刀なんて持たなきゃ良かった   作:エジプト産バナナ

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今回一部分だけ除いた真面目回。



今は脆き雪花の楯

魔力溢れる大空洞。そこに在るのは1つの聖なる杯と黒い鎧を纏った少女。

 

「…まさか、卿がいるとはな。」

 

その少女は心底驚いていた。あの誠実で忠実であった彼が王である自分に人理を正すためとはいえ、その武器を振るおうとする事に。

かつての王に牙を向ける事になろうとも、自らの力を授けた事に。

 

「よかろう。卿が見定めたのだ。私にも見定めさせてもらおう。」

 

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「…説明は以上だ。言う事は言った。後は、好きにやるだけだ。」

 

「ちょ、ちょっと待ってよ!ほ、本当に敵のセイバーはあの聖剣の担い手なの?」

 

所長が震え声でそう言うのには正直分かってしまう。王を選定する岩の剣のふた振り目。とても有名なため、それを聞いてあの聖剣と騎士以外は思い浮かばないだろう。

そして、だからこそ、伝説として語り継がれてきたその騎士が自分たちの敵になる事が恐怖を生む。

俺としてはあの人がビームをぶっ放してくる事がなによりも怖い。セイバーの癖にビームを使う事自体おかしいと思う。

 

「…本当に、私なんかが止めれるんでしょうか、あのアーサー王の聖剣を」

 

「そこは嬢ちゃんのガッツ次第だな。なあに、単純な話、気持ちの問題だ。」

 

「そうよ。貴方の持つその楯はとても良い物よ。使用者の貴方に合わせてその力を発揮するように思える。だから、貴方が挫けずその楯を握り続ければ、聖剣だろうと防ぐ事が「不可能だ。」!」

 

「あの聖剣を防ぐ事は不可能だ。闘う前から負ける事を考えている君ではな。」

 

両キャスターがマシュちゃんを慰めている所に横槍を入れ邪魔するエロゲー主人公。本当に彼は鈍感というか、空気が読めないというか。

 

「アーチャーのサーヴァント…!」

 

「おう、さっそく信奉者の登場か。相変わらずセイバー護ってんのか、テメェは。」

 

「…信奉者になった覚えはないがね。まぁ、つまらない客を追い返す程度は働くさ。」

 

「ようは門番じゃねえか、相変わらずいけ好かねえ野郎だ。よし、お前ら、説明した通りだ。先に行け、ここは引き受ける。」

 

そう言いながら杖を構えるキャスニキ。それに応えるように黒と白の双剣を出したアーチャー、どうやら一騎討ちを応じるらしい。

 

「頼むぞ、俺はお前らに賭けたからよ。あの聖剣使いを倒せるってな。」

 

「で、でも!私は「嬢ちゃん」

 

「あんたはその楯で何がしてえんだ?」

 

「え…?」

 

「敵を倒すためか?人理を修復するためか?違えだろ。嬢ちゃんはそんな事を望んじゃいねえ。

…答えは言わねえ、自分で考えな。」

 

「私は…」

 

「それと、坊主(マスター)!サーヴァントの問題はマスターの問題だ。それをどうするかは自分で決めろ!」

 

「…行こう!マシュ!」

 

「は、はい!先輩!」

 

そう言って俺たちは走って行った。彼が、あの頼りになるクーフーリンが自分たちに後を任せた。それに応えるためにも、俺はマシュとメディア、緋村さん、所長、沖田さんと皆で必ず勝ってみせる!

 

「随分くさい事を言うようになったわね。キャスターになって知能が上がったのかしら?」

 

「馬鹿か、元からこんなもんだ。そっちは任せたぞ、キャスター。」

 

「ええ、任せなさい、ランサー(・・・・)。」

 

「今は違えがな。さて、案外通すんだな、アーチャー。」

 

「フッ、なに、今生の別れくらいさせてやるさ。

…それに、あんたには一度、心臓を穿たれた借りがある。今此処でそれを返させてもらう!」

 

「何の事だか知らねえな!」

 

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「ねえ!本当にクーフーリンを置いてきて良かったの!?あのまま一緒に闘ってアーチャーを倒すべきじゃなかったの!?」

 

「それはだめです。俺たちが残ってあのアーチャーが勝てないと思い逃げた場合、間違いなくアーサー王と組み、立ちはだかるでしょう。そうなると、俺たちに勝利はないです。」

 

所長の言ってる事は最もですが緋村さんの言ってる事も最もです。正直、アーサー王1人でも勝てるか分からない中、そこにあのアーチャーが加われば絶対に勝てません。それに、私にはまだ宝具がない…

クーフーリンさんの言ってる事もイマイチピンときません。私はどうすれば…

 

「…マシュはさ、レイシフトする前にどう思ったかな?」

 

え…?

 

「俺はあの時、君を何が何でも助けたいって思った。自動ドアが閉まって閉じ込められて自分も助からないのにも関わらずね。

ーーー君を護りたいって思った。」

 

「!」

 

「…マシュはどう思ってくれたかな。」

 

「私は…」

 

「2人共、思い出話は良いけど、そこまでにしなさい。現れたわ。」

 

メディアさんが何か言いましたが、全然頭に入ってきませんでした。

アーサー王が私に向けて何か言ってますが何も聞こえません。

私は、先輩を…

 

「…無視か、恐怖で口も開かないか。まぁ、いい。一撃で終わらせよう…」

 

「不味い!宝具だ!沖田さん!頼む!」「はい、任せ、コフッ!?」「この馬鹿たれがぁぁあ!」

 

「先輩」

 

あぁ、そっか…

 

「マシュ…?」

 

先輩はあんな状況でも自分より私を…

 

「私は…先輩のサーヴァントです。」

 

…きっと、先輩は私なんかよりも自分を大切にしてくれと言っても聞いてはくれません。自分を、護ってくれません。

 

「…あぁ!」

 

だから、

 

「令呪を持って命ずる!マシュ、宝具を開帳しろ!」

 

「ハァァァァァア!」

 

私が先輩を護ります。

 

 

 

 

 

 




よくある展開になっちゃったけど、いいかな〜?
今回はオリ主視点だけではございません!

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