イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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第13話 堕天使の陰謀

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八幡「··········よう、こんな所で1人でいるとはな」

 

「おう、お前か」

 

八幡「こんな所で釣りとは呑気な野郎だ」

 

「1人は嫌いじゃねぇからな」

 

八幡「そんなこと気にしねぇだろ·········コカビエルが本格的に動き出した」

 

「やっぱりか。戦争を起こしてどうしたいんだかねぇ········」

 

八幡「あいつの目的は戦争を起こすことそのものだ。ったく、何のために俺が三大勢力全てに属してると思ってやがる········」

 

「ま、その時になりゃ·········な」

 

八幡「そうか。じゃあな」

 

「もう行くのか」

 

八幡「お生憎様、釣りしてられるほど暇じゃなくなっちまったんでね」

 

「お前さんも大変だねぇ·········じゃ、嫁さんによろしく」

 

八幡「ああ」

 

 

 

 

 

 

 

八幡「·········チッ。何体いやがるってんだ」

 

俺達は、はぐれ悪魔を討伐に来たのだが、その数がえぐい。

 

クルル「今の私はこれが、限界かな」

 

八幡「下がってろクルル」

 

クルルにこれ以上は無理か·······

 

八幡「塵外刀 変化。型式『揚羽』。行け、黒丸」

 

黒丸がはぐれ悪魔を狩っていった。

 

 

 

···········全て狩り終えたか。

 

八幡「·········ったく、これで何度目だ」

 

コカビエルを取り逃したあの日から数日。俺は頻繁にはぐれ悪魔に襲われるようになった。まあ雑魚どもが何体来ても同じではあるが、クルルを巻き込んでしまっている。

 

クルル「流石に·········これだけの量を送り込んでくるとは······」

 

しかも、俺達だけの時を狙っている。完全な足止めだろう。あの廃工場の奴も足止めのために呼び寄せたのだろう。

 

八幡「っ!?」

 

クルル「どうかしたの?」

 

八幡「·········バルパーだ。もう来やがった」

 

あの魔力·······聖剣使いと一緒にいるのは知ってたが、イッセー達だ。まずいな。このままだと、イッセー達も聖剣も危ない。

 

八幡「行くぞクルル」

 

魔法陣でジャンプの用意をする。

 

クルル「ん。分かった」

 

八幡「っ!!?」

 

この気配·······あいつか。

 

コカビエル「·······よう坊主。お前にはもう少し大人しくしててもらう」

 

コカビエルは大量のはぐれ悪魔──おそらく雇った部下だろう──を呼び出した。

 

八幡「待てコカビエル。戦争を引き起こしてどうする気だ」

 

コカビエル「ふっ······アザゼルやシェムハザのような腑抜けどもに分からせてやるのさ。行け」

 

コカビエルははぐれ悪魔を呼び出した直後にこの場から離脱していった。

 

八幡「コカビエルの野郎········」

 

コカビエルの呼び出したはぐれ悪魔を斬りまくりながら俺はそう呟いた。

 

 

 

クルル「·······バルパーは?」

 

八幡「流石に逃げたっぽいな。だが、その近くにイッセー達がいる。とりあえず行ってみるか」

 

はぐれ共を速攻で片付け、俺達はイッセー達がいる所に向かった。

 

 

 

 

 

八幡「········何やってんだこいつらは」

 

クルル「見た所おしり叩きのようね」

 

ジャンプして最初に見たのは、リアス・グレモリーとソーナに尻を叩かれているイッセーと匙だった。いや何やってんだマジで。

 

イッセー「八幡!!助けて!!」

 

匙「頼む!!助けてくれ比企谷!」

 

リアス「あら?まだ200回は残っているわよ?」

 

こいつ何回叩くつもりなんだ?

