△月○日
本日は休養日。
正確に言うと艦長達が今後の方針を相談中な為、時間が出来たというのが正しい。
そういう訳で新規合流した人達と交流する事になったり、色々な話をする事になった。
話題の一つとしてはナインがチトセの事を姉さん、ソウジさんの事をキャップと呼び始めた。俺?俺は普通に名前呼びである。
最初は希望はあるか聞かれたのだが、好きに呼んでいいと答えた為、名前になったようだ。何故か顔を赤くして色々と葛藤してたけど。可愛い。
しかしそんな中で、ミスルギ皇国の皇女がノーマである事が発表された……訳だが俺達転移者組にとってはノーマってなんぞや状態である。
まぁ、遠い国の話であり追放された皇女は国外で暮らす事になるんだろうな、的な話であった。……勿論、そんな事はないんだろうけど。
しかしクロスアンジュか。となるとここにもやっぱりあいつ等が出てくるんだろうか……?
そんな話をしていると、会議が終わったらしく次の目的地が決まったようだ。
太平洋にある、不可思議な場所、エリアD。
うーん、考えすぎかもしれないけど、もしかしたらあれがあるんではなかろうか……?
△月●日
当たりだったよ!
エリアDに向かった俺達を待ち構えていたのは無人のMS部隊であった。
モビルドールみたいなもんかと思い、適当に蹴散らした。
ここまではいいのだが次に出てきた連中を見て、さすがの俺も度肝を抜かれる事になった。
異常な磁気嵐から現れた連中、それはなんとドラゴン!やっぱクロアン案件でした
まさかこんな所でドラゴンを見る事になるとは、分かってても驚くわ!気分はモンハンのハンターか、地球防衛軍の兵士気分である。EDF!EDF!
舞人によればドラゴンはこの地球で見た事はないとの事、そりゃそうだ。設定通りならあちら側からやってきているのだろう。
で、やってきたのはドラゴンだけではなく追加でやってきたのは潜水艦とガンダム!ってあれΞじゃねぇかぁぁぁぁ!マフティー・ナビーユ・エリン!?どうしてここに!?
Ξガンダムばっかに目が行ってたけどあの潜水艦ってもしかしてミスリル?トイ・ボックス?トゥアハー・デ・ダナン?
この世界にASがあるような記録はなかったけど、ミスリルいるの!?
と思ったが、彼等はドラゴンと一緒にやってきた。それはもしかしたらつまり……。
ホシノ艦長が上手く話しをつけてくれたおかげで、潜水艦と無事に共同戦線を張って、更にASの存在も確認。アーバレストがいたから間違いなくフルメタである。
そしてドラゴン退治をしていたのだがここでパラメイルが三機出現。まぁ、ドラゴンが出てきたらそりゃ来ますよね。
で、戦闘終了後、パラメイルはこっちの呼びかけを無視して撤退しようとしたのだが、まさかのあちらからアルゼナルに招待される事になった。
マジですか。
△月◎日
クロアンの基地であるアルゼナル到着前にミスリルの面々と会う事になった。
ミスリルのメンバーは俺の知ってる通りだった為、割合。で、驚いたのはΞガンダムのパイロットがハサウェイ・ノアという点だ。
自己紹介の時に普通にハサウェイと紹介されたし、肩書きもテストパイロットだと言う。
ふむ。となるとマフティーは結成されていないという事か。
しかしこれは困った。実はヤマトの世界ではマフティーの乱が起こっており、首謀者がハサウェイ・ノアだという事も判明している。
チトセ達は気づいていないようだが、トビアは気づいている様子。この話は出したら駄目な奴だな……。
そんな会話をしてる間にアルゼナルに到着。
ホシノ艦長とスメラギさんに加え護衛数名が話しを聞きに。
俺達は何かあった時の為に待機である。
そいて判明したのはノーマの行き着く先がここであり、ドラゴン退治の専門家であるという事。そしてアルゼナルがこっちを招待した理由は助っ人要請という事だ。
艦長達は何か不可解に思っているようだが、まさにその通り。
裏にいるあれは色々とやばそうな感じがする。
△月△日
本日は敵襲なく平和な一日。
時間もあった為、トビアと一緒にΞガンダムの調査をする事にした。
幾つか判明したのは同系統の技術が使用されているという事だ。
トビアはあの世界の過去からやってきた可能性を考えているみたいだが、それだとX1とΞの性能が同じぐらいなのはおかしい気がする。
それとも空白の10年や100年の間に技術が衰退してしまったのだろうか?
