弓塚さつき(憑)の箱庭生活【完結】   作:ホワイダニット

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ガルド終了のお知らせ。

はたして十六夜達に活躍の機会があるのでしょうか?


はい、虎狩りと箱庭の吸血鬼です。

お風呂から上がった娘四人は(()四人?)

パジャマ代りに用意されたネグリジェ着て、明日からの着替えのために黒ウサギの部屋までやって来ていた。(ちなみにレンは早々にお風呂から上がり既にさつきの部屋で就寝中である)

 

「せっかくこんな素敵な世界に来たんだもの。相応の衣装を普段着に使っても問題はないでしょう?」

 

「それは勿論でございます。しかし、黒ウサギの衣装棚に飛鳥さんの気に入るようなものがあるかどうか・・・・」

 

ゴソゴソ。衣装棚を漁る黒ウサギ。

ふっと飛鳥の視線が泳ぐと、奥にあるクローゼットが目に留まった。

それに気づいた黒ウサギは、妙案を思い付いたとばかりにウサ耳を跳ねさせる。

 

「そういえばあのクローゼットには審判時に着用を求められた衣装が・・・・!」

 

クローゼットを開く黒ウサギ。其処には様々なコスチュームが飾られていた。

 

「飛鳥さんはワンピースですか?ツーピースですか?」

 

「どちらかといえばワンピースの方かしら」

 

「そうですよねー♪黒ウサギもワンピースの方が好きです。スカートはどうです?」

 

「特にこだわりは無いけど・・・・黒ウサギの丈は、少し恥ずかしいわ」

 

「うう、そうですよね。黒ウサギもロングスカートの方が好みでございます・・・・」

 

ゴソゴソとあれでもないこれでもないと手当たり次第に衣類を取り出しては投げ捨てていく黒ウサギ。そして

 

「あ、コレなんていかがでしょう!?」

 

バサァ、と広がる深紅の衣装。ワンピースのロングスカート━━━━というよりは、完全にドレススカートそのものである。

 

「・・・・。これを普段着に?」

 

耀はあまりの派手さに瞳を瞬かせる。

 

「あら、素敵じゃない?私はこういう衣装も好きよ」

 

意外と好感触の飛鳥は、ネグリジェを脱いで早速その場で服を着替える。

 

「この衣装は審判用に白夜叉様から戴いたものでございます。ウサギ達はご依頼があれば審判とともに進行役としてゲームを盛り上げる仕事もございます。ですので審判用の衣装には身を守る為の加護が付属されております」

 

飛鳥はそこでようやく黒ウサギの意図を理解した。唯の華美装飾な衣装というだけでなく、ギフトとしての加護が宿るこのドレスならば、普段着にも有事の際にも着ていられると思ってのことだろう。

ドレスを着たまま一歩、二歩と飛鳥はステップを踏む。

足元まで伸びる美麗なレースの布地は飛鳥のステップに合わせて踊るように舞い、着ることで逆に身軽さを感じるような錯覚があった。

 

「・・・・驚いたわ。こんなに凄く動きやすいスカートは始めて━━━」

 

「ふふ、当然でございます!何といってもこの衣装は、」

 

「━━━だけど、胸が余るわ」

 

へ?と言葉を無くし、飛鳥の胸からのボディラインを凝視する黒ウサギ。

飛鳥も十五歳の少女にしては発育がいいのだが、黒ウサギの発育に比べたらまだ幼い。

一見して少女のような黒ウサギだが、豊満な胸と臍から臀部にかけての女性らしい肉付きは理想的なボディラインを描いている。

辛うじて胴回りは同じサイズのようだが、ドレスの胸の部分は完全に余っていた。

黒ウサギは慌ててフォローを入れる。

 

「あやや、こ、これは・・・・!え、えーとですね!こ、今晩のうちに服のサイズを飛鳥さんに合わせておきますので!明日出る時にには間に合うかと」

 

「・・・・そうね、お願いするわ」

 

複雑な表情で承諾する飛鳥。口にはしないものの、言いようのない敗北感があった。たとえ問題児であっても、乙女であることには違いない。

 

「さつきさんの衣装はどうしましょう?」

 

