ギルド本部へ来た一護とアスナは、ヒースクリフが座っている幹部の部屋へとやってきた。
「やぁ、一護君。来てくれたか。」
「あぁ、早速、攻略会議を開いてくれ。」
一護は、険しい顔でそう言うとヒースクリフは、「分かった」と言って動きだした。
しばらくして、ヒースクリフ団長から連絡の来たギルドメンバーが集結していた。その数、ざっと数十人……。
「全員、集まったようだな……。では、攻略会議を始めよう。今回のボスは、巨大な仮面の被った怪物だ。しかも、謎の破壊光線を放つらしい。」
ヒースクリフは、部下から受け取ったボスの情報を頼りにみんなに説明をしていた。説明を聞いた一護は、そのフロアボスに心当たりがあった。
『
「どうした?一護君、心当たりがあるのか!?」
「あ、いや……気のせいだ、続けてくれ。」
質問してきたヒースクリフに対してそう答えると一護は、話を最後まで聞いた。その後、血盟騎士団は迷宮区に入るとホップするモンスターを倒すと遂に迷宮区最奥部にあるボス部屋の前までやってきた。
「良いか、我々の目的は一日も早くこのデスゲームを終わらせることだ。」
「「「おぉーーー!!!」」」
各自の気合を確認したヒースクリフは、ゆっくりと扉を開けた。すると、3体の
「やっぱりか……。」
そう呟いた一護は、柄に手を伸ばして大刀を鞘から引き抜いた。すると、メノスは何かを発射しようとする。
「
一護は、そう言って他の仲間に伝えるが既に遅かった。虚閃は、一護とアスナ、そしてヒースクリフ以外の攻略組のメンバーに直撃した。
「嘘、一撃でHPがゼロに……。」
アスナは、虚閃の威力を見てそう呟いた。そこには、絶望という文字がピッタリだろう……。
しかし、一護は違った。虚閃を放ち終えた一体のメノスへ向かって思いっきりジャンプした。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!」
「一護君!!」
そんな一護を止めようとするアスナだが、一護は、振り被った大刀を思いっきり振り下ろしてメノスの仮面を真っ二つに斬り倒した。
仲間が倒されたことで残り2体のメノスは怒り、再びフィールドへ虚閃を放とうとした。
『やっぱり、こっちの世界に来てる虚やメノスは本来のように仮面を割れば消滅するのか。』
一体を倒した一護は、メノスや虚が通常通り仮面を割れば倒せることを確認してから周囲を見渡した。すると、まだHPのゲージが緑色のアスナの姿があった。
「一護君、前ッ!!」
「何!?」
一護は、そう言って前を向くと一体のメノスが虚閃を放ってきた。迫り来る虚閃を前に一護は、叫びながら両腕に力を込めると大刀の刀身が青白く輝いた。
『頼む、耐えてくれッ!!』
そう思いを込めながら向かってきた虚閃をソードスキルを発動させた状態の刀身で受け止めようとした。
「うぅッ!!」
虚閃の威力が強すぎたのか、あるいは斬魄刀ではないからなのか一護が押されてると誰もが見て分かった。大刀にほんの少しだけ小さな亀裂が入り始めたのを一護は、確認した。
『どうする?瞬歩で逃げたいけど……今の俺に死神の力はない。それに、後ろに居る仲間を見殺しにする事なんて俺には、出来ねぇ!!だから頼む!俺に……俺に力を!!……みんなを護る力を!!』
虚閃を受け止めながら一護はそう祈っていた。すると、急に青白い光が彼の剣の刀身を包み込んで激しく光り始めた。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」
叫びながら一護は、思いっきり振り下ろすと虚閃を防ぐことに成功した。
「す、スゲー……。」
「あいつ、あの光線を防いだぞ!!」
それを見ていた他のプレイヤーは、驚いていた。一撃でHPを根こそぎ奪っていく光線を大刀のみで防いだのだから。
