目立ちたくないトラッパーの比企谷八幡   作:春の雪舞い散る

5 / 14
 
 


イヤな再会

 

 

 ⑥  ボランティアスタッフとして

 

 

 そして、この方達は直接お手伝いしてくれる訳ではありませんけど巡回パトロールにより皆さんが危険な生物等に遭遇しない対策を講じてくれているボーダーの皆さんです

 

 こちらのお嬢さんは黒トリガー所有者の八重垣苺さんで嵐山隊と共に公報活動でも活躍されてますから皆さんも名前くらいはご存知ですね?

 

 そう紹介され

 

 「 八重垣苺です 」

 

 「 氷面鏡美奈藻だ 」

 

 そう名乗ると聞こえてくるヒソヒソ声

 

 もっとも、アタシの耳には普通に聞こえてくるんだけどね

 

 いい話も悪い話もさ… だからあの時もホントは聞こえてた

 

 奉仕部の二人が沙希さんに何て言ってたのか聞こえてたけど、あの時はまだ介入すべきかどうかやからないから知らないことにしてた

 

 「 沖縄みたいにそんなには居ないけど毒蛇は居ますし野犬の目撃情報も有りますからそういったモノにむやみやたらに近付かないで下さい 」

 

 そう言って頭を下げるとオリエンテーリングの説明に入ったので巡回コースとの兼ね合いもあるのでそのまま聞いていた

 

 

 そして、アタシはそのパトロール中に見てしまったし知ってしまった下らない苛めを…

 

 同時にイヤな過去を思い出してしまい、苦々しい気持ちがアタシの中から溢れだしぶつけ場所を求める怒りが爆発しそうだった

 

 

 取り敢えずあのアラサーは、自分達大人がすべき事を奉仕部の二人と金髪達に丸投げしたけどアイツ等には絶対無理なのはわかりきっていた

 

 それにも関わらずに、簡単に引き受けるアンタらって何様?

 

 小町ちゃんだって… アタシが、小学校で苛めを受けてたの知ってたよね?

 

 もっとも、アタシとケンカした時にアナタがアタシの悪口友達に言ったのが発端だって覚えてる?

 

 おじさんが命、伯母さんが左足失ったのは法事に来てってアタシがねだりドン臭いアタシが転んで逃げ遅れたから…

 

 事実だよ? だけど、なんでそれをナンの関係もない人から責められなきゃいけないの?

 

 気付いてたんだよ? 小町ちゃんが苛められてるアタシを見て嘲笑っていたのを… だからアタシはアナタを信じない

 

 所詮、リア充… 八兄はハイブリッドボッチって言ってるけどアタシの目にはプチスナフキンにすぎない小町ちゃんは孤独ごっこを楽しんでるだけでアイツ等の仲間なんだって理解したんだ

 

 悲しくて腹立たしかったけど… その悲しみと怒りをしてるをボーダーの訓練にぶつけた

 

 ボーダーに入って訓練の為に学校を長期間休み玉狛支部に隠って訓練と、隠し扉で千葉と三門を自在に行き来できる様になってからは防衛任務で休み勝ちになってアイツ等とは顔をあまり会わせなくなり…

 

 悪戯に出した留学希望申請だったけど、見事合格して留学したから日本の学校には通わなくてもよくなった

 

 元々お父さんの弟弟子の人がベカスを拠点に活動してる人の実家がL.A.に在るから、そちらにホームステイして通う予定たったし

 

 高校からアメリカの学校に留学してマジックの武者修行をするつもりだったから勉強も人の倍以上に頑張ってたこともあるんだけどね

 

 そう… この頃は未だ、八兄も…八重洲と八幡も誰一人としてボーダー入りしてなかったから八兄はもちろんの事、伯母さんや小町ちゃんはアタシの黒トリガーの能力を知らなかったし教えてなかった

 

 ボーダーに入って黒トリガーの制御を学んだアタシには… 距離も国境もその意味を失い自由に行き来していたとは、残念ながら言い難く

 

 やはり時差がネックとゆーか、大きな障害になっていたからね

 

 まぁそんなモノナンかにメゲル事なく留学先とボーダー基地を行き来してたけど比企谷家には顔を出さなかった

 

 日本に居る事は比企谷家には伏せておいて小南さんに泊めてもらったりして比企谷家とは完全に距離をおいていた

 

 伯母さんや八兄には悪いけど比企谷家を出て小町から決別するのを目標にしていたんだから…

 

 雪ノ下の次女とお団子が沙希さんの問題に介入したのも小町ちゃんがアイツ等に話して助けを求めたから余計に話をややこしくしたらしい

 

 結論、八重垣苺は比企谷小町が嫌いだ… いや、違うな… 嫌いになった、だな

 

 だからアタシは小町ちゃんを二重の意味で小町ちゃんをボーダーに誘わない

 

 大好きだった小町ちゃんの手をアタシみたいに血で汚したくない

 

 アタシの手は、ボーダーに入る前から既に汚れてたからなにも気にする必要なかったし居場所がほしかったからありがたかった

 

 そして、大嫌いになったからボーダーにまで来てほしくなかった… ボーダーはアタシの唯一の居場所なんだからそこまで小町ちゃんに奪われたくないから

 

 だから、アタシは小町ちゃんをボーダーに勧誘しなかったし八兄も小町ちゃんに戦ってほしくないからボーダー入りを望まなかった

 

 

 

 

 ⑦  野犬騒ぎ勃発

 

 

 野犬に取り囲まれ泣いている少女達を見て

 

 「 バカが… 人の警告聞かないで野犬にいらないちょっかい出すからそんな目に合うんでしょうがっ! 」

 

 四~五人の児童達が十数頭の野犬達に取り囲まれているのを見てそう感じていた

 

 もちろん、この状態を総武高校の連中になんとかできる話じゃなくアタシ達がクラッカーとスリリングショットで追い払った

 

 アタシ達は猟有権をもってないからな

 

 狩れない事はない、アタシも氷面鏡さんもね

 

 でも、この権利社会においてそんな勝手な事はできないからアタシ達は狩らないで撃退するだけ

 

 問題の先送りに過ぎないけど、それらの問題をクリアするのはアタシ達じゃないし群馬の知事さんや千葉の市長さんでもない

 

 もちろん、両者が関係無いわけじゃないけど問題解決のために一番に頑張らなきゃいけない人達じゃないとそう思っているだけだ

 

 今回も、当たり所が悪かった… ツイてない三頭が命を落としたから体裁上は猟友会が仕留めた事になっているけどその気なら全滅も可能だった

 

 ただ、アタシ達は野犬に恨みはなく、特に今回は仔犬に石を投げたクソガキ共に非があるんだからな?

 

 だからできるだけ殺さなくても良いようにクラッカーを派手に鳴らしたし、まずはスリリングショットで威嚇射撃もした

 

 それでも襲ってきたからやむなく迎撃し撃退した

 

 好きとか嫌いじゃなく、そうしなきゃいけない立場だからね? アタシ達はさ…

 

 そう、例えてゆーなら 『 悲しいけどこれ、戦争 ( お仕事 ) なのよねっ! 』ってとこかもしれないしまさにこれ、すまじきは宮仕えなのかもしれない

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。