イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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もう読んでる人がいるかは知りませんが······

大変遅れて申し訳ございませんでしたぁぁ。



もうすぐ春休みに入るので、少しは投稿ペースは上がるかとは思いますが······



第116話 脆い呪いに縋る男

 

 

 

 

トウジ「······お久しぶりです」

 

八幡「そうだな。俺としては会いたかったなんて微塵も思ってないが」

 

 

天界で療養中のイリナ先輩のお父さん──紫藤トウジさんに会いに来た私達の前に、突如八幡先輩が現れた。拳銃をトウジさんに向けて。

 

 

イリナ「何で······」

 

イリナ先輩の震える声が、この場に嫌に響いた。そしてそれは、この場の、トウジさん以外の全員が感じていることでもあった。

 

 

彼がここにいる······ということは、彼は私達に嘘をついていたことになる。何故······

 

八幡「何でもクソもない。何で態々教えなきゃいけない? こういうことは部外者が介入すればするほど事態が明後日の方に転がってくことぐらい流石に分かるだろうに」

 

その目には、以前あった時とは違い、私達に突き刺さるような冷たいものが宿っているように感じられた。

 

 

八幡「······一応聞いておくが、何故この場にオートクレールがあるか話せ。紫藤トウジ」

 

八幡先輩はトウジさんに視線を戻し、一分の隙もない冷たさをぶつける。

 

トウジ「······この子に適正があったからです。この先、ミカエル様の『A(エース)』としでイリナには嫌でも力が必要になる場面が来るでしょう。その時のために、私が、今出来ることを少しでも······」

 

イリナ「パパ······」

 

それは、娘を想う父親の愛にほかならなかった。トウジさんは、八幡先輩に答えた。だが、八幡先輩はそんなトウジさんを見て、つまらなそうに言う。

 

八幡「ほぉ······まぁ言い分は理解出来るが、そのためならその剣を使ってもいいわけだ。オートクレールは天界の研究所の最奥にて、ラファエル管理の下永久封印と処理された筈だが? ま、どうせウリエルの差金だろうかな」

 

 

熾天使(セラフ)が管理する下に永久封印······? でも、オートクレールは今イリナ先輩が······

 

イリナ「永久封印······?」

 

トウジ「······何故、ここにきて封印処理が解かれたのかは私には分かりません。私は便乗しただけ······ですから、イリナには手を出さないで下さい。お願いします」

 

八幡「それはまぁそうだろうな。俺は紫藤イリナをどうこうしようというつもりはない。俺は、()()()()()()()()あのアホとあのバカが持ち出したものを回収するだけだ」

 

次の瞬間、イリナ先輩はオートクレールを手に、トウジさんを庇うような位置で八幡先輩を睨みつけた。

 

イリナ「どうしてっ······こんなことを······!!」

 

イリナ先輩が目の前に立っても、八幡先輩は銃を降ろさない。

 

八幡「さっきお前の父親も言ってただろ。親が望むのは子どもの幸せ······紫藤トウジがウチの子に手を出した事実がある以上、また同じことをしないという可能性を否定することは出来ない。

───分かってるよな? 紫藤トウジ?」

 

最後の一言に、私達はゾッとする寒気を覚えた。

 

トウジ「もちろん······分かっています」

 

イリナ「パパッ!!」

 

イリナ先輩は振り向いてトウジさんに叫ぶが、トウジさんは首を横に振るだけ。

 

それを見た八幡先輩が呟く。

 

 

八幡「おいおい、娘を巻き込みたくなかったらとっとと避難させろよ······つっても、もう遅いがな」

 

 

次の瞬間、トウジさんの後方10メートルほどの位置に魔法陣が展開し、そこに1人の男性が現れる。

 

 

そして、現れるやいなや、どこからか禍々しいオーラを放つ剣を手に取り、トウジさん達に斬りかかった。

 

トウジ「イリナっ!!」

 

イリナ「えっ? きゃっ!?」

 

トウジさんは咄嗟にイリナ先輩を突き飛ばし、自分は懐から瞬時に取り出した剣の発振部から光の東晋を顕現させ、禍々しいオーラを放つ剣を受け止める。

が、咄嗟だった上に、まだ療養中の身であるトウジさんは男性のパワーにあえなく押し負けて、八幡先輩の足元まで押し飛ばされた。

 

 

八幡「よ、八重垣。来るのは分かってた」

 

八幡先輩は、トウジさんを弾き飛ばした男性に話しかける。この人が八重垣······ 八重垣正臣······

 

正臣「そうですか、じゃあ僕の邪魔をしないでください。この男を······殺すのだから!!」

 

言うなり、男性───八重垣正臣はトウジさんを斬り殺さんとばかりに踏み出す。トウジさんは素早く立ち上がって剣を構え、防御に入る。

 

八幡「······そりゃな。俺は邪魔しねぇよ。俺はな」

 

それは、どういう······

 

そして、八重垣がトウジさんに再び斬りかかる。トウジさんは何とか受け止めるも、パワーで押し負けているトウジさんはどんどん押されていき、片膝をついてしまう。そして次の瞬間───

 

 

バギィィィィン!!

 

甲高い音を立てて、光の剣が中程から砕け散る。トウジさんは辛うじて身を捩ることで剣を回避したが、回し蹴りを諸に食らって何度もバウンドしながら蹴り飛ばされた。

 

イリナ「パパ!! このっ!!」

 

イリナ先輩は八重垣に斬りかかるが、初撃を難なく回避され、トウジさんの逆方向、私達がいる方向に弾き倒されてしまった。が、イリナ先輩は、トウジさんに向けて足を出そうとする八重垣の右足を掴んだ。

 

イリナ「行かせないっ·······」

 

だが、八重垣は自分の足を掴んだ手を軽く振り払い、トウジさんの方へ進む。

 

イリナ「っ、やめっ······」

 

 

そして、八重垣が禍々しいオーラをいっそう妖しく輝かせる剣をトウジさんに振り下ろ────

 

 

八幡「······だがな。お前は気付いているだろ?」

 

 

────すことは出来なかった。

 

 

 

ガギィィ(イィィィ)ン!!

 

 

突如出現した純白の槍が、八重垣の剣が振り下ろされる直前で受け止めた。

 

その槍を手にしていたのは───

 

 

 

ギャスパー「────どうも正臣さん。いつまであの人に心配させる気ですか?」

 

 

 


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