イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~ 作:シャルルヤ·ハプティズム
今回からエクスカリバー編。
祐斗「·······これは聖剣だよ」
オカルト研究部は旧校舎が大掃除のため、イッセーの自宅に集まって定例会議をしていた。その際、イッセーの母が持って来たイッセーのアルバムの内の写真の1枚を見て、木場がそう呟いた。
イッセー「·······聖剣?」
八幡「······聖剣、ね。それ、俺にも見せてくれ」
クルルはこの場にいない。尚、女性陣はイッセーのアルバムに夢中である。
八幡「······なるほどな。確かに聖剣だ」
写真には確かに聖剣が写っていた。何故? いや、待て。この聖剣はまさか······
祐斗「何か知っているのかい?」
八幡「いやそういうわけじゃないが、形式上教会にも属している身としては偶に聖剣は目にするからな」
まぁ、本当はとびっきりの聖剣を一振り持ってるがな。天界側でそれ知ってるのはミカエルだけだが。
祐斗「······なるほどね。この事は忘れてほしい」
イッセー「あ、ああ」
······しかし、この写真に映っている聖剣は、教会が派遣した聖剣使いの内の1人じゃないか?確か、ミカエルから送られてきた情報によれば······紫藤イリナか。あぁ嫌だ嫌だ。なんでコイツなのかね。
イッセーは男っつってたが女だよな。まあこの服装から見間違えることも有り得るが······普通どっかで気付くだろ。
そこで、リアス・グレモリーが手を叩いて言う。
リアス「······さぁ、今日の所はここまでにしましょう」
······お前らアルバム見て終わったろ·······
八幡sideout
イッセーside
夜。
イッセー「······しっかし、変わった人だったな·····」
さっき俺を召喚した人は随分変わった人だった。
30代ぐらいの男性で、ともすれば木場よりイケメンかもしれないくらいの人だった。
その人のお願いが······酒の相手してくれっていうのは流石に無理だとしても······喚んだ詫びだなんて言って、こんな高そうな絵貰っちゃっていいのかな·······疎い俺でも分かるぐらい有名な絵なんだけど。
イッセー「···てか、部長が突然呼び出すって何があったんだろう」
ま、それは会って聞けばいいか。
リアス「ごめんなさいイッセー。突然呼び出してしまって」
部長に呼び出されやって来たのは廃工場。
いつものオカ研メンバーが集合しており、アーシアもいる。ただ、八幡とクルルさんはいなかった。
イッセー「あ、いえ。それより、八幡とクルルさんはどうしたんですか?」
あの2人も部長の眷属でないとは言え、オカルト研究部の部員だけど·······
リアス「それが······連絡が付かなかったの」
イッセー「どうしてでしょうか」
あの2人だけあって何かに巻き込まれても大丈夫だとは思うけど·······
リアス「まぁ今はいるだけでやるしかないわ」
やる?
イッセー「やるって何をですか?」
朱乃「はぐれ悪魔の討伐依頼ですわ。それも今晩中にと」
リアス「それだけ危険と見なされているということよ」
なるほど。はぐれ悪魔と一言で言っても危険度によってランクみたいなのがあるのか。
リアス「建物の中では分が悪いわ。アーシアは後方待機。私と朱乃はここで待ち構えるわ。接近戦の出来る小猫、祐斗、イッセーで敵をおびき出してちょうだい」
イッセー「はい!!」
八幡とクルルさんはどうしていないのかとか木場の様子がさっきからずっとおかしいとか色々気になるけど、とりあえず今はここに集中だ!!
