刀なんて持たなきゃ良かった   作:エジプト産バナナ

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1%の壁は結構脆い

見渡す限りの焼け野原。所々に瓦礫の山が築かれもう一種の芸術作品のようになっている。その周辺にも崩れかけというよりは崩壊している一軒家や学校らしきものがある。そこでは幸せな家庭が築かれており、子供が元気に学校に通う姿を見て微笑む父親と母親が居たのだと思うと、ある者は同情し、ある者は絶望してしまうだろう。自分なら助けられたかもしれないと、もっと早く気付いていればと…

 

そんな希望なんて物はない町だったここには二輪の花があった。この絶望の中でも生きることを諦めず、必死に足掻く姿すら美しく映ってしまう一輪の白い椿と………美しいには美しいが、トゲ、トゲ、トゲ、というやうにトゲしか見当たらない寧ろこれは変色したサボテンではないのだろうかとすら思える一輪の赤いバラがあった。

 

いや、まぁ、美しいバラにはトゲがあるということわざもある。美しいから仕方ないのである。そう、決して性格が刺々しく、常時眉間に皺を寄せているからではない。

 

「今そこの脳筋の馬鹿弟子に馬鹿にされた気がしたわ。」

 

「い、いやぁ、何言ってるんですか〜所長。自分は所長はいつも通りトゲしかない美しいバラのようだとしか思ってないですよ〜あははは〜」

 

「馬鹿にしてるじゃない!!」

 

「茶番はその辺にしとけ。仮だが、マスターが召喚し辛いだろうしよ。」

 

そう呆れながら言ったのはこの町、冬木で起きていた聖杯戦争に元々参加していたサーヴァント、キャスターのクーフーリンだ。今は48人目のマスター藤丸立花君を仮だがマスターとしている。

 

その様子を見ながら藤丸君もデミ・サーヴァント化したマシュちゃんも苦笑いを浮かべている。

 

「じゃあ、召喚しますね!」

 

「あぁ、こっちはいつでも準備は出来てるよ。魔力に関してはカルデアがもつから安心していいよ。」

 

「いい?絶対にセイバーよ?もしくはランサーで、私に忠実で私に親切で私を守ってくれるサーヴァントを絶対に呼びなさい!」

 

そんな事言ってもこれから召喚するサーヴァントのマスターは藤丸君なんだから所長には従わないだろ…

 

そう思っていると、召喚が始まった。召喚サークルに三本の光線が見え、銀色のセイントグラフが出現した。そこにはローブに身を纏い杖を持つ絵が描かれていた。

 

「先輩!あの絵柄はキャスターです!」「ちょっと!セイバーって言ったじゃない!」「こりゃもう1人の坊主に期待だな」

 

各々が感想を述べている中、人型の何かが光から見え始めた。ってか待って、キャスニキちゃっかり俺のハードルを上げないでほしいんだけども

 

「…騒がしいわね。キャスター、召喚に応じ参上しました。貴方が私のマスター?私の事はキャスター…は、もういるのね。では、真名のメディアと呼びなさい。」

 

「先輩!メディアさんと言えば、『ギリシャ神話』に描かれている『コルキスの王女』で神代の魔術師ですよ!」

 

「…そして、裏切りの魔女よ。」

 

そう、マシュちゃんが述べた通り、メディアは神代の魔術師で、あの半分人間のヒキニートやこの騒動の黒幕には劣るが、魔術師の中の魔術師だ。しかし、今自分でも申した通り、かつての夫であるイアソンを裏切っている。まぁ、尽くした男にポイ捨てされたんだ、そりゃ、復讐の1つや2つしたいとは思うだろう。

 

「そんなの関係ないよ。俺が召喚したのはそれに応じてくれたメディアであって、昔のメディアじゃないよ。」

 

「…ふふ、貴方とは良い関係を築けそうだわ。よろしくね、マスター。」

 

「こちらこそ!」

 

