笑顔は太陽のごとく… 《用務員・長門編 完結済》   作:バスクランサー

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今回長門さんは工事に参加するようです。
※筆者は建築とかほとんど知りません←おい
なのでそこは大目に見てください。

艦娘の建築スキルは某理由でチート級です。

本編、どうぞ。


長門と増築工事

 新たな仲間が来るまで、あと3日。その日のマルナナサンマル。いつもなら食堂に集まっているであろう艦娘たちは、資材置き場に全員が並んでいた。そして、皆の目線の前にいる提督が話し始めた。

「みんな、おはよう!」

「「「「「「「おはようございます!」」」」」」

「うん、元気のいい挨拶だね。今日から周知の通り、鎮守府寮の増築工事をするぞ。期間は3日と短いが、皆の協力があれば必ず出来る!各員、全力を尽くすように!」

「「「「「「「「はい!」」」」」」」」

「うん!私からは以上だ。それでは、各所のリーダーの指示に後は従うように。それじゃ、作業開始!」ーーー

 

 ーーーすっと立ち上がり、散らばっていく仲間達。提督が言っていたとおり、今日は寮の増築工事だ。私は用務員、さらに今回は内外装のデザイン・塗色担当のリーダーも任されている。これは頑張らねばな。

 ちなみに、今回のシフトはこうだ。

 まずは全員で鉄骨の仮足場を組み立てた後、空母部隊は一斉に全ての艦載機を発艦して資材を運送。戦艦の、発艦を終えた空母、さらに重巡の者で外壁と内装の床の建設、外壁塗装を行う。外の形が出来るに伴い、同時進行で軽雷巡、駆逐艦の者で部屋や階段、エレベーターや内部塗装などの内装整備を行うのだ。私は基本的に後者と行動を共にする。

 つまり、比較的まだ時間があるので…

「提督、私は間宮たちの所に行ってくる。」

「分かった、行ってらっしゃい。怪我しないようにな。」

「ああ、ありがとう」

 細やかな気配り…流石だなーーー

 

 ーーー私は既存の執務棟に戻った。向かうところは食堂。ここは既に、演習時などの大勢の利用を想定してあるので、私が用務員になる前、全員の精神療養のあと、先行して規模が広げられた。その大広間は、今は床全体に新聞紙が敷かれ、いくつかの材料が置かれている。

「あ、長門さん!」

「まだ私の担当時間まで余裕があったから、手伝いに来たぞ。」

「ありがとうございます!助かります!では早速、こちらに…」

 

 工事の進み具合によって担当艦娘のシフトが変化する中、シフト外の艦娘は、間宮や鳳翔、大淀たちと、ここで部屋などに置く生活雑貨の製造に当たることになっている。街の家具屋などはあるものの、全ての雑貨を注文してしまうと大変だろうという事で、ベッドのマットレスや家電量販店で家電などのみ購入、基本的にタンスやベッドの土台部分、机椅子や棚など木で作るものはここで手作りだ。艦娘たちは基本的にこのような製造作業はお手の物だから仕事も早く、複雑なことも簡単に出来る。それゆえ作業効率は生身の人間を軽く凌駕する。らしい。

 ちなみにここのリーダーは間宮。ちなみに赤城が建設航空隊のリーダー、明石は建設総合リーダー、夕張はライフライン関係リーダーである。

 さて、作業に取り掛かろう。私は丁度道具を取りに来た夕立に声をかけた。

「夕立、私も手を貸そうか?」

「長門さん!お言葉に甘えるっぽい!」ーーー

 

 ーーー「なるほど、夕立は本棚の担当か」

「作るの、楽しいっぽい〜!」

 2人で仲良く、協力しながら作業する。そのおかげか、かなりの早さで本棚はその形を成した。

「また一つ出来たっぽい!長門さんが加わってくれたから、すごく捗ったっぽい!」

「よし、この調子で沢山作るぞ!」

「ぽいっ!」ーーー

 

