いつもの文量です。
少し加筆修正。
窓から射す日の光で目が覚めた。
「知ってる天井……」
目を開けてみれば知らない天井……なんて事は無かった。
此処は何だかんだと一ヶ月過ごしてるグリーンの部屋。
ただ何時もと少し見え方が違う。……若干天井との距離が近いな。
体を起こすと視線が少し高い。どうやら俺はベットの上で寝ていたようだ。
そして本来このベットで寝ているグリーンの姿は部屋には無かった。
いつもは此処の部屋の主のグリーンがベットで、俺が床に布団を敷いて寝ている。
……アレ? 俺なんでベットで寝てんだ?
「うんん……」
最後の記憶は……確かポケモンバトルやってた。
えっと、禿げ頭? ……あ、カツラさんとやってたんだ。
それから視界が暗くなって……?
「気絶した…?」
いやいや。なんかこう……違ったような。
扉が開く音がした。
「……おはよー…って、あれ? 起きてる」
俺が唸っている中、顔を出してきたのはナナミさん。
「あ、ナナミ姉さん。おはよう…」
「うん、お早う。朝ご飯出来てるからね」
「はーい…」
……つい咄嗟に「おはよう」って挨拶したけど、朝か。
時計見たら普通に七時だった。……ホントいつ帰ってきたんだ?
むむむ、わからん。
「はぁ……」
仕方ない、起きよう。
そして俺は、悶々としたままベットから下りて部屋を出た。
食卓に座っている面々に挨拶して定位置につく。
「いただきます。…………お爺ちゃん、ちょっと聞いて良い?」
「……む? なんだ?」
「えっと、昨日ってどうなったの……?」
ナナミさんの作った朝食を食べながら、新聞読んでるオーキド博士に昨日の事を聞く。
「……疲れていたんじゃろうな。バトルが終わった後、倒れるように寝てしまったわ」
ははは、と笑うオーキド祖父。
自分と二人でしか行ってなかったから多分帰りは背負ってくれたんだろう。
「……ごめんなさい、お爺ちゃん」
「まぁ気にする事はない。まだまだ孫を背負うくらいは出来るぞ?」
「うん……」
申し訳ない気持ちになりながらも、少し新聞が気になる。
新聞のトップには『グ レ ン 遺 伝 子 研 究 所 。化 石 の 復 元 に 成 功 !!』とでかでかと書いてある。
横にはオムナイトの写真。ちょっと分かりづらいが、色々と生態を調べた後、セキチクのサファリパークにある特別展示の方へ運ばれるらしい。
どうやらミュウについては初めから復元されなかった事になったらしい。
カツラさんから緘口令がだされたようだ。
これで一応、ミュウの姿を誰かに見られたとしても怪しまれる事は無いと思いたい。
「うん? これか……まぁそう言う事になった。だがの、例のアイツを知らん人間がいないわけじゃないのだ。学会の何人かも……それからあの組織の幹部どもは大半は恐らく知っておるじゃろうて。じゃからちょっと考え物だの」
「……駄目かぁ。バレたらきっと追いかけ回されるだろうし…」
「そうじゃのぉ…」
「はぁ。……うん? あれ?」
腰のピカチュウと話そうと思ったらいない。というかボールが無い!