うーん、疑問が尽きない。
△月▼日
数日が経った。
俺達に出撃命令は出なかったが、何度かドラゴンの襲撃があった。
そしてそんな中で数人のパイロットが亡くなったらしい。
もし、原作通りに進んだとしたら亡くなったのは……。
△月□日
遂に出撃命令が下った。
アルゼナル周辺でのドラゴン迎撃任務である。
と防衛準備をしていたのだが、そんな所に最初に飛び込んできたのはドラゴンではなくMS。しかもZZガンダムにZガンダム、百式、ガンダムMkⅡであった。
ってガンダムチームじゃねーか!パイロットもご丁寧にジュドー、ルー、ビーチャ、エルの四人だし!
ハサウェイの仲間だと言う。ええい、あっちの世界はどうなってんだ!?
戦力が増えて、ジュドー達を追ってきたドラゴンを迎撃していたのだが、ここでクロアン主人公ことアンジュがヴィルキスに乗って出撃してきた。
死ぬつもりだったらしいが無意識の内に回避を繰り返した後、ジュドーと刹那に叱責され生きたいという気持ちを覚醒。ヴィルキスも覚醒して見事に迎撃していた。
その弾けっぷりは凄まじい物だった。こえーよ。
出撃後、ヤマト組みと話をしたのだが、やはりハサウェイ達は過去ではなく別世界の可能性が高いようだ。
なんとあちらの世界では災害で海が赤くなってしまったらしい。なにそれこわい。
まぁ、そんな大災害があったら記録に残るに決まっているのに、残っていない。となるとやはり別世界か。だけど赤い海……まさかなぁ……。
でガンダムの類似性に関しては千鳥さんが意味深な事を言って立ち去っていった。「ウィスパード」の能力か……。しかしどういう意味なんだろうか……?
△日☆日
アルゼナル周辺を調査した結果、ドラゴンばかりで火星の後継者の影も形もない事が分かった。
そういう事で部隊を二つに別ける事になった。
日本へ戻るのはナデシコBを母艦に勇者特急隊とトビア、ハサウェイやジュドー達のMS部隊。アルゼナルに残るのはソレスタルビーイングとミスリルの面々になった。
俺やソウジさん達は相談した結果、俺とチトセがアルゼナルに残り、ソウジさん、ヴェルト、ロッティの三人は日本へ戻る事となった。
同じチームで動いてもいいんだけど、五人全員で同じ部隊だとちょっと数に偏りが出るので、補強みたいな形で分かれる事になった訳だ。
なんかソウジさんに頑張れよ、って言われたけど何を頑張れと……?
△月★日
アンジュが行方不明になった。
あー、そういえばそんなイベントあったっけ。という事は原作通りなら今頃、どっかの島でタスクとよろしくやっているのだろう。
アルゼナル側、と言うより司令であるジル達が焦っているようだ。まぁ、アンジュの身柄というよりはヴィルキスの事が心配なんだろうなぁ。
さて、俺も捜索に出るとしますか。
△月@日
アンジュ遭難から一週間。これだけのメンバーがいるなら原作より早く見つかるかもしれないと思っていたのだが、中々発見できないでいた。
俺達は毎日朝から晩まで捜索をしていたのだが、アルゼナル側からすれば不気味に見えたようだ。これはやはり人間扱いされていない事が原因なんだろうか。
しかしアルゼナル側との衝突もチラホラ見られるようになってきた。今日なんかチトセとヒルダの奴がぶつかってたし。
で、外部協力者からの連絡でアンジュ発見の報を聞いて、駆けつけた訳だが、まさかのインフィニットジャスティス!アスラン!アスランじゃないか!そういえばここってオーブの近くだっけ。
まさかの協力者が彼等とは驚いた。
同時に襲ってきた敵がドラゴンじゃなくて、あの次元の狭間で出会った正体不明の白い連中だとは思わなかった。
あの時の転移で俺達と同じように飛ばされたのだろうか。しかしどうしてこのタイミングでここに現れたんだろうか?
