イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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本作の敵は描写こそないものの、全体的に原作より強化されてます。描写こそありませんが。




第95話 あいまいな存在

 

 

 

 

八幡side

 

 

 

ギャスパーと黒歌を先行させ、『大罪の暴龍(クライム・フォース・ドラゴン)』グレンデルを封印した俺の前に現れたのは、『原初なる晦冥龍(エクリプス・ドラゴン)』アポプスだった。

 

 

八幡「······まさか、アポプスが『禍の団(カオス・ブリゲード)』に降っていたとはな」

 

俺はエクスカリバーを握り締めながら言う。無論、戦闘態勢は解かない。こいつはグレンデルとは比較にならんほど危険だ。普通にやれば、討伐はいけそうだが、ここではそこまで派手な戦闘が出来ない。

 

······バロールの力を感じたから、ギャスパーが使ったのだろう。ならばそこまで問題はないだろうが、万一のこともある。アポプスは、最悪でも撤退させる必要があるな······

 

アポプス「······勘違いしないで欲しい『堕天魔』。私は『禍の団』に降ったわけではない。王子と目的が一致したため協力関係にあるだけだ」

 

······王子? あぁ、あのゴミ屑(リゼヴィム)のことか。あんなクソ野郎でも前ルシファーの息子だからな······と言っても、あいつは悪魔って種族の恥さらしでしかないが。

 

八幡「······ま、お前が何であんなゴミに協力するかは兎も角として、お前に今邪魔されるのは困るんでな」

 

······取り敢えず、ギャスパーの邪魔をされないことを第一条件に据えるか。ヴァーリには悪いが、こいつの相手しながらあのゴミの足止めとか無理だ。

 

アポプスは、俺と戦った時の二天龍を超えている。クロウには劣るが、ティアは上回るって所か。厄介極まりない。

 

クロウ呼んだ方がいいか? さっきクルルが転移阻害の魔法の解除をしていたから呼べるだろうが······

 

 

アポプス「······ではやろう。お互い、この場で全力を出せないのが心残りだが、折角の機会だ。存分にやらせてもらおう」

 

アポプスがそう言うと、足元から闇が生じて、そこからどす黒いオーラが触手のように高速で伸びてくる。

 

八幡「······チッ」

 

俺は舌打ち混じりにエクスカリバーから『聖』のオーラを放って相殺していくが、これでも結構キツい。エクスカリバーで相殺していくんじゃすぐに限界がくるか?

 

なら狙うのは······まぁ本体だよな。

 

 

八幡「······乱残穢(みだれざんえ)

 

エクスカリバーを神速で揮って、濃密な『聖』のオーラを周囲に放ち、アポプスが生み出した闇を全て消滅させる。

 

そのままアポプスに接近し、エクスカリバーで肩口に斬り込む。が、生じた闇に防がれる。驚いた······エクスカリバーを防げるのか······聖杯の強化か?

 

 

アポプス「······なるほど。噂に違わぬ実力者であることは間違いないようだ」

 

八幡「そりゃどう、もッ!!」

 

俺は空いている左手に光の剣を作り出し、すぐさま振り上げる。アポプスは反応が遅れたため、アポプスが闇による防御が間に合わなかったため深く切りつけれたのだが、右腕ぐらい落としたかったな······

 

アポプスは少し後退しながら言う。

 

アポプス「ッ!! ······どうやらこの力だけでは私には勝ち目はなさそうだ」

 

次の瞬間、俺の右、左斜め後ろ、頭上から黒い水がうねりながら襲いかかってきた。魔法陣を展開して防ごうとするが、接触部分から魔法陣がどんどん溶けていく。俺は三方からの黒い水を防ぎつつ後方に飛び退いた。

 

黒い水······? ああ、そう言えば、こいつは『原初の水』を使えるんだった。『原初の水』から生まれたんだったか?

 

 

······触れたら何でも溶かす黒い水、か。マジで厄介だな。しかも液体だから決まった形がない。先ほどの闇は、『原初の水』の副産物か。元々、闇だの混沌だのを象徴とすると言われているからな。

 

 

俺はエクスカリバーから『聖』のオーラを放ってみる。が、水の一部を消滅させただけだった。

 

今度は、少し強めに作った光の矢を投擲する。今度は、さっき俺の右から襲いかかってきた黒い水を、完全に消滅させた。想像通り、光の類はよく効くみたいだな。

 

 

······まぁ、光も闇も効かないとかいうチートはギャスパーだけで十分だ。あれは最初にブリューナクとルーによって力の仲介と調整がなされたから成立したものでもあるんだが。

 

 

八幡「······結構キツいなその黒い水。俺とは相性が悪そうだ」

 

アポプス「······それは私の台詞だ。これでも割と本気のつもりなんだがね」

 

エクスカリバーを亜空間に戻し、両刃の光の剣を右手にも作り出す。そして、両方を逆手に持ち、二刀を構える。

 

 

そしてアポプスの懐に一歩で潜り込み、右手に持った光の剣を振り抜き斬りつけ、アポプスの右腕を切り落とした。

 

 

 

 

────いける。俺がそう確信した時だった。

 

 

八幡「······ッ!!」

 

返しの太刀でアポプスの左腕も切り落とそうとした時、突如膨大な量の魔法が俺に向かって降り注いだ。

 

