イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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第8話 レーティングゲーム②

 

 

 

 

八幡「······試合は10日後。それでいいんだな?グレイフィア」

 

ライザーが去った後、今までとは一転して部室には重々しい雰囲気が漂っていた。

 

グレイフィア「······はい。お嬢様とライザー様。経験や戦力の差から鑑みてそれくらいは妥当かと」

 

10日ねぇ······正直、他所で勝手にやってて欲しいが、引き受けた以上はしょうがない。

 

リアス「悔しいけど·····認めざるを得ないわね。修行期間として、ありがたく頂戴するわ」

 

そこで、気絶していた兵藤が目を覚ました。

 

イッセー「······はっ!!!」

 

八幡「起きたか」

 

イッセー「あれ·····『赤龍帝の籠手』を使って焼き鳥を倒そうとして······それからが思い出せない」

 

八幡「······お前が神器を出したから俺が気絶させた」

 

俺はトラブルの神様にでも目を付けられてるのか······心当たりめっちゃあるんですけど。

 

イッセー「何で!!?」

 

八幡「お前はリアス・グレモリーの眷属だ。不用意な行動はリアス・グレモリーの品位を貶めると思え」

 

イッセー「グッ······それも、そうか······」

 

馬鹿だが、全く頭が回ってねぇ、ってわけでもなさそうだな。

 

八幡「······帰るぞクルル。グレイフィア、細かいことは決まり次第連絡してくれ」

 

グレイフィア「かしこまりました」

 

クルル「ええ······じゃあね、また明日(・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

 

八幡「·······おら足動かせイッセー。こんなんでへばってんじゃねぇよ」

 

イッセー「······そうは言ってもよ、八幡·····」

 

俺達は山道を登っていた。この先には、グレモリー家所有の別荘がある。俺は昔サーゼクスと来たことがある。山の中腹あたりから見えた景色は、一昔前とはまるで違って、この辺の開発が進行した事実を突きつけてくる。

 

 

今日より10日間。何故か山籠りすることになっている。別に山籠りする必要はないんだが。

まぁグレモリーが決めたことだから渋々付き合うしかないのだが······

 

八幡「ほれ、塔城を見ろ」

 

塔城は、自分の体よりも遥かに大きいバックパックを背負っている。何が入ってるんだろうか······え?クルルの分の荷物? 当然俺のバックパックに入ってる。何を当たり前なことを。

 

クルル「······ほら、もうちょっと気張りなさい赤龍帝君」

 

イッセー「そうは······言っても·····」

 

八幡「先行くぞ」

 

クルル「まぁ頑張って」

 

イッセー「何で疲れてないの······」

 

人外はこの程度で疲れたりせんわ。

 

 

 

 

 

 

 

それから数十分後。ようやく到着。

 

イッセー「はぁ······はぁ······やっと着いた·····?」

 

兵藤はグロッキーになってましたが、それ以外は息が上がってすらいない。シスター・アーシアが思ったより体力あった。

 

八幡「おらイッセーとっとと着替えろ。すぐに特訓すんだぞ?」

 

イッセー「え?すぐ?」

 

八幡「時間がただでさえねぇんだよ。ボサッとすんな」

 

イッセー「······お、鬼か····」

 

 

 

 

 

 

 

八幡「·····じゃあこれから修行な」

 

着替えてから、中庭に集合して一言。

 

八幡「この10日間は俺が鍛えるからな」

 

リアス「初耳なのだけれど·····」

 

八幡「言ってないからな」

 

そも、レーティングゲームするのは最初から決定してたからな。

······あの酔っ払いどもめ。あとでシバいてやる。

 

祐斗「でも、何をするんだい?」

 

八幡「簡単だよ。クルル以外のここにいる奴全員で俺を殺しにこい」

 

「「「「「は?」」」」」

 

俺が言うと、一同が揃って素頓狂な声を上げる。

 

八幡「俺はお前らの戦い方よく知らんからな。明日からは俺と眷属でちゃんとした修行をするから」

 

バイサーはこいつらにやらせれば良かったと今更に思うわ。

 

イッセー「でもよ八幡。アーシアを抜いても1対5だぜ?流石にお前が不利だろ」

 

八幡「安心しろ。伊達に最上級悪魔やってない。お前ら全員を倒すのなんか赤子の手を捻るより簡単だ」

 

初心者に負けるような甘っちょろい鍛え方はしてないからな。

 

リアス「言ってくれるわね」

 

八幡「それとも······」

 

バイサーを斬ったボロ刀を出す。

 

祐斗「随分刃こぼれが酷いね」

 

そりゃ、長年手入れ怠ってたらいつの間にかこんなんになってたからな······後で研がなきゃなこの刀。それなりの業物だったはず。

 

八幡「問題ない。あと、天使の力を使うことはないから安心してくれ。クルルとシスター・アーシアはこいつらの治療を頼む」

 

