智「俺がパイロットに!?」   作:ぽかんむ

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モビルスーツ紹介

No1,リザードン
概要
メインパイロットは智、プリンがその補助に回る。
那奈釜戸軍のモビルスーツ第2号で近距離戦を得意とする。どんな局面でも対処できるように作られているため応用力は高いが量産は難しい
武装
かえんほうしゃ、エアスラッシュ、ドラゴンクロー
備考
飛行が可能(予定)


天才科学者翔太

智「はぁ......」

 

 

智は浮かない顔をしながらも何とか街に帰ってきた。

予想通りビルなどが破壊されており再びさっきのことを思い出してしまう。

 

 

瀬玲奈「智!」

 

智「瀬玲奈......」

 

 

瀬玲奈の平手打ちが智に当たりよろける。

 

 

智「いっ......」

 

瀬玲奈「どうしてあんなことしたの?」

 

智「ごめん......」

 

瀬玲奈「一歩間違えていたら死んじゃったかもしれないんだよ?」

 

智「うん......」

 

瀬玲奈「でも生きてて良かったよ!」

 

 

いきなり大声で泣き出した瀬玲奈。

これまで必死で堪えていたのだろう。

 

 

瀬玲奈「あの変なロボット倒してくれてありがとね!」

 

智「うん......」

 

瀬玲奈「なんでそんなに落ち込んでいるの? 疲れちゃった?」

 

智「だって俺......人を......人を......」

 

瀬玲奈「?」

 

智「人を......殺しちゃったんだよ......」

 

瀬玲奈「人ってあのロボットを操縦していた人ってこと?」

 

智「うん......」

 

瀬玲奈「でもさ? その人は私たちの街をめちゃくちゃにしたんだよ? そんな奴死んだって構わないじゃん!」

 

智「瀬玲奈は強いね......俺もそのくらい強くなりたい......」

 

──────────────────────

 

軍前線基地内部

 

猛「あいつら、ついに動き出したな」

 

賢次「そうだね。やはり戦闘機の機銃じゃ歯が立たなかったね......」

 

華澄「それに予想より早く秘密兵器がバレちゃったしね......」

 

猛「本来ならばリザードンは完成するまで地下に隠しておくつもりだったのにな......」

 

華澄「まさか奴等のモビルスーツによって結果的に掘り起こされる形になっちゃったし......」

 

賢次「飛行能力はまだしもAIがないのは致命的......しかも一部破損状態......」

 

那奈釜戸(ななかまど)「敵の目的や要求はわからないのかね?」

 

 

そこへ早老の男が現れた。

それを見て急にかしこまり敬礼をする一同。

 

 

華澄「無理そうですね......調べても"世界征服"なる隠語が使われていますし......流石にこのご時世本気でそれを狙っているとは思えませんしね」

 

那奈釜戸「そうか......それでフシギバナとカメックスはどうなんだ?」

 

賢次「はい......この二体は機体は完成しているのですが相変わらずAIが......」

 

猛「AIについて、一つ私に作戦があるのですが......」

 

那奈釜戸「なんだね? 言ってみなさい」

 

猛「我々は昼頃、高度なAIを所持していた少年に出会いました。彼からそれを奪い研究し、複製すればより早く完成すると思います!」

 

賢次「それはちょっと......」

 

華澄「だけど......とても長期間借りられるようには見えなかったしね」

 

那奈釜戸「仕方がなかろう......よし! その子からAIを奪うのだ!」

 

三人「了解!」

 

 

その後の作戦会議の結果、猛とその部下二人が智の家を捜索し秘密裏に奪うこととなった。

 

─────────────────────

 

 

敵軍基地

 

 

朱艇「新型モビルスーツはまだ出来上がらんのか!」

 

翔太(メカニック系統担当リーダー)「それはかなり無茶な相談ですね......」

 

朱艇「何とかしろ! 出来ないなら既存の機体に武装を追加してみろ!」

 

翔太「そんなことが?」

 