リアス「······祐斗?」
祐斗「·······あ、はい。分かりました」
やっぱり何かおかしいけど······今それを気にしても何にもならないしな。
イッセー「じゃあ行くか。小猫ちゃん、木場」
そう言って3人で走り出した所だった。
『ズドォォォン!!!』
イッセー「何だ!?」
轟音が響き、突然廃工場の天井が爆発した。
「········!? 悪いが坊主。お前の相手もここまでだ」
八幡「待てやコカビエル!!」
イッセー「八幡!?」
爆発して空いたのであろう天井の穴から、塵外刀って言うらしい(木場が言ってた)刀を持った八幡と、八幡と戦っている堕天使が飛び出てきた。八幡にコカビエルと言われていた堕天使は廃工場の天井に光の矢を放ち煙に乗じて逃げてしまったようだ。
八幡「········チッ」
「グギャァァァッ!!」
今度ははぐれ悪魔と思しき堕天使が天井の穴から飛び出て来た。
八幡「邪魔」
八幡は軽く刀を振るってはぐれ悪魔を真っ二つにし、魔法を放って消滅させた。いや、何でそんな簡単に真っ二つに出来るの? 確かに八幡の眷属に刀を振っただけで山を真っ二つにした人はいたけどさ······
イッセー「八幡!! 何やってんだよ!!」
八幡は、廃工場の天井に腰を下ろし何やらやっていた。ここからでは陰になって何してるか分からない。
八幡「あぁ?······ああ、イッセーか」
今の「あぁ?」には殺気が込められてたような·······
八幡「何でもねぇよ」
こっちに下りてきてそう言う八幡。いや、そんなわけないだろ。
イッセー「いや、それが通じるわけないだろ」
八幡「チッ········」
今舌打ちしたよ······? まさか、聞かれるのすらまずいことをやってるのか?
八幡「今のは堕天使コカビエル。お前らが依頼を受けたはぐれを何故か呼び寄せてた。ほれ、お前らもとっとと帰れ。俺は帰る」
堕天使······!! て、あれ? コカビエルって確か······
イッセー「あ、おい!!」
八幡は有無を言わさず魔法陣でジャンプして消えてしまった。
イッセー「何だよあいつ·······」
と、木場が俯いたまま木場が唐突に歩き出した。
祐斗「·······すいません。体調が悪いので、先に失礼します」
一瞬だけ立ち止まってそう言って、木場も帰ってしまった。
イッセーsideout
八幡side
リアス「······それで、何の用かしら?」
この日、オカルト研究部に聖剣使いの2人が訪ねてきた。紫藤イリナとゼノヴィア・クァルタ。持っているのは『破壊』の聖剣と『擬態』の聖剣らしい。
だが、この場で俺に何も言ってこないということはミカエルは本当に何も言わなかったらしい。俺は教会内で、悪い意味で高い知名度を誇るからな。こんな辺境にいるとは思わなかったんだろ。
俺は立地的に気に入ってるがな。
イリナ「·······元々行方不明だった1本を除く、6本のエクスカリバーを教会が保管していましたが······堕天使の手によってそのうちの3本を奪われました」
「「「「「!!?」」」」」
コカビエルめ······少し前から何やら動いているのは察知していたが、遂に動き始めたか。先日の戦闘はブラフの可能性もあるが······もう頭が痛い。
八幡「·······話ってのは悪魔はこの問題に介入するなってことだろ?」
ゼノヴィア「そうだ。察しがよくて助かる」
何となく想像してたからな。天使と悪魔の仲はいいとは言えない。
ゼノヴィア「私達が持っているのは、『破壊』の聖剣、エクスカリバー・デストラクション」
イリナ「それと、『擬態』の聖剣、エクスカリバー・ミミックってわけ」
紫藤イリナが自分の腕に巻き付けた紐を指差す。変形能力の『擬態』に攻撃力特価の『破壊』。奪われたのが『
ゼノヴィア「一つ言っておくが······今回の問題は我々天使と堕天使の問題だ。この街に巣食うという悪魔に要らぬ介入をされては困るのでな」
当人が知ってか知らずかはともかく、俺に対しても言ってるように聞こえるな。駒王に滞在していることは天界なら一部知っている奴がいる。