 

ソーナ「御機嫌よう八幡君、クルルちゃん。今下僕の躾中なの」

 

八幡「·········とりあえず一旦やめてくれ」

 

話が分からない······

 

ソーナ「·········仕方ないわね」

 

 

 

 

 

八幡「·······なるほど。それでバルパーと出会ったと」

 

クルル「思ったより厄介だったわ」

 

あの後、話を聞いてみたが、どうやら、街の東に来たイッセー達は、はぐれ神父のフリード・セルゼンと会敵。戦闘が始まったが、その最中にバルパー・ガリレイが現れ2人は逃げた。木場と聖剣使いの2人はそれを追っていってしまったと。

 

八幡「········しかしまずいな」

 

ソーナ「どういうこと?」

 

八幡「今動いてるあの3人はまず間違いなく返り討ちにされる。向こうに更に聖剣が渡るのは避けたい」

 

こんなことなら、有無を言わさずミカエルに送り返しておくんだった。特に、『擬態』の聖剣は純粋な戦闘力ではあの中で一番低いからな········

 

八幡「カマクラ」

 

カマクラ「にゃ〜」

 

 

小猫「········可愛い」

 

 

使い魔であるカマクラを召喚する。猫が100年生きたらなると言われている妖怪、猫又である。元々、比企谷家のペットだった。てか、塔城も猫又だが。

 

八幡「話は分かっているな?」

 

木場、ゼノヴィア・クァルタ、紫藤イリナ、コカビエル、バルパー、フリード・セルゼンの写真を見せる。

 

八幡「この写真の誰かを見つけたらすぐに伝えろ」

 

カマクラ「にゃ~」

 

カマクラは一鳴きした後、飛び出して行った。

 

八幡「お前らも何か分かったら連絡をくれ。こっちは一旦休憩を取らねぇと」

 

クルルなんか特に魔力の消耗が激しいからな··········

 

イッセー「何で休憩?」

 

八幡「さっきまではぐれを狩りまくってた。多分200体は狩ったと思うぞ」

 

イッセー「200!!?」

 

クルル「行くわよ八幡。時間ないから出来るだけ回復しないと」

 

クルルが服の袖を引っ張ってくる。こういう仕草も可愛いんだよな········と、不謹慎ながらも関係ないことを考えてしまう俺がいる。

 

八幡「ああ。そんじゃな」

 

魔法陣で自宅にジャンプ。ベッドまで辿り着いた俺とクルルは速攻で眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カマクラ「ふにゃー!!!!」

 

ベッドで寝ていた俺達の耳元にカマクラの鳴き声が響いた。起こしてくれるのはありがたいが、耳が·······

 

八幡「どうした!?」

 

クルル「何か分かったの?」

 

カマクラ「にゃ」

 

俺とクルルが飛び起きると、カマクラが写真を出す。映っていたのは、紫藤イリナ。

 

八幡「······紫藤イリナが見つかったのか」

 

カマクラが頷く。

 

八幡「クルル行くぞ」

 

クルル「······ええ」

 

俺達はベッドから飛び下りて、魔法陣で紫藤イリナの所にジャンプした。

 

 

 

 

 

俺達がジャンプして向かった時、紫藤イリナはフリード・セルゼンに一方的にやられていた。

 

八幡「······食らえ」

 

目立つように光の矢をフリードに放つ。フリードは下がって避けた。

 

クルル「······大丈夫かしら。聖剣は無事?」

 

イリナ「こ、ここに······」

 

紫藤イリナが自身の左腕を掴む。

 

クルル「そう」

 

八幡「クルル、紫藤イリナを連れて下がれ」

 

クルル「分かった」

 

クルルは紫藤イリナを肩で支えながら後退する。

 

 

フリード「お~お〜誰か知らんけど邪魔してくれちゃってさぁ。死ぬ? 死ぬの? 死にたいの?」

 

八幡「なわけないだろ」

 

型式『揚羽』の状態の塵外刀・真打を魔法陣から取り出し、フリードに斬り掛かる。フリードは手に持った聖剣······おそらく奪取されたエクスカリバーのうちの一振りだろう。

 

