ザ・ウォーキング・デッド in Japan   作:永遠の二番煎じ

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青井・中田・生田の三人は崩壊した□□県の安全地帯を漁船で沿岸に避難し、その後××県に漁船で向かった。


安全地帯3

青井・中田・生田は××県の港に上陸しようとしていた。

港の周りにはおそらく無人の大型客船や海外の軍の輸送船などいろいろ着港していた。

 

俺と生田は銃剣を付けた89式小銃を装備し、ガンホルスターには9mm拳銃が収まっていた。

それぞれ弾は二人合わせて200発。

対照的に中田はナイフや日本刀など接近戦の武器ばかりを所持していた。

 

「中田は生粋の日本人だな。」

「ゾンビ相手なら銃より剣の方が弾数を気にしなくていいからな。」

俺は拳銃を中田に渡したが中田は断った。

「俺がピンチの時はそのデカい銃でお前が援護してくれ。」

 

港に上陸したが何千もの屍が腐敗してピクリとも動いていなかったが、死臭が三人の鼻を襲う。

感染者は見渡す限り片手の指の数くらいしかいなかった。

「ひでーな。一か月前まで先進国だったとは思えない光景だな。」

「車を調達しなきゃね。」

「その必要はなさそうだぞ。」

 

港から続く道路は車が無数に散乱していた。

「これは歩きだな。」

「先が思いやられるね。」

 

三人はまず旅行代理店で××県の地図本を手に入れた。

地図本で競馬場の位置を確かめた。

「結構遠いんだな・・・」

「中田、お前こっちに来たのに競馬場の位置知らなかったのか?」

「ああ、陸から行ったからな。」

「そうね、そこそこ遠いね。歩きだと二日はかかりそうね。」

 

その後車が渋滞した国道を30分歩いた、そして路側から車一台通れるくらいの幅を見つけた。

三人はドアが開けっぱなしのエンジンキーが刺さった車に乗った。

この車(コンパクト)の持ち主は地震対策の対応をして逃げたために車に乗れた。

俺は運転席に中田は助手席、生田は後部座席右シートに乗った。

 

「よし、このまま国道を走れば競馬場に早く着くな。」

「ゾンビの大群に遭遇したらどうするんだ。こんな小さな車で大丈夫か?」

「大群がいたら引き返して別の道を走ればいい。遠回りにはなるけどな。」

 

生田は地図を見て競馬場を確認して俺に指示した。

俺は指示通り国道をしばらく渋滞の車をジグザグに避けながら県道に道を変えた。

中田は田園地帯を見ながら言った。

「ゾンビがいねーな。死体もほとんどない。」

「きっと競馬場に群がってるのよ。」

「いや、競馬場には数十体程度しか柵の外にしかいなかったぞ?」

「まあ、いけば分かる。それよりもっと楽しい話しないか?」

俺は感染者の話よりもっと明るい過去の話をしたい気分だった。

 

中田は助手席の前に収納してあるCDを十枚見つけた。

「中田、音楽はダメだ。」

俺は中田に注意した。

「ええ、もう一か月聞いてないし。それに今は移動中だし車の中だから大丈夫でしょ?」

気持ちは分からなくもなかったが今は何が起こってもおかしくなかった。

 

「ダメだ!拠点を構えてから聞け!!」

俺は念を押して二人に注意した。

 

「まあ・・・和成の言う事も一理あるな。じゃあみんなこうなる前の職業を打ち明けようぜ。」

「私は今流行りのフリーターってやつね。中田さんは?」

「俺は地方公務員だ。だった。でも生き残ったのは趣味でテコンドーをやってたからだ。」

「中田、それは初めて聞くな。俺はテレビ局の警備員だったよ。」

「だから、あんなワイヤーアクションも出来たのか?」

中田は土砂崩れの件をまだ覚えていたようだ。

 

「え、まじ!!じゃあ有名人とかの出入り確認してたの?」

生田は青井の職業に興奮した。

俺はそれ以上なにも言わず、運転に集中した。

 

夜になり感染者のいない場所(田地)で車の中で寝ることにした。

生田は後部座席で横になり寝、俺と中田はシートを限界まで下げた。

 

ZDAY35日目朝・・・

「痛!」

生田は頭を青井が倒しているシートにぶつけた。

「ちょっと!これじゃあ起き上げれないじゃん!!」

「静かにしろ!感染者にばれるだろ。」

生田には見えていなかったが、俺と中田は感染者の大群が車のドアを挟んですぐ横から歩いてるのを見た。

俺と中田は恐怖でシートを元に上げれなかった。

 

「どうする、和成?この方向競馬場の方じゃないか。」

「とにかく今は俺たちの事が最優先だな。」

感染者が車内を見てきたがどうやら幸運にも俺たちの存在を認識できなかったようだ。

感染者の大群が去った後の十分後に俺と中田はシートを戻した。

生田の方を見ると二度寝していた。

 

俺は安全を確認してから降りて生田をシートにもたれさせシートベルトをした。

それでも生田は起きなかった。

「生田は噛まれても起きないんじゃないか?」

中田は笑いながら黒い冗談を言った。

俺は再び運転席に戻り、中田にこれからどうするか話し合った。

 

「お前の競馬場本当に安全か?」

「さあな、安全地帯があんな状況に陥ったからな。正直分からない、だが希望はもったほうがいい。」

確かに中田の言う通りではあった。

「じゃあ、競馬場まで大群がいないことを願うか。」

 