もう一つの疑問は標的が俺とチトセのゲシュペンストだった点も気になる。
チトセが仇討ちの事を話してたけど、それならクアンタとラファエルも狙われてもおかしくないのだがそんな素振りは見えなかった。どういう事だ……?
撃退は楽だったけど、謎は残った一日であった。
それとアンジュの雰囲気が少し柔らかくなった。大変な一週間だったけど、良かった良かった。あっ、タスクは原作通りいたようです。
追記:アスランに赤い閃光なんて通り名がついていてちょっとびっくりした。
△月?日
アンジュ帰還パーティを得て、アンジュは若干だがとっつきやすくなったものの、相変わらず問題だらけ。
チトセもよくパラメイル隊と話をしているが、色々と衝突したりしている模様。なんか今日、エルシャやヴィヴィアン達に囲まれてたっけ。赤い顔でこっちを見てたけどなんかあったのかな?
で、アンジュと他メイルライダーが衝突する原因はどうやら金問題らしい。金、キャッシュである。そういえば原作でもあったような気がするな、この問題。
アンジュ大活躍!アンジュ大儲け!他のみんなは安給料。悲しい。
それが原因で俺達外部協力者とも連帯はあんまり上手くいっていない。こっちが撃墜するとやっぱり給料が減ってしまう為だ。
因みに俺は勇者特急隊の一員という事で旋風寺財閥から給料貰ってます。
どうしたもんかと思ったら、なんか侵入者がいた。
みんなして敵か!?と思ったが、俺は一人だけあっ、となってしまった。思い出した、気づいた。
アンジュの侍女であるモモカである。ノーマと判明したアンジュを最後の最後まで裏切らなかった従者の鏡みたいな人である。
しかし再会できたのはいいが、その処遇が問題である。ドラゴンの事は秘密。知られたからには、処刑だそうだ。
うーん、原作ではアンジュはどうやって助けたんだっけ……?
△月<日
思い……出した!
そう、そうだったっけ!
アルゼナルらしいルールだ。だが、これならばなんとかなる筈だ。
えーっと俺の手持ちは……。
△月>日
アンジュがアスランとヒルダ達三人と一緒に出撃した。なんか決着をつけるのだとか。
ドラゴンは問題なく撃墜したのだが例の無人MS軍団が襲ってきたので俺達も出撃。到着して早々、アンジュとヒルダ達の言葉による殴り合いが勃発してた。悪化してるじゃねーか!
で、これにはスメラギさんも激おこ、激おこぷんぷん丸である。
一喝して見事に纏め上げてしまった。というか、アンジュ達の第一中隊がソレスタルビーイングに買い取られてた。この展開にはさすがにびっくりである。
ヒルダ達から文句が出たけど、ジル司令は喜んで売るという連絡。あーあ。
アンジュ達はヤケクソ気味だったけど、連帯も少しはできるようになったから良かったんじゃないかなぁ。
しかし気がついたら、マークデスティニーのファクターことシン・アスカとその嫁、ルナマリア・ホークが合流してた。アスランが助っ人として呼んでいたらしい。
さて、アンジュにとっては戻った後が本番である。
△月¥日
祝!モモカ生存!
いやぁ、無事で良かった良かった。
助けた方法は単純明快。金で買ったのである。金さえ積めば何でも手に入る、というアルゼナルのルールがあったからこそである。
気がついたら俺も手持ちの金を全部渡しておいたから少しは役にたっただろう。
アンジュからはお節介な奴、と言われたがありがとうとも言われた。うん、良かった良かった。大切な人を失わずに済んだのだ。まぁ、俺の支援なんか焼け石に水で借金してたみたいだけどね。
△月$日
最近、アンジュとモモカとよく話すようになった。まぁ、軽い挨拶や食事を一緒にする程度だけど。
そんな中でチトセから変な目で見られてるような気がする。というかチトセの様子がおかしい、なんだろうか?