クルル「はいはい」

 

アーシア「わ、分かりました」

 

八幡「じゃあ俺は今から15秒間は、自分からは攻撃しない」

 

小猫「······舐めすぎです」

 

眉間に僅かに皺を寄せた塔城が反論してくるが、無視する。

 

イッセー「小猫ちゃんの言う通りだ!」

 

実力が分かってないなら、ほんの少しだけチラつかせて分からせる······と。昔もやったなぁ······

 

八幡「それはやって見てからにしろ。始め」

 

 

そう言った瞬間、塔城と、『赤龍帝の籠手』を顕現したイッセーが殴り掛かってくる。先に殴ってきた塔城のパンチを受け止め、そのまま拳を掴んで塔城をイッセーの方に放り投げる。

 

イッセー「うわっ!?」

 

次に木場が魔剣を創造して斬りかかってくるのを、魔力を纏わせた刀で受け止める。

 

祐斗「······やるね」

 

木場と鍔迫り合いをしていると、リアス・グレモリーが魔力を、姫島は雷撃を放って来たので、刀を左手で持ったまま右手から魔力を放出し相殺する。

 

八幡「········15秒だ」

 

鍔迫り合いをしていた木場の腹を蹴り飛ばす。木場はそのまま数十m彼方まで飛んでいった。

 

リアス「祐斗!」

 

八幡「余所見すんな」

 

もう一度魔力を放ち、リアス・グレモリーと姫島を吹き飛ばす。

小猫「えい」

戻って来た塔城が右ストレートを放ってくる。それを利用して背負い投げ。塔城は投げの威力に怯んだようだが、すぐに距離を取る。

 

イッセー「うおぉぉぉっ!!」

 

赤龍帝の篭手で身体強化をしていたらしい兵藤がこれまたパンチを放ってくる。それを片手で受け止める。

 

イッセー「なぁっ!!?」

 

クルルに治療され戻って来た木場が再び斬りかかってくる。それをまた刀で受け止める。

 

祐斗「強いね······」

 

八幡「舐めんな」

 

兵藤を蹴り飛ばし、木場の魔剣をかち上げる。木場の手から離れた魔剣をジャンプしてキャッチし、木場の肩に剣の腹で落下の衝撃を乗せた殴打を繰り出す。

······骨は砕けてはいない筈。

 

木場「ぐあっ!!」

 

八幡「おら頑張れ。ライザー倒すんだろ?」

 

小猫「······えい」

 

今度は突くような蹴りを放ってきた塔城の足首を掴み魔法を放ってきた姫島にぶん投げる。

 

小猫「うあ······」

 

朱乃「!!」

 

塔城は、投げられるそのままに姫島の雷撃をもろに食らった。木場と塔城は一時的に戦線離脱か?

 

八幡「シスター・アーシア。治療してやれ」

 

アーシア「·······は、はい!」

 

八幡「どうしたお前ら。まだ大したことは何もしてないぞ?」

 

イッセー「うぐっ······」

 

八幡「·······一旦中断だな」

 

この辺で一旦中断するか。ちゃんと治療せんといかんし、やりたいことあるし。

 

 

 

八幡sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーside

 

 

 

八幡が突然中断した。余裕な表情だったから、あの攻防がキツかったってわけではないと思う。いや、1対5をあの余裕な表情でやってるのは凄いんだけど。

 

八幡「·······全員、治療は終わったな」

 

アーシア「はい」

 

クルル「終わったよ」

 

驚いたのは、クルルさんがかなり凄い回復の魔法を持っていたことだ。『女王』の駒の特性を最大限活かしているということなのだろうか?

 

八幡「·······イッセー、『赤龍帝の籠手』を出せ」

 

イッセー「?おお、分かった」

 

何でかは分からないけど、言われたので『赤龍帝の籠手』を出す。

 

イッセー「出したぞ」

 

八幡「よし······」

 

八幡が左手を突き出した。その途端八幡の左手が光出した。

 

八幡「·······『赤龍帝の籠手』」

 

光が止むと、 八幡の左手には俺の神器と同じ籠手がはめられていた。

 

イッセー「······え?」

 

あれ?俺の神器はその中でも神や魔王さえも一時的に上回ることが出来ると言われる神滅具(ロンギヌス)の一つ、『赤龍帝の籠手』で·······一つしか存在しないんじゃ······

 

「「「「「「はぁぁぁぁぁぁっ!!!?!!???」」」」」」

 

何で八幡が同じ物を持ってるんだ!!? それに答えるかのように八幡が口を開いた。

 

八幡「まぁ、『赤龍帝の籠手』っつっても俺のはイッセーのより性能の高いレプリカってとこだよ」

 

レプリカ!!? そっちの方が凄いよ!! というかオリジナルより性能高いレプリカとはいったい·····

 

リアス「待って!レプリカ!!?どういうこと!!?」

 

