笑顔は太陽のごとく… 《用務員・長門編 完結済》   作:バスクランサー

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この世界の時空設定について、この場を借りて説明しておきます。

太平洋戦争

怪獣頻出期

怪獣頻出期、収束の後、深海棲艦による制海権喪失

ちなみにウルトラマンの方はというと、M78星雲のも、その他のウルトラマンも、ほとんど全てがこの同じ時空(明らかに設定に大きな矛盾が生じたりなどするため、ジョーニアス、ギンガ、オーブは別の時空)にいるという感じです。多次元宇宙理論と皆様の想像でそこら辺は処理してくれると有難いです。細かい矛盾は…どうか目をつぶってください。

すみません長くなりました、本編どうぞ。


お休みの長門と航空戦艦

 新たな仲間達が来てから暫くたったある日。私は唐突に、提督に呼び出された。まさか告白!?でも出撃出来ないからケッコンカッコカリは…いやまさかケッコンカッコガチ!?

 …と、思ったら。

「用務員になってからというもの…長門、お前休み取ってないだろ。」

 …確かに。

「いつも掃除や買い出しとかを引き受けてくれるのは有難いが、たまには身を休めたらどうだ?」

「いやしかし、それも楽しみながらやっているものであって…」

「うーん、楽しいからどうとかじゃないんだよな…最近新しい娘が着任してからも、用務員としての会話にとどまっているだろう?」

「まあ、そうだな」

「そこだよ。たまには仕事のことなんか忘れてさ、ゆっくり仲間達と話をしたらどうかな?」

「いや、でも…」

「長門さん」

 不意に声をかけてきたのは、秘書艦の響だった。

「僕からもお願いするよ。」

「響…」

「またマンガ、いっぱい仕入れたし、僕も読み終わったからさ。ね?」

 こうも彼女の上目遣い、そして意中の人の命とあらば…引き受けないわけにはいかんな。

「わ、わかった。今日は、その、休みを頂くことにしよう」ーーー

 

 ーーーその後。

 響から受け取ったマンガも読み終わってしまい、さらに今日陸奥が出撃任務で夕方まで戻らない。

 …暇だ。暇すぎる。

 私は適当に部屋でゴロゴロ、何をするでもなく寝そべりながら、どうしようかと思いにふけっていた。

 …なんか喉が乾いたな。

 私はとりあえず、寮の中にある自販機ゾーンに向かうことにした。ドアノブを回し、外に踏みで…

「うおっ!?」

「ひゃあっ!?」

 ん!?

 開いたドアから見えたのは、日向と山城だった。どうやらいきなりドアが開いたことで、ビックリしてしまったらしい。

「す、すまん、驚かせてしまったようだ…」

「いや、こちらこそすまん」

「ごめんなさい、長門。

 …にしても、長門が部屋にいるなんて珍しいわね」

「ああ…今日は提督から休めと言われてな…やることも無くて暇だったし…」

 そう言うと、日向と山城はお互いを見合い、何かを話し始めた。どうしたんだ?と聞くと、日向はこう言った。

「もしやることがこれから暫くないなら、私たちに少し付き合って欲しい」

「まあかまわんが…何だ?」

 山城がその問に答える。

「工廠で、艦載機の説明をこれから受けに行くんだけど…よかったら一緒に来てくれないかしら?」

 艦載機の、説明?

 

 その後、2人に話を聞いたところ。

 2人は航空戦艦で、艦載機を装備・発着艦することが出来る。ただそれは飛行甲板の規模の都合で、瑞雲や晴嵐など、フロートつきの水上機に限られるという。

 しかし。この鎮守府で使われている艦載機は、ウルトラメカと総称される、かつて地球を守っていた防衛チームの戦闘機なのだ。元は加賀の過去のトラウマを刺激しないよう、零戦型に代わるものとして提督が自身の祖父から受け継いだという設計図に基づき製造されたものだ。

 つまり、瑞雲などといった水上機は、この鎮守府にはない。しかし、短距離、更にその場での離着陸が可能な垂直離着陸機能がほとんどのウルトラメカに備わっており、航空戦艦などはそれを使うことになるとな。そこで今回、メカの解説を受けに行くそうだ。

「瑞雲がないのは残念だが、ウルトラメカには奇抜だったりシャープだったり、様々なデザインがあると聞いてな。」

「うむ、確かにそうだ。でもなぜ私に?」

「空母の加賀さん達は今は演習中で、それに飛鷹型姉妹は鳳翔さんからの式神式のウルトラメカ発艦特訓をしているところなの。それで、用務員の長門なら知ってるかな、とおもって声をかけたのよ」

 そういうことか。ならば…

「よし、この長門、よろこんで付き合おう」

 まあ、そんなに知識はないがな…ーーー

 

 ーーー工廠

「あ、日向さん、山城さん!お待ちしてましたよー!」

「どうぞこちらへ!あ、長門さんもいらしていたんですね!」

 明石と夕張が出迎えてくれた。

「えーと、航空戦艦組のお2人は艦載機説明会とわかるんですけど…長門さんは?」

「ああ、長門はここに長くいる分、色々と教えてもらおうと思って、付き合ってもらったんだ。」

「なるほどです!とりあえず全機分掲載の艦載機カタログがあるので、気になったものがあればお申し付けください!」

 と言って、私たち3人に、明石からお手製カタログが渡された。ちなみに私は、用務員としてそれなりに工廠に来ることもあるので、一応の知識くらいならある。…多分。

 