 ーーー「よし、また一つ完成だな」

「わふ〜!ぽいぽ〜い!」

 ペースも尻上がりで、本棚が次々と出来上がっていく。と、

「皆さん、作業を一旦止めて、少し手を洗って、厨房に来てくれませんか?外で働いている皆さんに、おにぎりを作って、差し入れをしましょう!」

 間宮の声が響く。確かに時間も昼時だな。

「よし、分かった!」

 食堂前の手洗い所で石鹸で手を洗って、厨房へと入る。私は用務員として、掃除でよくここに立ち入るが、他の娘たちはなかなか見るチャンスさえないので、目を輝かせている。

「すごいのです!寮のキッチンよりとても大きいのです!」

「おぉー…すごいな、こりゃ!」

「じゃあ手分けして、おにぎりを握ってください!」

 間宮と鳳翔が、既に木桶に大量の米を炊いていた。炊きたてご飯のいい匂いが鼻を刺激する。

「具はおかか、昆布、鮭、梅、エビマヨ、納豆など、たくさんこっちに用意してあります!」

 豊富だなあ…。よし!この長門、握るぞっ!ーーー

 

 ーーー「ほっ、ほっ、ほっ…んで、海苔をつけて、と…」

「あら長門さん、お上手ですね。」

「あ、ありがとう鳳翔。最近料理を勉強し始めた甲斐があったよ」

「あら、そうだったんですか!」

 そう、実は私も簡単な飯くらいは作れないといけないだろうと思い、同じ戦艦の陸奥や比叡に、この前から料理を少しづつ習い始めていたのだ。と、

「間宮さーん!シーチキンおにぎり、全部できましたー!」

「速っ!しかも綺麗…さすが島風ちゃんね」

 龍田に撫でられて上機嫌の島風。かわいい。さらには…

「よそって!」

「具を詰めて…」

「握って!」

「海苔まきまき!なのです!」

 なんだこの第六駆逐隊の息の合ったコンビネーション。すごくね?

 そして、ほかの所も段々と出来上がってきたようだ。たくさん積まれていた具も、木桶にてんこ盛りだった炊きたてご飯も、いつの間にか容器の底がほとんど見えていたーーー

 

 ーーー外 建設現場

「愛宕さーん!スカイハンターで今から木材を送りまーす!」

「はーい赤城さん、お願いしまーす」

「スカイフィッシュの妖精さん、ここに釘を打ってくれる?」

「まかせるです比叡さん!うてー!」

「私の開発したネイルミサイル(ネイル:英語で釘の意)、役立ってますねー」

「明石さーん、ちょっとヘルプお願いしますー!」

「あ、榛名さん!今行きます!」

 

 おおっ、結構進んでるな。どこの鎮守府でも、敵空襲被害対策として艦娘たちには応用レベルまでの建設知識を教えているだけあって、作業が速い。こういったスキルは、なるべく着任ギリギリに寮の増築を行うことを推奨している大本営の考え(先行して寮の増築工事を行って着任を待つと、それに気づき、こちらの大人数が集まった時を狙った敵の基地襲撃、それによる大きな被害が起こる恐れがあるという割とガチな理由)にも合い、効率を上げるとか。やるな、大本営。

 

 ーーー大本営極東支部 長官室

「は、は…ハックシュンッ!」

「長官?大丈夫ですか?」

「うぅ、風邪か…はたまた花粉症かぁ…」

 

 ーーーそれはさておき。

「皆さん!一旦ご飯にしましょーう!」

「オーゥ!ミス・鳳翔、グッドタイミングデース!」

「昼ごはん…!流石に気分が高揚します」

 

 わらわらと、おにぎりをこれでもかと詰んだ荷車に群がってくる提督、仲間達。提督も作業に参加していたらしく、スポーツスタイルの服は既に汗びっしょりだ。水も滴るいい男とはまさにこの事か…

「ありがとうみんな。よし、じゃあ手を洗って、一緒に昼ごはんにしよう!」

「「「「「「「賛成!」」」」」」」

 みんなすぐに手を洗って来て、私たちが広げたレジャーシートの上に座る。

「じゃあ、いただきます!」

「「「「「「「いただきまーす!!」」」」」」」

 次々とおにぎりを口に運ぶみんなの顔は、どんどん笑顔になっていく。

「これは…はむっ、うーん、絶品ね!」

「美味しい!皆の力作ですね!」

 どうやら好評のようだ。素直に嬉しい。では私も食すとしよう。

 

 ぱくっ…もしゃもしゃ…

 

 …美味い!これは確かに美味いぞ!というか、具の種類が豊富で飽きない!