幾重にも展開した魔法陣で防ぎつつアポプスから離れるが、魔法陣がどんどん割れていく。

 

最後の一枚が割られると同時に両手の光の剣を消し、巨大な光の矢を一瞬で作り出し、魔法が放たれた方向に投げた。

 

八幡「······誰だ?」

 

 

俺が疑問を口にすると同時に、連絡用の魔法陣が展開した。そこからは、城下町で戦闘をしていた筈のクロウの声が響いた。

 

 

クロウ『······すまない八幡。邪龍の一体がそちらに向かった!! そちらに向かったのは────『アジ・ダハーカ』だ······!!』

 

 

 

八幡sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小猫side

 

 

 

『闇』の檻のようなフィールドで吸血鬼達を蹂躙したギャー君の前に現れ、突如攻撃を仕掛けてきたのは、夏にも冥界に攻撃をしたという悪神ロキだった。

 

 

そして、ギャー君は二叉の深紅の槍を黒いローブの男性────悪神ロキに向けている。

 

 

ロキ「······よもや、死に際に瀕しても『神魔槍』を使うことを躊躇うか。我は失望したぞ。貴様だけは『堕天魔』の一派の中でも実力を買っていたのだがな。()()()()()()がそんな面白いとは思わんがな」

 

······ッ!! 悪神に認められるほどの実力······ギャー君がそこまでの実力者だったなんて······

 

ギャスパー「別に面白いとか求めてるわけじゃない······ま、僕はお前に認められても、何も嬉しくなかったけどね。『神々の黄昏(ラグナロク)』に協力するつもりなんて微塵もないし」

 

対峙するギャー君とロキは、言い知れぬほどの強いオーラを放っている。私では触れるだけで、『戦車(ルーク)』の防御力を突破して大怪我をしそうなくらいだ。

 

アザゼル「·····ブリューナクッ······!! あれはキリスト教の介入によって所在不明になった筈だ······!!」

 

先生はギャー君が持つ深紅の槍を見ながら言った。

 

 

ブリューナク······!! ケルト神話の太陽神、ルーがエスリンとヌアザから授かったという、投げれば稲妻になるという灼熱の槍!! 確か、通説では先生の言ったようにキリスト教の介入の際に失われたとされていた筈だけど······

 

そこで姉様が先生に言う。

 

黒歌「······総督、あれはロキの言うようにレプリカにゃん。オリジナルは"ある”だけで周囲に影響を与えるんだから簡単に出せるわけないでしょ」

 

アザゼル「それは······まぁ、あの万能の太陽神が持っていたものなんだからそうなんだろうが······」

 

先生は口を濁らせる。

 

······というか、姉様は本物を見たことがあるかのような言い方をしたけど······

 

黒歌「······ま、ブリューナクのことなんて今はどうでもいいにゃ」

 

そう言って姉様は指を鳴らす。すると、()()()()()()()()()()私達の周囲に、ドーム型の結界が張られた。

 

小猫「姉様······!?」

 

私は驚きながらも何とか聞き返す。

 

黒歌「悪いけど、ギャスパーの邪魔になるかもしれないからあんた達は大人しくしててね。総督も。ギャスパーもいいでしょ?」

 

ギャスパー「······ありがとう黒歌さん。これである程度は遠慮せずに戦えるよ」

 

ギャー君はそう言って、素早く空中に何かを書いていく。ギャー君の指が通った軌跡はオレンジに発光し、文字となった。あれは······ルーン文字?

 

ギャー君が空中に書いたルーン文字は火球となってロキに降り注ぐ。

 

ロキ「······ルーン魔術か」

 

ロキもまた、ロスヴァイセさんが使うような北欧の魔術を使い、ギャー君のルーン魔術を相殺していく。2人の魔術は相殺される度に激しい爆発と衝撃を発生させた。それは姉様が張った結界でこちらまで届くことはないのだけど······

 

その時、ギャー君が持つ深紅の槍───ブリューナクがバチバチと音を立て始めた。見れば、ブリューナクから途轍もないほど強烈な電撃が発生していた!!

 

そしてギャー君がブリューナクを揮うと、電撃は波動となってロキに襲い掛かる!!

 

ギャスパー「ふっ······!!」

 

ロキが魔術で電撃を打ち消していく中、ギャー君はロキの懐に潜り込み、神速の突きを繰り出す。

 

······突き、と言ってもぎりぎり見える予備動作から判断しただけで、突きそのものは全く目で追えないのだけど。

 

ロキは身を捻ることで突きを躱していくが、完全に躱しきれなかったのか服は所々破け細かな傷を負っていく。が、ギャー君もロキから放たれる魔術を身を捻って躱したり魔術などで相殺していくが完全に相殺出来ず、徐々にダメージを受けていた。

 

 

2人が距離をとれば、一発一発が途方もない大質量の砲撃で攻撃し合い始めた。

 

······あの威力、一発一発が最上級悪魔と同等かそれ以上!!

 

 

 

砲撃が休まることのない中、ギャー君はロキに何かを問い掛けた。2人の砲撃が衝突する音やブリューナクが放っている電撃の音で、猫趙である私ですら聞き取ることが出来なかった。

 

 

唇の動きから、ロキが何かを言ったと分かった時、ギャー君がワナワナと震えだした。

 

 

次の瞬間、ロキの右腕が宙を舞った。

 

 

小猫sideout

 

 


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