イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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久しぶりに一話で6000文字書き込んでみました。情報量めっっっっさ少ないんですけどね。


閃ハサ映画化やったぜぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!
(小説読んでない並感)

来年再来年は本格的にガンダムの年ですねぇ······お金足りるのかな?




第138話 消えない戦火

 

ギャスパーside

 

 

 

────全く、随分とまた無茶したねぇ。

 

 

夢······とも、術中とも分からないような感触の中、聞き知った声が響く。

 

 

ギャスパー『······まぁ』

 

偶発的に僕に宿った神格────魔神バロールは溜息を吐き、不定形の闇(本来の姿)(から)少女の姿に変える。

 

バロール『不機嫌だね? まぁそんなこともあるか。

 

······君は、ロキとの戦闘の最中、意識を失った。比企谷八幡に回収された君は、大慌ての彼に病院に送られて、今はICUのド真ん中さ。隣で黒歌が寝てるけど、まぁそれはいいか』

 

ギャスパー『全然良くない』

 

何処がいいんだ······黒歌さんも、少なくともICUに放り込まれるほどの重傷を負ったということなのに。

 

バロール『あれ、呼び捨てはやめたのか。黒歌本人から頼まれたのに?』

 

時々発揮される壮絶な無遠慮が、このタイミングで発動したらしい。何とはなしに思っただけで、ここまで突いてくるなんて。

 

ギャスパー『別に······』

 

ただ、さん付けが癖になっただけで······

 

バロール『ウソだね。君は揺らいでいる。ヘルのことを思い出して、そっちに意識が戻ろうとして······そして、自分でどうしたらいいのか分からない』

 

···········よく、ご存知で。僕より僕を知ってるみたいで複雑ですよ。

 

ギャスパー『······僕を弄りに来たなら、早く解放してくださいよ。さっきまでロンゴミニアドと微塵も楽しくない話をしたばっかりなのに、やっと起きれると思ったのにこれだ。僕、趣味悪い奴に好かれたいわけじゃないんですよ』

 

······今は、変わり者の人達を相手するほどの余裕がないんだ。心が限界で······

 

 

バロール『それは悪かった。ロキと再戦後の君の心境の変化を、様子見したかっただけなんだ。ごめんごめん。もう僕の用は済んだよ』

 

全く······勘弁して欲しい。

 

 

やっとこさ解放される────そう思った矢先、バロールさんは最後に一言だけ付け加えた。

 

 

バロール『まぁ一言だけ言うなら───思春期の君には、悩み抜け、と言いたかったんだけど。君は、早く決意を、覚悟を固めた方がいい。彼女、モテるだろう? フラっと現れた何処ぞの馬の骨に取られるかもよ?』

 

 

······なんで、起きる直前にそんなこと言うかな······

 

 

一言くらいは言い返してやろうとしたが、引き上げられる(意識が覚醒する)感覚に身を任せることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギャスパー「─────うぁ」

 

情けない声が出る。

 

 

────今、何時だろ。

 

 

 

クルル「ギャスパー······!! 良かった······!!

 

 

 

······ごめんなさい」

 

 

頭がボーッとしてふわふわした中、母に抱き締められた。

 

 

ギャスパー「────」

 

 

─────·······ッ!! 黒歌さんも、ここにいたのか······

 

僕が目を覚ます傍ら、隣のベッドでは黒歌さんがまだ寝ていた。今は、目に見える所には傷は見当たらないけど、戦場でどうだったかは分からない。

 

 

ギャスパー「おかあ、さん······」

 

クルル「!! ごめんギャスパー、どこか痛んだ?」

 

お母様が、慌てて手を退ける。

 

ギャスパー「あ······いや、どのくらい寝てたのかな、って」

 

一瞬、()()()()()()()()()()()()()()()、適当な質問をした。

 

ダメだ、まだ頭がボーッとする······なのに、この前やったゲームとかは思い出すし、どうでもいいことには働くもんだから······

 

