イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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悩んだ末に、17巻は丸々すっとばすことにしました。


ちょっと補足説明。

(設定だけですが)八幡の領である『サングィネム』には、身分関係なく通える学校があるため、アウロス学園はまだ建っていません。尚、この学園はレーティングゲームに出るためのものではありませんので、ソーナはレーティングゲームを教えるための学園を建てるつもりでいます。ただ、防衛科がある学校なら別であります。




第109話 隠れし憎悪

 

 

 

八幡「······アンタはどう思う?」

 

ゼクラム「······どうだろうね。私が『悪魔』という種族の全てを理解出来ていたのは昔の話だ。ルシフェルの息子である君に言うことがそもそもの間違いかもしれないがね。君は今の冥界をどう感じる? ルシフェルの息子であり、───の血を引く君は」

 

八幡「······さぁな。俺は家族や眷属と平和に暮らせればそれでいい。後は領民の安寧くらいだ。クリフォトを壊滅させる気ではいるがな」

 

 

ゼクラム「······強大な力を持つ故の平和への渇望、か」

 

八幡「······なんとでも言えばいい」

 

ゼクラム「だが君······いや、君達は復讐鬼でもある、或いはあっただろう? それが果たされたかどうか、今は復讐心の有無は別としても」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小猫side

 

 

 

暦の上で師走にも入り、街はクリスマスで騒ぎつつある、ある休日のこと。

 

 

リアス「······小猫、ここにいたのね」

 

お世話になっている兵藤家で、いつものように過ごしていた時のこと。

 

小猫「······どうかしましたか?」

 

リアス部長はとても慌てた様子で廊下を歩いていた私を呼び止めた。

 

リアス「急ぎ、皆を集めてちょうだい! 私は裕斗やギャスパー、それにアザゼルを呼んで来るわ」

 

そう言ったっきり部長は魔法陣を展開してどこかに行ってしまい、何故オカ研の活動のない今日日、部員全員やアザゼル先生まで呼ぶ必要があるのか分からなかったが、部長のあの切迫した様子から察するに何かただならぬことがあったのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

兵藤家の最上階はフロアぶち抜きで、巨大な会議室の様を呈している。いつものようにそこに皆が集まった、のだが······

 

 

リアス「皆、集まったわね」

 

部長がそう言うが、ここにはイリナ先輩とギャー君がいなかった。そして、何故か白龍皇のヴァーリがいる······

 

イッセー「······? 部長、イリナとギャスパーはどうしたんですか?」

 

裕斗「それに、ヴァーリが何故いるんでしょうか」

 

私同様に疑問を抱いていたイッセー先輩と裕斗先輩は部長に尋ねる。それ以外の皆も怪訝な顔を浮かべている。

 

ヴァーリ「······俺はただの代理だ。ギャスパーは今冥界にいるからね。俺はただギャスパーの代わりに顔を出しただけだから気にしないでくれて構わない」

 

そう言うなり、ヴァーリは腕を組んで部屋の壁に寄りかかった。皆聞きたいことはあるが、部長が話を再開したので部長に視線を戻した。

 

リアス「······本人が言うように、ヴァーリはギャスパーの代理のようだから気にしないでちょうだい。そう簡単にはいかないかもしれないけれど、それは後にして」

 

部長は真剣な表情でそう言う。その表情はどこか苦しそうだった。

 

朱乃「部長、私も話を聞いていないのですが、何があったのです?」

 

イッセー「朱乃さんも知らないんですか?」

 

女王(クイーン)』であり、部長の右腕でもある朱乃さんにすら伝えていない話······相当重要な話らしい。

 

部長は頷いてから、皆を見渡して言う。

 

リアス「イリナさんは······最近、教会の聖職者が何者かに襲われて死亡するという事件が起きたことは前に伝えたわね?」

 

皆頷くが、まさかっ······!?

 

イッセー「まさか、イリナに何かあったんですか······!?」

 

ゼノヴィア「イリナにいったい何があったんだ!?」

 

イッセー先輩とゼノヴィア先輩が同時に問う。部長は来るしそうに話始めた。

 

リアス「······私もさっき聞いたことなのだけど───」

 

 

リアス部長の話によると───

 

 

 

 

2週間前に渡欧したイリナ先輩は、聖剣使いの任務に赴いていた。

 

初めて知ったことだが、イリナ先輩のお父さんも聖剣の使い手だったらしく、なんと、四大熾天使(セラフ)の一角を担うウリエル直属の部下であるという。

 

イリナ先輩のお父さん───紫藤(しどう)トウジさんは現在イギリス、プロテスタントの牧師をしており少し前までは戦闘職から離れていたのだが、『禍の団(カオス・ブリゲード)』のテロリズムにより復帰していたらしい。

 

 