リアス「随分な物言いね」
ゼノヴィア「聖剣は悪魔にとって忌むべき物。堕天使と利害が一致するじゃないか」
リアス・グレモリーがキレかかってるな。こいつらは関わるなって言いに来ただけで何故ここまで発展させるんだ? 全く、教会の至上主義はヤダヤダ。
リアス「私は堕天使などと組むことはないわ。グレモリーの名において、魔王の顔に泥を塗るような真似はしない」
ゼノヴィア「······それが聞ければ充分だ。今のは本部の意向を伝えたまでだ」
本部の意向ね······俺は教会内で結構な人間に嫌われてたりもするからな······
リアス「私達はあなた達に一切干渉する気はないわ」
ゼノヴィア「それでいい。私達はあなた方がこの街で起こる一切の出来事に関わらないと約束してくれればいい」
青髪は、表情を崩さずに言う。
結局これを言いに来たんだから、無駄なこと言わずに用件だけ伝えに来りゃよかったのに·······
リアス「······了解したわ」
ゼノヴィア「時間を取らせて済まなかった。ではこれで失礼する」
リアス「折角来たのだから、お茶でもどう?」
こいつ結構図太い神経してるよな······
ゼノヴィア「遠慮する。悪魔と馴れ合うわけつもりはないからな」
そう言って2人が立ち去ろうとして、ふと『破壊』の方を持っているゼノヴィア・クァルタが立ち止まった。
ゼノヴィア「······兵藤一誠の家を訪ねた時、まさかとは思ったが·····お前、アーシア・アルジェントだな」
アーシア「は、はい。えっと·······?」
そうか······こいつはそういう考えか。虫酸が走るな。
ゼノヴィア「·······まさかこんな所で《魔女》と出逢うとはな」
何で協会本部にはこんなお固い考えの持ち主しかおらんのかね。はぁ、教会で俺を見て全く差別意識持たない奴なんてミカエルとガブリエルだけか。つっても向こうの打算込みだが。
イリナ「あ~! あなたがあの! 堕天使や悪魔をも癒すことの出来る力を持っていたがために、教会を追放されたとは聞いてたけど悪魔になっていたとはね〜」
アーシア「っ!!!!······」
八幡「そこまでだ。お前らから関わるなと言っておいてその言い草か」
何で関わるなと言っておいて自分達は要らぬ干渉をしようとしてるんだ。アホかこいつらは。
ゼノヴィア「それが何か?」
こういうのは珍しくもないとはいえ、態度があからさますぎてそれはそれでイラッときたから、少し反論してやろうか。
八幡「······言っておくが、シスター・アーシアは好きで教会を追放されたわけじゃない。お前らみたいな考えしか持たない奴らが追い出したってだけだ」
イッセー「八幡······」
イリナ「さっきから聞いてれば······随分と偉そうね?」
一応ではあるが、形式上は熾天使なんで偉いっちゃ偉いがね······権限なんてビタともねぇがな。
八幡「だったらどうする? 俺は教会内のお前らみたいな奴らが大っ嫌いなんだよ」
僅かな殺気をこいつらだけに向ける。
ゼノヴィア・イリナ「「っ!!!?」」
八幡「とっとと帰れ聖剣使い。関わらないんだろう?」
ゼノヴィア「クッ······貴様·····今すぐ斬ってやろうか」
ゼノヴィアが殺気(笑)を放ってくる。
こいつらは馬鹿か。
八幡「黙れ三下。これ以上こんな下らないことをしていては神の名が穢れるぞ?」
もういない神を盲目的なまでに信じる······か。こいつら見てると本当に信仰心があるのか疑問に思えてくるが。まぁその神が隣人愛(笑)だから仕方ないのかもな。
ゼノヴィア「······!!」
八幡「さぁ帰った帰った。2度とその面見せんな」
もう一度殺気を出す。
祐斗「········ちょっと待った。その話、僕も混ぜてくれ」
あ~······もう来ちゃったか······聖剣使いが来た時はまだ堪えてたが、流石に我慢の限界か。
ゼノヴィア「······誰だ」
ゼノヴィアは俺の殺気でまだ震えていたが、木場に敵意を見せた。
俺に怯えるんならとっとと帰ってくれよ······
祐斗「君達の······先輩だよ」