クルル「4日。心配したのよ。あなたも黒歌も、一昨日までICUにいて、一向に目覚めないから······って、連れてった私が言っても、意味ないか」

 

お母様は、苦笑いしながら言う。

 

ギャスパー「そんなこと、ない、よ······」

 

 

そんなこと、ない。僕が、違うって、いってあげないと。あれ、また眠く······

 

 

ギャスパー「······おかあ、さん」

 

クルル「なに、どうしたの?」

 

喉から······いや、本音から零れたものにお母様が問い返してきたが、視界がボヤけて、意識がグラつき始める。

 

ギャスパー「おや、す、み······」

 

 

そのまま()()()()にもたれかかった僕は、再び意識の底に沈んでいった。

────今度は、()を見なくてよさそうだった。

 

 

クルル「······おやすみ、ギャスパー。眠れるまで、()()()()()一緒にいるから」

 

 

 

あぁ······あたたかい。

 

 

 

ギャスパーsideout

 

 

 

 

クルルside

 

 

 

ギャスパーの寝息が安定し始めたところで、ギャスパーをベッドに寝かせて布団を掛け直す。

 

この子は、パッと見周りの子と大差なく普通の生活を送っているように見えるけども。この歳の子が3年間の軟禁生活を独りで送ったことが、癒えぬ傷を植え付ける程の辛苦を与えたことは、一目で分かった。

 

年齢よりも幼いこの子をこんな風に変えてしまった責任を取りたくとも、トラウマは抱える本人が乗り越えるより外にない。私が出来るのは、こうして抱き締めて、眠るまで一緒にいることぐらい······か。なんて情けない。

 

 

────そんな子を戦場に出させて······私は、何をしているんだろう。

 

 

こんな────私も、今までの分を取り返すためにももっと戦わないと。八幡は、私にも戦場に出て欲しくないみたいだけど、こちとら守らっぱなしじゃいられないのよ。

 

 

クルル「ギャスパー······ごめんね」

 

と、呟いた時、不意に後ろから声をかけられた。

 

······全く、起きてたのなら、ギャスパーにも一言くらいは声かけてあげなさい。

 

黒歌「───何の話? ふわぁ···」

 

黒歌は、欠伸をしながら起き上がると、目を擦りながら私に言う。

 

クルル「黒歌、起きてたの?」

 

黒歌「たった今、ね。あんたがギャスパーを寝かせたところぐらいで」

 

体の方は······見た感じ大丈夫ね。『氣』も安定してるし。

 

クルル「体、大丈夫?」

 

黒歌「う〜ん······まぁ。凄いダルいけど。八幡がくれたアレ、よく効いてるんだと思う。てか、私どんくらい寝てたの?」

 

黒歌は伸びをして、欠伸を噛み殺しながら言う。

 

クルル「ギャスパーにも同じこと聞かれたけど、4日よ」

 

黒歌の額に手を伸ばす。熱はない。

 

黒歌「ふ、くぁ〜······もう起きたし、体大丈夫だし、こんなとこ早く出たいわ」

 

クルル「ちょっと、まだ寝てなきゃダメでしょうが」

 

ベッドから降りようとした黒歌を慌てて止める。体動かしてた方が気が楽な時もあるけど、まだ寝ててくれないと困る。主に、私がヒヤヒヤするから。

 

黒歌「いやいや。やめてよ、私も子どもじゃないんだし」

 

クルル「何言ってんの。私から見たら、アンタもまだまだ子どもよ」

 

全く、まだ24の小娘が何を言うか。

 

黒歌「じゃあ何よ、オバサンとでも呼びゃいいの?」

 

オバ······全く。そういう発想が子どもじゃない。お茶目とかじゃなくて、単なるガキの発想じゃないのそれ。

 

クルル「そういうとこが子どもなのよアンタは。好きに呼んだら? ······ったく、いいから寝てて。仕事なら退院して(ここ出て)からいくらでもやるから」

 

大人ぶった子どもね、黒歌······まぁ、私からしたらそういうところが微笑ましくて可愛いところでもあるわけだけど。

 

