イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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アルターエゴ欲しくて引いたらジャンヌの宝具が2になったぜ。そうじゃねぇんだよ·······。


最近、アニュー生存√ からの、複座式コクピット採用型のサバーニャが見たくて仕方ないんです。誰か書いてくれません? クリスリヒティ生存√ からの、リヒティがオーライザー乗るってIfも。(別に沙慈が嫌いなわけではありません。好きです)





第115話 マリオネット

 

 

 

 

ロスヴァイセside

 

 

特例で天界に入場した私達は、そこで治療を受けているイリナさんのお父さん───紫藤トウジさんと面会していた。

 

 

トウジ「······あれは、5年前の12月 24日。世間がクリスマスで賑わっていた日だった─────」

 

 

紫藤トウジさんは語り出す。それは天界から届いた資料とは違う、ある事件の真実だった。

 

 

 

 

 

 

 

5年前のクリスマスイブ。紫藤トウジさんはその年最後の任務に赴いていた。

 

聖剣使いは、通常の職とは違う。要請があれば剣を握る。そう出ない時は、神父、或いは牧師など信徒に教えを説く。私は信者ではないのでせいぜいが多少の見聞でしか知識を得ていないが、要は聖剣使いは兼業で任務についている者が多い。

 

 

 

 

話は戻るが、その当時紫藤トウジさんが受けた任は、悪魔の手に堕ちた信者······それも、単独で任務に先行していたというある聖剣使いを、救済の名のもとに断罪することだった。

 

 

その聖剣使いを誑かしたのは上級悪魔。紫藤トウジさんを中心とした、聖剣使い10人ほどのチームが組まれた。

 

 

 

トウジ「······その時から、皆が薄々感づいていました。彼が······誑かされたのではないと。ですが、我々は信徒であり信仰を是とする者。任務を放棄することなど有り得ぬことです」

 

 

 

奇しくも紫藤トウジさんが任務で赴いたのは、自身の家族が住む地。

駒王町だった。その町の教会、討伐対象の上級悪魔と()()()聖剣使いがいるということだった。また、目撃者は全て抹殺せよ、とも命ぜられていた。つまるところ、口封じだ。今は同盟が結ばれたからこうして天使や信徒以外も特例とはいえ天界に入れているが、少し前なら当たり前だったのだろう·······

 

 

 

そして任務のため教会に奇襲かけ、聖剣使いである八重垣正臣、上級悪魔の女性、そして()()()()()()()()()()()少年の3人を手にかけ()()()()()

 

 

イリナ「······ようとした······って?」

 

トウジ「幸か不幸か······チームの1人が上級悪魔の女性にトドメを刺そうとした直前に、何者かに介入されたんだ」

 

イリナ「何者かに介入された······? でも、当時の資料にはそんなこと全く······」

 

そこで、紫藤トウジさんは私達も驚くべきことを言った。

 

トウジ「······仕方ないよ。イリナちゃんが受け取った資料はおそらく······書かれていることのほとんどがデタラメなのだから」

 

デタラメ······!!

 

ふと、私の脳裏に、錯乱した当時の関係者が過ぎった。資料がデタラメ······もしかすると、関係者への改竄も行われていた······?

 

イリナ「デタラメ······!? パパ、どういうこと······!?」

 

そこで、僅かに困惑を見せながらもグリゼルダさんが問う。

 

グリゼルダ「······それはつまり、誰かが当時の事件の資料を改竄したということでしょうか? まさか貴方が?」

 

トウジ「実行した······という意味では私で間違いありません。シスター・グリゼルダ」

 

つまり、指示した人物が別にいる······

 

グリゼルダ「誰です? 貴方に改竄を指示したのは」

 

 

その問いに対し、紫藤トウジさんは更に驚くべきことを言った。

 

トウジ「『堕天魔』比企谷八幡······彼の良心で、私は今ここにいます。彼が、もっと冷酷であったら······私は5年前に間違いなく殺されていたでしょう」

 

「「「「「「「!!?」」」」」」」

 

紫藤トウジさんのその発言に私達は驚くしかなかった。

 

無理もない。彼は、調査を進めているところだ、と私達に語ったのだ。それこそが全くのデタラメだった。真実を知っていて尚、私達を騙したのだ。それは言外に、私達に関わらせないようにしているということだ。

 

 

紫藤トウジさんは更に語る。

 

トウジ「彼らはその場に介入すると、瞬く間に私達を制圧しました────」

 

 

トウジさんによると、その時黒い外套でフードをかぶった2人組みに介入され、紫藤トウジさん達は瞬く間に制圧された。

 

片方が『堕天魔』と称される比企谷八幡。もう片方は、直接攻撃しなかったそうだが、声から女性であったらしい。

 

