笑顔は太陽のごとく… 《用務員・長門編 完結済》   作:バスクランサー

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はい更新遅れて申し訳ないです。

まあ、かなり中身が薄っぺらいSSですが、よろしくお願いしますm(_ _)m

本編どうぞー!


長門と五航戦と恋

 ーーー鎮守府に新しい仲間達が来るまで、あと5日となった日。

 私は鎮守府内の古くなったり、壊れていた掃除用具の買い替えのため、仕事後に酒保を訪れた。

「えーと…モップ16本に、バケツ(修復剤の俗称ではなく、よくあるポリバケツである)を8つ、雑巾27枚か…取り寄せ予約をしてるとはいえ、運ぶのが大変になりそうだな…」

 私は呟きつつ、カウンターの明石のところへ行き、予約番号券を渡した。この酒保では、買うものが売り場に置けないほど大きかったり、どうしても欲しいものがあったり、またこのようにまとめ買いの必要がある時には、このように予約制度を利用できるのが便利な所である。

「長門さん、待ってましたよ〜。このカート使っていいんで、気をつけて運んでくださいね!」

「ああ。ありがとうな、明石。」

 代金は予約券を買った時に既に払っていたので、私は品物をレンタル式のカートに載せ、酒保を出たーーー

 

 ーーー酒保のある1階の掃除用具の交換を済ませた後、私はエレベーターで2階へと移った。そして、廊下の角を曲がった、その時…

「…っ!?」

 まずい、発作だ!私の身体を激痛が襲う。よろめいたせいでカートが倒れ、中の掃除用具が廊下中に散らばる。なんとかその中でも懐のポケットにある即効鎮痛剤を取り出し、口に含んだ。

「んっ、はぁ、はぁ…」

 痛みが引いていき、身体が正常に戻る感覚を覚え、よいしょっ、と立ち上がる。とりあえず、この散らばった用具を片付けなければ…

「長門さん?どうしたんですか?」

 不意に後ろから声をかけられた。この声は…

「おお、翔鶴か。いや、少し発作が来ただけさ。薬は飲んだからおさまったが、少し散らかしてしまってな。」

「え!?大丈夫ですか!?」

「あ、だから大丈夫だ、問題ない。」

「なら、よかったです…。あ、私も拾うの手伝います!」

「すまん、助かるよ。そういえば翔鶴、その手に握ってる袋からして、君も酒保で買い物か?」

「は、はい。毎日付けている日記が、もうなくなってしまったので、新しい物を買いに来たんです」

「そうだったのか。翔鶴も勤勉だな。」

「そ、そんな事ありませんよ…」

「ふふ。あと、片付けてくれてありがとう。」

「いえ。よければ、私も用具交換、手伝いますよ?」

「いや、そこまでは大丈夫だ。重ね重ねありがとうな。」

「大丈夫ですか?無理はしないでくださいね…あ」

 翔鶴のその声につられ、彼女の向いている方向を見ると、そこにはーーー

「あ、翔鶴姉、それに長門さんも!こんにちは!」

 瑞鶴だ。翔鶴や、一航戦の加賀、基地航空隊の赤城とともに、今の鎮守府の空母の主力である。

「やあ、瑞鶴。瑞鶴も酒保か?」

「え、すごいなんで分かったの!?」

「瑞鶴、ちゃんとした言葉遣いしなきゃ」

 …真面目だな、翔鶴。

「ははは、大丈夫だよ。そっちの話したいように話せばいい。その方が気楽だからな。」

「すみません…」

「気にするな、翔鶴。そういえば瑞鶴は、酒保に何を?」

「私はお菓子作りの材料かなー。よく寮の調理場で、翔鶴姉や加賀さん、赤城さんと作るんだ。」

「おお、それはいいな。」

「ありがとう!今度作ったら、長門さんにも渡すよ!それとね、作ったお菓子をいつも提督にもあげるんだけど、その時の翔鶴姉がね…」

「わー!!瑞鶴、やめてー!!」

 何故かいきなり叫びだした翔鶴。

「どうしたんだ?」

「いや、その、なんでも…」

「翔鶴姉、サポートはつけた方がいいよ?タダでさえ毎回あたふたしてるんだし…」

「だって…」

 …何がどうなっている、この状況。

「と、とにかくその…私も、仕事があるが、その後でならよければ話を聞くぞ?」

「あ、ありがとうございます」ーーー

 

 ーーー「私…実は提督が好きなんです…」

 場所を娯楽室に移した後、翔鶴は顔を赤らめながら言った。

「なんだ、そういうことか」

「なんだじゃないですぅ!だって、私のこと助けてくれたし、すごい装備たくさんくれたし、笑顔素敵だし…とにかくあの人のこと考えると、胸が苦しくなって…」

 …いつもの口調が崩壊している。これは余程のぞっこんだな…。まあ、確かに提督もかなり優しくて魅力的な者だからな…。

「まあ、焦らずゆっくり距離を縮めて行けばいいんじゃないか?」

「ゆっくりしてられないです!だってこの鎮守府は他にも提督大好きな方がたくさんいますし…」

 …え!?

