チートでポケモンのトレーナーらしい   作:楯樰

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怒れるらしい

森の洋館の一画。

 

「……で、どういうことなの?」

「……憑いてた幽霊に立ち退きをお願いするのは酷と言うか、難しいだろうと思ったので。創造神様に色々とお願いしてここで雇う事にしました」

「創造神様? あ、アルセっ――!?」

「ストップ。まぁ、そんなとこですね」

「もう! トウカ君ってばお茶目ね……!」

「とか言いつつ抱きついてくんな変態(シロナ)

「……っぅ!」

 

罵倒されて喜び始めたら末期だろう、と思う今日この頃。

ナツメちゃん、貴女は今どこで何をしているでしょうか。

貞操がピンチです。

貞操帯をつけないといけないかもしれません。

 

……どこかで売ってませんかね?

 

-------------------------

 

――シロナさんと密談を終わらせ、研究員達を落ち着かせて。

別室にミツバさんが寝かせた、ヨミとか言う外見幼女が目を覚ました後、そわそわとする研究員の前に二人を連れて紹介をした。

 

「こっちが執事のミツバさん。こっちがメイドのヨミ。……色々と世話をしてくれることになってます」

「どうも、ミツバです」

「ヨミです。おにいちゃん、おねえちゃ――いっつーぁ!」

 

あざとい笑みを作り上目遣いをする元地縛霊に拳骨を一発。

この幼女、いや妖女は精神年齢で言えば俺よりも遥かに歳をくっている。

つまりロリババアだ。

ただのロリババアだったなら『大きいお友達』を誘惑してても見なかったことにはするけれども、元地縛霊ヨミのしでかしてきた悪行の数々を知る身としては看過できない。

あらかじめ事情を話したシロナさんもなんとも言えない、って表情してるし。

……というか、頼むから変態を誘うような事すんな。

唯でさえ変態なのが自制出来なくなったらどうすんのさ。

 

「げ、ホントに?」

「……頼むから止めろ」

 

魂を見て思考を読める元地縛霊は勝手に読んだらしくこちらに顔を向けてたずねてくる。

いやもうホント切実に止めてほしい。

アイツら結婚出来なかったら如何すんのさ。

一応纏めてる立場としては心配なわけでさ……お前責任取れよ?

 

「……だけどそれで一生みじめに生きていく姿も」

「……」

「…………あ、や、分かったから。その振り上げた拳をゆっくり、ね?」

 

舌なめずりするように黒い笑みを浮かべる魔女に手を振り上げて睨む。

ゆっくり振り降ろすんだっけ?

ではお望みどおりに。

 

「っつぁあー! 痛いよ、ばかぁ! ――うぅ……」

「……はぁ……」

 

力と波導を込めてアームハンマーを碌でもない幼女に落とした。

正直、昇天させたほうが良かったのかもしれない、と後悔している。

……いや、この世界じゃ黄泉送りか。

まぁどっちでも構わんのだけども。

 

「室長が幼女に手を出したぞ!?」

「室長!?」

「室長が怒った!?」

 

あ、まず。

 

「でもそんなの関係ない!」

「ペロペロしたいお」

「室長結婚しよ」

「えぇい! 抜けがけは許さんぞヨミ! ――室長に殴られるのは、この私だッ!」

 

……っていやいやいや!

 

「お前らも変態するの大概にしろよッ!」

『無理です!』

 

と、一層と煩くなり、比較的精神年齢が高いだろうと思われるシロナさんとミツバさんは苦笑する。

そこへ『喧しいぞコラァ!』と先住居者の方々……つまりゲンガーにロトム率いるゴーストタイプのポケモンが現在居る食堂に飛び出してきて大喧騒となった。

 

あらかじめ話しておいたシロナさんはともかく、野生のポケモンと同居することになったのが研究員らに発覚し煩いのが更に煩くなったのは、もうどうしようもなく。

……シンオウでの拠点を得た一日目はこうしてやかましく過ぎていった。

 

-------------------------

 

俺と研究員の内何人かを引き連れて、ハクタイシティに用事を済ませに来たシロナさんを待つ。

彼女が像に備え付けられているプレートに書かれた文章を読み説いている間、近くにそびえ建つギンガ団ビルを眺めながめていると、研究員の内一人……自称淑女が「あ、そういえば」と話しかけてきた。

 

「私前々から思ってたんですけど……室長って実はロリコンなんじゃないかと」

「……これから俺はお前を怒るけど一応聞かせてもらおう。何がどうして何故そう思った?」

「いやだって私たちはともかくあの雌狐……じゃなかった。シロナに抱きつかれてもドギマギしないじゃないですか。それに加えて二歳年上とは言えあのナツメちゃん」

 

あっはっはー。

 

「誰か私の事雌狐って言った……?」

「言って無いですよー」

 

文章を見ていたシロナさんが頭を上げてきょろきょろとしながら聞いてくるので否定しておく。

 

「とりあえず、もういい。お前は何か勘違いしてるだろうが俺はまだ11歳だ」

「でも11歳にもなったら一応子作り出来るらしいですよ?」

「――怒るよ?」

「だって早い子供は精通もそのくらいから……」

「……今日からお前だけ飲酒禁止な」

「そんなぁ!?」

 

がっくりとうな垂れる女研究員。

阿保なことばっかり言ってるからそうなるんだ。

 

『でもご主人がロリコンなのは事実だろ? 精神的な意味で』

 

ピカチュウも飯抜きにされたい?