「お爺ちゃん! ボールは!?」
「あぁ、あそこじゃ。試合でガーディが倒れたままじゃったろ? 回復させておいたぞ」
「そ、そっかぁ……良かった」
ボールが四つ。指さすほうを見て安心した。
そして、そういえば、とガーディがやられた事を思い出す。
ピカチュウが修行を付けたとはいえ、自分が少し彼を過信していた。
いや、彼は実際強い。まがい物とはいえ、もらいびを彼は再現して見せたのだから。
一度だけピカチュウに話した覚えのある、偶々見たアニメでの話。
自分の技、もしくは相手の技を吸収して技の威力やステータスを高める技術で、総じて難しいとされていた。
それを行えるようになった彼は確かに才能の塊だ。
問題はそれを生かせなかった自分と、状況をちゃんと見極めなかった自分。
電気タイプで炎タイプや氷タイプの技を再現するピカチュウと同列に考えていたのがそもそもの間違いだった。
後できっちりアイツ等と反省会をしないといけないな。
「……なぁトウカ。お前昨日何処で何やってきたんだ?」
隣に座ってるグリーンが話しかけてきた。
おかげで俺のベット貸す事になったんだからな、と少々お小言を貰う。
「ははは、ごめん……。で、グレン島って分かる?」
「分かるけど。確かじいちゃんの嫌いなカツラがいるって……それがどうかしたか?」
思い出すように言うグリーンはそれなりに物覚えが良いと思う。
将来孫の名前を忘れるような我が祖父にはなって貰いたくはないけども。
「うん。あそこで化石からポケモンが復元されたんだ。その結果を見せてもらいに行ってた」
「ふーん……凄いのか?」
「凄いも何も……遺伝子が少しでも残ってたらどんな生物でも復元出来るようになるのかもしれないんだ。……だから死んだ人とそっくりな人間を作る事だって可能になる。悪用されれば恐ろしい発明だと俺は思うよ」
一応あの施設のあそこまで巨大な機械がないと出来ないって事になって無かったらどうなる事か。
技術が盗まれでもしたら目も当てられない。
「クローン技術みたいなものか……確かにちょっと怖いかもな」
「だろ? ……で、その帰りにポケモンバトルしたら疲労がたたって倒れた」
「バッカでー」
「うっせー!」
九歳児らしからぬ話をしている俺とグリーン。
自分で言うのもおかしな話だけども、博士の孫ってだけで頭がよくなりすぎだと思う。
……これがスーパーマサラ人の血のなせる業だろうか。
「……お前さん達ホント九歳児か?」
「お爺ちゃん、最近の子たちはこんな感じらしいよ?」
ナナミさんもお爺ちゃんも人の事言えないと思うけど言わないでおこう。
うーん……今日は何しようかな…。
「お、そうじゃったそうじゃった。……トウカ、今日一日休暇をやる。というか研究所来たら駄目だ」
「え……」
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倒れるくらい疲れていたようだから今日は研究所の方には来なくて良いと言われた。
久々に小さい子供らしく遊んでこい、という事。
所長兼、家長命令らしく拒否権は無い。
……確かに此処最近研究所に篭りっきり。
じゃあお言葉に甘えて今日は遊ばせてもらうとしよう……そう思っていたら、
「へーこの子が新しい子?」
「うん……」
ナナミさんにボールが増えていた事に気づかれた。
で、ミュウは今ボールから出てきてる。けど俺の後ろに隠れて出てこようとしない。
「ほへー…なんだか可愛い外見してんのな」
そしてグリーンも俺と遊ぶ気だったのか、ミュウを出した時遭遇。
今は隠れているミュウを俺越しに覗きこんでる。
「人見知りするからあんまり強引には……」
〈……こわいよぉ〉
「「しゃべった!?」」
あらー…バレたー……。
「……うん。こいつ、ミュウは念話が使えるんだ。……ただあんまり言いふらさないように」
「お、おう」
「うん……すごいのね。ミュウっていうの? よろしくね」
〈……?〉
ナナミさんに手を出されて、よく分からないと困惑している様子。
「手をだして、こう。わかった?」
〈う、ん。……よろ、しく〉
「うん、ナナミよ。よろしくねミュウちゃん」
ミュウは俺の背中から少し顔を出し、ナナミさんと握手する。
恐怖心が多少なりとも薄れたのか、少し笑っているようにも見えなくも無い。
グリーンはというと、そんな二人の様子を羨ましそうに見ていた。
「……グリーンはいいの?」
「べ、別にいいし! ほら、さっさと遊ぼうぜ!」
うわぁ……ツンデレだぁ。
此処にツンデレがいるー。
「もう、グリーンったら」
〈グリーン変だね〉
「……う、うるさい!」
うん、頑張れ従兄弟…。
遅れた割にはあんまり話は進んでない。
遅れた理由としては忙しくて眠かったため。
お昼寝してたら八時だよ。はっはっは。
反省会はまた次回。