イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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第7話 レーティングゲーム①

 

 

祐斗「·······部長のお悩みね·····多分グレモリー家のことじゃないかな?」

 

放課後。クルルと合流して、イッセー、塔城、木場と部室に向かっている時だった。何やら、イッセーはリアス・グレモリーに夜這いされ、現れたグレイフィアがその場を収めたらしい。

 

イッセー「朱乃さんなら何か知ってるかな」

 

祐斗「朱乃さんは部長の懐刀だからおそらく───っ!!?」

 

懐刀だったのか。まぁ『女王』ってのは基本どこもそうか。俺とかサーゼクスは女王は俺の嫁!!ってな具合だが。クルルはほぼ戦わせないし。いや弱いからではないが。

 

イッセー・小猫「「·····?」」

 

突如警戒心を高めた木場に、理由が分からない兵藤と塔城は首を傾げる。

 

祐斗「······ここに来て初めて気付くなんて·····」

 

八幡「なんだ今気付いたのか」

 

この距離でやっとか······これじゃあ、他所の眷属には勝てないな······

 

クルル「随分遅かったのね」

 

祐斗「君達は初めから気付いていたのかい······?」

 

八幡「気付いてたっつうか······俺はこの街のどこかで魔力が動いたら全部分かるし」

 

俺の索敵能力ならこの街の端から端くらい余裕余裕。

 

クルル「まぁ、私も八幡ほどじゃないけど索敵範囲にはそれなりに自信があるわね」

 

 

 

 

 

 

イッセー「·····ちわーす」

 

八幡「うす」

 

部室には、リアス・グレモリーと姫島、それに銀髪でメイド服の女───グレイフィアがいた。

 

グレイフィア・ルキフグス。『紅髪の魔王(クリムゾン・サタン)』ことサーゼクスの『女王(クイーン)』にして嫁。普段はグレモリー家のメイドだが、私生活だと主従の逆転が起こる。サーゼクスはもっと自重しろ。

 

 

イッセー「グレイフィアさん!!?」

 

八幡「よぉグレイフィア」

 

クルル「グレイフィア、久しぶり」

 

グレイフィア「お久しぶりでございます。八幡様、クルル様」

 

グレイフィアは、俺達を見ると恭しく頭を下げた。

 

イッセー「あれ?知り合い?」

 

知り合いというか、サーゼクスは幼馴染みなだけに、結構付き合いは長い方か。

 

八幡「ああ」

 

グレイフィア「お嬢様。私からお伝え致しますか?」

 

リアス「いいえ結構よ。実はね······」

 

リアス・グレモリーが口を開いた時だった。魔法陣が突然展開した。魔法陣から炎と共に、リアス・グレモリーの婚約者であるライザー・フェニックスが現れる。

 

ライザー「····ふぅ。人間界は久しぶりだ······会いに来たぜ。愛しのリアス」

 

イッセー「誰だ!!?」

 

八幡「········フェニックス家の三男、ライザー・フェニックス。グレモリー家次期当主の婿様だ」

 

イッセー「グレモリー家の次期当主の婿って······まさか!!?」

 

グレイフィア「リアスお嬢様の御婚約者様でございます」

 

ライザー「紹介にあずかり光栄だ。八幡殿、クルル殿、お久しぶりです」

 

八幡「ああ」

 

クルル「そうね」

 

イッセー「え······こ、婚約ぅぅぅぅ!!!?」

 

いや落ち着け。貴族なら普通に考えてこんなんいくらでもあるわ。

 

 

 

 

 

ライザー「······いやぁリアスの『女王』が淹れてくれた紅茶は美味しいなぁ」

 

リアス・グレモリーとライザーが俺と対面になるようにソファーに座っている。

 

朱乃「痛み入りますわ」

 

イッセー「·····こんないけ好かない奴が部長の婚約者!?」

 

八幡「おいやめろイッセー」

 

リアス・グレモリーの太股を舐め回すように触るライザー。流石に我慢の限界がきたのか、リアス・グレモリーはライザーの手を払い除けて立ち上がる。

 

リアス「·····いい加減にして頂戴ライザー。以前にも言ったように、私はあなたと結婚する気はないわ」

 

ライザー「だがリアス。君のお家事情はそんな我が儘が通用するほど余裕はないと思うんだが?」

 

実際はミリキャスもいるからそこまで切羽詰まってはいないんだが······先走りすぎなんだよ、あの人は。

 

リアス「いえ、家を潰すつもりはないわ。婿は迎え入れる。でも、私は私がいいと思った人と結婚する」

 

純血の悪魔は既に2000年前の2/5近くまで数を減らしており、一人でも多く存続させるのが急務となっている。減った原因の半分ぐらいは俺だが、まぁこの話は今はいいだろう。

 

ライザー「だがなリアス。先の戦争で激減した純血悪魔を絶やさないということは悪魔全体の問題でもあるんだ」

 

話は平行線をなぞるだけ。一旦切らないと話が纏まらなそうだ。

 

八幡「······両者そこまでだ。これじゃいつまで経っても話が平行線だろうが」

 

ライザー「しかしですね八幡殿」

 

八幡「お前の言いたいことは予想がつく。お前がフェニックス家の名前を背負ってるってこともな。なら······何故俺達やグレイフィアがいると思う?」

 

俺がいることの理由に得心がいったのか、ライザーは一人頷く。

 

ライザー「······なるほど。最初からその腹積もりで」

 

グレイフィアがリアス・グレモリーを見据えて言う。

 

グレイフィア「······旦那様はこうなることを予想していました。話が決裂した場合の最終手段を、旦那様より仰せつかっております」

 

リアス「最終手段?どういうことかしら?」

 

