笑顔は太陽のごとく… 《用務員・長門編 完結済》 作:バスクランサー
喉も痛くなりました。
皆様も体調にご注意を…
それでは本編どうぞー。
ーーーとある夜 第35鎮守府 食堂
「今日はありがとな、誘ってくれて」
「いいってことよ!じゃんじゃん呑もうぜ、長門さん!」
ノリノリで絡んでくる隼鷹。その隣には那智、足柄もいる。
何故こうなったかというと、今日の仕事を全て終えたところに、ちょうど彼女たち3人がやってきて、今日飲み会をしないか?と誘われた。
そしてその誘いに乗ることにして…今に至る。既に焼き鳥などおつまみ、酒も肴もを3時間飲み食べ放題の酒盛りコースで間宮と鳳翔に注文は済ませている。今は料理が来るのを待つばかりとなった。ちなみに料金はかなり良心的。リーズナブル。お財布に優しい。
「私も酒飲みならかなりイケるぞ、長門。」
「私も!この際、長門と隼鷹と那智姉さんで、どれだけ呑めるか競走ーーー」
「「足柄(姉さん)?」」
「なに…はっ!?」
突然、足柄の肩にポンッ、と手を置いたのは…
「あなたいつも調子に乗って痛い目みてるのよ?あなた自身も、それに周りも。」
「あまり、その…飲みすぎないでください」
彼女の姉妹艦、妙高と羽黒だった。
「今日はそんなことの無いよう、私たちも参加します。すみません鳳翔さん、私と羽黒の分もお願い出来ますか?」
「ええ、少々お待ちを」
そう言って、鳳翔は厨房へ。するとその入れ替わりのタイミングで、店の中にまた1人。
「すみません、隼鷹来てませんか…って、聞くまでもないわね…」
「おっ、飛鷹!」
「隼鷹ったら全く…飲むなとは言わないけど、あなたも節度を守ってね。一応、私も一緒するから」
飛鷹は妖精さんに自分も皆と同じコースを取る旨を伝えた。総勢7人が、食堂の、さながら居酒屋のようなカウンター席に座り、そして…
「お待たせしました!まずはビールです!」
鳳翔、間宮、食堂詰めの妖精さんたちがカウンターを通じて、みんなにビールを配る。
そうとなったらやることは一つ。隼鷹が立ち上がり、音頭をとった。
「では一同、カンパーイ!!」
「「「カンパーイ!!」」」
グラス…というかジョッキを高々と掲げ、私たちの飲み会が始まった。
「妙高姉さん…」
「…いざとなったら任せるわ、羽黒」
「は、はい…」
「え?ん?え?」
ーーー「ぷはぁー!美味いっ!」
「やはりここのメニューは何でも美味しいな…」
「美味しい!あー、生き返るー!」
…飲兵衛組はいかにも美味そうに飲むよな…。よし、私も!ジョッキをむしり取るように豪快に掴み、口へと持っていく。
「ごきゅっ、ごきゅっ、ごきゅっ…あー、美味いっ!」
思わず一気飲みしてしまった。飲兵衛の気持ちもかなり分かるな、こりゃ。
「おお、長門も分かるか!もっと飲め飲め!」
普段は男前だが、ここではめちゃくちゃ絡んでくる那智。
「妖精さん、ビール4人分のおかわりお願い!」
もうおかわりをたのむ足柄。
「ヒャッハー!イエェェ〜イ!」
そのままジャスティス!とか叫びそうな隼鷹。
「ジャスティス!!」
あ、案の定。
するとそこへ、
「お待たせしました!まずは焼き鳥セットです!」
皿に乗った大量の焼き鳥は、たくさんの肉汁を大皿に滴らせ、それは飲兵衛たちのみならずカウンター席の全員の食欲を最大値までに上げる。
「おおっ!いただきまーすっ!」
次々と手が皿へと伸び、焼き鳥を我先にと取っていく。レバー、つくね、鶏皮…どれも塩やタレとの相性が抜群で、最高に美味い。そしてその後から、口にビールを流し込む。たまらない。
「これ…美味しいですぅ!」
「確かに、絶品ね」
「さすが間宮さんに鳳翔さん!」
妙高や羽黒、飛鷹も、焼き鳥を頬張っては満面の笑みだーーー
ーーーその後。
「今度は餃子、ご飯付きです!」
「「「「おぉ〜!」」」」
「「「わぁ〜!」」」
歓声が上がる。さっきからカウンター内でジュー、という音と匂いをこっちに感じさせ続けてきたので、無理もない。
「あー、肉餃子サイコー!」
「この野菜餃子もいけるわね!」
ーーー更にその後。
「新鮮なお刺身、どうぞー!」
「「「「「「「ふぉ〜!」」」」」」」
大皿に乗った様々なネタ。餃子のときの茶碗に、再びご飯を山盛りにして、白い山を魚の赤や半透明の魚介類で飾り付けていく。
「いくら!いくらは美味いぞ!」
「このネギトロ、美味しい!」
「更に!お刺身に合う、日本酒もどうぞ!」
「「「「イエェェェ〜イ!!ジャスティス!!」」」」
盛り上がる私…と飲兵衛。おっと、飲みすぎには注意…っと。なんかさっきから隼鷹、那智、足柄の飲むペースというかおかわりの頻度が尻上がりに早くなっているが…大丈夫なのだろうか…