黒ウサギは次にさつきの衣装を選ぶ為に物色し始める。

 

「えーと。黒ウサギ、こうゆう服ってある?」

 

さつきは黒ウサギに指定した服があるか聞いた。

  (*艦コレの三越榛名参照)

 

「少々お待ちください。確かこの辺に・・・・あ、ありました!コレなんてどうです?」

 

黒ウサギはさつきに取り出した衣装を見せる。

 

「これは飛鳥さんの衣装と同じ加護が付属されている衣装です。黒ウサギには少し大きめですのでさつきさんにはちょうどよろしいかと」

 

「黒ウサギ、スカートはこれがいいかしら?」

 

飛鳥が黒ウサギが放り出した衣類から灰色のスカートを取り出す。

 

「それです!飛鳥さんありがとうございマス」

 

そろった衣装にさつきが着替える。

 

「どうかな?サイズはちょうどいいけど」

 

「とても良くお似合いですヨ!さつきさんのは仕立て直す必要はないようデスね」

 

さつきと飛鳥の衣装も決まり、四人は明日に向けて解散したのだった。

 

 

****

 

━━━翌日、箱庭二一〇五三八〇外門。ペリベッド通り・噴水広場前。

 

 

飛鳥、耀、さつき、十六夜、ジン、そして黒ウサギと三毛猫は“フォレス・ガロ”のコミュニティの居住区を訪れる道中、“六本傷”の旗が掲げられた昨日のカフェテラスで声をかけられた。(レンはお留守番)

 

「あー!昨日のお客さん!もしや今から決闘ですか!?」

 

『お、鉤尻尾のねーちゃんか!そやそや今からこの姉ちゃんの討ち入りやで!』

 

ウェイトレスの猫娘が近寄ってきて、さつき達に一礼する。

 

「ボスからもエールを頼まれました!ウチのコミュニティも連中の悪行にはアッタマきてたところです!この二一〇五三八〇外門の自由区画・居住区画・舞台区画の全てでアイツらやりたい放題でしたもの!二度と不義理な真似が出来ないようにしてやってください!」

 

ブンブンと両手を振り回しながら応援する鉤尻尾の猫娘。

 

「ええ、勿論です。区画ごと燃やす勢いで闘いますよ」

 

「おお!心強い御返事だ!」

 

満面の笑みで返す猫娘。だがしかし、急に声を潜めてヒソヒソと呟く。

 

「実は皆さんにお話があります。“フォレス・ガロ”の連中、領地の舞台区画ではなく、居住区画でゲームを行うらしいんですよ」

 

「舞台区画だろうと居住区画だろうと変わらない結果を持って帰りますから心配しなくても大丈夫ですよ」

 

さつきはまるで未来は既に決定しているかのような口ぶりで猫娘の頭を撫でる。

 

 

***

 

 

「あ、皆さん!見えてきました・・・・けど」

 

黒ウサギは一瞬目を疑った。それというのも、居住区が森のように豹変していたからだ。ツタの絡む門をさすり、鬱葱と茂る木々を見上げて耀は。

 

「・・・・ジャングル?」

 

「虎の住むコミュニティだしな。おかしくはないだろ」

 

「木々が生い茂っているならやり易いわ」

 

さつきはゲームテリトリー内に入っていく。

 

「行ってしまいました。大丈夫でしょうか?」

 

「大丈夫よ、昨日の話で弓塚さんのギフトなら問題ないってなったでしょう」

 

「そうですが」

 

「それに、もしもの時はあの剣がある」

 

「あの剣?孫姫のギフトには剣があるのか?」

 

「ええ、世界で恐らく最も有名な聖剣、約束された勝利の剣(エクスカリバー)を弓塚さんは持っているわ」

 

「おいおいちょっとまて!?約束された勝利の剣(エクスカリバー)だと!?あれはアーサー王伝説に出てくる剣だろ!?なんで孫姫が伝説の聖剣なんて持ってんだ」

 

「さあ?弓塚さんは旅をしている時に湖の貴婦人から貰ったって言っていたけど」

 

「貰ったって・・・何者だよあの姫様。吸血鬼だったり聖剣持ってたり。ゲームなら設定過剰でボツになるぞ」

 