クルル「それは、貴女が話を拒んだ場合はライザーとのレーティングゲームで決着を付けろ、ってことよ」

 

クルルがグレイフィアに続ける。若干、被せられたことへの反感の視線がクルルに向けられていた。

 

イッセー「·····レーティングゲーム?」

 

八幡「上級悪魔以上の悪魔が、自分の下僕を戦わせる一種のチェスに似たゲームだ。まぁ、本来ならリアス・グレモリーはまだ土俵に上がってすらいないがな。今回は非公式ってことで例外」

 

例外とは言うものの、この手の話はわりかし多く、土俵に上がれてすらいない子供が例外扱いで挑むこともある。悪魔の貴族内ならば、そこまで珍しい話でもない。

 

ライザー「しかしですね······俺はレーティングゲームに何度も出場していて勝利した経験もありますが、リアスはまだ出場資格すらありませんよ?」

 

そう言うと、リアス・グレモリーの方を見ながらライザーが指を鳴らす。再び魔法陣が展開して、そこからライザーの眷属15人が現れた。

 

ライザー「こちらは15人で、駒は全て揃っています。対して、リアスの駒はここにいるので全員でしょう?」

 

まぁ遺憾ながら本当はもう一人いるんだが、そいつは今なぁ······自分勝手にも程があると思うが、会いたくなってきた。もう3年か······

 

イッセー「美女が······美少女ばかりが15人だと!!!?」

 

あ、こいつの夢はハーレム王だっけ。アホか。

 

イッセー「なんて奴だ······なんて男なんだぁ!!!」

 

そう嘆き? ながらイッセーは泣き崩れる。マジかこいつ。

 

ライザー「お、おい、リアス······この下僕君俺を見て号泣し始めたぞ?」

 

イッセーは、それを見たライザーにまでがちドン引きされる。

 

八幡「イッセーうるさい」

 

クルル「うるさいわ」

 

全く········

 

リアス「その子の夢はハーレムなのよ······」

 

「キモッ」

 

「キモイですわ」

 

クルル「呆れた······いったいどの口がそんなことを」

 

まぁ言ってること間違ってないからな。少なくとも、女性の前で言うことではない。

 

ライザー「ふぅん······ユーベルーナ」

 

そんなイッセーをつまらない目で見ていたライザー。

 

ユーベルーナ「はいライザー様」

 

ライザーは突然『女王』を呼んだ········まぁ何するかは想像つくな。

 

ライザー「ん·······」

 

やっぱり。ライザーはユーベルーナという眷属と熱いキスをし始める。そして、キスしたまま眷属の胸を揉み始めた。それを見てリアス・グレモリーは思いっきり顔を顰める。

 

イッセー「なっ!? ······何してんだ!!」

 

ライザー「お前如きでは一生こんなこと出来ないだろう?下級悪魔君?」

 

イッセー「そんなんだと、部長と結婚してからも他の女の子とイチャイチャするんだろ!!? この種まき焼き鳥野郎!!」

 

こいつは馬鹿か······しかも、ライザーの琴線に触れちゃったし。まぁ、フェニックスに焼き鳥はねぇよな······まぁ間違っちゃいないが。

 

ライザー「貴様······自分の立場を弁えてものを言っているのか?」

 

イッセーの一言により、ライザーのさっきまでのチャラチャラした表情は消えさり、侮辱した相手を睨んでいる。

 

イッセー「······うっせぇ!! 俺は部長の下僕だ!! それ以外でもそれ以下でもねぇ!!!」

 

リアス「······!!」

 

おい、イッセーの奴赤龍帝の篭手を顕現しやがった。ハァ······止めるか。

 

イッセー「ゲームなんざ関係ねぇ!今この場で全員倒してやる!!」

 

八幡「やめろイッセー」

 

イッセー「辞めねぇ!!!」

 

八幡「なら、黙れイッセー」

 

俺の中の赤龍帝の力の応用でイッセーの赤龍帝の篭手を強制的に解除する。こういう時だけは便利だが、この力ほんとに捨てたい。

 

イッセー「なっ!!!!?」

 

八幡「暫く寝て、ろっ」

 

素早くイッセーの後ろに移動する。それにイッセーが気づく前に首に手刀を叩き込む。

 

イッセー「がっ······」

 

気絶して倒れるイッセーの左手首を掴む。木場に預けとけばいいか。

 

リアス「イッセー!!!」

 

八幡「······この馬鹿が······悪いなライザー」

 

気を失ったイッセーをリアス・グレモリーに預ける。

 

ライザー「いえ。この場をおさめていただき感謝します」

 

八幡「·····そうか」

 

ライザー「はぁ······最凶最悪と謳われた『赤龍帝の籠手』の使い手がこんなつまらん男だとはな」

 

ライザーは気絶するイッセーを見て呟く。その顔には、侮蔑しか映っていなかった。

 

リアス「!! ······分かったわライザー。レーティングゲームで決着を付けましょう」

 

グレイフィア「承知致しました。お嬢様」

 

八幡「悪いがライザー······今回は俺はこちら側だ。サーゼクスからの依頼でな」

 

ライザー「魔王の命令とあらば、仕方のないことでしょう」

 

ライザーの予想の内だったのか、これには特に驚かれなかった。

 

リアス「ライザー───あなたを消し飛ばしてあげる!」

 

おい、挑発すんな。出来もしないくせに。

 

ライザー「それくらいのハンデは必要でしょう。ではなリアス。楽しみにしている。次はゲームで会おう」

 

ライザーは魔法陣を出現させ、眷属と共にその場から消えた。

 

 

······やだやた。これだから貴族の内輪揉めは嫌いなんだ。たかだか婚姻一つでこんなに揉めやがって。ハプスブルクかよ全く。

 


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