「……さて」
そう呟きながら一護は、右手で握った大刀を肩に乗せて堂々と立っていた。
「終わりにしようぜ……。」
そう言うと一護は、思いっきりジャンプして先ほど虚閃を放ったメノスに近づくと振り上げた大刀を鋭く振り下ろして仮面を真っ二つに割った。
「す、凄い……。」
「アスナ、そっちに向かったぞ!」
「え、えぇ。了解!!」
そう言うとアスナは、レイピアを素早く動かしてメノスの足者にソードスキルを決めた。
「スイッチ!」
アスナの叫び声と共に一護は、後ろからメノスの顔面まで勢いよくジャンプし、大刀を振り下ろした。仮面の崩壊とともにメノスは、姿を消した。その代わりに《Congratulations》と言う文字が彼の前に出ていた。
「これで……終わりか……?」
息を切らしながら戦闘を終えた一護はそう呟くと大刀を背中にある鞘へと戻した。
「やったね!一護君!!」
「あぁ、次の階層へ行こうぜ。」
そう言うと攻略組は、次の階層へ目指してまた一歩、歩み始めた。
『メノスもデータ化されたのか……。』
宿に戻った一護は、一人部屋で考えていた。他の攻略組メンバーは、「ようやく半分だ」と喜んでいたが一護だけは違った。
『メノスより強い隊長格や破面も普通にいる……そいつらと今の力で対等にやり合えるのか!?』
「何怖い顔してるの???」
そんな考え事をしてる一護に対して部屋に入ってきたアスナは、優しく声をかけた。
「アスナ……いや、何でもない。」
「そう?私には分かるよ。一護君、今凄く怖い顔してる。それに、あのバケモノの放つ光線も知ってたし……。教えて、一護君は一体何者なの!?」
少し寂しそうな顔でアスナは、一護に質問した。彼女も薄々感じていたのかもしれない。一護がこの世界からではなく別の世界から来た人間なのだと……。
「ここまで来ればもう隠す必要もねぇーだろ。」
「え?」
「アスナの感じてる通り……俺は過去からこの世界に侵入してこのゲームのバランスを崩壊させた元凶、を倒す為に……。だから、今回戦ったメノスだって知ってるし今後出てくる死神たちや虚、破面も知ってる。」
「そ、そんな……」
「隠しててごめんな……それと、誘ってて悪いけど……、俺はギルドを抜ける。藍染との戦いにアスナ達を巻き込みたくない。だから……ごめんな……。」
そう言って一護は部屋から出て行った。彼は、この《ソードアートオンライン》と言うデスゲームの中で藍染惣右介の野望と一人戦う事を選んだ。
一護が、アスナと別れたほぼ同時刻……。
アインクラッドの100層にあるボスの部屋で椅子に偉そうな態度を取りながら腰かけている一人の男性がいた。
彼の名は、藍染惣右介。
この仮想世界を侵略しようとする者だ。
「やぁ、目覚めたかい?」
「……はい。」
その藍染の正面に黒いロングコートを身にまとった仮面の剣士が立っていた。剣士は、まるで機械のような口調で藍染の質問に返答した。
「君が今回倒す敵はこの人だ」
そう言って藍染は、指を鳴らしてモニターを動かすとそこに一人の男の映像が流れた。
その強さは、コピーした隊長格と同等と言っても過言ではない。大刀を振り回して次々と敵を斬っていく……。そう、その男は紛れもなく黒崎一護の姿だった。
「この男ですか?」
「そうだ。それに、彼は今ソロの状態だ。何度か奇襲をかければ殺すことも容易いだろう。そこで、君にこの男を倒してもらいたい。良いかね?」
「承知しました。」
そう言い残して剣士は、藍染のいる部屋を後にした。
《次回予告》
ソロで活動することにした一護は、一人ながらも次々と他の階層を攻略して行った。
そんな中、第62層のフィールドで命の危機に瀕している少女と出会う。
第8話「蘇れ、ピナ!~シリカの願い~」