死神代行黒崎一護は、SAOの現実世界にやって来るとそこで待っていたのは藍染惣右介と朽木ルキアだった。動揺する一護に構わず攻撃するルキアだが、何とか追い払うことに成功した。
そして、この世界の住人である桐々谷直葉と出会う。兄想いな妹直葉の想いを受け継いで一護は、仮想空間へと向かう!!
しばらくして一護は、ゆっくり目を覚ますと自分の視界に映り込む手や身体を触りながら確認していた。一護の装備は全て初期の装備で今、彼がいる場所はアインクラッドの第一層。半年前、全ての始まりはここから始まったと言っても過言ではない始まりの地だった。
「ここが……仮想空間か。」
そう呟いた一護は、次に辺りを見渡して話しかけやすい人を探していた。何もかも初めてな一護にとってそれが不安を解消する唯一の方法だった。
「おい!」
一護は、振り向くと何者かがいきなり剣を振り不意討ちをしてきた。それを躱した一護は宙返りして体勢を整えた。
「何者だ!?」
「悪いが、愛染様の為に貴様にはここで死んでもらう!」
良く見ると、黒い死覇装を着た死神が10人ほど立っていた。彼らのカーソルは赤……。ボスモンスターや人を殺した事のあるレッドプレイヤーなどにつく色だ。一護は、代行証を使い死神になろうとしたがその代行証すらない事を知った代わりに背中にさやに仕舞われている大刀がある事に気づいた。
「……死神の力もどうやら
一護は、彼らの表情や視線でそれを判断して背中に装備していた剣に手を伸ばしてゆっくり抜き構える。その剣は、大刀。それも一護がルキアから初めて死神の力を受けた時に発生したあの無銘の剣だった。
「さて…行くぜ!」
そう言って大刀を肩に乗せた一護は、死神達に睨みを効かせると何人かビクついたが先頭にいる人以外は、鞘から剣を抜き取り構えた。
「「「ウオォォォォォォォォォォォォッ!!!!」」」
そう叫びながら一護へ向かって突き進む死神集団の剣を全て躱して一護は、大刀を振り回して死神集団にダメージを与える。すると、死神達のHPが一護の与えた一撃により相当減って赤になった。
(どうやら、格闘ゲームと同じ要領みたいだな……。次の一撃で終わらしてやる!!)
「ウオォォォォォォォォォォォォッ!!!」
そう叫びながら一護は、大刀を両手で持ち思いっきり振り上げた。すると、大刀の刀身が青白く光り出した。
(な、何だ?これ。月牙天衝?……じゃないみたいだな。)
突然の事に驚きを隠せない一護だが、迫り来る死神集団に向かって思いっきり振り下ろした。
すると、物凄い圧力によって吹き飛ばされた死神集団に今度は一護が近寄り次々と斬り倒して行った。
斬られた死神集団は、HPがゼロになりその場で消滅した。大刀を背中にある鞘に仕舞いこむと、一護の目の前に敵を倒した報酬みたいなのが映し出されていた。そこで一護は、ある異変に気づく。
「な、何だこれ?Lv.90?」
今、始めたばかりなのに一護のレベルは90になっていた。まるで、今までの戦闘データもそこに組み込まれてるかのように……。
「君、ちょっとイイかな?」
一護は、少し身構えながら振り向くとそこには、凛とした男性プレイヤーが立っていた。
「そう身構えなくていい。私は、
「初めまして。俺は、黒崎一護だ。」
一護がそう言うとヒースクリフは、クスクスと笑い出したが、一護には何故笑ってるのか意味が分からなかった。
「何がおかしい?」
「いや、失礼。まさか、リアルの名前を言うとは思ってなかったからね。」
「俺、実は今日始めたばかりでこの世界のこと全くわかってないんだ。それに、リアルだろうがゲームだろうが俺が名乗る名前に変わりはねぇし。」
「分かった。今後、黒崎君と呼んでもいいかな?」
「あぁ、問題ないぜ。」
「では、立ち話も何だし何処か移動しようか。」
そう言うとヒースクリフは、一護を連れて近くのレストランへと入り込むと一番奥の席へと座り込んだ。テーブルに置かれたお冷を口にしたヒースクリフは、少し間を挟んでから一護に質問した。
「単刀直入に言おう。我ギルド、血盟騎士団に入ってほしい。それで、攻略組を再び復活させこのデスゲームを終わらしたいと考えている。君の剣術を見て頼んでいるのだが……どうかな?」
