智「俺がパイロットに!?」   作:ぽかんむ

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モビルスーツ紹介はお休みです


揺れ動く作業員と新たなるモビルスーツの足音

翌日 午前5時頃

 

敵軍基地

 

翔太は再び呼び出され、寝不足に耐えながらやって来た。

そこにはいつもは居るはずの慎司の姿がなく朱艇の姿のみがある。

 

 

翔太「なんでしょう......」

 

朱艇「喜べ、お前の処刑が正式に決まったぞ!」

 

翔太「えっ......?」

 

朱艇「本来我が軍の処刑方法は投薬による安楽死だがお前にそのような死に方は似合わん」

 

 

咄嗟に翔太はその場から逃げ出すために朱艇に背を向けて走り出した。

そのとき銃弾が翔太の身体を貫通。

 

 

翔太「な......に......を......」

 

朱艇「ハハハ!! くたばれ! 死ね!」

 

 

絶えずピストルを乱射する朱艇。

その凶弾の前に翔太はなすすべなく倒れてしまった。

 

 

翔太(薄々予感はあった......だからといって来るのを拒めば命令違反でどっちみち殺されていただろう......僕の技術の集大成 メガシンカをこの目で見られないのが残念だ......)

 

 

翔太が動かなくなったことを確認すると朱艇は近づき、銃創目掛けて足を降り下ろす。

最早翔太に意識はないがそこからは血が噴水のように激しく吹き出した。

 

 

朱艇「ざまー見やがれ! はっはっは!」

 

朱艇「おっと......余韻に浸るのはこのくらいにして......隠蔽工作に移るか」

 

 

朱艇は事前に監視カメラに細工をして"刃物を振り回してきた翔太に襲われた朱艇がやむなく発砲"するCG で作られた映像が記録されるようにしていた。

あとはその映像の通りのことを再現すればいいだけだ。

 

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軍前線基地 6時頃

 

 

眠そうな目を擦りながらやってくる智。

その場にはすでに猛、華澄、賢次の姿があった。

 

 

華澄「起きたね、朝食はそこに置いてあるから食べてね」

 

賢次「それで食べながら聞いて欲しいのだけど、プリンを貸してくれないかい?」

 

智「それはちょっと......」

 

賢次「なんなら君も一緒でいいから」

 

智「それならいいですよ」

 

智「ごちそうさまでした」

 

華澄「食べるの早っ!」

 

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研究室

 

 

賢次は着くなりプリンを小さなガラス張りのケースに入れると、それをコンピューターにセットした。

 

 

智「プリンを使ってどうするつもりですか?」

 

賢次「いやあね。君のAIは大したものだから研究したいと思っていてね。成功したら新たなモビルスーツの開発も進むだろうし」

 

智「新たなモビルスーツ?」

 

賢次「うん、フシギバナとカメックス。機体はもう出来上がっているんだけどね......」

 

智「ところで敵の目的はなんなんですか?」

 

賢次「それは......残念ながらわからない。世界征服なる隠語が使われているんだ」

 

智「それ、言葉通りの意味では?」

 

賢次「ふふふ......今のご時世本気でそんな馬鹿げたことを考える人なんていないでしょ」

 

智「わかりませんよ。もしかしたら宗教絡みとか」

 

賢次「それなら征服なんて言葉、使わないと思うけどね」

 

 

コンピューターから電子音が流れた。

プリンの解析が終わったようで賢次は興味津々で結果に目を通す。

 

 

賢次「凄い! 君はこれを一人で作ったのかい?」

 

智「はい、そうですね」

 

賢次「早速これの複製作業に移るね、プリンは返すよ」

 

智「どのくらいで出来るんですか?」

 

賢次「そうだね......だいたい三日ってところかな?」

 

智「三日......」

 

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作業場

 

 

翔太の死の真相は結局朱艇の目論み通りに隠蔽されてしまった。

もちろん翔太配下の部下はこの判断に意義を申し上げたが、作り出された証拠の前になす術はなく意気消沈している。

 

 

延寿「やっぱりおかしいよな」

 

妃和田「そうっすよね。絶対朱艇が怪しいっすよ」

 

区千葉「証拠として挙げられた監視カメラの映像......やはりなにか引っ掛かるね」

 

 

コンコンと扉をノックする音が聴こえる。

 

 

花田「はい? どちら様ですか?」

 

 

開かれた扉。そこには三十代と思われる男が一人。

 

 

雅拉「ここか? 技術班諸君の根城は」

 

石築「まあそうなりますね。用件はなんでしょう?」

 

雅拉「私の名は雅拉。今日からここの班長に任じられた者だ」

 

区千葉「班長ですか!?」

 

延寿「これはまた突然ですね」

 

雅拉「言っておくが俺は前任とは全く違うからな。俺の命令に意見したり逆らったりした者には容赦ない制裁が待ち受けているぞ」

 

妃和田「それちょっと......いや、かなりおかしくないすか? 現に前々任から翔太さんに班長の座が移り、方針が変わってから仕事の能率は大幅に上がったわけっすから」

 

雅拉「ほう......早速口答えか」

 

 

懐から拳銃を取り出すと雅拉は何の躊躇いもなく妃和田の左足に弾丸を撃ち込んだ。

痛みと恐怖から震え上がる妃和田。

 

 

雅拉「こうなりたくなかったら貴様等のやるべきことは一つ、身を粉にして凰城戸様に尽くせ!」

 

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夜 

 

 

帰宅途中3人の作業員たちが歩いている。

 

 

区千葉「妃和田大丈夫かな?」

 

延寿「あいつ明日になったら、辞めるとか言い出しそうだよな」

 

石築「それにしても僕達何のためにモビルスーツを作っているんですかね......最近わからなくなってきました」

 

延寿「それは勿論凰城戸様の世界征服のためだろ?」

 

区千葉「だけど俺等は凰城戸様の姿を実際に目にしたことはないから実感がわかないのも解る。繁は無能だし......」

 

石築「普通に就職したら実は裏では人を殺す兵器も作っている企業だった、なんてねぇ......」




ここまでありがとうございました。

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