イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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新学期が始まってゴテゴテしてて更新出来ませんでした。大変申し訳ございません。

受験怖いよぉ······((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタ



第121話 束の間の終着

 

 

 

 

ヴァーリ「······魔力の反応が完全に消えた。逃げられたか」

 

 

お兄様は奴らがいた辺りにしゃがみ、地面に手をついて追跡の術式を使いながら言う。

 

ヴァーリ「ギャスパー、どうやら奴らの邪龍もどきも撤退を開始したみたいだ。俺達も引き上げよう」

 

お兄様がこっちに歩いて来ながら言う。

 

ギャスパー「分かりました······でも、良かったんですか? 奴らを追わなくて」

 

 

 

『······ギャスパー、奴らを追うな』

 

 

 

ヴァーリ「あぁ。向こうにアジ・ダハーカがいるなら追うだけ無駄だからな。おそらく魔法で逃げられる」

 

お兄様が嘆息しながら言う。戦闘でのダメージはお兄様にもあまりなかった。だが、今日『クリフォト』が天界を襲撃するという情報を掴んでから、お兄様はあまり休んでいない。

本当なら、お兄様が一番追いかけたいだろうに······

 

ギャスパー「······そうですか」

 

ヴァーリ「それに、光力の反応が弱い父さんのことも気になる」

 

お兄様の言う通り、第二天にいるお父様の反応は今まで見たことないほど弱くなっていた。あの人が死ぬなんて有り得ないけど······

 

ギャスパー「······はい」

 

そこで、お兄様が耳にインカムを着けてスイッチを入れた。少ししてスイッチを切って、知らされたことを教えてくれた。

 

ヴァーリ「第一、第三、第四に介入したうちの面子は撤収した。父さんは母さんが迎えに行くらしい。現場検証も出来なそうだ。俺達も帰ろう」

 

お兄様が転移魔法陣を展開する。

 

ギャスパー「はい」

 

そうして、僕とお兄様は『サングィネム』に戻った。

 

 

 

 

僕を呼び止めようとする声は聞かなかったことにした。

 

 

 

ギャスパーsideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡side

 

 

 

八幡「グッ······がふっ、ゲホッ。はぁ···はぁ···」

 

込上がってきた血を吐き出して、思いっきり空気を吸う。

 

八幡「チィッ······!!」

 

集団で仕掛けてくる質の悪いもどき(ザコ)共を消し飛ばしつつ、アホみたいなスピードで動き回りながら殴りかかってくるコマチの攻撃をなんとかうけ流す。

 

 

もう随分と昔に亡くなった妹に顔も声もまるで死んだ時そのままな少女に、俺は決定打となる攻撃を出せないでいた。

したがって、俺はほとんど攻撃をしていないことになる、のだが······

 

 

八幡「あぁくそったれが······割り切るんじゃなかったか」

 

コマチは俺の前に降り立ち、俺を睨みながら話しかけてくる。

 

コマチ「なんで本気で攻撃しない? コマチを嘗めてるの?」

 

なんでコマチが俺を恨んでるのかは知らないが······これじゃ周りに示しもつかないし、下手したら俺がここで死ぬ。それがあの屑の作戦なのかもしれないが。

 

八幡「······なんだ。それが悪いのか?」

 

どうしても、後一歩でとどめをさせない。今の力量差なら一撃で仕留められるのに。

この娘は小町じゃない······いい加減気付け(理解れ)よ俺······!!

 

俺の苦悩など何処吹く風とばかりに、コマチは言う。

 

コマチ「ふざけるな······!! やる気のない相手を殺してコマチが楽しいとでも思うのか!!」

 

そりゃあそんなんで喜ぶのは戦争屋だけだ······あの屑みたいな。

 

八幡「······じゃあどうする」

 

コマチ「殺す。コマチがどうでもお前がどう思おうとも、お前を殺すことだけがコマチの存在理由───」

 

次の瞬間、コマチは俺の懐に入り込もうと一気に距離を詰めてくる。俺は退って距離を稼ぎつつ、構え直して攻撃に備える。

 

そして、間合いに入った瞬間にコマチの蹴りと俺の手刀が同時に繰り出される。

 

八幡「クッ······」

 

俺はコマチの蹴りを左腕で防ぐ。コマチは俺の手刀を左手でいなそうとしたが、そうしなかった。

 

コマチ「どこまで······!!」

 

結局、俺がこの娘を殺せなかった。

 

 

さんざん命を踏み躙って歩いてきたくせに、今更必要な殺しから逃げるのか? ······俺は。

 

 

八幡「······うあぁぁぁっ!!」

 

俺は自分の弱さを振り払うために叫びをあげながら回し蹴りを繰り出す。コマチは即座に反応して両腕でガードしたが、衝撃で吹っ飛んだ。

 

コマチ「コッ、ゲホ······」

 

コマチは吹き飛んで背中から地面に叩きつけられながも、片手を地面についてバク転の容量で姿勢を整えつつ、そのまま上空に飛び上がって無数のオーラで形作られた矢を出現させ、そのまま一気に降らせてくる。俺も対抗して光で無数の矢を作ると、それを迎撃で飛ばす。

 

コマチは面攻撃が通じないと思ったのか、矢が降り終えると同時にオーラを足に纏わせて飛び蹴りを繰り出してくる。それを避けると、至近距離で波動をぶっぱなしてくる。

それも上空にいなすと、今度は追撃の蹴りを避けれずに蹴り飛ばされた。

 

コマチ「殺すっ!!」

 

コマチは拳を握って、真っ直ぐ突っ込んでくる。

 

八幡「チィッ······!!」

 

コマチにカウンターを食らわすため、構えた。と────

 

 

「はいはいは~い。こまっちゃんそこまで~」

 