「ちなみに既婚者で子持ちだそうよ」

 

「マジで設定過剰だな、これで黒ウサギと同じ見ためと年齢が合ってなかったりしたら笑えるぜ」

 

「「「・・・・・」」」

 

十六夜の言葉に黒ウサギ達女性陣は目を反らす。

 

「マジかよ。まさかと思うが黒ウサギより上か?」

 

黒ウサギにジト目を向ける十六夜。

 

「い、YES・・・黒ウサギよりも年上なのですよ」

 

黒ウサギが十六夜の視線に負けさつきが自身より年上であることを明かす。

 

「?焦げ臭い」

 

耀の一言で十六夜と黒ウサギは会話を辞め。十六夜は耀を黒ウサギは飛鳥とジンを抱えて門の上に飛び乗り、区画内を見る。

 

「燃えてるな」

 

「ええ、燃えているわね」

 

「うん、凄い燃えてる」

 

区画内を見た十六夜達の目の前には火の粉を巻き上げ煌々と燃え盛るジャングルがあった。

 

****

 

 

少し時間を遡り、さつきはジャングルの中を歩いていた。

 

「ここらへんがいいかな」

 

足を止めたさつきは指を空中に走らせルーンを刻む。

すると一本の木が燃え出した。さつきはすかさず別のルーンを刻む。すると火は炎と成り、辺りを燃やしていく。さつきはそれを四度ほど繰り返しおこなった。

四度繰り返し行われたルーンにより辺りは森林火災とみまごうばかりに燃え広がっていた。

さつきは燃え盛る森の中、全身を炎の赤にそめながらまるで散歩でもするかのようにガルドのいる館に歩いていった。

 

****

 

 

ガルドは冷静だった。冷静といっても獣としての冷静であり、理性や知性は既に鬼化したことで失われていた。館にいたガルドは微かに漂ってきた何かが焼ける匂いに館の外で何かが起きていることを感じとり館を出るために駆け出す。

ガルドが館を出ると自身の縄張りの森が炎に包まれている光景が瞳にうつる。

ガルドは縄張りを燃やされた怒りの咆哮をあげると燃え盛る炎の中にあってしっかりと感じ取れる気配に向かって全力で駆け出した。

ガルドが気配に向かって走り出してから一分ほどで気配の元である女が視界に入った。女は炎の赤に全身を染めながら真っ直ぐガルドに向かって歩いてくる。距離にして約二百メートルの直線、ガルドは女を殺すために脚により力を込めて走る。二人の距離が約五十メートルに差し掛かった時、ガルドの視界から女が突如として消えた。次の瞬間ガルドは自身の目を疑った。何故自分の躯が見えている!そんな驚きに支配されていると視界の隅に女の姿があった。女はこちらに半身を向けながら手に着いた恐らく自分(ガルド)の血を恐ろしくも妖艶な笑みを浮かべながら嘗めていた。ガルドが見た女の目はただの赤色ではなく、まるで血の朱のような煌めく瞳をしており、それを見てしまったガルドは消えていた知性を取り戻し、そして自身がまだ幼い子供のころに親に言われたことを思い出した。

”朱い瞳を持ち血を嘗めながら嗤う吸血鬼には関わるな“。ガルドは今、目の前にいる女がまさしく朱い瞳を持ち自分の血を嗤いながら嘗めている光景を目にしている、そして自分が何にゲームを挑まれたのかを理解し、そこでガルドの意識は闇に落ちた。

 

***

 

さて、ガルドも殺したし館に行こうかな、確か原作だと、このゲームで飛鳥は銀の剣を借りパクしていたから 館のどっかに有ると思うけど?初期の飛鳥にはあれがちょうどいいし。私の槍を貸してもいいけど、使いこなすなんてまず無理だろうし。

そう独り言を言いながらさつきは館に向かって歩き出した。

 

***

 

 

ピクッ

 

黒ウサギの耳が何かに反応するように揺れた。

 

「皆さん、ゲームの決着が着きました!ガルドの死亡を以て”ノーネーム“側の勝利です!」

 

黒ウサギは箱庭の中枢からの判定を十六夜達に知らせる。その数分後にさつきが散歩から帰ってきたかのように何事も無く帰ってきた。

 