黒歌「オバサーン、私まだ子どもですけどー」

 

クルル「さっき、自分で子どもじゃないって言ったじゃないの。大人なら、自分で仕事してちょうだい」

 

黒歌を寝かせて、布団を掛け直す。

 

黒歌「······何。私、クルルからは3歳児に見えてんの?」

 

クルル「変わんないわよ、3歳だろうが20歳だろうが······私達は、あなた達に頼られたいの。子ども達にくらい、かっこいいって言われたいのよ」

 

黒歌の首に触れて、外から気を流す。

 

黒歌「······ちょっと、仙術で寝かせようとしないで······」

 

微睡みに落ちていく黒歌の頭をそっと撫でる。

 

クルル「無理にでも寝なさい。今は、英気養う時よ。黒歌、おやすみ」

 

 

寝息を立てるギャスパーと黒歌の額にキスを落として、私は病室を出た。

 

 

 

クルルsideout

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡side

 

 

 

 

 

闘戦勝仏『────お前さん、何でそんなに強くなりたい?』

 

八幡『俺は─────』

 

 

おれは、あの時何と答えたんだっけ······?

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

「────ん。────んくん」

 

 

誰かが呼ぶ声がする。あれ、俺は仕事してたんじゃ······

 

 

八幡「ふ、うわ······」

 

欠伸しながら、伸びをすると、背骨からゴキっという音が聞こえた。

 

······態々仕事中の俺を起こすなんて、クルルが戻って来たのか······?

 

ギャスパーも黒歌もまだ病院だし、ヴァーリはラヴィニアとデートしに出かけたし······他のやつらにも、休み取らせたはず······

 

肝心のクルルは、禁術で自分の再生力を限界まで底上げして、自分の負傷を強引に治していた。

 

子ども達が寝ているのに、自分まで寝ているわけにはいかないし面目丸潰れになると、半日で超強引に······担当医をほぼ脅すに等しい形で退院した。ただ、そんなやつが退院してもすぐに日常生活を送れるようになるわけがないので、今日は、今度は俺が脅す形で病院に行かせた。

 

そのままもう一度入院してくれた方が安心だが、あいつのことだし、絶対帰ってくるよ······

だが、クルルは多分ギャスパーと黒歌が寝てる病室に行ってるだろうし、変なことは起きない筈だ。

 

 

 

八幡「ふわぁ······」

 

あ〜、ダメだ。まだ眠い。確か、これで二徹目だっけ?

 

と、欠伸を噛み殺しながら声の方に顔を向けると、俺を起こしたのはクルルではなく······

 

「やっと起きたか。八幡君、こんな所で寝ていては体を冷やすだろう。少し休みなさい」

 

 

八幡「······すんません。おはようございます、お義母さん」

 

「今は夕方だ。もう少しで日が暮れる」

 

 

俺を起こしたのは、お義母さん────かつては666(トライヘキサ)という名前で呼ばれていた、クルルによく似た(クルルが似たんだろうが)女性だった。

 

 

クリフォト強襲の翌日。保護したお義母さん(コマチ)の魂を、本来の肉体に戻して、改めて保護させていただいた。

 

因みに、女神としか呼ばれたことがなかったと聞いていたが、人間の世界に降りる時はミーシュ・ラライアと名乗っていたらしく、お義母さん呼びに慣れないならそう呼んでくれ、と言われた。

 

 

八幡「······あれ、もう5時か。寝すぎたな」

 

帰還して以降、各勢力への事情説明に奪還した捕虜の身分確認と順次移送。回収した宝物や情報の精査など、やることがあまりに山積みで、寝ている暇がなかった。

 

 

各勢力への事情説明だけは、昨日各勢力の要神(ようじん)達を集めて一先ず終わらせたが······

 

 

ミーシュ「······配下の者は休ませておいて、自分だけ仕事か」

 

八幡「クリフォトの奇襲だってかなり前倒しでやったですし、休みくらいあげてもいいでしょ」

 

リゼヴィムのゴミクソが宣戦布告しなかったら、12月21日に総力あげて叩き潰すつもりだったんだが。実際は3週間前倒しの一日だ。

 

