チートでポケモンのトレーナーらしい   作:楯樰

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五歳らしい

父と母。そして長男である自分。

そんなヤマブキシティの裕福な環境に“僕”は生まれた。

 

五歳になる誕生日の前日。

その日の夜、高熱を出し寝込んでしまった。

 

そして翌日、日曜日。

目が覚めるとかつて神と交わした会話、そして前世の記憶が頭の中にあり、枕元にはメモ書きが。

 

『この世界はポケットモンスターの世界。

特典は

・ポケモンspecialよりトキワの能力、孵す者。

・本当に気に入ったポケモンにつき、努力値の限界の撤廃。

・努力すればで多才になれる能力。

・なつき度の上昇率UP。

・ポケモン捕獲率のUP。

・伝説&幻のポケモンとの遭遇率UP。

・手持ちのポケモンとの声による会話。

 

 

注釈:わからない事があれば本棚にある『ポケモンの全て』という本に書いてあるので参考に。

このメモは読み終えると消える。この内容は上記本に書いてあるため心配ない。

――以上』

 

……正直な所、僕……いや、俺にはトキワの能力とかが全然分からなかったので仕方なく調べる事に。

 

開いた時には中身はノートみたいに白紙で、『は?』 と思っていると文字が浮かび知りたい事が書いてあった。

 

一通り読んで本を閉じる。

なるほど。トキワの能力と言うのはポケモンセンターいらずと言う事。

ただ、慣れていない内は疲れやすいらしい。

孵す者は厳選無しで個体値Maxのポケモンが生まれるのか。

努力すれば多才になれる能力……というのは良く分からなかった。

なんだろう、努力すればノーベル賞とれるだとか、プロ野球選手になれるとか、そういうことだろうか?

幸い、なつき度とか努力値だとかは前世でやり込んでいたから分かる。

わかるっちゃ分かるけど……努力値の限界の撤廃って言うのは……もしかしなくともポケモンの鍛えようによってはステータスMax(999)になるということだろうか。

 

いや、ステータスの限界値自体がこの世界にがあるかどうかも怪しい。

 

もし無いのなら……キャタピーがアルセウスを遥かに超える能力値を持つ可能性が生まれる訳か。こんな能力が研究機関とかに知られたら恐ろしい事になるんじゃなかろうか。――ちょっと寒気がした。

 

……とりあえず起きよう。

 

お母さんが昨日心配していたから早く元気な顔を見せないと。

 

-------------------------

 

おはようと先に起きていた両親に声を掛け食卓に着く。

大丈夫? と聞かれたりしながらも朝食をとる。

余談だが箸の使い方が昨日より上達している事で少し驚かれた。

 

そして両親に遊びに行って来ると言って家を出る。

目指すは公園。ポッポだとかの鳴き声を聞きながらスキップしながら歩いていく。

 

なんだか前世の記憶が戻った事で今まで見ていたものが凄く新鮮に見える。

それから身体の年齢が幼くなったせいか、考え方も少し子供時代に戻った気がする。

 

そうこうしている内に、目的の公園についた。

 

「うわぁ……!」

 

ポケモン同士を戦わせている短パンの少年達。

パンくずと思わしき餌をポッポにあげているお年寄りの夫婦。

そしてベンチに座ってニャースを撫でているお姉さん。

 

現実にポケモンと共に暮らしている様子を目の前にして年甲斐も無く声が出た。

 

公園の中に入ってもっと良く見て回る。

 

虫取り少年がキャタピーをつかまえようとする。

胴着を着た格闘家の人とゴーリキーは一緒に走る。

 

見れば見るほどポケモンと人が共存していた

勿論鬼ごっこをして遊んでいたりする子供達も居る。

 

 

もっとポケモンが見てみたいと思い、近くの茂みに入る。

 

しばらくじっとしていると近くに来たコラッタと目が合う。

――が、すぐに逃げて行ってしまった。

 

……むぅ。流石に野生のポケモンに触るのは難しいか。

 

仕方ないので茂みから出て、ベンチに座る。

 

 

さて、浮かれるのはいいけど……コレからどうしようか。

 

とりあえずポケモンと一緒に旅をしてみたい。

……できるだけ自分の特殊能力は隠しながら。

そのためには10歳……一年後からトレーナーズスクールに通わなきゃいけない。

だけど、トレーナーズスクールで習う事は既に前世で知っている事ばかりだと思う。

でもコレばかりは仕方ない、とあきらめるしかないか。

いや、でもスクールの校長先生に自分の知識を話したらどうだろうか?

 

……案外通わなくてもいいかも?

 

そんな風に一人百面相して、顔を上げると隣に誰か座っていた。

驚きで声を上げるのも忘れるくらいだ。

ニ、三歳ほど年上の女の子だろうか。そんな彼女は、

「うぅ……っぐ……うう……」

……泣いていた。

 

どうしたらいいの? 俺、なんかしたっけ?

 

そんな感じでしばらくの間、泣く女の子の隣で頭を抱えた俺だった。

 




8/1 誤字修正……というか誤用修正。

神さまからのメモの件。
最後、心配要らないと書くつもりが、間違った覚え方してた。
“案ずるべし”って用法違ったのね。
……勉強になりました。

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