久しぶり故、とんでもない拙作となっております。
それでもよろしければお進みください。
「結局ここに残ることにしました」
『帰れ』
創造神のくせにけち臭い。
いいじゃん、この "始まりの間" って結構広いんだし。
……ちょっと床が透けてるのが怖いけど、別に落ちるというわけじゃないんだし。
と、まぁ無理なこと言ってるのは承知している。
だからと言ったらなんだけど……、
『……はぁ。なんだ、一体?』
「ちょっと時空と裏側の王様に会いに行く方法……教えてくださいお願いします」
がばっ、と腰から九十度曲げて頭を下げる。
アルセウスからの何言ってんだこいつ、という視線が辛かった。
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『……その、聞きたいんだが……なんだって急にご主人はあんなこと言ったんだ?』
いや、ね?
ただ来るかもしれない追手から逃げるのも癪じゃないか。
だからまぁ、あの三神に会いに行こうかと思った次第で。
それに別世界に逃げれば確実に見つかることはないかな、と。
『なるほど。……つまり一石二鳥の行動ということですか』
キュウコンの概ね言う通り。
で、頭どうかしてんじゃないのかと言うアルセウスに、発想に至るまで経緯を話せば、基本的にノリの良いあの方は行き方……というか手段を教えてくれた。
まぁ、行けるには行けるけどやっぱりただの人間には向こうに行けたとしても活動はできなくなる、ということなので。
ちょっとした時間と空間、歪みを操れるようになりましたー(棒)
といっても時間が操れるのは体感時間を遅くしたり早くしたり。
空間は別に、ちょっとした結界はったり空間を固定したり、座標抜きでテレポートが使えるようになったり。
歪みは……まぁゴーストタイプの技が自分でも出来るようになったというか重力が操れるようになった…?
「……って、いやいや。人外にしろ、って言った覚えはないんですが、アルセウスさん」
≪超能力の発展形だと思えば別に人外でも何でもない超能力者、そうだろう?≫
「……まぁ、そうかもだけど」
≪お前は人外じゃねぇっ!!≫
と、天界の笛という名の通信ツールからの声曰くまだ俺は人外じゃないみたいです。
人外なめんな、だそうです。……糸目のポケモンブリーダーが頭の中に浮かんできたぞ。
「……さて、待たせた。お話という名のポケモンバトルをしようじゃないかディアルガ」
『作戦会議は終わったようだな。さぁ、存分やろうじゃないか。弱くなられているとはいえ主と引き分けたトウカよ…!』
――グォォォオオオ…!
「時の狭間」という世の理から外れた場所。
時の流れは変わることは無いという、不変の証である金剛。
そのダイヤモンドのように不変の存在である時の神が咆哮を上げる。
足場のないこの場所で、ふよふよと浮きながら俺は懐のボールに手を伸ばした。
――時の狭間の主、ディアルガが勝負を仕掛けてきた!
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ピカチュウが閃光と化して宙を飛ぶ。
飛んでディアルガまで近づけば、熱と冷却を同時に行い体の構成素子を劣化分解させる技を使ってダメージを与える。
ディアルガはその受けた傷を時間を巻き戻し修復し、 本来次の行動までにタイムラグがある技、時の咆哮という名の高威力の衝撃を時間を早めて連続して放つ。
ピカチュウに至っては時間が経つごとに「ひらいしん」で特攻が上がり「電気エンジン」で素早さが上がり、さらに「ちくでん」で体力を回復していくのだからたまったものではない。
その他、ポケモンの技とは思えない攻撃が飛び交い、傷つけ合い、回復していた。
……ポケモンバトルがポケモンバトルしてない件について当事者であるピカチュウさん、どう思いますか?
『……反省はしてる。けど後悔はしてないッ!』
いや、トレーナーの言うこと聞けよ! ポケモンバトルだろうがっ!
これじゃただの異能バトルだっての!
……まったく、アルセウスの時もそうだったけどさ。
トキワの能力使ってPP的な体力を回復させても……トレーナーの言うこと聞かないなら野生のポケモン同士のバトルじゃないか。
……いや、まぁ今更な気がするけども。
『……スマン……』
……はぁ。
ま、本当に今更だしもう言わないよ。
さて、ディアルガさん。
『ん? どうした?』
「……絶対にお前は捕まえないし、連れてもいかない。まぁ、その……着いてきたい気持ちはわかるけどな?」
ぶわっ、とディアルガが泣いたように見えるのは気のせいだろうと思いたい。
というか、泣いてくれるなよ時の神様。
『……まぁ、仮にご主人が許しても私が許さないからな!』
『うぅ……っ!』
……滅茶苦茶いい笑顔してますけど、ピカチュウさん。
『ん? なんだ、ご主人?』
「いや、酷いなって思って」
『……だって私悪くないし』
……ディアルガに姐さんって呼ばれるのってどうなのよ、あんた。
『だから私は悪くないって言ってるだろご主人っ!』
「いや、十分悪いからな!」
ぶっすぅーと頬を膨らませて拗ねだした(放電し始めた)のでそろそろお暇することにしよう、そうしよう。
「……それじゃ、えっとディアルガ。また今度会えたら会おう」
『……あぁ』
哀愁漂う姿を最後に見て、俺はパルキアのいる『亜空間』へと跳んだ。
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「……それでパルキアとディアルガ、ギラティナとおはなし(物理)をしてきたけど」
『だからといって我のところに戻って来ずともいいではないか? なぁ、おい?』
「……俺、ナツメちゃんに会いたいんだ」
『聞けよ! そして帰れっ! それに会いに行きたければ行けばいいではないか!』
やりのはしら、上空。
『始まりの間』にてポケモンたち全員出して俺はアルセウスと駄弁っていた。
誰にも見つからない、ということで久々にミュウ’sも元の姿で外に出している。
……や、だって会いたいからって会いにいったら負けかなと俺は思うの。
ナツメちゃんはナツメちゃんで頑張ってるんだし。
目指していることへの意識を逸らすのは宜しくない。
「まぁ、今日あたりで出ようとは思ってる。この地方、色々と見て回りたいし」
『……そうなのか』
アルセウスに泊めてもらって早数日。
数えて大体三日か五日くらいかと思っていたのだが……実際にはもう既に半月以上経っているとのことだった。
色々と此処「始まりの間」は時間の流れが違うというのが原因だそうだ。
まぁ、恒久を生きる存在からしてみれば世界の時の流れは遅すぎるのだろう。
「それじゃ行くよ。ありがとな、アルセウス」
『あぁ。……アリーデヴェルチ(さよならだ)』
相も変わらずネタいアルセウスに苦笑しつつ、俺はアルセウスに強化されたテレポートを使う。
――向かう場所は未だに活動を続ける活火山。
ハードマウンテンの麓に跳んだ。
着々と人外に成っていく主人公。
相も変わらずバトルの描写は薄い本作。
ネタいアルセウス。
ピカチュウに勝てないディアルガ。
スルーされたパルキア。
そしてシャドーダイブでもしたかのように存在感の薄いギラティナ。
こんな拙作ですが、お読みいただきありがとうございます。
この場をお借りして述べさせていただきますが、恐らく遠征終了まではバトルは過去形でのみお送りいたします。(一応、申し訳程度に幾度かはまともにポケモンバトルすると思いますが。
バトルはトレーナーとして旅立ってからと決めていますので、バトルを所望している皆様には申し訳ない限りです。
他のポケモン小説のように濃密なバトルシーンをご希望の方には物足りないと思いますが、何卒ご容赦ください。
それでは。