ミーシュ「君が根を詰めるのは別の話だと思うよ。まぁ、体を壊さないようにほどほど······と言っても説得力はないか」

 

自嘲するお義母さんをどう宥めようか、という時、側に置いてあったスマホからメールの着信音が鳴る。

 

断りを入れてから届いたメールを見ると、ヴァーリからのものだった。

 

メール······? あいつメール使わないクセに、珍しいな。

 

 

 

手前勝手で非常に申し訳ないのだが、さ

っきスラッシュドッグとラヴィニアに夕

食に招待されたので、帰りは遅くなる。

俺は、夕食は要らないから作らなくてい

いぞ。とうさん、悪いな。

 

 

 

なんか、改行な不自然な気がするが、にしてもあいつ······態々メー、ル、なん、て······

 

 

慌てて国内全域まで感知網を広げるが、ヴァーリの気配もラヴィニアの気配も引っかからなかった。あいつ、サングィネムからは出ないって言ってたし、出るならそれこそ通話で言う筈······

 

 

───おい、ヴァーリ。冗談、だろ······?

 

八幡「────マジ、かよ」

 

ミーシュ「······? どうかしたのか?」

 

 

ヴァーリ────お前今、何処にいる······!?

 

 

一瞬飛びかけた意識を繋ぎ止めて、眠気の吹き飛んだ頭を回す。

 

······こんな、クルルになんて言えばいい······!?

 

 

八幡「クソっ!!」

 

ヴァーリのケータイに電話を掛けたが、一向に出ない。『おかけになった電話番号は────』と音声が流れて、そのまま切れた。

魔法は······!! ────······クソ、駄目か!!

 

ミーシュ「······? 八幡君、いったいどうした?」

 

 

 

と、部屋の扉を開けて、束が入って来た。何の用───

 

八幡「───なんだ束!!」

 

束「······? いや、別に急ぎじゃないからあとにするよ?」

 

束は、お義母さんを見て一瞬顔を歪めるが、すぐに俺に視線を戻した。

 

······不幸中の幸いというかなんというか。

 

八幡「束、ヴァーリに繋げ。早く!!」

 

束「え、どうしたのはーくん。それはいいとしてなんで────あれ」

 

疑問を俺に投げかけながらも、束は亜空間から出したノーパソからヴァーリのケータイに繋ごうとしたが一向に繋がらず、魔法でも繋がらなかった。

 

マズい······!! あいつ、本当に······!!

 

束「どーしたんだろヴァーくんは······って、はーくん?」

 

八幡「束!! 休暇中の奴ら全員呼び戻せ!!」

 

束に叫びながら、アプリの電話を開く。

 

クソ、早く病院にいるクルルと孤児院にいるティアに連絡を·······豚の帽子亭にも、早く連絡しねぇと。

 

 

······ったく、最悪だな。

 

敵はどいつだ。このタイミング、クリフォトの残存部隊······? それとも、ハーデスかゼウスの手の者か·······? 或いはエレシュキガルか?

 

 

とにかく、今は国内の警戒レベルを引き上げて、市民の安全の確保を······

 

 

ミーシュ「······八幡君、どうしたというんだ」

 

突然の慌て様に流石に疑問を隠しきれないお義母さんが尋ねてくる。束もそれに頷いた。

 

束「そうだよはーくん。()()()()()()()しょうがないけどさ、何があったのさ」

 

 

 

八幡「────敵だ。ヴァーリが、攫われた!!」

 

束「は? ウソ······でしょ?」

 

八幡「冗談で言うわけねぇだろうが!!」

 

 

こんな時に!! 全く、誰かが大成功とか書かれたプラカードでも持ってきてくれりゃ気は楽なんだけどな!!

 

 

 

ヴァーリ、すぐに探し出してやっから、無事でいてくれ······!!

 

 

 

八幡sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴァーリside

 

 

 

ヴァーリ「······全く。これでは俺も、ざまあないな」

 

 


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