朱艇「新型モビルスーツを一週間以内に完成させるよりは遥かに簡単なはずだ」

 

翔太「それは......ソウダケド......フカノウ....」

 

慎司「やめておけ」

 

朱艇「どういうつもりだ?」

 

慎司「そんな小手先の改造で打ち破れるほどオレンジの奴は雑魚ではない。そんなこと百も承知だろう。無駄に兵力を消耗する作戦に賛同する訳にはいかない」

 

慎司「俺としては......ここはじっと耐え忍ぶべきだと思う」

 

朱艇「......」

 

朱艇「いいや。そんな臆病な作戦に賛同できるか!」

 

朱艇「いいな翔太。オレンジの奴の炎や翼からのカッターを防げるのが最低条件だ! もしそれが出来なかったり破れたりしたときはどうなるかわかってるだろうな?」

 

翔太「しかし!」

 

朱艇「黙れ、早く造れ」

 

翔太「はい......」

 

 

困惑しながら翔太はその場を立ち去った。

再び地下の作業場に戻るつもりだ。

 

 

作業場

 

15人ほどの翔太の部下が集まっていた。

 

 

愚連「お疲れ様です。如何でしたか?」

 

翔太「なんと言うか......僕は首を切られるかもしれない」

 

妃和田「首すか?」

 

翔太「既存の兵器に後付け武装を施して敵軍のモビルスーツを倒せだとさ......新型の開発が難航している今、それが出来なければ......」

 

 

場が沈黙に包まれた。

実際に造る立場から言えばそんなことが難しいのは火を見るよりも明らかなのだ。

 

 

区千葉「やりましょう! モビルスーツの完成はあなた抜きでは絶対に無理でした。ここで死なせてしまうなんて考えられない!」

 

花田「そうですよ。一丸となって必ずオレンジの奴を倒しましょう!」

 

その他部下たち「そうだ!」

 

翔太「みんな......ありがとう。必ず成功させよう!」

 

 

殺伐とした上層部とは違いここはアットホームな環境だ。

社員同士の仲も良く休日は一緒にディズニーランドに行くこともあるほど。

こうした環境作りは翔太が苦心した末に出来上がり、結果も多く残しているのだが考え方の違いから朱艇からは疎ましく思われている。

 

 

──────────────────────

 

会議室

 

 

机が円形に綺麗に並べられており全員が椅子に座っている。

総員のノートや手帳と筆記用具を机に置いてある。

 

 

翔太「それではこれより企画会議を行う。どのような改造をすれば良いか案がある者は遠慮なく手を挙げてから言って欲しい」

 

翔太「まずは先程も言ったが上に言われたことを再確認する。上層部はオレンジの奴の武器である炎を放つ攻撃と翼からのカッターを防げる方法を第一に求めていた。他に必要なことがあればそれも意見して欲しい」

 

 

参加者は全員真面目にメモを取る。

その光景は漫画やアニメやゲームで描かれる所謂悪の組織とはかけ離れていた。

 

 

延寿「はいっ」

 

翔太「延寿君」

 

 

部下の一人延寿が手を挙げ、それを翔太が指す。

普段は無駄話等が飛び交っているが今日はそのような者はいない。そうしたオンとオフの切り換えもここの強みの一つだろう。

 

 

延寿「オレンジの攻撃を防ぐ方法とは言い難いのですがエルレイドにも遠距離武器は必要だと思います」

 

翔太「なるほど確かにな」

 

石築「はいっ」

 

翔太「石築君どうぞ」

 

石築「僕はやはり攻撃を防げる頑丈なシールドが必要だと思います」

 

翔太「なるほど、しかしカッターならともかく機体すらも燃やしてしまう炎にどう対抗すれば良いだろうか」

 

石築「それは......わかりません......」

 

翔太「誰か今の案に対する意見をもつ者は?」

 

区千葉「はいっあります」

 

翔太「どうぞ」

 

区千葉「あの炎を物理的に防ぐことは現在の我々では残念ながら不可能でしょう。そこでなるべく機体を軽量化してかわすことに重点をおいては?」

 

