ザ・ウォーキング・デッド in Japan   作:永遠の二番煎じ

17 / 38
前回指導者たちの軍閥争いから逃避行した東岡と斉藤。
東岡と斉藤に待ち受けるものとは!




サバイバル

ZDAY34日目昼・・・

東岡と斉藤は競馬場を見捨てて逃げた。

そして□□県に再び戻っていた。

 

陸曹長から盗んだ装甲車(96式装輸装甲車)には12人の武装した兵士が便乗する空間には豊富な物資が詰まれていた。

東岡は知らずに、運よくたまたま盗んだ車が物資の貯蔵代わりにされている装甲車であった。

 

一人なら二か月は持つぐらいの物資だ。

□□県に通じる国道を走っている時、目的地を二人で相談した。

「斉藤さん、これからどうする?」

「そうね・・・一度大学に戻ってみたらどう?」

「久しぶりに、様子を見に行ってみるか。」

 

東岡がこの輸送型装甲車を運転できたのは陸曹長の元で運転の仕方を教わり、物資調達の時に運転していたからである。

住宅街の道路に入り走っているとバットや鉄パイプを持った人々が家々から出てきた。

東岡は車を停車した。

「どうするの?東岡君。」

「まず、彼らの話を聞こうじゃないか。」

東岡はズボン右のガンホルスターに右手をそえて降りた。

 

東岡は相手が飛び道具を持っているか探った。

人々が鈍器を構えると。

「なんだ、自衛隊の人じゃないのか。」

東岡は身軽な服を着ていたために鈍器を持った人々は助けに来た自衛隊でないことに落胆した。

一人の大男が言うには拠点はここから1km先の小学校で若年層がお年寄りと子供を守って感染者を排除しているらしい。

「食料分けてくれないか?」

大男は頭を下げて頼んできた、おそらくこのグループをまとめている男なのだろう。

 

「残念だが、俺たちも食料はないんだ。明日飢えて死ぬかもしれない。それは君たちと同じ状況だ。」

東岡は食料を貯蓄しておきたかったために嘘をつきやりとうそうとした。

「じゃあせめて武器を分けてくれないか?」

大男は装甲車の屋根上の重機関銃を見て要求してきた。

「残念だが俺もこれしか持ってないんだ。」

銃は何丁か装甲車の中にあったがあえて秘密にした。

右手でガンホルスターを二回叩いて言った。

 

「じゃあ車の中見せてもらってもいいか?」

大男は指示して二人装甲車に近づいてきた時、東岡は大男に拳銃を向けた。

「待て!分かった。」

斉藤も車内から一部始終を見て驚いた。

大男は二人に指示して装甲車から遠ざけた。

大男はため息をした後他の仲間たちに道を開けるように指示した。

 

東岡は再び運転席に戻った。

「大丈夫?盗賊?」

斉藤は不安そうであった。

 

「いや違うみたいだ、道を開けてくれるそうだ。」

「脅されなかった?」

「いやむしろその逆かもな。」

東岡はホッとして再び大学に装甲車を走らせた。

 

装甲車という利点を生かして車でふさがってる道は強行突破した。

強行突破するたびに置いてある銃器がガシャガシャ言っていた。

 

大学の正門の前の駐車場に駐車すると二人の自動小銃を構えた陸上ホッケー選手あるいはアメフト選手のような重装をしていた人がきた。

 

東岡と斉藤は銃を構えて降りると、

「銃を下に置くんだ!」

すると二人はヘルメットを取った。

それは大島と坂下であった。

 

ZDAY五日目・・・

大島と坂下はジープから一番近い家に入ることにした。

大島はジープを降りた時点でガス臭さを感じた。

「坂下さん。銃は使うなよ、ガス漏れだ。」

「大島君、それくらい分かってるよ~」

坂下はちゃかした。

 

大島と坂下は家への侵入に成功した。

大島は侵入した玄関でバットをリュックに入れて銃剣の付いた自動小銃に持ち替えた。

「坂下、玄関見といてくれ。」

「オッケー。」

 

坂下は階段の下の扉を見つけ地下室のようなものを見つけた。

それは60年前の防空壕であった。

そこには珍しく食料が貯蔵してあった。

 

大島はゆっくりリビングに行き感染者二体を見つけ銃剣で頭に素早く突き刺した。

大島は台所に行き、ガス栓を確かめた。

ガス栓は閉まっていた。

「ガス漏れはここじゃないのか・・・」

 

坂下は地下室から出て玄関の方を見ていると階段から降りてきた感染者が後ろから襲ってきた。

坂下はとっさに感染者の方を振り向きバットで殴ろうとしたが間に合わなかった。

「きゃあ!!」

坂下は感染者がのしかかってきた衝撃でバットを手放してしまった。

「坂下さん!!!」

大島は急いで玄関の方に行った。

 

