イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~ 作:シャルルヤ·ハプティズム
クルルside
ライフルを爆破して結界を破壊した後、私は、八幡やクロウとは別方向から攻撃を続けながら進撃を続けている。
ここは陽動らしく外壁を派手にぶち破って侵入をしよう────としたその時。
私を目標に雨霰のように光弾が降り注いだ。防御魔法陣を張りながら、空中をジグザグに飛びながら光弾の雨を抜ける。抜けると同時に周囲を確認すれば、真っ黒な空には夥しい数の魔法陣が浮かんでいた。こんなことが出来るのは······
クロウ『アジ・ダハーカは伝承が語る通り、千、万の魔法を扱うドラゴンだ。神と同等······いや、魔法に関しては神すら下せるだろう』
様子見でこれをやれるのはクロウが言うように······
クルル「······アジ・ダハーカ」
目の前に魔法陣が出現、そこから男が一人現れる。
アジ・ダハーカ「ご名答。知ってても実際に会うのは初めてか、クルル・ツェペシ」
『
クルル「そうね。知ってるのなら話が早い」
阿朱羅丸を呼び出し、いつでも抜刀出来るように手を掛ける。
アジ・ダハーカ「グックック。お互い血の気が多いな、気が昂って仕方ねぇ」
アジ・ダハーカの背後に無数の魔法陣が現れる。まだおふざけ程度だろうけど、まともに全部受けきるのは多分無理。
クルル「私は全然面白くないわ」
『
アジ・ダハーカは『魔の鎖』を見ながら呟く。
アジ・ダハーカ「フェンリルを縛る鎖······いや、元がそうだっただけでこりゃ全くの別モンだな。いいねぇ······異能殺しか。俺の魔法もこれの前じゃ形無し。こりゃぁ益々楽しめそうじゃねぇか。
さぁさぁ、もっと俺を楽しませてみろってなぁッ!!」
アジ・ダハーカは更に多くの魔法陣を出現させる。
私は、邪龍が見せた牙に、真っ向から刃を向けた。
クルルsideout
美猴side
C班、俺と三日月はギャスパーが開けた穴から侵入し、最下層の捕虜収容所まで向かっていた。と言っても、A、B班が司令室を占拠するまではセキュリティが一時的に落ちてるだけだから戦闘は可能な限り避けなきゃいけねぇのが辛いところだぜぃ······
2階に降りて少し進んだところで、俺の仙術に奴さん方が引っかかった。
美猴「来たぜぃ三日月。数は少ねぇけど、廊下使って上手いこと挟まれた」
三日月「どうするの? 時間ないけど」
んなことわかってるよい。
美猴「前蹴散らして突破すりゃあいいだろ。こっちが暴れれば、別ルートのギャスパーと黒歌が楽に進めるようになるしなぁ」
三日月「わかった。じゃあ、そうする」
美猴「じゃあってなんでい。じゃあって」
言うなり、三日月は細身で無骨、しかしとんでもなく重いメイス───束特製のソードメイスを構える。しっかし、こいつよくこんな重いもん振り回せるねぃ。ま、12年前に加入した時も似たようなもんだったかねぃ。
12年前。民間警備会社『鉄華団』に当時から三日月は所属していたが、その当時、鉄華団は新鋭企業としては破格のスピードで成長を続けており、敵視されることもしばしば。三日月はそこの遊撃隊長だった。
元々過激派の対人外組織『CGS』という組織の、消耗品扱いだった少年達の決起によって設立された組織で、設立時からかなり危ない橋を渡っていた。
鉄華団には姉妹企業に『タービンズ』という運送会社があったのだが、鉄華団とタービンズは、タービンズが禁止兵器密輸の罪を着せられたことから、『アリアンロッド』という秘密独立治安維持部隊と交戦状態に入ってしまう。
最終的に、タービンズはリーダーの名瀬・タービンやアミダ・アルカを初めとして組織の人員の半数以上が犠牲になり、鉄華団も団長のオルガ・イツカを初めとした多数の犠牲者が出ながら、両者とも何とか
この一連の出来事は表向きはヒューマンデブリ事件と称され、裏では禁止兵器の名前からダインスレイブ抗争と呼ばれている。
因みに、今は鉄華団じゃなくて別の名前を使ってるんだが、身内内だと今でも普通に鉄華団呼び。
三日月「······ねぇ美猴、ここ次はどっち?」
美猴「ここは右だっつの。お前、覚えてなかったんかい」
三日月「うん。俺が覚えるより美猴とかが覚えた方が効率がいいだろうし」
美猴「お前地頭いいのにもったいないねぃ······」
美猴sideout
八幡side
突入後、外壁の穴から侵入した俺は実働部隊の邪魔にならないように注意しながら6階付近で派手に暴れていた。
八幡「······チッ。クリフォトはどっからこんな人数確保してんだ······」
俺への迎撃にあてがわれた奴らの多さに辟易しつつも陽動を続ける。クルルはアジ・ダハーカと交戦を開始したから、俺かクロウのところにコマチかアポプスがそれぞれ来ると思ったんだが、今のところその兆候はない。とにかく物量で押し切ろうという戦いだ。
俺は一対多なんて毎度のことだから慣れているし、クロウは圧倒的な実力でちぎっては投げを繰り返してるだろうから、いくら構成員が多いとは言え、こちらだけに回せるわけでもなし、すぐに尽きるはずだが······
にしても、どっかで見覚えのある奴らがチラホラいるのはなんでだ······?
数百本の『魔の鎖』を操作し俺に差し向けられた尽くを薙ぎ払っていく。
いや待て、この状況どこかで······あぁ、思い出した。
八幡「チッ······そういうことかよ······」
コマチ「そう、そういうこと」
八幡「ッ!!」
突如爆発的に増大したエネルギーを感知した直後、コマチが急襲を仕掛けてくる。なんとか身を捩って躱すと、一息で十歩ほど退る。
八幡「やっぱり俺を攻撃すんのはお前だよな······コマチ」
コマチ「そう···········コマチのために、死んで」
八幡「嫌なこった」
八幡sideout