「た、例えば誰が?」

 思わず聞いてしまう私。

「やっぱりまず金剛さんは筆頭ですし、なんか比叡さんも『恋も、戦いも、お姉様には負けません!』とか言ってますし、高雄さんもよく旅行に誘ってますし、大井さんもすごい素直にアピールしますし…明石さんや加賀さん、愛宕さんや吹雪ちゃん、さらに陸奥さんも…」

 うわ…いっぱいいるな…ん?

「翔鶴、陸奥も…なのか?」

「はい。聞いたところだと、よく誘惑してますよ…?」

「ふぁっ!?」

 なん…だと…!?

「ねぇ、長門さん。」

 不意に声をかけてきた瑞鶴。

 

「ここまでの様子見てて思ったんだけど…長門さんも、提督さんのこと好きなの?」ーーー

 

 ーーーなんだ瑞鶴、いきなり何を言うかと思えば。なんだ、私が提督に好意を抱いていると…?恋愛的に?いや、まさか、そんなことあるわけないじゃ…あるわけ、ないじゃ…

 …のぁぁぁぁああああああああ!!やばい!脳裏に浮かんだあの笑顔!すごい優しい態度!何よりなんかイケボ(な気がする)!これは!なんか体熱くなってきた、ドキがムネムネしてる!わーー!わーーー!!ーーー

 

 ーーー「…翔鶴姉、なんか長門さん悶絶してるね…」

「やっぱり長門さん、あなたも…」

「ぁぁあああ!す、すまん!やっぱり私も無意識のうちに…その…!」

「長門さん。

 謝ること、ありませんよ?」

 思考の混乱は、翔鶴のその一言ですぐに戻った。

「確かにこうなった以上、私と長門さんは恋のライバルの関係です。しかし、それ以前に、この鎮守府の仲間でしょう?」

「翔鶴…」

「明石さんや金剛さんはかつて愛する人を失ったり、高雄さんは恋愛のもつれから辛い経験をしたりしました…。ここにいる他のライバルの皆さんも、そういうことを踏まえ、ちゃんと一線を弁えています。だから、そんなに心配しなくても大丈夫です。」

「あ、ありがとう、翔鶴…その、なんか、すごい救われた気持ちに…」

「こ、こちらこそです!それに…」

 彼女は俯きながら言った。

「恋に関しては、響ちゃんという、とても強大なライバルがいますから…」

 

 …あ。

 

「まあ、まだ提督が誰を選ぶかなんて決まっていないし、そもそも恋愛感情があるかも分かんないじゃん。だから、その…ふたりとも、結局はマイペースでアピールすればいいんじゃない?」

「そうね、瑞鶴…」

「うむ…私もそうさせてもらうことにしよう…」

 と、この瑞鶴の言葉でこの恋に関してはお開きとなったーーー

 

 ーーーわけではなかった。ーーー

 

 ーーー執務室

「長門、掃除用具交換、お疲れ様。ありがとうな、助かったよ」

「あ、あぁ…!ありがとう!」

 この後、私は提督と対面するのが恥ずかしくなってしまった。まあ、これは数時間で済んだからよかったのだがーーー

 

 ーーーその夜 長門型団体部屋

「なあ、陸奥よ」

「どうしたの?長門」

 昼間の翔鶴曰く、陸奥も提督が好きらしいので、思い切って聞いてみることにした。

「その…陸奥は提督が好きなのか!?」

「えっ!?ちょっ、な…長門、どこでそれを!?」

「今日、少しな…で、好きなんだろ…?

 提督のこと」

「ええ。あなたの言うとおり、よ。」

「そうか。

 その…私も、なんだ」

 …言っちゃまずかったか。私と陸奥の間に気まずい沈黙が流れる。

「いいじゃないの。あの人は魅力的だし、恋は自由だし。ね?」

「陸奥…」

「それに、私達姉妹でしょ?一緒に恋して、一緒に笑い合って…こういうのもありかなって、私は思うんだけどね。」

「陸奥…陸奥ぅ!」

 いい妹を持った!私は感極まって、気付けば陸奥を抱きしめていた。

「…ちょ、長門!?」

「お前のような妹を持てたことが姉として誇らしいよぉぉ!」

 陸奥ははいはい、と言いながらも私を撫でてくれた。あぁ…幸せ者だな、私は…。ん…いかん、幸せを噛み締めていたら、何だか、眠、く…ーーー

 

 ーーー「あら?あらあら??

 長門?長門ー!?寝ちゃったのー!?ちょっとー、困るわよぉー!!」ーーー




今回も読んでくれてありがとうございました!

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また次回、お楽しみに、です!

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