10人で組んだチームは比企谷八幡1人によって、紫藤トウジさんを除いて一瞬のうちに意識を刈り取られ、紫藤トウジさんは掴み上げられた。

 

 

トウジ「彼は私に言ったのです────」

 

『次にその面を俺達に見せてみろ。お前に地獄の方がマシってくらいの絶望をくれてやるよ』

 

 

 

その後、紫藤トウジさんを除くチームは記憶を改竄され、紫藤トウジさんは彼らを回収、離脱したらしい。当時の関係者が一様に八重垣正臣の名前を聞くと錯乱するのは、彼が無意識下に恐怖を植え付けたから、らしい。紫藤トウジさんに行わなかったのは、報告の際に口裏を合わさせるため。死体の偽装に、疑いを持たれぬようにするためだという。また、錯乱するのは3日後以降という条件もあったという。

 

資料には八重垣正臣と駒王町のリアスさんの前任者は死亡したことになっていたが、それが偽りであり、比企谷八幡が彼らを何処かへと連れ去ったのだという。

 

 

 

 

 

 

その時、震える声で、小猫さんが紫藤トウジさんに問う。

 

 

小猫「······じゃあ、そこにいた子どもって、ギャー君のことなんじゃ······」

 

トウジ「······そうです。君の言うように、ギャスパー・ヴラディ───今はルシフェルですか、は当時居合わせた。先程偶然、と言いましたが彼は八重垣君と悪魔の女性と親交があった」

 

リアス「そんな······!?」

 

小猫「ギャー君·······」

 

ギャスパー君が······

彼は落ち着いた雰囲気を持ちつつも明るい性格で、クラスメイトと話している場面をよく目にしている。だが、彼は見ている。経験しているのだ。死の恐怖を、友人を失う恐怖を、その怒りを·······だから、ヴァーリは鬼と形容した·······

 

 

トウジ「······ごめんねイリナちゃん。パパは汚れている。この手なんか、もう血に塗れすぎて何色をしてるかも······分からないんだ」

 

イリナ「パパ·······?」

 

 

紫藤トウジさんは、自分の手を見つめて悲しく微笑んだ。だが、私にはそれが、死の淵に立った人間の顔に見えてしまった。

 

 

 

ロスヴァイセsideout

 

 

 

 

 

 

 

小猫side

 

 

 

イッセー「おじさん······」

 

イッセー先輩の苦しげな呟きが嫌に大きく耳に届いた。

 

 

トウジさんのしたことは、任務とはいえ許されることではない。それもギャー君に······

だが、トウジさんとてしたくてしたわけではない。偶然が重なった結果でもある。

 

悪魔側、教会側、それぞれが掲げているものはお互いを喰らい合うものなのだ。当時の政治に詳しいわけではないが、

 

 

その男女が、今出会っていたとしたら······きっと、状況は全く違っていたのだろう。そんなこと、本人達に言えるわけがないが───

 

 

トウジ「······イリナちゃん」

 

イリナ「? ·······何? パパ」

 

ふと、トウジさんがイリナ先輩の名を呼ぶ。

 

トウジ「八重垣君が来たら迷わず逃げるんだ。今度は、今度こそ、パパは殺される。彼はオートクレールを憎んでいる······今度彼が来たら、イリナちゃんも······」

 

·······ッ!!

 

トウジ「シスター・グリゼルダ。都合のいいことだとは分かっています。もしもの時は、イリナを·······よろしくお願いします」

 

トウジさんはフラフラと立ち上がり、グリゼルダさんに頭を下げた。

 

グリゼルダ「······分かりました。『A(エース)』イリナは任せて下さい」

 

一瞬の沈黙の末、グリゼルダさんは答える。

 

イリナ「パパ!? 何言ってるの!?」

 

トウジ「······パパは、イリナちゃんが無事ならそれが一番だよ。親はね、子どもが無事でいてくれることが一番の幸せなんだ。だから────」

 

トウジさんがそこまで言ったところで、突然声が響いた。

 

 

『そうだな。親は子どもを第一に考える生き物だもんな』

 

 

この声には聞き覚えがある。つい先程あったばかりなのだから間違えようもない。

 

 

トウジ「······お久しぶりです。八幡様」

 

「「「「「「ッ!!」」」」」」

 

 

地面にいつか見た黒い魔法陣が展開される。魔法陣は光り出し、光が弾けたように光り、数瞬の後光が収まると、そこには拳銃を構えた男性が立っていた。

 

 

八幡「よぉ紫藤トウジ。5年ぶりだな。

 

────で、あの突っ走ってたバカの逆鱗に触れた気分はどうだった?」

 

 

 

 





後書きに書くことでもありませんが、更新遅くてすいません。ペースほんと上がらなくて······


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