フリード「何その刀!! ずっこいんですけど!?」

 

エクスカリバー持ってるお前がよく言う······

 

そこで、フリードから、手に持つ聖剣以外の聖剣のオーラを感知した。

 

八幡「お前······持ってるエクスカリバー、それだけじゃないな?」

 

フリード「お?よく分かったじゃ~ん」

 

フリードが服を捲ると、そこには奪われた筈の他のエクスカリバーも持っていた。

 

八幡「返してもらうぞ」

 

フリード「返すわけねぇだろ〜?」

 

八幡「だろうな」

 

刀を振り切ってフリードを吹き飛ばす。

 

八幡「······こっちも仕事なんでな」

 

フリードに接近して、蹴りを1発入れる。

 

八幡「ふっ!!」

 

更に刀を振ってフリードを吹っ飛ばす。

 

フリード「ぎゃっ······ぐぁぁっ!!」

 

吹っ飛ばした所には、黒丸を幾つか待ち構えさせており、変形させずに、そのまま突っ込む。骨が幾つか砕けている筈だ。とりあえず、フリードが怯んでいる隙に手に持っていた聖剣を奪い取る。その瞬間フリードが斬り掛かってきたので、さっきフリードから取った聖剣は魔法陣に放り込み、塵外黒鱗刀で受け止める。

 

八幡「『天閃』の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリー)か」

 

これか。フリード・セルゼンにしちゃ妙に速かったが、これ持ってんならそら当たり前だな。

 

フリード「返せよてめぇ!!」

 

八幡「やなこった」

 

その時、俺のすぐ後ろで魔法陣が開いた。これはリアス・グレモリーの奴か。木場を除くオカルト研究部が出て来る。

 

イッセー「······イリナ!!」

 

八幡「おいイッセー。そいつ連れて早く逃げろ」

 

兵藤は、クルルが魔法で治療中の紫藤イリナに駆け寄る。

 

イッセー「お前はどうすんだよ!!」

 

八幡「適当に相手して逃げる」

 

こいつはまだ殺さん方がコカビエルの動きを読みやすい。

 

イッセー「おいしっかりしろイリナ!! 何があった!? 木場とゼノヴィアは!?」

 

イリナ「あの2人は······逃げた」

 

そういや聞いてなかった。

 

イリナ「あいつ、強い······」

 

イッセー「アーシア!!」

 

アーシア「はい!クルルさん、失礼します」

 

クルル「······頼むわ」

 

シスター・アーシアまでいるんだから、紫藤イリナは大丈夫だろう。そこで、今度は白い魔法陣が現れた。そこから、ソーナ、副会長、匙が現れる。

 

イッセー「会長!?」

 

ソーナ「クルルちゃんから連絡を受けました。私の家には治療設備もあります」

 

アーシア「お願いします。消耗した体力までは回復出来ないので····」

 

ソーナ「分かっています。椿姫」

 

椿姫「はい、会長」

 

副会長は紫藤イリナを抱えて魔法陣でジャンプしていった。おそらく、ソーナの家だろう。いくらクルルが治療していたとはいえ、ソーナとシスター・アーシアがいなかったらヤバかったな。治療だけならクルルだけで十分だけど、ウチに連れていくのはまずい。機密保持が。

 

フリード「てめぇら、好き勝手しやてくれがってよ·······お、そこの赤毛のお姉さん、あんたに話があんだよ。うちのボスがな〜!!」

 

フリードがそう言った途端空中に強い気配を感じて、見上げると魔法陣が展開される。

 

······この気配。コカビエルか。

 

八幡「······ようコカビエル。昨日ぶりだな」

 

現れたのは、10枚の黒い羽根を広げる男。『神の子を見張る者(グリゴリ)』幹部、コカビエル。

 

イッセー「翼が······10枚?」

 

朱乃「幹部クラスの証ですわ」

 

コカビエル「よう坊主。······おお、お前がサーゼクスの妹か」

 