俺は再びエンジンをかけ競馬場を目指した。

昼ごろ競馬場が見えてきた。

ちょうど生田は目を覚ました。

「あれ、発症者の大群は?」

「もう心配することない、新しい安全地帯だ。」

だがどこか様子がおかしかった。

 

中田はフェンス越しに複数のキャンプを見たが誰もいなかった。

「あれ?」

中田は何か様子がおかしいと察した。

するとフェンスの一部が壊れ、車で侵入出来た。

俺は車で侵入し、テント付近で駐車した。

俺と生田はトランクから自動小銃を取り出し警戒した。

そして三人は自動車から降り、周りを見渡した。

死体も感染者もない。

ただ血が黒くなったところがいくつもの場所にあった。

 

「どうなってるんだ?」

俺は中田に車の鍵を渡し、偵察することにした。

「二人は車の近くで警戒していてくれ。」

 

スタンドの中に入ると吹き抜けの通路に武装した兵士たちの死体が数体あった。

どうやら自分で自分の始末をしたようだ。

(どうなってるんだ?)

更に奥に通路を進むと感染者の群れが通路いっぱいに静止して往生していた。

俺は素早く壁に隠れた。

(どうやら安全地帯なんてなさそうだな。)

 

中田は警棒で感染者の頭蓋骨を叩き割った。

「まだ戻って来ねーのか、和成。」

「中田さん、もう少し待ってみましょう。」

生田も心配していた。

「お前の彼氏だもんな。」

また一体近寄ってきた感染者を中田は倒しながら言った。

 

青井が車に戻ろうとした時、一体の感染者が立ちはだかった。

俺は目を手でこすり、もう一度見たがそれは村長であった。

「村長!生きてたのか。」

青井はまだ村長の死を受け入れていなかった。

 

89式を村長の顔に向けながら言った。

「俺は村長と再会できると思っていたがまさかこんな再開とはな・・・」

村長は唸り声しか出していなかったが青井は一方的に話しかけていた。

「村長残念だ。」

 

銃声が競馬場で響いた。

銃声で感染者たちがいろいろな物陰から現れた。

「なんの銃声だ?」

中田は驚いた。

「生田、待っててくれ。」

「え、ええ!一人!!」

中田は青井の様子を見にスタンド中へ走って行った。

 

俺は我を忘れ、後ろから襲ってくる数十体の感染者の頭を89式で撃った。

弾が無くなると弾倉を次々と変え、次々と撃ち倒した。

さらに奥から数体やってきた。

89式は弾が詰まり、発砲できなくなったが、俺はガンホルスターから9mm拳銃を取り出し、再び撃ち倒した。

「ふぅ、これがサバイバルホラーゲームの実写か・・・酷いぜ。」

俺は我に戻った。

気配を感じ、後ろに拳銃を構えると中田がいた。

 

「待て!和成。落ち着け!!俺だ!!中田勇気だ。大丈夫か?噛まれてないか?」

「ああ、指一本やつらには触れさせなかった。」

「何があった?お前らしくないぞ。」

するとまた感染者の群れが迫って来た。

「話は後で聞くぞ。」

二人はスタンド外へ逃げた。

 

そこには生田が一人で数体の感染者を接近で倒していた。

俺と中田は一瞬立ち止まった。

だがそれが悲劇を招いた。

応援席にいた感染者がスタンド出入り口の上に集まっていた。

数体が上から飛び降り自殺のように降ってきた。

運悪く中田に直撃し倒れ、落ちてきた感染者に噛まれた。

 

「中田!!!」

俺は数体の感染者を銃剣で刺し倒し、中田に駆け寄った。

「俺は・・・もうだめ・・・だ。」

中田はそう言って最後の力を振り絞り胸ポケットから車の鍵を遠くに投げた。

俺は何度も呼びかけたが反応はなかった。

 

迫りくる感染者に俺は逃げるしかなかった。

感染者はまだ新鮮な肉の中田に群がった。

俺は人口芝生に落ちた車の鍵を取って車に走った。

 

「青井くん!大丈夫?中田さんは?」

「・・・乗れ!!逃げるぞ!!」

「中田さんは?」

俺は生田の質問を無視して運転席に乗った。

生田も四方八方から群がってくる感染者に戸惑い助手席に乗った。

俺は車にエンジンをかけてすぐに壊れたフェンスから競馬場を脱出した。

 

俺はしばらく走ってからどこかも分からない住宅地に車を止めた。

「一度も勇気と呼ばなかった・・・」

「青井くん、中田さんは死んだの?」

生田は真剣な顔で俺に質問してきた。

 

「俺のせいだ・・・俺が乱射したからだ・・・」

青井は正気じゃなかった。

すると生田は俺を胸に抱き寄せた。

「和成くんのせいじゃないよ・・・私の事を代わりに下の名前で呼べばいい。」

「生田・・・」

 

生田の胸は意外に大きく柔らかかったがそんなことよりも包容力に助けられた。

俺は生田から離れ、ハンドルを握った。

「優香、じゃあこれからこう呼んでもいいのか?」

「うん、私も和成くんって呼ぶからね。」

車内はしんみりした空気だった。

俺は再び優香とともに物資調達にショッピングモールに走り出した。


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