目立ちたくないトラッパーの比企谷八幡   作:春の雪舞い散る

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歪んだ少女達と狂気と凶器

 

 

 ⑦  スパイスはお嫌い?

 

 

 油断していて気付くのが遅れた… 夕食のカレーを作る小学生達だけど、幸か不幸か今のところ野犬を寄せ付けないのはカレーのスパイス臭いのお陰

 

 だから、アタシも今の内にと打てるだけのら手を打つことにした

 

 群馬県県知事と千葉の市長に

 

 「 今夜、もう一時間くらいしたら千葉村に野犬の群れが襲ってくる… ってももうすっかり取り囲まれてるけど原因は野犬のリーダの子供に石を投げた小学生に非がある

 

 もちろん、それはアタシ達の問題じゃない

 

 アタシ達はただ、千葉村の平和を守るためそれを脅かす者と戦うだけだからアタシ達にはできない事後処理をお願いします 」

 

 と、ここまでは両者に

 

「 いろんな意味でゴタゴタが発覚しますからね? 市長 さん

 

 ここだけじゃ終わらない膿が、これを機に一気に噴き出しますから覚悟しておく事ですね 」

 

 そして最後の一言だけは市長さんだけに伝えたのは武士の情けってヤツでそう警告も忘れずにしておいたから苛めもうやむやにはさせない

 

 今の会話の録音テープがマスコミに渡らない事を祈るのみだね

 

 まぁ、ボーダー本部には報告するけどさ

 

 アタシ達がなんとかできるのは野犬の撃退だけで、教師でもなきゃスクールカウセラーでもないアタシに苛めはどうしようもない

 

 でも、師匠の真似して言うのであれば

 

 「 鶴見留美にはボーダーの才能がある… と、アタシの勘が言っている…… 」

 

 うん、そんな感じだろうし… 幹部は皆、アタシの勘が師匠のサイドエフェクト、未来視ほどチートさはないけどかなり当たるので信頼を得ている

 

 それに… アタシが昔受けていた苛めも知っていたから、黒トリガーの保護の目的はあったとしてもアタシごと保護してくれた

 

 だから人手不足に輪をかける千葉のボーダー設立を控えた今、才能がある人材を見逃すはずはないから報告したから後は大人の仕事だから任せるンだけどさ…

 

 ここ二~三ヶ月の間に三人目になっちゃうからな… アタシにそこまでの権限があるんだろうか?

 

やがてスパイスの香りが消える頃、野犬達が牙を剥いて襲ってきた

 

 それを生身のまま素手で対処できるのは、アタシと氷面鏡さんの二人だけだから二人で迎え撃つ

 

 他の皆には爆竹やロケット花火で威嚇してもらい出水と三輪にはレモンの皮を絞って作ったレモン水を入れた水鉄砲でアタシ達の砦を守ってもらうことにした

 

 念のために竹刀を米谷、スリリングショットを出水と三輪に預けてある

 

 もちろん八兄は棒切れ持って小町の元に向かおうとしたから

 

 「 八兄、待ってっ! 」

 

 「 止めるな、いちごっ! 」

 

 「 止めるよっ、そんな棒切れ役に立つわけないんだから… はいこれ、そんな棒切れよりずっと役に立つの渡すから受け取りなよ? 小町ちゃんを守りたかったらさ

 

 アタシの苦辛の工作作品だからそんな棒切れよりずっと役に立つよ?

 

 小町ちゃん守るためちゃんと装備しようよ、これしかないけどね 」

 

 そう言ってアタシが見付けた樫の木の枝を加工して作った杖を持たせた

 

 

 コテージに入るために野犬の群れを突破してわかったんだけどその野犬の群れはただの野良犬じゃなかった

 

 うん、野犬達が野良犬なのに変わりはないんだけど不味い事に狂犬病の恐れのあるのが数頭混ざっている

 

 うん、不味いとゆーレベルじゃなく既にヤバイよ、ヤバイよっ! って騒ぐレベル

 

 まぁ、そんなキャラじゃないし面倒臭いだけだから騒がないけどな

 

  

 「 何で俺達にまで隠していたんだっ! 」

 

 そう騒ぐチャラ男に

 

 「 煩い、アンタは黙ってろっ! ボクでも気付いた事を気付きもしなかったヤツがでかい口を叩くなっ!

 

 ちょっとした注意力さえあれは気付けたのに、アンタみたいなのがそうやって無意味に騒いでバカ達を不安に陥れてさっきみたいにパニクらせるからボーダーの人達は伏せてたんだよっ!

 

 そんな事も言われなきゃわかんないわけ? 高校生のクセにさっ 」

 

 「 はーっ… 確かにその子の言う通りだけどそんなんで、よくアタシの推薦でボーダーに入りたいなんて言えたね?

 

 アタシ達だって気付いたのはカレー作りの最中で、すぐに関係各所に連絡してあるけどそれでも救援が着くのに未だ時間が掛かるはず

 

 だからアタシ達は、その到着まで児童守るのが最大の目標であり使命だと心得ている

 

 「 ボーダーの貴女達に素手で何ができると言うのかしら? 」

 

 そう鼻で笑う雪ノ下次女に

 

 「 悪いけどアタシ達は他の隊員とは毛色が違うんだよね…

 

 アタシはアサシンでこの人は拳の方の拳士だから武器は要らないし自衛を主張するためには逆に武器は持てないんだけど? 「 ならボクも出る、コイツ等にはホトホト愛想が尽きたからな… ちょうど良い機会だからボーダーに入れてよ? 力なら持ってるからね 」」

 

 そう淡々と話す子に

 

 「 わかった… けど、あまり無理しないようにね…ってアタシがいつも言われてる事なんだけどさ

 

 まぁ、アタシ達以外にもトレーニングがシュミで日頃から身体を鍛えることに生き甲斐を感じて生身でトリオン兵に立ち向かえそうな人も三門には居るけどな 」

 

 そう言って笑い返して真面目な顔に戻り

 

 「 狂犬病疑惑があるのが混ざっているから絶対に外に出るな、小町のいるこの建物は小町大好き八幡が守るから大丈夫だからお前達は小学生を落ち着かせろ

 

 残念ながら、それは我々の最も不得意とする分野だからな 」

 

 氷面鏡さんがキツい口調で言い

 

 「 小町ちゃんの為に戦う八兄は強いよ、小町ちゃんに嫉妬するくらいにね… やっぱり本当の妹には敵わないンだなって

 

 どこまでいっても小町ちゃん同様にであって血縁関係も殆ど他人と変わりないしね

 

 それと気休め程度だけど柑橘系の制汗剤とかは犬が嫌うからあるなら用意しておいて

 

 消火剤や発煙筒とか施設内にあるものはなんでも使えばいい

 

 極力そうならない様にはするけど、アタシ達は神様じゃないから絶対にとは言えないしそうなっても責任はとらないとゆーかその時はアタシ達の人生終わってると思うから取りようがない

 

 説明は以上、言い訳は生き延びれたらいくらでもするから後にして

 

 ン、じゃあ行ってくる 」

 

 そう言ってアタシと氷面鏡さんと謎の少女は野犬の撃退に向かう事にした

 

 




Insight洞察力、感応

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