坂下の上に感染者は馬乗りになった。

坂下は噛まれそうになり、右手でホルスターから拳銃を出して感染者に向けた。

「やめろ!!!」

坂下は拳銃を撃った。

見事感染者の頭に命中した。

 

「危なかった・・・」

坂下は一息ついた。

大島は思った、なぜガス爆発が起きなかったのか・・・

ちょうどリビングと玄関あたりは密閉空間になっておりガス漏れがしていなかったのだ。

 

銃声を聞きリビングから感染者が押し寄せてきた。

リビングから玄関に通じるドアを感染者たちは突破してきた。

「大島君!ここに地下室があるよ!!」

大島はジャケットに装備していた手榴弾を一個リビングに投げ込み、

(これで生きるか・・・死ぬか・・・)

扉を閉め、地下室に閉じこもった。

この時生きるのに必死で東岡や斉藤のことは頭になかった。

 

するとその家を中心に100平方メートルのガス爆発が起きた。

地下室(防空壕)は奇跡的に吹き飛ばなかった。

 

ZDAY10日目・・・

大島と坂下は地下室に貯蓄してあった食料が尽き、大学に戻ることにした。

大島は扉を開けると外は焼野原になっていた。

水量が少なくなった川の方を見るとジープのタイヤが浮き出ていた。

「俺のせいだ・・・」

大島は自分を責めた。

「そんなことはないよ。きっと東岡君も斉藤さんも生きてるから!」

坂下は大島を激励した。

 

ZDAY15日目・・・

大島と坂下は自転車やバイクを使ってなんとか大学に戻ってきた。

大学の正門には鈍器を持った人々が見張りをしていた。

大島と坂下は近くの丘の高台から様子を見ていた。

 

「あれはどう見ても大学生じゃないな。」

「学校に避難してきた人とかじゃない?」

「もう少し様子を見てみようか。」

 

感染者が一人正門に寄って来た。

その時二階の渡り廊下から矢が放たれ見事頭に命中させた。

正門の見張りが矢を回収しに倒れた感染者に近寄り引き抜いていた。

 

「見た感じ銃は持ってないようだな。」

「どうするの?」

大島は銃を持っていけばおそらく取り合いになり厄介だと思った。

「銃器をすべてどこかに隠そう。」

大学は森に囲まれており、森に銃器を埋めた。

 

大島と坂下は大学の正門に行き校内に入れてくれるように見張りに言った。

すると快く入れてくれた。

 

入ってみると大学内には避難者がかなり多くいた。

「離れるなよ、坂下。」

そこには老人や子供に警察の制服を着た人もいた。

 

大島は警察の服を着た人に話しかけた。

「刑事さん?」

「ああ、元警察関係者だがなんだ?」

「ここのリーダーは誰だ?」

これだけの組織力は元社長や指導者がいないと守るのは無理だと大島は思った。

 

「そんな者はいない。」

「え!じゃあみんなで決めてるのか?」

「・・・二日前独裁者がいたが俺が殺した。」

突然の告白に大島は驚愕し、坂下は絶句。

 

「独裁者は正気じゃなかったからな。多くの人も彼が消えることを望んでいたよ。だから俺がみんなの代わりにやったんだ。」

大島は知らない人との急な集団行動をしていなかったために元警察関係者の言ってる事は理解できなかった。

ただ分かったのは生きている人間も発症者と同じく警戒しなければならないということであった。

 

ZDAY18日目・・・

大島は学校の周辺の見張りをし、坂下は雑用などみんなで決めた役割をしていた。

「調達長、俺になんか用か?」

調達長とは避難している人の物資を確保するために大学の外に物資を手に入れる班のリーダーだ。

「君は外を知ってるからもしよかったらと思ってね。」

大島は見張り班に配属されていた。

「場所次第なら同行しますよ?」

「・・・コンビニをあさってまわるんだが行くか?」

 

大島は十人編成の調達班でコンビニをあさりにまわった。

調達班の武器は鈍器に弓矢やボウガンなどで10トン以上はある大型トラックでスーパーなどから乗せれるだけ物資を乗せた。

その際にいくつものグループや集団が海に向かっているのを見た。

「あの集団も日本脱出か安全地帯を目指してるんだろうな。」

そう後ろにいた男が大島に言った。

「安全地帯ってなんだ?」

大島は不思議に思い聞いた。

 

「発症者がいない生活地域だ。」

大島はその答えに納得がいかなかった。

「発症者がいない?死んでも発症するんだろ?」

「安全地帯で暮らしたことない俺に聞かれても分からねーよ。だが遭遇した平和な集団は噂にしてたぞ。」

「そうだな、でも物資がありあまるぐらいあるならそこに行った方が賢明かもな。」

 

