女神世界の新生世代   作:Feldelt

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第2話 見知らぬ、ダンジョン

『聞こえますか、ネプテューヌさん、黒さん、白さん...』

 

「何の声...!?」

「え?どっから声が聞こえてるの!?」

「私をハブるんだね...まぁいいけど。」

 

どこからかの声。そして茜さんの返答。

どうにもこの茜さんは謎が多すぎる。嘗て天界救世を戦ったとしか

聞いたことがないけど...

 

『あんまり動揺しないでください。あと、茜さんも、お久しぶりですね。』

 

「おひさー、しかし、ホログラムも作らず声だけだなんて珍しい。

 天界でまたなんかあったの?」

「というか...あなたは一体誰なんですか。人の名前を知っておいて...」

 

事情をある程度予測した茜さんは質問をし、

白は相変わらずの毒を吐く。

 

『はい...自己紹介がまだでしたね、私は、司書イストワールといいます。

 私は今、審判の悪魔によって封印されてしまいました。審判の悪魔の

 正体にアクセスすることすら、今の私にはできません。』

 

「ふーん、強固な封印な訳か...」

「それでそれで?わたしたちはどうすればいいの?」

『ネプテューヌさん...!?貴女、また記憶が...?』

「うん、無いみたい。」

 

この人は記憶喪失をなんだと思ってるんだろうか、楽観視にも

程があるというか...なんだろう、何て言えばいいんだろう...

 

『わかりました、私からお願いしたいことは二つあります。

 一つは審判の悪魔を止める事、そしてもう一つは、

 私の封印を解いて頂くことです。無理にはお願いしませんが、

 お礼として、ネプテューヌさんの記憶を戻すことや、黒さん、

 白さんのご両親のことをお伝えします。』

 

「えっ...じゃあわたしやるー!」

 

二つ返事でネプテューヌさんは協力を申し出た。

そして僕らもまた、そうだった。

 

「...やります。僕はやっぱり、両親のことを知りたい。」

「お兄ちゃん...そうだね、誰だかわからない存在の戯言かも

 しれないけど...あかねぇが知ってるなら...それもいいかな。」

 

『それでは、皆さんお願いします...まずは...南西へ進んで下さい...』

 

それっきり声は全く聞こえなくなった。

 

「あれ、もしもーし、聞こえなくなっちゃったよ...」

 

ネプテューヌさんはがっかりしている。喜怒哀楽がわかりやすい人だなぁ...

そして、茜さんはというと、

 

「来るべき時が来たのかもね...待ってて黒君、ねぷちゃん。」

 

茜さんは奥の部屋に行き、すぐに一本の剣とブレスレット型の

操作デバイスのような物を持ってきた。

 

「ねぷちゃんにはこれ。水晶刀身の剣、映影。そして黒君にはこれ。

 制御能力用戦闘デバイス、転生鎧装。これを渡したからには、

 自分の身は、自分で守るんだよ。」

「はい。」

「あかねぇ、なんで私には無いの。」

「白ちゃんは必要ないよ。だって、強いでしょ?白ちゃん。」

 

茜さんは白の能力を看破している。そういう能力を持っているから。

それは、白に対する信頼なのかどうかはわからないけれども、

白は少なくとも悪くは考えなかった。

 

「...そうだねあかねぇ。」

 

そして僕らは南西に向かった。

茜さんの見送りを背に受けて。

 

そして、南西に進んだ先にあったのはネプテューヌさんが墜落してきた

場所であり、その下にはなんと、存在すら隠されていたかのような

ダンジョンがそこにはあった。

 

 

 




次回、「第3話 変身」

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