 

『よし、後で私とちょっとお話しだな。なぁご主人』

 

いいぜ? 波導が使えるようになったんだ。もう何もこわかねぇ!

久しぶりにピカチュウとのガチバトルに腕を鳴らす。

……っとその前にやって置くべき事があった。

 

『なんだ、それ?』

 

ちょっとしたごみ掃除。

 

……考えを読んだようでピカチュウの悪い笑顔が頭に浮かぶ。

自重はするように、と注意して俺はシロナさんに声をかける。

 

「シーローナーさーん! ギンガ団壊滅しにいーこーぉ!」

「ぶぅうううう!」

 

丁度調査の終わったらしい、優雅に紅茶を飲んでいたシロナさんが吹いた。

……なんか、ごめんなさい。

でもなんか貴女狙ってやってるような気がするので直接は謝りません。

 

 

「というわけでギンガ団ビルに潜入です」

「何がというわけ、なの? 服も染みが付いちゃったし……汚されちゃった」

「頬を赤らめるなよ変態。あとでピカチュウに電気分解的染み抜きしてもらいますので我慢してください。……やっぱり強襲にビクビクしながら研究するのは性に合いませんのでどうせならここから追い出してやろうかと。壊滅だなんて物騒なこと言いましたけど、やっぱり平和的解決で」

 

きゃ、とか言いながら片足上げてる "しろなさんじゅうはっさい" はいったいどうしたと言うのだろうか。

……すまんピカチュウ、染み抜きよろしく。暴れていいから。

 

『仕方ないな……任せろ』

 

ボールからでているピカチュウはこくり、とシロナさんのほうを頷く。

……代わりにギンガ団がどうなるかわかったもんじゃないけど。

 

「……やっぱり会話してるよね?」

『「……別に?」』

 

やだなーそんわけないじゃないですかー(棒)

 

「……おほん。それじゃ作戦はこうです。ピカチュウの電磁波で光学迷彩状態にしてもらい、研究資材の奪取。および破壊。……不定期に襲っていたらいずれこのビルから立ち退くでしょう」

「いったい何処が平和的なのかちょっとお姉さんにはわからない」

「わかんなくて結構です。自分の家の片付けが出来ない人に文句言われたくありません」

「……うぅ」

 

涙目になっているのがちょっと可愛いだなんて思ってない。絶対にだ。

そうとも! これは変態、これは変態! これは変態っ!

 

『ご主人……辛いな……』

「えぇい! 同情するなピカチュウ! ……むなしくなって来た。ナツメちゃんに会いたい」

『私も辛いんだが……って、ご主人。……声に出てるぞ』

 

……まずい。

 

「え、ナツメちゃんってだ、誰なの!?」

「……知ってるのにわざわざ驚かなくて……なんで涙目!?」

 

ウインディが『なかしたー』だとかいって茶化してくるので館にいるキュウコンに後で言ってやろう。

泣きついてきてもしらないかんな!

 

「ごめん、目にほこりが入ったみたい……まったく悪の組織は駄目ね。掃除すら出来ないだなんて……ちょっと滅ぼしてくる」

「……」

 

とりあえず監視カメラを通じて監視室の機能をピカチュウに停止してもらう。

 

「……掃除が出来ないって貴女が言える事じゃないと思うんだが……」

 

なんて本人に突っ込みは出来なかった。

べ、別にシロナさんの背後に怒れるボーマンダを幻視したとかじゃないんだからね!

……ちょっぴり罪悪感を感じるのは気のせいだということにしよう。

 

とりあえずもう一つの目的の達成のため、電子機器の破壊(多分跡形もなく破壊されるだろうから奪取は無理)をシロナさん達に任せて、俺は物陰に隠された扉を見つける。

 

『鍵開けなど……私にかかればどうと言うことはない』

 

……ピカチュウさん、貴女ピッキングも出来たんですね凄いです。

鍵の掛かっていない扉を開き中へと入った。




シロナさん修羅モード。
睨んだだけで敵は吹き飛ぶ……みたいな。

というわけで遅れあそばせました。ごめんなさい。
また次回。早く書けるといいな。
ではでは。

ギンガ団ビルにあるのは鍵の掛かった扉でした。
エレベーターなんてなかったんや……。

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