『……すんません…』
『いやぁ…面目ない。事情を聞けばあいつが悪いとか。こんなエェ人等やいうのに…』
『あいつにゃ、きっちり落とし前付けさせますんで』
「いや、そんなことしなくても……あははは」
目の前には黄色と赤。
自然界の危険な色が列を成している。
何故かというと……まぁ、ウチのビリビリ娘がお世話をかけたへの方々への治療。
例の
どうやら、あの初めに攻撃してきたスピアーは成り立てで、スピアーの群れでの決まり事関係無しに、周囲のポケモンやトレーナーを襲っていたらしい。
ちなみに決まり事と言うのは、「やられたらやり返す。自分達からは攻撃しない」だそうだ。
……で、いつかは判るだろうと放置していたら今回のことになったと。
だからあんた達は何処の893かと。
いや実際、本物はもっと違うのかもしれないのだろうけど。
……うん、つかれた。
「……じゃ、帰りますので。それでは…」
『あ、待ってくだせぇ。お兄さんくらいなら街まで送れます! 是非とも送らせて貰いたい!』
帰ろうとしたら呼び止められた。
優しい。
こんなスピアー達は見た事がない。
きっと俺を追いかけてまわしていた彼等は別人なのだろう。
追いかけて来た頬に傷のあるスピアーの内一体が、こうして謝ってくれているように思えるけど、気のせいだろう。
そんな優しい彼等が街まで送ってくれると言ってくれる。
正直、甘美な響きだ。
だが、甘えて連れて行ってもらっても良いのだろうか?
『……ご主人。足、限界なのだろう? 素直になれ』
…………うん。
こうして俺と、腰のボール二つに入っている三体。ピカチュウ、それからロコンとガーディはスピアーの背中に俺と乗った。
彼等の背中に乗せてもらい、待つ事数分。
街が見えてきたので近くの人目のつかない所で降ろして貰う。
街中で降ろしてくれようとしていたらしく、非常に危なかった。
入ろうものなら街中が第一種警戒態勢になる。
ちょっとした事件だ。
そんな事になったら目も当てられない。
「ありがとう、スピアー……さんたち」
呼び捨てで良いと言われたけど、そんな事出来んわ。
『それでは、ピカチュウの姐さん。トウカの旦那。色々とお世話になりました! ……おい、お前等! 帰るぞ!』
そういってスピアーの群れは飛び去って行く。
いやいや、ちょっと待て!
「旦那って…!」
俺の声は翅が風を切る音で掻き消える。
瞬く間にスピアーの御一行は空へと消えた。
かなり楽になった足で街へと向かう。
『ふふ……ピカチュウの姐さん。……悪くないな』
なにやら嬉しそうな声が。
マジか。ピカチュウ、それ気に入ったの。
『っ……べ、別に?』
声裏返ってるし。
全然説得力無いし。
なんかガーディとロコンいちゃついてるし。
……ってこら。
『す、好きよ……ガーディ』
『僕も、ロコン……』
あー…ボール越しで愛ささやきあってる。
あのー。
『……聞いてないぞ、コイツ等』
苛々としたピカチュウの声。
なにが彼女をそこまで苛立たせるのか。
それは解らない。
『…………なぁ、ご主人。やってもいいか?』
恐ろしくドスのかかった声で話しかけてくる。
うん、どうぞ。
それで貴女の気が治まるなら。
『…………電磁波』
『……(ピクピク)』
『……(ピク)』
あぁ、やっぱり恐いよ、ピカチュウ。
既に太陽は傾き、街は茜色に染まり、オニスズメもお家に帰る。
それから大学に戻った俺は、オーキド博士と一緒にマサラタウンへと飛んだ。
-------------------------
ロコンとガーディ。
この二名は前者……俺に捕まえられるという事を選んだ。
勿論、初めは二匹とも捕まえる気は無かったので俺は二匹に条件を出した。
まぁ、四千円も彼等に使うわけだ。少々許していただいても良いのではなかろうか。
で、その二人に科した条件。
それは1.勝手に愛をはぐくまない。2.いちゃいちゃしない。……の二点。
1は……まぁ、そういうことで。
どういう事と気になる時は、おしべと、めしべとの関係と言ったらわかるだろう。
…………言わせんな恥ずかしい。
2については、まぁ俺の勝手なお願いでもあり、ピカチュウからの提案だったりする。
ピカチュウ曰く、「いちゃいちゃしていたら1をしたくなるだろう?」という至極まっとうな理由。
そして前世の記憶があるということを、そこはかとなく察しているピカチュウからの俺へ対する配慮だった。
大人の体から子供の身体になり、色々と鬱憤が……まぁ溜まってたり。
……優しいのぉ、ピカチュウや。
飯はまだかいのぉ。
……
で、俺の我侭というのが……まぁ、こんな子供が純粋に異性と付き合うなんてこともまだなく。
同い年と付き合う……俺はロリコン。
また、年上の女性と付き合うなんて事になったら……色々と危ないよー。
いや、流石に二歳上とかくらいなら、ありえん事も無いけど。
とにかく、色々と精神面でも身体面でも影響がよろしくないので、そういう運びとなった。
二匹には悪いとは思う。
でも、俺が堪えられないので勘弁してくれ。
-------------------------
マサラタウンへ着いた俺はさっそく研究所の裏手にある、じいちゃんの自宅へ行った。
着いてすぐ、鳴り響くクラッカーの音。
「「いらっしゃーい!」」
元気の良い、似たような二人の声。
そして目の前の食卓の上には数々の料理。
どうやら、じいちゃんは孫に俺が来る事を伝えてくれたらしい。
……優しいなぁ。
「いらっしゃい、トウカ君。上のグリーンの部屋に荷物置いてらっしゃい」
「へへ、今日から相部屋になるんだってよ! よろしくな!」
「うん、よろしく!」
声をかけてくれる二人に出来るだけ歳相応に挨拶する。
うん、やっぱりこの人達は好きだ。
「それじゃあ、早く荷物置いて。ご飯にしよう?」
「よし、俺が大きいの持ってやるぜ!」
うん、無理。
なんせ、俺が念力使わないといけないくらいだから。
現在俺は軽々と持っているので、持てると判断したのだろう。
「いいよ、かなり重いし」
「……ちぇー…じゃ、こっちこい」
グリーンに案内されるまま、俺は彼の部屋へと入って荷物を置く。
……彼のがさつな性格にしては、整った部屋だった。
そして歓迎会。
途中から爺ちゃんも参加して、中々盛り上がった。グリーンやナナミさんに爺ちゃんから、俺が現在大学生だと言う事が伝えられ驚かれる。
この爺さん今日から住む事になる、と二人に言ったのだが、理由は話して居なかったようで。
少々慌しくも、一日が終わった。
二歳年上ならおk(意味深
一体誰の事やら。
やっぱり出来が悪い。
どうしたものか。
誤字修正
冒頭部分、スピアーの
どうやら意味不な文章になっていたようで。