ザ・ウォーキング・デッド in Japan 作:永遠の二番煎じ
神社
朝・・・
農園は焼野原となりところどころ白い煙が立ち込める。
身体の部分部分が焦げたゾンビが農園内を徘徊している。
双眼鏡を見ながら、
「これだけやれば奴らは死んだも同然でしょう。」
部下は表情を緩め、成果を得たと確信している。
だが上野は引き締まった表情を緩めない。
そこに上野に報告が入る。
「報告します、四人の足跡が農園外で確認されました。」
上野は報告に頷いた後、
「撤退だ、感染体を集めて学校に撤収だ。」
すると一人の部下が恐る恐る提案する。
「敵は四人ですし、猛追すれば始末できるのでは?」
眉間にしわを寄せて少し考えた後、兵法の基本を言う。
「確かにこっちは10で相手は4かもしれない、だが実際は敵を叩く時最低でも相手の三倍以上の兵力じゃないと制圧できない、つまり12いや15はいるだろう、だがそんなにあいつらには人員を割けない。そこでだ、」
「ゾンビを活用ですか?」
「ああ、だから感染体を早く捕まえて撤退するぞ。」
上野の部下たちは捕獲網を使って堀にはまっているゾンビを捕まえ中型トラックに押し込む。
押し込まれたゾンビは暗闇の中籠に入ったネズミに気をとられる、その間にどんどんゾンビを詰め込む。
森林の中で安全を確認した後、気絶している生田を起こす。
「大丈夫か?」
「うん・・・」
寝ぼけたような返事だったが大丈夫そうだ。
「ここで見張ってくれ。」
非常事態のために青井と斉藤が倒木や枝でカモフラージュして隠していた車を使う。
「森下さんや文香ちゃんは?」
青井は神妙な面持ちで、
「生きていることを願おう。これから神社に向かう。」
「神社?」
と尋ねながら生田も車にかかっている木の枝を掃うのに手伝う。
「森下に何か起これば神社で合流すると話した。」
地面を掘り起こしてビニール袋を見つける。
袋から車の鍵を取り出す。
青井は運転席、生田は助手席、斉藤は後部座席に乗る。
県道を走る。
生田「もし合流出来れば、襲撃者をつきとめて殺しましょ。」
青井「相手が何人かも分からないし、争いは不毛だ。身を隠して生きる。」
生田「じゃあ、森下さんと合流したとき、この件について話し合いましょう。」
県道から山道に入る。
車を降りてシャベルを青井が持つ。
斉藤「何か掘るんですか?」
青井「ああ、こんなときのために銃を隠しておいた。」
生田「じゃあ反撃できるじゃん。」
なぜ武器があるのに戦わないのかと不服に思う。
しばらく歩くと神社が見える。
木陰からゾンビが一体出てくる。
斉藤「私に任せてください。」
ゾンビの側頭部にナイフを突き刺す。
神社に到着し、青井は神社の基盤となるコンクリートに腰を休める。
生田「中に入らないの?」
扉の取っ手に手を当てる。
青井「中は人骨だらけだ。」
生田「そう・・・。」
取っ手から手を放し、青井の横に座る。
青井「優香の気持ちも分かるが、争いは良くないと思う。話し合いで解決すべきだ。」
生田「いきなり挨拶もせず攻撃してきた奴らと会話できる?」
青井「ああ、だからそういう奴らとは避けて生きる。」
腰を上げてゴルフバックを埋めた場所を掘りはじめる。
ザックザックという音に、近くにいたゾンビが反応する。
「優香、斉藤、任せるぞ。」
斉藤はゾンビの頭を次々とナイフで突き刺す。
死角から来たゾンビにポニーテールを掴まれ、体勢を崩す。
「うわ。」
青井「加奈!」
その声に反応したゾンビが青井にも近寄る。
シャベルを振り上げて首を刎ねる。
倒れた状態で上からゾンビが自然に重心をかけてくる。
右手でゾンビの鎖骨部分を抑えるが腐敗した肉がどんどん剥がれて、徐々に顔が近づく。
左手はもう少しで落ちている木の枝に届きそうだ。
斉藤(くっ、これまでなの!!!)
突然ゾンビが動かなくなり、下敷きに。
ゾンビには生田がとどめを刺したようだ。
「これで二回借りが出来たね。」
ほくそ笑みながら生田はゾンビをどかして斉藤に手を貸す。
それを見て青井はフーと息を吐く。
ゴルフバックを掘り起こし、中身を見ると銃や弾は減っていなかった。
青井「まだ森下は来ていないようだ。」
生田「か、死んだか・・・」
青井「・・・念のため銃を少し残して置手紙もいれておこう。」
生田「え?本当に来ると思っているの?」
青井「ああ、絶対に来るさ。」