

サーゼクスはシスター・アーシアに話しかける。

 

サーゼクス「君がアーシア・アルジェントだね?」

 

アーシア「は、はい」

顔合わせか。今日の必要があるのか甚だ疑問だが······

 

サーゼクス「リアスの優秀な『僧侶』だと聞いているよ」

 

アーシア「そ、そんな!!」

 

シスター・アーシアは両手を大きく振って否定する。俺も、それには同意見だ。神器もあるし、魔法の適性も中々に高い。

 

サーゼクス「まぁ皆も寛いでくれ。今日はプライベートで来たんだ」

リアス「······はい」

 

やっぱりプライベートなのか······どうして魔王はこうもプライベートではっちゃけてる奴ばかりなんだ。

 

ゼノヴィア「あなたが魔王か?」

 

と、今度はゼノヴィアがサーゼクスに話しかける。

 

サーゼクス「君は?」

 

ゼノヴィア「初めまして、ゼノヴィア・クァルタだ。今はマスター・リアスの『騎士(ナイト)』を拝命している」

 

サーゼクス「ご機嫌ようゼノヴィア。デュランダル使いが私の妹の眷属になったと聞いた時は耳を疑ったものだよ」

 

俺は当然な流れだと思ってたがな。あのまま戻ったゼノヴィアは教会の人間に奇異の目を向けられた、と言ってたし。そんな簡単な話じゃないだろうがな。

 

ゼノヴィア「私も悪魔になるとは、大胆なことをしたと思っている。······うん? 何故悪魔になったんだ? ヤケクソ? いや、あの時は······えっと」

 

おい······大丈夫かそれで。

 

サーゼクス「ハッハッハッ、妹の眷属は楽しい者が多い。ゼノヴィア、リアスの眷属としてグレモリーを支えて欲しい」

 

サーゼクスがそう言うと、ゼノヴィアは姿勢を改める。

 

ゼノヴィア「······伝説の魔王ルシファーにそこまで言われては私も後には引けないな。やれるところまではやらせていただこう」

 

サーゼクス「ルシファーと言えば······」

 

 

 

リアス「······それで、お兄様はどうしてここに?」

 

てっきり、授業公開の日を勘違いしてんのかと思ってたが······よくよく考えれば、グレイフィアがいてそんなことしないか。

 

サーゼクス「リアス、この学校ではもうすぐ公開授業があるだろう?」

 

リアス「ま、まさか!?」

 

やっぱりそうだよなぁ。出来ればこいつもセラフォルーで来ないで欲しい」

 

サーゼクス「酷いな······」

 

八幡「ライザーの件を忘れたとは言わせないぞ」

 

俺がライザーとレーティングゲームする必要はなかった。俺には一ミリの得もなかったしな。しかも、あの後俺は貴族の結婚に介入したことで騒がれた。大損じゃねぇか。

 

サーゼクス「······そうだったね。それで、公開授業の件だけど、妹が勉学に励む様を見たいと思ったんだ。ちゃんとお父様も来る」

 

こいつ、軽く流しやがった。

 

リアス「お兄様は魔王でもあるんですよ!?仕事を放り出してまで·······」

 

誰かさんがリーアたんしか言わないせいで今も月1で俺がグレモリー領に出向してることを忘れないで欲しい······」

 

グレイフィア「旦那様······」

 

サーゼクス「と、ともかくだ。これは仕事でもあるんだよ。三大勢力の首脳会談をこの学園で執り行おうと思っているんだ」

 

汗を垂らしながらサーゼクスは言う。魔王の威厳とか全くねぇな。

 

クルル「また声に出てた」

 

八幡「まぁいいだろ」

 

リアス「それは何となく聞いてはいたけど······本当にやるとは」

 

 

 

 

 

 

 

部活終了後。

 

八幡「······? お前ら帰らねぇの?」

 

 解散後、サーゼクスとグレイフィアは冥界に戻って馬車馬の如く働いてくれるのかと思いきや、そうはいかなかった。

 

サーゼクス「今日は妹がお世話になっている兵藤一誠君のご自宅に泊まらせていただこうと思っていてね」

 

八幡「マジかよお前······迷惑かけんなよ?」

 

サーゼクス「君は心配しすぎなんだよ」

 

八幡「別にお前の心配はしてねぇよ。アポなしで行く気じゃねぇだろうな」

 

サーゼクス「アハハ······それはおいといて。本題はこっちだ」

 

 サーゼクスは人差し指を立てて言う。

 

八幡「······何だよ」

 

 サーゼクスは表情を引き締め、一拍おいてから言った。

 

 

サーゼクス「八幡、クルル。彼の封印を解除する訴えが通った」

 

 俺とクルルは目を見開いて驚く。

 

八幡「······ッ。そう、か」

 

 

 3年前、ウチの領である『サングィネム』で事件が起きた。その時、小学生だったあいつを、言うなれば疎開という形でグレモリー家に預けた。その期間中、事故が起きて、あいつは軟禁という体で封印処理にされてしまった。3年の間、ずっと解放するよう訴えていたが、リアス・グレモリーの眷族であるという主張で返されて、叶わなかった。強引な手段も取ろうと思えば取れたが、人質同然の状態では下手なことは出来なかった。

 

 

あの時から、俺達がいなくなってから散々寂しい、辛い思いをさせてただろう、からな······俺やクルルを恨んでいてもおかしくない。

 

 

 

八幡「やっと、か。ただ······あいつには会わせる顔がないなぁ······」

 

サーゼクス「それは仕方なかっただろう? 当時は『サングィネム』のことで面倒を見れないほど2人とも大変だったんだから」

 

八幡「そういうこと、じゃ、ないんだよ······」

 

クルル「あの子の気持ちより、優先されるものなんてない、わ」

 

 あの歳の子どもが、義理とは言え親から引き離されることがどんなに辛かったか。俺自身身を以て知っていた筈のに。

 

サーゼクス「きっと、大丈夫さ。僕が預かった時も君達を親として慕っていたからね」

 

八幡、クルル「「······」」

 

 

 

 

 ごめんな――――――ギャスパー。

 

 

 もう一度話してくれるなら、せめて、謝らせてくれ。許してくれなくても、いいから。

 

 

 

 


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