刀なんて持たなきゃ良かった   作:エジプト産バナナ

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今回からは通信等の会話は『』で話させていただきます。
後、一文字下げも使わせていただきます。


決着

『す、凄いよ!緋村君の今の一撃で騎士王の霊基は大きく減少した!今がチャンスだ!』

 

 先程の『龍槌翔閃』が予想以上に効いていたのか、ロマンからの通信により、カルデアの士気が高まった。藤丸君やマシュ、所長の顔に希望が見えてきた。

 

 だが、コルキスの王女であるメディアと、その決定打を放った本人だけは険しい表情のままであった。

 

「(……二撃目の『龍翔閃』の時、人の身体には当たってなかったな。アサシンとは性別とかが違うが、若干だが、手が痺れてるのが大きな証拠だ。

 おそらく……『緋村』

 

『私よ、メディア。念話で貴方の頭に話しているからこの会話は外には漏れないわ。

 そして、残念ね。彼女、セイバーはさっきの攻撃に気付いていたかは分からないけど、首回りに薄くだけど、風の壁の様な物が張られたわ。脳には響いてるだろうけど、外傷は全く無いわ。』

 

『やっぱりですか。感覚が人とは違う様な気がしたので、まさかとは思いましたが……

 それに、その脳の損傷も聖杯でもう治っている、そうですね?』

 

『その通りよ。聖杯があちらにある限り、一撃で決めなくちゃならないわ。

 ……それと、その強化の魔術を止めなさい。身体に負荷をかけ過ぎてる。』

 

 メディアの言う通り、俺の身体はもうボロボロだ。まだ戦えはするが、できて一分もないだろう。加えて、休憩があったとはいえ、短い間にサーヴァントとの殺し合いにより、心身諸共疲れ切っていた。

 

『……それでも、今倒れる訳にはいきませんよ。せめて、クーフーリンが加勢に来るまでは……!!』

 

 突然鳴り響いた大きな爆発音。山彦の様に長く鳴り続け、砂煙舞う発音源の中心に絶望が立っていた。

 

「……追撃を誘っていたが、中々掛からないものだな。

 ーーー人間!先程の一撃は良かったぞ!魔力で守らなければ、首が飛ぶところであった。」

 

 その声、姿が露わとなり、カルデアは驚愕を隠せなかった。そして、恐るべき真実がロマンによって明かされた。

 

『な、何だ、これは……?さっき下がった霊基が一気に膨れ上がってるぞ!?』

 

「それだけじゃありません!緋村さんの与えた傷がありません!」

 

「マスターも居ないのにどうして………!?聖杯よ、聖杯!聖杯の無限の魔力で傷を治したんだわ!」

 

「その通りだ、魔術師よ……

 さて、もう良いだろう」

 

「十分確かめる事ができた。

 貴様らカルデアは人理を修復するに足らん存在だ」

 

「な、何だと!?どういう事だ!」

 

「そのままの意味だ、もう一人のマスターよ。貴様はそこの人間とは違い、力は無いが、意志の強さはある。

 だが、それだけだ。

 意志だけでは、何も救えない……」

 

 そう言った騎士王の顔は、哀しそうであった……

 生前、思い当たる節でもあったのだろうか…

 

「……フン、つまらない事を口走ったな。

 まあ、せめてもの礼だ」

 

 彼女の聖剣に黒い魔力が溜まっていく

 

「私が一撃で……」

 

 そう言った騎士王は……

 

「ーーー楽にしてやろう」

 

 藤丸君の後ろに立っていた

 

「!?せ、先輩!!」「マスター!!」

 

「ーーー卑王鉄槌」

 

 魔力放出で誰にも認識できない速さで立花の背後に回った騎士王から自らのマスターを守るため、側に居たマシュが楯を構えるが、真名解放まではいかないが、聖杯の後押しにより急激に増した魔力により、マスター諸共、遠い所に避難していたオルガマリーを横切り、後ろの壁まで吹き飛ばされてしまい、そのまま気を失ってしまった。

 

 ……そして

 

「……使いたくなかったけど、掛けるしかないわ!『金羊の「させると思うか?」!?」

 

「貴様もここで終わりだ、魔女よ。

 早々に座に還る事だ。

 ーーー卑王鉄槌」

 

 流石に自分のマスターが殺られたのは不味いと感じたメディアは、不確定要素ではあるが、宝具『金羊の皮(アルゴンコイン)』を発動させようとしたが、その前にまたも一瞬で背後に回った騎士王に抵抗も虚しく斬られてしまった。

 

「……さて、残りは「お探しか?」…?」

 

 残った敵である悠里を探そうとしたが、彼の声が直ぐ近くからした。

 そう、彼は、立花たちへ攻撃している隙に気付かれずに死角へ移動し、

 隙を伺っていた。

 

「(……身体中が重い。視界もぼやけてきやがった。それにまだ未完成だが……

 仕方ねえ、これで、決める!)『飛天御剣流』!」

 

 移動中も強化魔術を掛けていたため、彼の身体には限界がきていた。それでも、彼は修業中一度も成功しなかった『飛天御剣流』の中でも最大の技を繰り出そうとしていた。

 

 だが、

 

「『九頭龍「ーーー失せろ」!?ぐはぁ……」

 

 聖杯の後押しを受けた騎士王が自らの周りを魔力放出で吹き飛ばす事など造作もない。

 

「〜〜!チッ!まだ終わりじゃ…!?グホォ…」

 

 先程の攻撃が決定打となったのか、口から大量の血が溢れ落ちた。

 彼の本当の限界だ。

 

「アァァァァァァァァァァァア!!」

 

 それでも懲りずに向かってくる彼に対し、騎士王は呆れた様な顔をし、

 

 

「ーーーふん」

 

 その一言だけで彼のもつ刀を上空に弾き飛ばした。

 

「あ………!?ゴハァ!!」

 

「……貴様は人の身では良くやった。生きていれば、英霊となるかもしれなかったな。

 ーーーだが、これで終わりだ」

 

 血を大量に吐き、倒れてる俺に騎士王は構えた。勝利を確信した表情だった。もの凄く腹がたった。

 

 だから俺は、口端を吊り上げ、

 

「……あぁ。お前がな……」

 

 令呪が残り一つの手で中指を立ててやった。

 

「ーーー三歩絶刀」

 

 その言葉と共に、騎士王に斬られた傷を令呪により全快した彼女、沖田総司は縮地による超高速移動で先程打ち上げらた彼女の刀、菊一文字正宗を落ちてきた所を拾い上げ、直ぐ目の前に来ていた。

 

「『無明ーーー」

 

「まだだ!!」

 

 激昂した騎士王は魔力放出を最大出力で行い、沖田の十八番である縮地をも超える速さで剣を振るおうとした。

 それで、全てが終わる、そう確信して。

 

「私の、勝ちだ!!」

 

 だが、それは

 

「ーーー!?何だこれは!?」

 

 地面から突然出てきた大きな木の手によって体勢を崩されてしまった。

 そして、この正体を彼女は知っている。

 この大空洞の入り口で笑顔で手を振っている青い髪の男だ。

 

「キャスター!!貴様ァァァァァァァァア!!」

 

「決めろ!!沖田!!」

 

「ーーー三段突き』!!」

 

 そして、沖田総司、彼女の対人魔剣『無明三段突き』は騎士王の核を貫いた……

 

 




遅れて申し訳ないです。
大学が始まってしまったため、もっと遅れます。



※メディアの『金羊の皮』は本作品では龍を召喚できますが、言う事を聞かなかったり、英霊程の強さは無いと、リスクの高い宝具という設定です。

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