…やっぱ主人公って格好いいんだなぁ。メディアも心なしか、頰が赤くなってるし…

 

「って、結局セイバーじゃないじゃない!こうなったら、緋村!何が何でもセイバー、いや、この際ランサーでもバーサーカーでも構わないわ、ともかく、前衛で闘えるサーヴァントを召喚しなさい!いいわね!?」

 

そんなの触媒もなしに呼べる訳ないだろう…

だが、所長の言ってる事も分かる。現在、前衛で闘えるのが経験の少ないマシュちゃんと最悪俺だ。そんな状況でこれからあのエロゲー主人公はともかく、黒化した騎士王には間違いなく勝てない。

 

「まぁ、やれるだけやってみますよ。では、いきます。」

 

自分の中の魔力がごっそり持ってかれたかと思ったらすぐに戻ってきた感覚があった。おそらく、カルデアからの魔力供給だろう。相変わらずすごい技術だと思う。

と、考えていると、光の中からセイントグラフが現れた。しかも、金色。そして、そこには鎧を纏った騎士が剣を構えている絵柄だ。つまり、サーヴァントのクラスで最優である、セイバーである。

 

「…新選組一番隊隊長、沖田総司推参。貴方が私のマスターですかって、どうしたんですか?そんなに頭を抱えて?」

 

…嘘だろぉぉぉぉおおお!?

現実ではあれだけ回しても出なかった沖田さんが何でこんなに簡単に出てくるんだよぉぉぉおお!?

 

「沖田総司って、すごいじゃないか!日本の英霊で『天才剣士』とも言われていた人だよ!でも、まさか、女性だったとは思わなかったなぁ」

 

「いやぁ、そんなにすごくないですよ〜、私なんてただの人斬りですよ〜」

 

「でも、これで前衛で闘えるサーヴァントが召喚できたわ。クーフーリン、この戦力でこれから向かう先にいるセイバーに敵うかしら?」

 

「そうだな…

まぁ、そこの嬢ちゃんによるが、ギリギリだな」

 

「わ、私ですか?」

 

「あぁ、嬢ちゃん、あんたの…

 

と、俺がここにいる皆には理解できない事で嘆いている間にキャスニキがマシュちゃんに英霊とはなんなのかを叩き込んでいる。

 

「あの〜、マスター?大丈夫ですか?どこか具合でも悪いですか?」

 

そんな事を頭を抱えながら考えていると、沖田さんが元気のなさそうな声で顔を伺いながら心配してくれた。

…なにこの娘、めっちゃいい娘じゃん。しかも可愛いし。なんだか、申し訳ないな、しかも、召喚して早々頭抱えるとか失礼極まりないな。良し!もう大丈夫だ!

 

「いや、大丈夫だ、ありがとう、えっと、」

 

「あ、沖田さんで構いませんよ、これからセイバーを召喚する事もあるでしょうし」

 

「そうだな、じゃあ、改めてありがとう、沖田さん、召喚に応じてくれて。」

 

「いえいえ、こちらこそ!これからこの身は貴方の剣となります。どんどん使ってください、大丈夫です!沖田さん最強ですから!」

 

こんな事言っているが、対人では間違いなく最強クラスだ。彼女の宝具はかなり強力だ。正直、俺が完璧な『九頭龍閃』を使えない今、見本にすべきであり、最大の技だ。

 

「あぁ、よろしく頼む!」

 

「えぇ!よろしくお願いします!」

 

俺たちは固い握手を交わした。そういえば何か忘れているような…

 

「あ、マスター、そういえば私スキルとして!コフッ!?…」

 

あ、そういえばこいつ病弱持ちじゃん

 

「…貴方が頭を抱えてた理由がよく分かったわ。」

 

「だ、大丈夫です!沖田さん大勝利してみ、コフッ!?」

 

やっぱさっきの最強取り消しだ




やっと出せた…

全然っぽくないけど(メディアさん含め)


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