 横を見ると、日向と山城は、熱心にカタログに目を通している。と、

「少し気になったのだが…ZATのメカはやけに形が奇抜だな、どうなっているんだ?」

「長門さん、実物これから持ってくるんで、解説お願い出来ますかー?あ、少々お待ちください!」

 よし、腕の見せどころだ。

「ZATの艦載機は奇抜だが、しっかりと理由があるんだ。この大型機、スカイホエールの翼は宇宙線を受けてエネルギーに変換でき、これを応用すればかなり長い期間、無補給で継続飛行できる。コンドル1号やスーパースワローの穴の空いた主翼は、重力制御コイルという装備だそうだ。」

 と、タイミングよく明石が実物を持ってきてくれた。

「どうぞ、お試しください!」

 …どこかの店員か、というツッコミは置いといて。

「ほう、収容力が見た目に反して大きいのだな…垂直離着陸機能付きで、飛行甲板の小さい私たちでも使えるのはありがたいな」

「じゃあ、私も質問いいかしら?」

 お、今度は山城か。

「このナイトレイダーのクロムチェスター機、迷彩機能ってあるんだけど、機体の色を見る限り私のイメージと違っていて…どういうこと、なのかしら?」

 なるほど、確かにこれは疑問に思うだろうな…

「これはナイトレイダーの徹底された秘密主義によって付けられた、オプチカムフラージュ機能だな。要はステルス機で、保護色のような原理で現場まで秘密裏に行くことが出来るんだ。」

「これがその貴重な資料映像です!」

 夕張がタブレット端末を持ってきて、ナイトレイダーの資料映像を見せる。確かに、ダムのような基地・フォートレスフリーダムから飛び立ったすぐ後に機体は見えなくなった。

「この機能は使えそうね…」

 これ以降も。

 日向と山城から次々と寄せられる質問。あぁ、色々と装備について学んでおいてよかった。

 説明会が終わったのは、始まってから2時間半くらい経った頃。それからも、私たち3人は仲良く話をしていた。

「さっき見たあのメカたちが、私たちの知らない間、地球の平和を守っていたのか…」

「なんだか感心しちゃうわね…」

「実際このメカはウルトラマンたちの戦いを幾度となく援護したり、また直接怪獣や侵略宇宙人を倒したことも少なくないそうだ。」

「ほぉ…!」

「もっと、もっと詳しく聞きたい…!」

 

 それからは説明会の時以上の質問攻めに遭った。その度にトークが弾んだ。奇抜な作戦での攻撃が名物のZAT、怪獣保護を第一に考えたチームEYES、メテオールと呼ばれる過去の宇宙人の技術を取り入れたCREW GUYS…色々と話し合ったが、2人ともやはり航空戦力のことを特に熱心に聞いていた。

「よほど艦載機好きなんだな、2人は。」

「まあな。航空戦艦として、前世では出来なかったことはたくさんしたいと思っている。」

「私も。せっかくこんな装備を使えるんだし、ここに来られたことは私も幸せだって思うわ。町の人は優しいし、長門やさっきの明石さんや夕張さんみたいな大切な仲間もいるし…」

 あ、ありがとう。嬉しい…。しかし。

「後は、提督かしら…」

「顔が赤いぞ、山城。」

「そういう日向だって、私と同じで、提督に惚れてるクセに…」

「あ、あは、あはは…ん?どうした、長門?そんな顔して…」

 

 …ふぁっ!?くぁwせdrftgyふじこlp!?!?

 日向は艦載機マニアだし、山城は姉様ラブ勢なのでは!?

「ふ、2人も提督に恋心を!?」

「そ、そうだけど…」

「も、ってことは、長門もか!?」

「…あぁ、恥ずかしながら…。そういう2人はいつ、提督に惚れたんだ…?」

 そう聞くと、顔を赤らめ、2人は照れながら話し始めた。

「この間、ここに来て、まだ初めての出撃だったんだが…久しぶりで慣れない中、中破してしまってな…恥ずかしながら」

「でも、帰投したらね、提督は怒るどころか帰ってきてくれてよかったって、労ってくれたの…大本営から先に他の鎮守府に着任していった扶桑姉様と同じくらい、好きになっちゃって…」

 ぬぁぁああああああ!!!!!!惚気だっ、惚気話だぁぁあああ!

「まあ、その…というわけで長門、これからよろしく!」

「色々とお世話になります!」

 というわけでって、どういうわけだ。

 その時の2人の目は何故かキラキラしていた…ここで思わぬライバルが増えるとはーーー

 

 ーーーさらにその後。

 日向と山城は、航空戦艦として初めて艦載機を搭載しての出撃を行った。今までは一応様子見ということで、普通の戦艦としての装備を全スロットに搭載して、だったらしいが。

 結果は…大成功だったようだ。出撃して遭遇した敵艦隊との交戦でも、ほとんどこの2人がMVPを取ったとか。チヤホヤされるわ提督にも褒められるわで羨ましいぞ…

 

 ただ、艦載機とかの話で、2人と親密になれるきっかけが持てたということは、休みを取って得られた大きな収穫だった。

 これからも仕事はもちろん頑張るが、時々は休みをとってもいいかもしれない。

 見上げた窓の外には、フォーメーション演習中の艦載機が飛んでいるのが見えたーーー




というわけで今回も読んでくれてありがとうございましたm(_ _)m

評価や感想、是非お願いします!
また次回!

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