「区画ごと燃やす勢いとは言っていたがまさか跡形もなく燃やし尽くすとは思って無かったぜ」

 

「ええ、何かの比喩だと思っていたわ」

 

***

 

 

ゲームがおわり、”フォレス・ガロ“の解散令が出た。

”フォレス・ガロ“に誇りを奪われた者達が自分達の”名“と”旗印“が返ってくると知り群がるのを十六夜が叱責する。

 

***

 

その後、本拠に戻った十六夜達は談話室に集まっていた。

 

「ガルドの件はこれで終わった。それで、例のゲームはどうなった?」

 

”ノーネーム“のメンバーは仲間が景品に出されるゲームのことを話していた。

 

「ゲームが延期?」

 

「はい・・・申請に行った先で知りました。このまま中止の線もあるそうです」

 

黒ウサギはウサ耳を萎れさせ、落ち込んでいる。

 

「なんてつまらない事をしてくれるんだ。白夜叉に言ってどうにかならないのか?」

 

「どうにもならないでしょう。どうやら巨額の買い手が付いてしまったそうですから」

 

十六夜の表情は目に見えて不快そうに変わった。人の売り買いに対する不快感ではない。一度はゲームの景品として出したものを、金を積まれたからといって取り下げた事に対してだ。

 

「チッ。所詮は売買組織ってことかよ。エンターテイナーとしちゃ五流もいいところだ。”サウザンドアイズ“は巨大コミュニティじゃなかったのか?プライドはねえのかよ」

 

「仕方ないですよ。”サウザンドアイズ“は群体コミュニティです。白夜叉様のように直轄の幹部が半分、傘下のコミュニティの幹部が半分です。今回の主催は”サウザンドアイズ“の傘下コミュニティの幹部”ペルセウス“。双女神の看板に傷が付く事も気にならないほどのお金やギフトを得れば、ゲームの撤回ぐらいやるでしょう」

 

「ペルセウスの名前を持つ人はどこの世界でもクズね」

 

さつきは小声でボソリと呟く。

 

「それで?その仲間ってのはどんな奴なんだ?」

 

「そうですね・・・・一言で言えば、スーパープラチナブロンドの超美人さんです。指を通すと絹糸みたいに肌触りが良くて、湯浴みの時に濡れた髪が星の光でキラキラするのです」

 

「へえ?よくわからんが見応えはありそうだな」

 

「それはもう!加えて思慮深く、黒ウサギより先輩でとても可愛がってくれました。近くに居るのならせめて一度お話ししたかったのですけど・・・・」

 

「おや、嬉しい事を言ってくれるじゃないか」

 

今この場に居ないジン以外の五人は声のした窓の外を見た。コンコンと叩くガラスの向こうで、にこやかに笑う金髪の少女が浮いていた。黒ウサギは慌てて窓に駆け寄り窓を開ける。

 

「レ、レティシア様!?」

 

「様はよせ。今の私は他人に所有される身分。”箱庭の貴族“ともあろうものが、モノに敬意を払っていては笑われるぞ」

 

レティシアと呼ばれた金髪の少女は苦笑しながら談話室に入る。

美麗な金の髪を特注ので結び、紅いレザージャケットに拘束具を彷彿させるロングスカートを着た彼女は、黒ウサギの先輩と呼ぶには随分と幼く見えた。

 

「こんな場所からの入室で済まない。ジンには見つからずに黒ウサギと会いたかったんだ」

 

「そ、そうでしたか。あ、すぐにお茶を淹れるので少々お待ちください!」

 

久しぶりに仲間と会えたことが嬉しかったのか、黒ウサギは小躍りするようなステップで茶室に向かう。

 

「それに、キミとも話してみたかったんだ。外から来た吸血鬼であるキミと」

 

「私とですか?外様の吸血鬼である私に箱庭の騎士である貴女が話してみたいなんて」

 

「なに、外様等ではないさ。ブリュンスタッドは箱庭の上層では色んな意味で有名でな。その縁者が箱庭に来たとあれば同じ吸血鬼として会ってみたいと思うのは当然というものだ」

 