「別に俺は構わねぇけどよ、この世界について情報が知りたいんだ。その血盟なんちゃらに入る代わりに幾つか教えてくれないか?」
一護が出した条件にヒースクリフは、快く了解して彼の質問に全て答えた。
「なるほど……。藍染のせいでこの世界のゲームバランスが崩れたのか……。」
そう呟いた一護は、腕を組んで考えるが、ある言葉が彼の頭の中をよぎった。
それは、桐々谷和人の妹桐々谷直葉の事だった。彼女は、自分の兄を助けたいと言う強い想いがあった。
「なぁ、もしこの世界で死んだらどうなんだ?」
「もしHPがゼロになったら今君が装着しているナーヴギアから特殊な脳波により脳を焼き尽くすと茅場晶彦は言っていた。最初の頃、説明と同時に茅場がリアルのニュースを見せてたぐらいだから本当だろう。」
「そうか……。分かった、サンキューな!」
そう言うと一護はレストランを出ようとしたが、ヒースクリフは少し待たせた。
「我、血盟騎士団はまだ人数が少ない。君も血盟騎士団副団長として戦力になりそうな人たちを集めてほしい。」
「分かった。それじゃあ、明日な!」
そう言って一護はレストランを後にすると鍛冶屋か何処かで装備品である服を手にしたいと想い街を歩いていた。
「そこにお兄さん。何か買ってかねぇーか?安くするぜ!」
街を歩いている一護に声をかけたのは、エギルだった。一護は、エギルの店の中に行き売り場に並んでいる装備品を一つ一つ確認していた。
「なぁ、服ってあるか?」
「あぁ、これなんてどうだ?」
エギルは、そう言って黒と白のコートみたいなのを一護に見せた。
「じゃあ、これにしようかな。」
「まいど!」
こうして、服を購入した一護は装備メニューからそれを選択して装備した。
「そう言えば、一ついいか?」
「ん?何だ??」
「ここら辺に閃光のアスナが居るらしいんだけど……知ってるか?」
「あ、あぁ。知ってるけど……何でだ?」
「ギルドってのに誘いたいと思って…この辺りじゃあスゲー強いって聞いたから。」
「おい、ちょっと待てよ!!」
店内に入ってきた男性プレイヤーが一護の胸元を掴んできた。その男の正体は、クラインだった。
「おい、落ち着け!クライン。」
「これが落ち着いてられるか!ソロだったけど……キリトだって立派な俺達の仲間だ!仲間が死んでショックのアスナさんをまた戦場へ連れ出そうって言うなら俺が許さねぇー!!」
「じゃあ、テメェは現実に帰りたくねぇのか?」
クラインは、エギルの忠告を聞かず一護に訴えた。仲間が死んでショックなのは一護にも伝わる。しかし、一護はそんなクラインに一つの質問をしながらクラインを細い目で睨みつけた。
「帰りてぇーさ!けどよ、俺達が再び剣を握ることはもう……。」
「何畏れてんだよ……恐怖を捨て、前を…現実を見ろよ!!キリトって奴もだってそう思ってるはずだ!自分の敵を仲間が必ずしてくれるって信じてな……。」
一護もクラインの胸ぐらを掴んでそう言った。確かに人は誰しも悲しい時もあれば絶望だってする。でも、一護はその試練を誰よりも多く経験してきたから言える強い言葉だった。
「お前、口だけは達者みたいだな。それだけ言うってことは実力はあるんだろうな?なら、俺と
「デュエル?」
デュエルを申し込んだクラインは一護から手を離して外へ出るように合図するとクラインの後に続いて一護は、エギルの店の外へと出てきた。すると、クラインはデュエル申請を一護へ送り許可を待った。それに対して一護は、丸ボタンを押して初撃決着モードにした。それを見たクラインは、ゆっくり鞘から日本刀っぽい剣を抜き出して構えると、一護も背中にある鞘から大刀を突き出して構える。刻々と秒数だけ減っていった。その様子をエギルの店の2階の窓からじっくり見てる人が居た。その人物は何故か、一護が亡くなったはずの大切な仲間に見えた。
遂に、カウントダウンが終わりデュエルスタートになった。
「行くぜ!ハァァァァァァァァァッ!!!」
クラインは、一護に近寄り剣を振って彼の大刀と剣を交えた。
《次回予告》
クラインとのデュエル……。
男と男の真剣勝負に果たして、一護は勝てるのか!?
そして、遂にアスナがレイピアを持ち一護の前に現れる。
第5話「一護VSアスナ!」