翔太「かわす......パイロットの腕に多少頼ることにはなるがそれがいいだろう。反対意見は?」

 

石築「炎はともかく翼カッターをかわすのは少し難しいと思います。何故ならあれは広範囲に攻撃しているように見えたからです」

 

翔太「うん。敵方の戦力がはっきりしないところではあるが確かにそうだな」

 

翔太「しかしかといってシールドを搭載すれば結局重く......」

 

翔太「そうだ!」

 

花田「なにか妙案が?」

 

翔太「カッターを軟らかい使い捨てのシールドで防ぎつつ炎はかわす、しかしそのままでは結局接近戦になってしまうから飛び道具で倒す」

 

延寿「なるほど......」

 

偶錬「しかし飛び道具はどうします? エルレイドでさえ普通の弾丸は効きませんし」

 

石築「そうなると......ミサイルか?」

 

翔太「ミサイル......ならば脚部、人間でいうところの太股当たりに付ければよいかな、だけど恐らく撃てるのは一発......左右合わせて二発だろうな」

 

区千葉「二発......」

 

妃和田「俺は賛成っす。何発有っても当たらなければ意味はないし反対に当たれば二発は充分すぎると思うからっす」

 

「私も」「僕もです」「必ず倒しましょう!」

 

翔太「反対意見も無いようだしこれで決定とする。明日から頑張ろう!」

 

部下たち「はい!!」

 

翔太「それじゃあ焼き肉にでも行こうか。全部俺の奢りだから遠慮なく食べな!」

 

部下たち「はい! ありがとうございます!」

 

 

翔太は部下たちを率いて近くの焼肉屋に向かった。

彼は普段からときどき同様のことをしており、それも人望に一役買っている。

 

──────────────────────

 

それから四日後......

 

翔太「出来た!」

 

部下たち「おおお!!」

 

 

彼等はエルレイドへの即席改造を完成させた。

背中には軟らかく軽いシールド、脚部の太股部分には一発限りのミサイルを発射する小さい砲台が搭載されている。

 

 

翔太「それでは行ってくる」

 

 

翔太は階段を登った。

朱艇達に機体が完成したことを伝えるためだ。

 

 

敵軍基地

 

 

翔太「エルレイドの改造に成功しました」

 

慎司「そうか」

 

朱艇「遅すぎる」

 

翔太「申し訳ありません......」

 

朱艇「それでは明日出撃させろ。パイロットはお前だ、翔太」

 

翔太「えっ?」

 

慎司「朱艇、お前自分が何を言っているのかわかっているのか? もし翔太が戦死したら今後どうモビルスーツを開発させるつもりだ?」

 

朱艇「どっちみちその程度の物しか造れないのならいてもいなくても変わらないだろ」

 

翔太「しかし......」

 

朱艇「返事はどうした!?」

 

翔太「......」

 

「待て、朱艇」

 

 

奥から現れた若い男の一言は朱艇に鋭く突き刺さった。

彼の名は繁(しげる)。彼らを率いる軍団の首領・凰城戸の孫にあたる。

 

 

慎司「繁か......」

 

繁「朱艇、自分と合わないからと言って貴重な人材を無駄にするのか?」

 

朱艇「その......えっと......」

 

朱艇「ならば私が改造エルレイドに載ってリザードンを倒します!」(もしも勝てそうになかったら緊急避難用パラシュートで逃げればいいだけ......どっちみち翔太はお仕舞いだ)

 

慎司「そうか......」(他人を利用し、自分の手は一切汚したくないこいつのことだ。絶対なにか企てがあるはず)

 

翔太「......」(僕のことを快く思わない奴のこと、どうにかして僕に罪を着せるつもりだろう)




モビルスーツ紹介

No2,エルレイド
概要
凰城戸軍の汎用モビルスーツで低コストでの大量生産に向いている。性能はそこそこだが操縦が簡単。
武装
リーフブレード
備考
世界初の実用軍事モビルスーツ

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