「私、ブリュンスタッドの名を名乗った覚えはないはずですが。・・・・白夜叉さんですねレティシアさんに私がブリュンスタッドの名前を持っていることを話したのは」

 

「ただいま戻りした!」

 

紅茶のティーセットを持った黒ウサギが戻ってきた。

 

「それで、レティシア様はどのようなご用件ですか?」

 

「用件というほどのものじゃない。新生コミュニティがどの程度の力を持っているのか、それを見に来たんだ」

 

「そういや、白夜叉の奴が言っていたな箱庭には二種類の吸血鬼がいるんだったか。確か太陽と月の主権とやらを持っているんだったな。それで孫姫はどうだったよ」

 

「生憎、ガルドでは当て馬どころか物差しの役にも立たなかったよ。他の者はゲームに参加していないので判断に困る。・・・こうして足を運んだはいいが、さて。私はお前達に何と言葉をかければいいのか」

 

「なら、やることはひとつだろ」

 

「何?」

 

「実に簡単な話だ。自分の力で確かめればいい━━だろ」

 

「ふふ、・・・なるほど。それは思いつかなんだ。実に分かりやすい。下手な策を弄さず、初めからそうしといればよかったなあ」

 

「ちょ、ちょっと御二人様?」

 

「ゲームのルールはどうする?」

 

「どうせ力試しだ。手間暇かける必要もない。双方が共に一撃ずつ撃ち合い、そして受け合う」

 

「地に足を着けて立っていたものの勝ち。いいね、シンプルイズベストって奴?」

 

十六夜とレティシアはそう言いながら中庭に飛び出した。さつきと黒ウサギもそれに続いて窓から外にでる。窓から外に出た四人ほどの運動能力のない耀と飛鳥は中庭に続く玄関から出るために走り出した。

耀と飛鳥が中庭に着いて見たのはレティシアに迫る塊状の何かとそれを払い落とす黒ウサギの姿だった。

 

***

 

 

レティシアによる力試しもおわり中庭から屋敷に戻ろうとする黒ウサギ達六人。その時褐色のひかりが六人に迫る。レティシアが黒ウサギ達を庇うように前に出た。

「ゴーゴンの首を掲げた旗印・・・!だ、駄目です!避けてくださいレティシア様!」

 

黒ウサギが叫ぶが、もう間に合わない、そう誰もが思った、たがそれにいち早く反応しレティシアの前に出た影があった。

さつきはレティシアを背にすると右手を前に突きだして声をあげる。

 

 

「『全て遠き理想郷(アヴァロン)』」

 

するとさつきの前に黄金に輝く鞘が現れ。数百のパーツに解れて六人を包むように展開した。

 

「いたぞ!吸血鬼は石化させた!すぐに補・・獲・・・」

 

しかしそこには誰一人石化等していない光景があった。

 

「何故だ!?何故石化していない!?ゴーゴンの威光は確かに直撃したはず!」

 

「いったいなにが・・・」

 

ゴーゴンの威光により石化するものと思っていたレティシアも驚きを隠せないでいた。

 

「ちょっといいかしら?」

 

さつきの呼び掛けに羽根の生えた具足を履いた襲撃者はさつきの方を向いてしまった。さつきの瞳を見てしまった襲撃者達は次々と落下していく。

 

「ほら、皆ぼーっとしてないて縛るの手伝って」

 

さつきは地面に倒れ意識を失っている襲撃者を縛っていく。

 

「おい、孫姫。いったいなにをやったんだ?いきなり落ちてきたが」

 

十六夜も襲撃者を縛りながらさつきに聞く。

 

「これは・・・もしかして魔眼か?」

 

レティシアは地面に転がった襲撃者を観察するとその表情から何かの暗示がなされていることに感づいた。

 

「ええ、魔眼で意識を落としました・・・これで全員ね、それじゃ行きましょうか」

 

「行くってどこに?」

 

「勿論白夜叉のところですよ、”サウザンドアイズ“

関係なら白夜叉に聞くのが早いですから」

 

大人数で行くのもどうかということもあり。十六夜、さつき、黒ウサギと当事者のレティシアの四人は”サウザンドアイズ“二一〇五三八〇外門支店を目指すのだった。

 

 

 

 

 




次回、ペルセウス退治をお楽しみに。

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