その紫藤トウジさんとイリナ先輩の2人で、教会の勢力圏に侵入したはぐれ悪魔の()()任務にあたったらしい。

 

三大勢力の和平後、八幡先輩は、はぐれ悪魔は『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』の転生制度が生み出したものであり、一方的に討伐するものではないと提唱していた。

和平よりずっと以前から八幡先輩達は、転生システムにより()()()()()()()()はぐれ悪魔の保護を行っていたらしい······つまり、姉様のようなケースは、少なくないということだ。

 

 

 

今回は、はぐれ悪魔に関する情報の詳細が不明瞭であるためとりあえず捕縛することになったそうだが、その任務の最中、イリナ先輩とトウジさんは何者かに襲われたという。

 

 

 

イッセー「······部長!! 2人は、イリナとイリナのお父さんは無事なんですか!?」

 

イッセー先輩は部長の両肩を引っ掴んで、部長に問う。

 

リアス「······イリナさんは軽傷で済んだそうよ。でも、イリナさんのお父様は······」

 

部長は視線を僅かに下げながら言う。イッセー先輩の顔が目に見えて青ざめた。

 

イッセー「まさか······」

 

リアス「生きてはいるわ······ただ、天界に運び込まれるほどの重体だそうよ······」

 

ゼノヴィア「そんな······」

 

リアス「これから、イリナさんに話を聞きに行こうと思っていたの。皆も来てちょうだい」

 

 

ヴァーリ「そうか······では、俺は帰らせてもらおう」

 

ヴァーリは()()()()魔法陣を展開する。

 

······? 彼は以前、彼の神器(セイクリッド・ギア)である『白龍皇のの光翼(ディバイン・ディバイディング)』と同じ、白銀の魔法陣を展開していた筈······魔法陣は基本1人が複数の色──つまり系統を持つことは出来ない筈だが······

 

アザゼル「······帰んのか?」

 

ヴァーリ「ああ。俺がいても紫藤イリナが困るだけだろう。ではなアザゼル」

 

イリナ先輩は、ヴァーリがいても困るとは思わないような気もするが······

 

ふと、ヴァーリは立ち止まって振り向いた。

 

ヴァーリ「······ああ、そうそう。この事件が起きたことも、俺がこの事件を調べていることも、黒歌とギャスパーには絶対に伝えないでくれ」

 

姉様とギャー君に······? 何故······? 伝えられない何らかの事情があるのだろうか。

 

小猫「姉様とギャー君に······?」

 

ヴァーリ「そうだ」

 

リアス「······何故かしら?」

 

部長が尋ねると、ヴァーリは顎に手をやり10秒ほど考え込んだ末に口を開く。

 

ヴァーリ「······そうだな。黒歌に伝えればギャスパーに気づかれるし、ギャスパーが知れば······あいつは()()()()だろうからな。では頼んだぞ」

 

鬼と化す······? ギャー君が鬼に? 増々意味が分からない。

 

小猫「鬼······? それはどういう───」

 

私がその意味を聞こうとした時には、黒い魔法陣でヴァーリは転移していた。

 

 

ロスヴァイセ「行ってしまいましたね·····」

 

イッセー「あいつ結局何が言いたかったんだ······?」

 

謎の発言を残して去ったヴァーリに、私達は増々疑問が浮かぶ。

 

リアス「ヴァーリの発言は謎だけど······とりあえずイリナさんに話を聞きに行きましょう。もしかしたら、ギャスパーが鬼と化すというヴァーリの発言に関しても何か分かるかもしれないもの」

 

部長の言葉に皆が頷き、イリナ先輩の話を聞きに行くことになった。

 

······ギャー君が······どういう意図で言ったかは分からないが、鬼になるわけが······

 

 

ゼノヴィア「イリナ······」

 

 

 

 

アザゼル「······」

 

小猫「アザゼル先生、どうかしたんですか?」

 

アザゼル「ん? ······あぁいや、何でもない」

 

 

 

 

 

 

イッセー「イリナ!!」

 

イリナ「······イッセー君······」

 

私達は魔法陣で教会まで転移した。天界にいたイリナ先輩がこちらまで来てくれたのだ。

 

 

イリナ先輩は消沈しており、目も若干虚になっていた。普段は明るく、天真爛漫という言葉が似合うイリナ先輩とはかけ離れた様相だった。

 

イッセー先輩はイリナ先輩の下に駆け寄り、肩を揺すった。

 

イッセー「おい、イリナ······大丈夫か?」

 

イリナ「イッセー君······パパがね······」

 

イリナ先輩は、沈痛な面持ちでそう口からこぼした。

 

リアス「イリナさん、来て早々悪いのだけれども、何があったのか。聞かせてもらえるかしら? 私達でも少しは力になれるかもしれないわ」

 

イリナ「······2日前────」

 

イリナ先輩は語り出す。

 

 

小猫sideout

 

 

 


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