さらにこの後、キムチや煮物なども食べ尽くし、私の胃と心は完全に満たされた。
だが…
「うぉ〜い、まだ飲み足りないぞぉ〜…ヒック、長門も、おかわりたのめぇー」
顔を真っ赤にしている隼鷹。泥酔状態なのは間違いない。
「長門、長門よ。提督の腹筋が、あのムキムキが触りたいぞ。あの白い軍服の中には、きっと最高の腹筋が…」
上機嫌でかなりギリギリなネタを言ってくる那智。ちなみに飲み会を始めてから、彼女がこの話をするのは4回目である。
「うぉらぁー!みんなもっと飲みなさーい!酒場も、戦いなのよー!」
「あ、あしがらさん!ちょっとのみすぎかもです!」
妖精さんにストップをかけられる足柄。もう周りがだいぶやばくなってきた。
「もう、足柄!いい加減にして!」
「あぁー?妙高姉さんー?姉さんも飲めー!」
「那智姉さん、少し落ち着いて…」
「羽黒、そんなことより、お前も一緒に彼の腹筋を触りに…」
「隼鷹ー!こらーっ!」
「うるせぇぞ飛鷹!飲ませろー!」
飲兵衛と保護者の戦いである。見る限り保護者劣勢。えーと、私もほろ酔いではあるがちゃんと意識や理性ははっきりしている。うん。
「はぁ…ごめんなさい、鳳翔さん、間宮さん」
「いえいえ、気にしないでください。楽しかったので…」
「でもここまで飲んでしまい、ご迷惑を…もうこうなったら…」
すると妙高は羽黒に耳打ちした。妙高はまるで彼女にお願いするように、対する羽黒は少し戸惑っておどおどしたあと、覚悟したかのように、というか観念したかのように頷いた。そして彼女は…
「あの、鳳翔さん」
「?」
「テキーラを一杯」
「テキーラってそれなりに強いお酒よ?」
「そうだな、飛鷹…どうするつもりなんだ?」
私と飛鷹が話しているところに、妙高がやって来た。
「最終兵器中の最終兵器です。うちの羽黒はテキーラを飲み干すと、というか強いアルコールを摂取すると…人が変わります。」
「「えっ」」
そういえば、羽黒は今日、私を含めた7人の中で、酒を飲んではいなかった…
「では…
んっ、んっ、んっ…ヴァァァ!」
テキーラを一気に飲み干し、そしてもはや獣の咆哮のような声を上げる羽黒。てか、こいつは羽黒なのか…!?
ともあれ飲み干した彼女は隼鷹、那智、足柄の肩を思い切り後ろから抱え…
「いい加減にしてとさっきから言ってるよね?」
普段の彼女からは想像できない、ドスの効いた低い声を、3人の耳元で言う。
「「「ヒィッ…!」」」
3人の動きは一瞬で止まる。顔はもう恐怖一色だ。
「鳳翔さん、間宮さん、失礼致しました。すみません、先に戻らせていただきます」
ハッキリとそう言って頭を下げ、3人を引きずって、羽黒は食堂を出ていった。
「…なんだったんだ…」
「私も分からないわ」
飛鷹と顔を見合わせると、
「…一つだけ言うなら、世の中には体験しない方がいいこともある、ってことよ」
妙高がそう言った。怖い。
とりあえず残りの時間十数分は、残った我々3人でソフトドリンクを飲んでお開きとなったのであったーーー
ーーー翌日。
私がいつものように掃除をしていると、昨日の飲兵衛3人組がやってきた。
「おお、隼鷹、那智、足柄。おはよ…」
「「「長門さん!昨日は大変すみませんでした!!」」」
えっ、ええっ!?
「いや、大丈夫だ、全然気にしていない!むしろ楽しかったし」
「で、でも申し訳ないっ!」
「すまなかった!」
「ごめんなさい!」
…何があった。と、思い出すのは彼女たちを引きずり出した羽黒。
「…昨日あのあと、羽黒とどうした?」
すると3人は揃って顔を青くして、
「「「…世の中には知らない方がいいこともあります」」」
…妙な説得力を感じた。何とか3人をなだめたが、去り際にも何度も頭を下げてきた。かえってこっちが申し訳なく感じてしまった。
ーーーその数分後。
「長門さん、こんにちは」
誰かに声をかけられた。
「ああ、こんにち…わぁっ!?」
羽黒!?
「わぁっ!?どうしたんですか、そんなに驚いて…」
「いや、あの、その…」
どうしよう。昨日のあれとさっきのアレのせいで、羽黒になんかやばいものを感じる…
「昨日、あのあと何があったんですか…?」
思わずなんか敬語になってしまった。すると、羽黒は顔を近づけてきて、
「…秘密、です」
にこやかにそう言って、「失礼します」と去っていった羽黒。…女って怖い(自分も女だが)、と感じたのは言うまでもないーーー
というわけで今回も読んでくれてありがとうございました!
長門さん編も段々と終わりに近づいて参りました…
これからも用務員長門さん、そしてこの「笑顔は太陽のごとく…」シリーズをよろしくお願いします!
感想や評価もお待ちしておりますm(_ _)m
また次回!