ザ・ウォーキング・デッド in Japan   作:永遠の二番煎じ

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前回四人は安全地帯手前のバリケードで検問を受け、居住を許可された。



シーズン2
安全地帯2


ZDAY29日目夜・・・

一台の赤いSUVが四人の希望を乗せてコンテナに囲まれた安全地帯に新入する。

安全地帯(三角州)の中を初めて見た。

四人の入った中央橋は安全地帯の中で一番海抜が高かったため、安全地帯を見渡せた。

四人は久々に夜の街の明かりを見て感動した。

「まさか、こんなところでもう一度暮らせるなんて。」

俺は涙が出た。

 

「ここからまたやり直せるんだ。」

中田は希望にあふれた声で言った。

 

この安全地帯は家が五万件あり、そのうち二万件はもう住人が住んでいる。

安全地帯総人口約10万人で1000人が米兵・傭兵・元自衛隊員関係者・元警察関係者。

1万人は予備戦闘員として登録。

他の職業はざっくりしており、農耕者・漁業者・技術者(建築も含む)でこの安全地帯は構成されている。

発電所に下水処理場などまだ20世紀の文明がここには生き続けていた。

 

俺たちはSUVを走らせ、明かりのついてない空き家を探した。

 

「ここでいい。」

俺は六階建のエレベーターが作動していないマンションに停車した。

中田は車の荷台から自分のリュックを背負った。

「また、この町のどこかで会おう。」

「こんなところでいいのか?」

「ああ、俺は一人暮らしをしたことないからな。都会っぽいマンションに一度住みたかったんだ。」

「じゃあ、あばよ。相棒!」

 

俺も車から降り、ハグした後、中田はマンション一階の端にある螺旋状の非常階段を上って行った。

俺は中田を降ろして引き続き家を探した。

「俺は障害者が集団で暮らしてる施設に降ろしてくれ。」

「いいけど、どうしてなんだ?」

「彼らなら俺の気持ちが分かるからだ・・・」

「あ・・・悪かった。」

「・・・」

 

「気にするな!」

「・・・そうだな。」

「それをやめろよ!!」

 

俺は森下を案内センターと書いてある木の看板の前で降ろした。

「青井・斉藤、世話になったな。」

森下は案内センターの中に入って行った。

 

俺は最後に斉藤の新たな家を探してあげた。

 

「斉藤、お前はどこに住みたいんだ?」

 

俺は明かりのついていない家々を見ながら言った。

 

「ここでいいわ。」

 

俺が停車すると、斉藤は降りた。

斉藤は暗闇の中アパートの一室に入っていった。

(そっけねーやつだな。)

 

俺は一人SUVを走らせ前に住んでいた家に似た一軒家を探して見つけた。

(ちょうど、和風の瓦屋根の二階建だな。)

 

俺は車庫がなかったために家の前の玄関先のすぐ横に車を駐車し、玄関に土足で入った。

夜も遅かったので汚いほこりのかぶったベッドを見つけ、寝ようとしたが癖で家中が安全か徘徊してから包丁を横のドレッサーに置きようやく就寝した。

 

俺は気づくと誰もいない霧がかかった田地にいた。

周りはほとんど霧で三メートル先しか見えなかった。

「刀?」

俺は右手に日本刀を持っていた。

やつらが寄ってくる。

「なんだ!」

俺はやつらを斬り裂いた。

必死に斬り裂いた。

 

そこには中田がいた。

「嘘だろ・・・」

中田は感染者となって俺に襲いかかってきた。

俺は斬り裂けなかった・・・

「あああああああああ!!!」

俺は中田に食われた。

それが幽体離脱のようにして今度は上から見えた。

 

ZDAY30日目朝・・・

引き戸から男の声が聞こえた。

「すいません!!!」

 

俺は男の声で悪夢から目が覚め、包丁を携帯して玄関に行った。

 

玄関を開けると四人の迷彩服を着た兵士がいた。

「おはようございます。私はこの地域の責任者上野です。顔色大丈夫ですか?」

玄関で一人の兵士がお辞儀をした。

俺もおもわずお辞儀をした、そして顔をあげた。

「いえ、ちょっと嫌な夢で・・・私は青井和成です。新しく来た難民です。」

「私は責任者ですから、こうやって新しく来た人には顔を出しておかないといけないですから。」

「よくここが分かりましたね。」

「ええ、この安全地域には監視をめぐらしてますから。」

 

上野は安全地帯にまんべんなく部下を配置して秩序を保ったり、発症者が出たりしないか常に警戒しているのである。

 

「よかったらこれ読んでください。まだここ(安全地帯)は出来て二週間ですが、この安全地域の歴史の本です。」

上野は薄い本を俺に両手で渡した。

俺は片手で受け取ったが、表紙には三角州の絵が描いてあった。

 

その後上野は丁寧に別れの挨拶をした後、三人の兵士たちを引き連れジープに乗り去った。

 

俺は薄い本をリビングのソファに座り、読んだ。

 

『安全地域』

この地域を築いた者は上野三等陸曹である。

 

ZDAY二日目に三等陸曹率いる小隊は□□県と××県の県境の国道のETCで検問をしていた。

 

(ZDAYってなんだ?)

 

俺はZDAYが気になり本の【はじめに】を見た。

 

ZDAYは悪夢の始まりからの年表か、それとも感染者との闘いが始まった日のなにかだった。

 

「ここはもうもちません!!」

その時××県国道方面から発症者は何百との大群で小隊に迫った。

「よし!!!全員撤退だ!防衛線を崩して避難する。」

三等陸曹は下士官たちにそう言って□□県の有名な三角州に向かった。

「生きている隊員はみんな□□県三角州に向かってくれ。」

三等陸曹はジープの無線で警官や自衛隊員に伝えた。

 

三角州にはその日のうちに約1000人の警官と隊員あと在日米軍が集まった。

案外三角州は発症者が少なかった、だから三日で三角州の秩序は取り戻した。

海上自衛隊や在日米海軍は安全確保を約束に三等陸曹要請の元にコンテナを全国からありったけ海上輸送し三角州の川岸にトラックで運び、発症者の侵入を防ぐ作戦に出た。

 

「三等陸曹、三角州の中は安全ですから三つの橋さえ抑えればコンテナで囲む必要はないと思いますが?」

「ああ、だが奴らは俺たちと違って呼吸をしないかもしれない。そのリスクは考えたか?」

「いえ・・・失礼しました掃討に戻ります。」

 

三等陸曹の適切かつ迅速な安全地域確保に半月で三等陸曹から責任者(□□総司令官)となったのだ。

 

俺は本が苦手だったので60ページの薄い本でも重要な部分だけ読んだ。

裏表紙には殺人・窃盗・恐喝が禁止と手の禁止マークが描かれていた。

 


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