△月%日
今日はデスティニーやジャスティス、インパルスを見せてもらった。さすがガンダム、イケメンである。
少し前からだがあの憧れの機体を見ているだけではなく、機体の構造などにも興味が出てきた。ちょっとずつだが整備の勉強もさせてもらっている。
可能なら俺のゲシュペンストを改造してみたいなぁ、と思ってきた為だ。
ぼくのかんがえたさいきょうのげしゅぺんすと、なんてものを作れたら楽しそうである。
タイプRは改良型があるけど、タイプSはないからなぁ……。
って事で今日も勉強である。
△月&日
クルツさんからチトセちゃんとの仲はどう?と聞かれた。
良好、と答えたんだがどうやら求めていた回答とは違ったようだ。解せぬ。
俺だって子供じゃないし、クルツさんの言わん事は分かるのだが。
うーん、俺ってチトセの事をどう思ってるんだ?勿論、仲間としては凄い大切なのは分かるんだが。
少し考えてみる事にしよう。
▲月○日
新型もとい新種ドラゴンがやってきた。気分はマジモンハンなんだけど。
しかしあいつが高重力攻撃をしてくるとは思わなかったもとい忘れてたわ。アンジュが高熱を出した時点で思い出しておけば良かったのだが。
だけどあの初物ドラゴンを見た瞬間、嫌な予感がしたので思わず上空に向かって全力退避したおかげで重力攻撃から回避する事に成功した。
この時点では重力の事は思い出していなかったのだが、よく回避できたな俺。
だけどタイプSじゃ重力圏外からの攻撃手段は乏しい上に、他ドラゴン達の妨害が酷すぎて初物に近づけないでいた。
そこにやってきたのはまさかのダブルヴィルキス、ではなくヴィルキスとストライクフリーダム。キラ・ヤマトである。まさに舞い降りる剣状態!
高熱フラフラのアンジュとサリアの指揮のおかげ?で重力攻撃も解除できて、サリアは指揮官として一皮剥けたみたいだ。
中隊もチームとして纏まりつつあるようだし、少しずつ前にいけてるかな。まぁ、代わりにシンとキラの間で微妙な雰囲気が流れてるけどな。
▲月●日
アルゼナルから出発。日本のナデシコBと合流する為だ。
で、アンジュ達もこのまま一緒に来る事に。外に出られる事に驚いてたけっか。俺も少し驚いてるけど。
久々にソウジさん達との合流だ。
どうせあっちも色々とあったのだろう。話を聞くのが楽しみだ。
アンジュから見て高坂翔はお節介な奴である。
モモカを助ける為に金策をしていた所に現れて、結構な額の金を置いていったのだから。
(まぁ、そのおかげでモモカを買えたんだけど)
最初は邪な目的でこっちに近づいてきたのかと思ったのだが、そんな素振りは一切見られない。
本人は至って普通通りに過ごしているのだから少し拍子抜けしてしまった。
「ようアンジュ。今時間あるか?」
「ショウ」
「時間があるならお茶にしないか?」
「それってナンパ……な訳ないか」
噂をすればアルゼナルの通路でばったりあってしまった。
そしてお茶に誘ってきたのである。
これが、あの金髪軟弱男もといクルツならば素気無く断っていたが、翔はそういう目的で誘ったりしないだろう。
多分だが……。
「モモカに誘われた?」
「ああ。さっき宗介やかなめ、エルシャ達と一緒にいる所にばったりあってな。そこで誘われた」
それに快諾した結果、アンジュを探しに来た、という事だろうか。
そういう事ならば断る理由はない。参加する事にした。
「後、チトセを見なかったか?」
「ごめん、見てないわ」
「そっか。じゃあ会場は」
「どうせいつもの場所でしょ。先に行ってるわ」
「ああ」
それだけ言うと翔は千歳を探しに別方向に歩いて行く。
その後姿を見て思うのは、異世界からやってきたというのによく人助けなんてできるな、という事か。
ノーマとして国を追われた自分は色々な意味でいっぱいいっぱいだったと言うのに。
(生粋のお人よしって事かな)
とりあえずそう納得しようとして、翔から視線を外そうとして……。
「え?」
それを見た。
次の瞬間には翔は通路を曲がって姿を消してしまったが、先ほど、確かにアンジュは見たのだ。
「……黒い……靄?」
一瞬、翔の姿が黒い靄のように包まれた事、そして同時に靄の先に翔以外の誰かがいた事。
気のせいではない。
間違いなく、そこに誰かがいたのだ。
それを認識した瞬間、自分でも理解できない寒気が襲い掛かる。
どうしてそんな気分になるのかまったく理解できないままアンジュは通路で呆然と立ち尽くすのであった。