ZDAY20日目・・・

校内では三角州の安全地帯の噂が広がり、大学を出て行くものが絶たなかった。

この状況にリーダー格の人たちは困っていた。

「この状況じゃあ大学で感染が広まるのも時間の問題だ。」

「確かに、俺たちも安全地帯に移動するか?」

大島と坂下が大学を訪れた時は1000人がいたがいまはその半分もいない。

 

すると裏門の見張りから伝令が来た。

「発症者の群れが裏門に押し寄せてきてる!」

リーダーたちは裏門に行き門を閉めたが数で圧倒され門が破壊された。

また大学防衛の人数不足にも原因はあった。

感染者の群れは大学内に侵入し、次々と人々を襲った。

 

大島はサバイバルナイフを右手に持ち、坂下を探した。

坂下は食堂の厨房に隠れていた。

「坂下さん、脱出するぞ。」

「分かったわ。」

坂下はフライパンを右手に持ったまま食堂から逃げようとした。

 

すると食堂にも感染者が押し寄せてきた。

「厨房に外につながる裏口があるわ。」

大島は坂下の後を警戒しながらついていき裏口から大学を脱出した。

 

大島と坂下は森に逃げ、埋めた銃器を掘り起こした。

「使えるかな?」

「大丈夫だろ。発症者が少ない場所に隠れよう。」

大島と坂下は大学近くのマンションに身を潜めた。

 

ZDAY34日目・・・

大島と坂下は廃墟と化した大学に再び戻り物資をあさっていた。

「坂下さん、これ。」

大島は関節部分を守るパッドを持ってきた。

「これつけるの?」

大島は外にいる感染者を見ながら、

「ああ、ダサいけどあいつらになるよりはましだろ?」

 

すると渡り廊下から二人は装甲車を見つけた。

「自衛隊?」

大島は坂下を連れ、すぐに身を潜めた。

大島は関節パッドを装着しながら、

「とりあえず、発症者に噛まれないようにして様子を見に行こう。」

 

大島と坂下は64式小銃を持って装甲車に近づいた。

自衛隊なら助けてくれるかもしれない。

だが盗賊なら命が危ない。

だが大島は知らない集団が感染者に向けて撃つのは隠れて見たが人同士の争いの銃声は聞かなかった。

 

そう考えていると装甲車から降りてきたのは東岡と斉藤であった。

大島と坂下は思わずヘルメットを取った。

(生きてたのか!)

四人は同時に再開し最初に思った。

 

無言で大島と東岡・坂下と斉藤は勝手に体がハグしていた。

大島「まさか生きてるなんて、あの時死んだと思っていたよ。」

斉藤「私は死にかけた、でも東岡君が助けてくれた。」

坂下「あの時ジープが沈んでたから・・・てっきり。」

東岡「まあいいじゃないか!こうして奇跡的に再会出来たんだ。」

 

四人は装甲車に乗り、向かい合っているベンチシートでこれまでの経緯を話した。

後部には物資であふれかえっているのを坂下は驚愕していた。

「よくこんなに!!」

 

大島は神妙な面持ちで

「そうかそっちはいろいろ複雑だったんだな。斉藤は東岡が狂ったと思って一人に、東岡も人を間接的に殺したのか・・・集団紛争から逃避行。本当によく生き延びたな。」

大島は改めて感心していた。

 

坂下はそんな暗い話より斉藤と東岡が相思相愛になっていることに驚いた。

「まさか斉藤さんが東岡君と付き合うなんて!」

斉藤は確かに東岡を好きであった。

東岡もまた好きという気持ちではなく仲間を守るという意識のほうが高かった。

 

「え、寝たの?え、寝たの?」

坂下の興味がすごかった。

大島はポンと坂下の頭を叩き、

「こいつは性の化け物だから聞き流せばいい。」

 

「・・・」

東岡と斉藤は黙った。

 

大島は地図をリュックから出しながら、

「ところでこれからどうする?」

 

東岡は大島から地図を取り、開いた。

「全国を周って仲間を集めよう。そして最終目標は安定した拠点を作ろう。」

「私もそれはやってみる価値はあると思う。」

斉藤は東岡の意見に賛成した。

 

「でもそれって物資をあさりながら旅するってこと?」

坂下はなにか不満があったようだ。

坂下はこの四人でまた生き抜きたいと思っていた。

 

大島は東岡の意見を聞きつつ、

「じゃあ仲間選びは慎重にしないとな。」

「そうだな、てことはみんな賛成でいいのか?」

東岡が最終決を聞いた。

 

「まあ大島君がそう言うなら・・・」

坂下は仕方なくみんなとあわせた。

ここで坂下一人が抜けても、生存率は一人だとかなり低い。

 

大島は我先にと運転席に。

「お前運転できるのか?」

東岡はほくそ笑みながら聞いた。

「これから覚える。運転の仕方教えてくれるよな?東岡裏主将」

「ああ、もちろんだ。主将。あと自衛隊と警察は信用するなよ。」

 

四人の日本一周が始まった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。