「これは…いくら!これはカニカマ!そして、これは…」

 こ、こんなものまで!?

「は、ハンバーーーーーーグ!!」

 

「「「「「「「「「「………………」」」」」」」」」」

 …あれ、何故にしらけた?

 

 何はともあれ昼食を終えた私たちは、再び作業に戻った。高い建設スキルの艦娘に並行分担作業、それにウルトラメカの高性能が合わさり、人数が少ないにも関わらず、かなりのハイペースで進んでいく。この1日目で、外壁と屋根の建設がすべて終わり、雑貨制作組もかなりの数を作ることが出来た。

 

 続く2日目。

「塗装航空隊、出撃!」

 パッと見航空ショーのように、塗料を壁に吹き付けながら飛ぶは、ハートウィナー、スカイホエール、ジェットビートル、ウルトラホーク1号…だめだ、数え切れない、それほどの数の機体が、レンガの壁に保護剤入りの塗料を付けていき、鮮やかに仕立てていく。

「もう少し塗装作業が進み次第、内装組は既存の入り口から中に入って、作業を始めてください!私たちはライフライン関係の作業をしますので!」

「了解した!」

 空母と重巡の部隊に塗装作業を任せ、私たちは作業を見守りつつ、中へと入って行ったーーー

 

 ーーーおお、結構しっかり出来ているな。床もぴったり敷き詰められているようだな。

 よし、ここからは私の腕の見せどころだ!

「今は…ちょうどマルキュウマルマルか。みんな、まずは階段だ!その後、当初の分担通りに分かれ、部屋の仕切りとかをして、目標は本日作業終わりまでに内壁と床の塗装を終えることだ!」

「「「「「「はい!」」」」」」

 

 その後、階段を手早く設置、しっかりと固定した後、それを通って私は担当の二階部分へと移る。今回の異動は、大本営の複数人異動の中だと小規模なのも、これ程早く建設が行える理由でもある。

「まずはここの部屋の仕切りだな。この仕切り板2枚で防音材をサンドする。大井に吹雪、それから暁、頼むぞ!」

「任せてください!」

「頑張ります!」

「私も!」

 

 木の天然の匂いが鼻を通じて快感を与える中、無事に作業を終えた。1階と3階の班からも、無事に終了したとの報が入る。

 さらにエレベーター、そして内部塗装作業を終えたところで、外は日がほとんど沈んでいた。

「今日はここまでだな。みんなのおかげで目標を達成できた、ありがとう!」

「こちらこそです!明日もよろしくお願いします!」

「まだまだ頑張りますよ!」ーーー

 

 ーーーそして、3日目。

「オーライ、オーライ…」

「ぶつけないよう気をつけてー!」

 最後は、私たちも1日目に作った雑貨の搬入、そしてライフラインの最終確認だ。

「各部屋へのタンス搬入、終了です!」

「照明器具取り付け及び、動作確認完了!」

「放送器具チェック!ワン、ツー!」

「霧島、大丈夫、聞こえてるよー!」

 そして。最後のネジを私が留めた。

「ネジ締結完了!」

 そして、続けざまに叫んだ。

「寮の増築工事、終了だ!!」

 その瞬間。

「「「「「「「やったぁぁぁぁあああ!!!!」」」」」」」

 時刻はヒトロクマルマル。耐久性などの最終チェック、軽い掃除を終え、ヒトナナサンマルには全ての工程が終わった。そして、一日目と同じ所に皆が集合する。

「よし、お疲れ様!明日来る仲間も、きっと喜ぶだろう。今日はしっかり休んでくれ!」

「「「「「「「「はいっ!」」」」」」」」

 ともかく、無事終わってよかった。私は胸を撫で下ろしたのであった。その後、簡単なお疲れ様会を食堂でした後、私は眠りに就いた。さて、明日来るのは誰かなーーー

 

 ーーーそれと、時を同じくして。

 第35鎮守府近くの海辺に、夜空を見上げる一人の男の影があった。

「ゾフィー兄さん、到着しました。」

 そう呟くと、それに応えるように、天から彼の脳へ声が直接響く。

「無事に着いたようだな、よかった。

 とにかく、不穏な動きが広まっている、警戒を怠らないでくれ」

「了解…!」




というわけで今回もありがとうございました!

評価や感想、よければお願いしますm(_ _)m

また次回!

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