コカビエルはリアス・グレモリーを目にすると、

 

リアス「御機嫌よう堕天使さん。私はリアス・グレモリー。どうぞお見知りおきを」

 

コカビエル「······紅髪が麗しいことだな。サーゼクスのやつによく似ている。反吐が出そうだ」

 

リアス「それで? 態々幹部が直々に何の用かしら?」

 

リアス・グレモリーはコカビエルを見ても一切態度を崩さない。彼我の実力差を理解出来てないからだろうが、よく言うな。

 

コカビエル「俺、堕天使コカビエルはグレモリーの姫君に宣言する。これから······駒王学園を中心に暴れさせてもらう」

 

やはりこいつ、それが狙いか。

 

リアス「私達の学園を!?」

 

コカビエル「坊主から何も聞いてねぇのか·····そうすれば否が応でもサーゼクスの野郎は出張って来るだろう?」

 

リアス「そんなことをすれば······神と堕天使、悪魔との戦争になるわ!!」

 

リアス・グレモリーがそう言うと、コカビエルは顔をおさえて笑い出す。

 

コカビエル「フハハハッ!! エクスカリバーでも奪えばミカエルの野郎が仕掛けてくるかと思っていたが······来たのはそこの坊主とその嫁、後は雑魚の聖剣使いが2人だ。天界は様子見を決め込みやがったようだがな。一先ず悪魔と戦争といこうじゃないか。

まぁ、そこの坊主は俺と張り合えるから少しは退屈凌ぎにはなったが」

 

そこで、俺はずっと気になっていたことを問う。

 

八幡「······お前、何故そうまでして戦争に拘る?」

 

コカビエル「退屈だったんだよわ俺は·······前の戦争が終わってから、アザゼルもシェムハザも戦争に消極的になりやがった。しかも、アザゼルに至っては神器とかいう訳分からんもんの研究に没頭する始末。これの何処が面白いってんだ。だから、ぎりぎりで保たれている均衡を········そこの坊主が苦労して保っている均衡をぶっ壊すんだよ。そうすりゃ戦争になる」

 

こいつ·······ふざけやかって。

 

コカビエル「だから俺から仕掛けさせてもらう。ルシファーの妹、リアス・グレモリー。レヴィアタンの妹、ソーナ・シトリー。それらが通う学園ならさぞかし魔力が立ち込め混沌が蔓延るだろう。戦場としては充分だ」

 

匙「無茶苦茶だ!」

 

イッセー「こいつ、頭がイカれてやがる」

 

同意見だ。俺の周りにはそういう奴が集まりやすいのか?考えが無茶苦茶なのは眷属にもいるっちゃいるし。

 

フリード「アハハハハッ!!うちのボス、イカれ具合が最っ高で素敵でしょ~!!?だからぁ、ついつい張り切っちゃうのよ」

 

こ〜んなものまで貰っちゃったし!と、エクスカリバーを2本見せつけた。

コカビエル「戦争をしよう·······魔王サーゼクス・ルシファーの妹、リアス・グレモリーよ!!」

 

コカビエルが放ってきた幾つもの光の矢を防ぐ。光の矢を目眩しにしてもう移動しやがったか。

 

八幡「チッ··········何度邪魔すりゃ気が済むんだあの野郎」

 

イッセー「あいつらは!?」

 

八幡「先を越された。奴は駒王学園だ」

 

そこであいつを切り刻んでやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

フリード「········見るがいい。私の夢が完全していく様を」

 

空を光が貫いた。

 

 

 




八幡の使い魔

カマクラ
種族:猫又
元々、比企谷家のペットだった。八幡とクルル以外が天使に殺されてから、八幡の使い魔となっている。八幡にも懐いているが、どちらかと言えばクルルのが懐かれている。仙術は使える。ただ、カマクラがあまり戦闘向きではないので追跡などを担当することが多い。長時間人の姿になれない(人の姿の容姿は、ワートリの羽矢さんをイメージ)。



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