 

コマチ「······!! おじちゃん······?」

 

突如魔法陣が開き───そこからはアレとアジ・ダハーカが現れる。アジ・ダハーカは女───四鎌童子か? を抱えていた。奴は、そして、一声でコマチに制止をかけた。

 

俺が拳を握った瞬間、コマチは距離を取る。

 

八幡「······クソ野郎。何しに来た」

 

リゼヴィム「おんやぁ? 八幡君は妹とのスキンシップを邪魔されてお怒りですかい? ······ま、どうでもいいや。帰るぜコマチちゃん。もうここにいても利益はねぇ。八幡君とのバトルは次までお預けってね」

 

奴はその手に果実のようなものを持っていた。あれが何かは気になるが······

 

コマチ「······わかった」

 

先ほどまで俺に向けていたコマチの殺気が嘘のように消える。コマチは奴らの方へ歩いていき、魔法陣の上に立つ。

 

リゼヴィム「······一応他の奴は らにも言っておいたけど、『堕天魔』比企谷八幡に宣言する。

 

一週間後、我々『クリフォト』は貴殿らが本拠地である『サングィネム』を襲撃し、全面戦争を仕掛ける。冥府ヘルにて我々は待つ。襲撃されたくなくば、貴殿らから襲撃を仕掛けるといい。我々は逃げも隠れもしない」

 

奴は今までの巫山戯た口調が嘘かのような口調と表情で俺に言う。

 

八幡「な······に······!!!?」

 

 

『サングィネム』を襲撃する!!? こいつら何が目的だ!?

 

 

リゼヴィム「では、さらばだ」

 

奴らが光に包まれる。

 

八幡「ッ、待て!!」

 

追いかけようとした瞬間、足から力が抜け、体が崩れ落ちた。

縛魔法か······!!

 

俺の足元には黒い魔法陣が。そこから鎖のようなものが足に巻き付いていた。感触がないことから、物理干渉がほぼないタイプの魔法だとわかる。見えている鎖は幻に近いものだ。

 

この類いは禁術に値するレベルだが······

 

八幡「たかたが禁術で······!!」

 

向こうが禁術を使うなら、こちらも禁術で対抗するのみだ。俺は対禁術用に以前開発した魔法······禁術の域にまで突入させた無効化の魔法を使う。もう()()がないからホイホイ使えるわけではないが······それで十分だ。無効化の魔法が縛魔法を中和して崩壊させる。

 

アジ・ダハーカ「おっとぉ?」

 

八幡「一発っ、もらっていけ!!」

 

コマチ「!!」

 

亜空間から抜いた塵外刀真打を思いきり横に薙ぐ。そしてそれはコマチが張った障壁に阻まれるも、その障壁を破壊する。なら······!!

 

奴らが転移する直前に、光の矢をいくつか投げ射る!!

 

両手に光の矢を精製し、奴に狙いを定めて投げる。食らえ······!!

 

 

投げた光の矢は奴らと一緒に魔法陣の光の中に消えた。当てられてたらいいんだが·······

 

 

 

 

 

奴らが転移して数分、向こうの邪龍もどきも撤退を開始した。

 

 

八幡「はぁ~······」

 

緊張の糸が切れて、長い溜め息が出る。俺達が戦っているすぐ側で避難が進んでいたこともあり、精神的にかなり疲れた。今度は精神的疲労から力が抜けて、地面に座り込んだ。

 

八幡「いっつぅ······」

 

と、今まで感じていなかった痛みが一気に襲ってくる。コマチにしてやられたな······

左肩、右足はバキバキに折れてんな······俺のクセから狙われたか。骨折は魔法ですぐ治せるから問題はないけど。とは言え、すぐには動けないかもな······

 

 

 

一週間。奴の言葉を信じるなら一週間後、サングィネムにクリフォトが攻めてくる。だが、本当に一週間後であるとは限らない。嘘の可能性の方が格段に高い。あの野郎の言葉を真に受けるのは危険だ。

 

 

だが、攻めてくるというのはおそらく本当だろう。攻められたくなければ攻めろ、か。奴などに言われるのは屈辱だが······

 

上等だ。元々、向こう側の協力者から冥府ヘルを今の本拠地に置いているという情報が入ってきた矢先のこれだ。準備はすぐに整う。

 

 

向こうにいるディオドラとその眷族の救出はもちろんだが、俺はコマチともう一度話をしたい。しなければならない。死んだ小町が聖杯で蘇ってコマチになったのか、それとも別の何かで小町の姿形を取っているだけなのか······俺は前者だと感じたから攻撃を躊躇したわけだから、後者だったら迷いなく殺すだけだ。

 

 

 

 

クルル「───八幡」

 

八幡「ん。クルル、お疲れ様」

 

迎えに来てくれたクルルが隣りに腰掛ける。

 

クルル「ええ、八幡もお疲れ様」

 

八幡「あぁ」

 

 

 

 

 

 

 

クルル「······八重垣は確保したって」

 

八幡「そうか。ギャスパー、上手くいったんだな」

 

クルル「みたいよ。もうサングィネムに送ったって。メリオダスと桃花が監視してるそう」

 

八幡「あいつも運がねぇな······」

 

クルル「······これからよくなるといいけど。この肩も」

 

クルルはそう言って、俺の肩に手を置く。

 

八幡「ちょっ、痛い」

 

クルル「あ、黒歌に渡したんだっけ」

 

八幡「あぁ······今頃ギャスパーは、なんで自分を連れて行かなかったんだー、って黒歌に言われてるだろうな」

 

クルル「かもね。八幡、帰りましょうか」

 

八幡「あぁ。帰ろうか、クルル」

 

 

 

 

 

八幡sideout

 

 

 

 

 


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