チートでポケモンのトレーナーらしい   作:楯樰

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飛んでくらしい

何だかんだと問題なく中等部卒業。

 

卒業式はなんとなく感慨深く。

最後の半年間の間でクラスの男子達とも仲良くなれた。

 

『……苛められてたとか、全部ご主人の思い違いだけどな』

 

五月蝿いピカチュウ。

 

……まぁ、それから卒業と同時におじじ様からまたもや飛び級試験の提案。

 

今度は大学。

タマムシの大学。

オーキドのお爺ちゃんの講師するあの大学。

初めの頃は行きたいとか言ってたものの。

さてはて。

 

一体何処に行けと言うのかね!?

 

学科がぁー学科がぁー、とでも言えば良いの?

馬鹿だよ? 死ぬよ?

ピカチュウにも劣るって、自分馬鹿以外に何が残るの?

 

『……そこはかとなく馬鹿にされた気分』

 

煩い。

大体お前の頭が良すぎるのが悪い。

なに? 自分の脳の電気信号操ってんの?

 

『……知りたいか、ん?』

 

いえ、結構。

そんなポケモン達の裏事情知りたくないです。

実は電気ポケモン全員が全員こいつみたいに頭が良いとか聴かされたら死ねる。

人類はピカチュウに侵略されるのだっ。

 

……コホン。

 

とりあえず、まぁ受かったとだけ言っておこう。

 

よかったよ、英語とか無くて。

英語は死ねる。

全国共通語サイコー!

 

『……』

 

えー……先程からピカチュウからの無言の圧力が恐いので、ひとまず。

 

一応決まってるので某大佐の真似事はしない。

 

入学科は携帯獣研究科。

あそこなら無駄知識使えると思うし。

お爺ちゃんいるし。

 

『いや、人類の未だ解明されて無い知識を知ってるご主人はおかしい』

 

まぁ、細かい事は気にしない。

あ、ちなみにピカチュウと俺の内緒だから。

一応研究したって言う体裁は整えてお爺ちゃんに報告するつもり。

 

これからどうなることやら。

そろそろ新しいポケモン手に入れたいとか思う自分でした。

 

『……ぷい』

 

うわ、ツンになった。

 

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一応、中学生としての春休みも終わり。

新しき春の始まり。

一気に飛ばした高校生活なんてものは無かった。

 

あぁ、無常。

 

『仕方ないだろう? ご主人が飛び級受けたんだから』

「……まぁ、おっしゃる通りで」

 

ボールのピカチュウと一緒にいるお父さんに聞こえないよう話していた。

それというのも、流石に大学の中をうろちょろとする訳にも行かないので、何故か大きな鞄を持って、オーキド博士が来るのをこうして家の前で待っていると言うわけだ。

 

 

身長高かったらこんな事にもならなかったんだろうけど。

 

『……そんなに身長のある子供が居たらビックリするけどな』

 

それもそうだ。

救いは無かった。

とりあえず、何で着替えがいるのかは不明。

……あぁ、泊まりで研究する事もあるからか。

 

「……父さんびっくりしたよ。まさかそこまで息子が頭が良いとは思わなかったから」

「あ、うん……なんかゴメン、お父さん。全然子供らしくなくて」

「いや、いいんだ。それもまたお前だ。お前はお前らしく生きれば良い。……お母さんは泣いていたけどな」

「……うん」

 

やっぱりこの二人の下に生まれてこれてよかった。

生まれてから今年で七歳になるけどこんなに感動したのは初めて……いや、結構あった。

 

「『もうあの子は私の元を離れて行ってしまうのね。トウカぁぁあああ』って」

 

お父さんがお母さんの真似をしながら言う。

うわ、どうしよう。感動返して欲しい。

……ピカチュウ、どうしたら良いと思う?

 

『……それでもご主人の事愛してくれてるようだからいいじゃないか。私なんか親の顔なんて憶えてないのだし』

 

確かに。ピカチュウにこの話を持ち掛けるのは間違っていたみたいだ。

彼女、いや、彼女たちピカチュウの生態は、メスが卵を産んだ後、孵ってから一日で親は別れ、それからはその群れ全体で生まれたピチューを育てるのだという。

なんというか、生産的な生き物だなと初めて聴いた時には思ったけど、親から貰う愛なんかじゃなく、群れ単位で与えられる愛のようだ。だからウチのピカチュウは、群れから追い出された時、もう戻れないものだ、と判断したらしい。

凄まじい生き物だな、と改めて思った。

 

「……おーい」

「お、来た来た。父さーん!」

 

やってきた巨大な黒い影。

見上げて見ればそれは黒いリザードンで、その佇まいは歴戦の戦士。

そして凛々しく、知性のあるその瞳はとても澄んでいた。

 

「これがお爺ちゃんのリザードン……しかも色違い」

「ほう……判るのか。凄いのぉウチの孫は」

「……まったく、何処で勉強してくるのか」

 

うわ、しまった……と口を押さえても、時すでに遅し。

なんかとてつもなく、どうでも良い事で感心された。

 

「まぁ、その知識も研究に生かせるようになる。期待してまっておれ?」

「……は、はい……」

悪戯っ子のように笑う、世界的権威のお爺様。

どうにもこの状態のユキナリ爺ちゃんは苦手である。

 

そう、それはピカチュウの雷パンチならぬ、「でんじはパンチ」の次くらいに。

溜め時間無し、避けたとしても追いかけてくるソレ。

オマケに普通に解けるの待ってたらニ、三時間痺れがとれないんだもん。

絶対あれ俺へのO☆HA☆NA☆SI用だもん。

 

見かねたピカチュウが解いてくれるけど。

 

『……やる?』

やりませんっ!

 

ぐちぐちとトキワの能力使って念話モドキをやる俺とピカチュウを乗せて、黒いリザードンは空を飛んだ。

 

 

リザードンは中々話のわかる奴だった、とだけ言っておこう。

 

 




凄くギャグテイスト。
恋愛要素何処行った?

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