雅拉『俺を忘れて貰っては困るな......』
ガブリアスは途中から地中に隠れていたが、リザードンの危機を知ると勢いよく飛び出しエレキブルの攻撃から身を呈して守った。
智『雅拉さん?』
雅拉『慎司は最初から改心などしていない。何故なら一月前の戦いでの奴等の目的は我軍の基地への進入だったからだ!』
慎司『......』
雅拉『逃げる隙は充分にあったのに奴がエレキブルの中に留まったのもそのためだろ!』
慎司『はぁ......やはりバレていたか......だがどうする? この戦力差で勝てるとでも?』
雅拉『智! リザードンの戦闘力では不充分...... お前がガブリアスを操縦して奴等を倒すんだ!』
智『どうして俺なんですか? というか、大丈夫なんですか?』
雅拉『ガブリアスには電気は効かないから安心しろ。お前を選んだ理由だが、リザードンのAI は唯一脱着が可能だ。ガブリアスはAI が備え付けられていないから負担が大きく、俺の身体も限界が近い...... あとを頼む...... 』
智『そんな!』
プリン『決断を。ガブリアスの性能ならば現状のエレキブルを倒すことは恐らく可能』
智『......』
慎司『その音声は俺にも聞こえているということを忘れるな。どうするんだ? このまま負けるか、足掻いて死ぬか!』
智『......俺は決めたんだ! 奴等は絶対に許さない、一人残らず駆逐するって。正直それでいいのか悩むときもあった......でも迷っているうちに悲しむ人が、失われる命があるのならば、俺はその罪を背負い続けて最後まで戦い抜く!』
慎司『それがお前の出した答えか』
智はコックピット内に掛けてあったガスマスクを着けると、リザードンを出てガブリアス内に乗り移った。
繁「オペレーター、俺はどうすればいいんだ?」
──────────────────────
通信
オペレーター「エレキブルを援護してください! メガエルレイドとビーム兵器でのガブリアスの破壊こそ叶いませんでしたが、今二対一で戦えば必ず勝てます!」
──────────────────────
エレキブルのかわらわりとガブリアスのダブルチョップが激しく火花を散らす。
慎司(ガブリアスには電気攻撃は効いていないようだった。つまり俺が勝つには純粋な殴りあいで征する必要があるな......)
智(パイロットとしての腕では俺はあいつには敵わない...... ならばこれだ!)
ガブリアスは地面に身を隠した。
慎司(何処から来るんだ?)
智(まずはお前だ! 繁!)
ガブリアスはバンギラスの足下に着くと円を描くように動いた。するとそこに空洞ができ、足をもっていかれたバンギラスは横転。
そのままバンギラスはエレキブルの方向に倒れてきた。
繁「しまった!」
慎司(このままじゃ潰される......! 仕方ない許せ......)
ワイルドボルトを発動したエレキブルはバンギラスの胸部をぶち破り何とか脱出。しかしガブリアスが地中から放った流星群をまともに喰らってしまう。
慎司『おのれ! 何処にいる?』
智『真上さ!』
慎司『なに!?』
いつのまにか地中から出ていたガブリアスのドラゴンダイブによりエレキブルはぺしゃんこになった。
繁「あっ! 慎司!」
智『最後はお前だ! 繁!』
繁「喰らえ! メガシンカ!」
バンギラスがメガシンカをすると再び砂嵐が巻き上がる。
だが終始自分にとって有利に働いていた1度目とは違い、今回はガブリアスに最大限の恩恵を与えた。
繁「ど......どこだ? また地中に逃げたのか?」
雅拉『ガブリアスは砂嵐のダメージは受けず、砂嵐が吹き荒れている環境下では回避率を上げることが出来る』
智『なるほど、だから打倒バンギラスとして適任だったってことか!』
繁「死ね! いわなだれだ!」
智『そんなの当たらないさ、決めるよプリン』
繁「ちくしょう! こんなところで死ねるか!」
ガブリアスの怒りのこもった乱打はバンギラスの損傷箇所のヒビを徐々に広げていく。
そして最後の一撃が当たったとき、遂にバンギラスは動きを止めた。
智『はぁ...... はぁ...... 』
雅拉『やったか?』
慎司『貴様! 絶対に許さん! せめて貴様らだけでも道連れにしてやる!』
智『慎司!?』
間一髪で逃げ延びていた慎司は乗り捨てられていたリザードンに乗り込むと、ドラゴンクローを展開して走って襲いかかってきた。
次回最終回は4月5日更新予定です。