八幡「お前、昔の戦争についてどれくらい知ってる?」

 

リアス「え?·······天使、堕天使、悪魔の三大勢力の争いは特に勝者が現れないままそれぞれが大打撃を受けて、そのまま終わったってことくらい······」

 

八幡「さて、ここで問題だ。三大勢力に大打撃を与えたのは誰だ?」

 

リアス「確か·····お兄様が二天龍だと·····まさか!!?」

 

どういうことだ?理解が追いつかなくなってきた。

 

八幡「ま、二天龍の片方はイッセーの籠手に封印されてるってことだ」

 

この篭手の中に·····龍が!!?······そう言えば、少し前に夢に赤い龍が·······

 

八幡「イッセーは夢で何か見ただろ?」

 

イッセー「何で知ってんだ?」

 

八幡「決まってる。二天龍の力を奪って封印したのが俺だからだ」

 

さっきのを遥かに越す超特大級の爆弾が投下された。

 

「「「「「「はぁぁぁぁぁぁっ!!!!!??」」」」」」

 

八幡「うるせぇなお前ら····鼓膜破れるかと思ったわ」

 

イッセー「いやいや、普通驚くだろ!!?」

 

俺の神器の中に眠ってる龍を八幡が封印した!!? あ、頭が追い付かないんですけど······

 

八幡「······まぁいい。それより、俺がお前が起きていることに気付かないとでも思ったか?」

 

今度は突然何を言い出すんだ?そう皆が疑問に思っていると

 

『······ふん、貴様がいけ好かないだけだ』

 

「「「「!!!?」」」」

 

俺の籠手から突然声が響いた。この声·······俺が夢で聞いた声だ。だからこいつは"相棒”なんて言ったのか······

 

八幡「よう赤龍帝。力を殆ど持たない気分はどうだ?」

 

『最悪だ。貴様のせいでな』

 

フン、と鼻を鳴らしてドラゴンは言う。

 

イッセー「こいつが······龍·······」

 

『よう。こちらで会うのは初めてだな相棒』

 

八幡「·······赤龍帝。2度とクルルを傷付けないこと、イッセーに従属することを誓え。これは命令だ。逆らうようであれば今すぐにお前という存在を消す。毎度言っていることだがな」

 

八幡が言うことは、俺の為を思ってでもあるんだろうけど、2度とクルルを傷付けない、ってのはどういうことなんだろう······

 

『チッ······いいだろう。もとよりお前は拒否権を与えていない』

 

八幡「それでいい。俺はお前を永遠に許さないしお前は永遠に俺に逆らえないんだからな」

 

『ふん·······』

 

リアス「ちょっと·····どういうこと!!?」

 

『簡単な話だグレモリーの娘。こいつは暴れまくった龍を封印する際に、ほぼ全ての力を奪ったのさ。だからこいつはこの籠手のコピーを使えるんだ』

 

イッセー「マジで!!?」

 

というか、こいつがコピーって言ったってことは性能的には全く同じなのか。

 

八幡「そうだ。そこのクソトカゲが持っている力は元来の0.1%くらいだ」

 

イッセー「0.1%!!? それでこんな強いのか!!?」

 

八幡「それが三大勢力に大打撃を与えた所以だ」

訂正。八幡の篭手の方が全然強かった。

 

八幡「イッセー、今から赤龍帝の篭手に少しだけ力を戻す」

 

ごくり。これでほんの少しでも力が戻ったらどうなるんだ······?

 

八幡「但し気を付けろよイッセー。いくら赤龍帝が俺に逆らえないとはいえ、お前自身が力に呑まれたら終わりだからな。自分を強くもて。自分を見失えばそこで終わりだ」

 

イッセー「······分かった」

 

力に呑まれる、か。

 

イッセー「要は、俺が俺でいれはいいんだろ?簡単じゃねぇか!!」

 

八幡「そうか·····歴代の赤龍帝には力に呑まれかけた奴もけっこういる。覚えとけよ」

 

イッセー「おおよ! それに、今は部長の婚約を何とかするのが先だ!」

 

俺のことで部長に余計な心配事を増やすわけにはいかない。ただでさえ迷惑を掛けているのだ。これ以上心配させられない。

 

八幡「なら、力を戻す。·····そうだな、0.5%くらいだな。それ以上はお前の体がもたないだろうからな。イッセー左手を出せ」

 

言われた通り左手を出す。八幡が俺の左手に自分の手を翳す。

 

八幡「······汝に主への従属のもと、力を与えん」

 

そう言うと、俺の左手が僅かに光った。

 

八幡「·····これで終了。おいトカゲ。イッセーに逆らうなよ」

 

『ふん·····相棒に力を貸せど、相棒から奪ったりはしない。したところで得するわけでもないからな』

 

それが言えるなら、戦争に介入したのは何でだ········

 

 

 

イッセーsideout

 

 

 


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