女神世界の新生世代   作:Feldelt

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女神候補生4人が審判の悪魔に敗れたことは瞬く間に全世界に知れた。

だが、既に四女神は引き返す事など出来ず、ただただ、守護女神戦争を

続けていくことしか彼女達に出来ることはなかった。

 

その頃、新大陸《イオサンド》某所に四人の女神候補生と、

二人の人物の人影があった。

 

「シェアエナジーのフィルターを作るなんてね...あの子達の命は

 保証されるし外には出ることは出来ない...結界の素材としては

 いいことづくめだね...生成が大変なのを除いては。」

 

『まぁいいだろう...感謝している、光。』

 

その二人とは、審判の悪魔と、その協力者、九形 光(くがた ひかり)である。

 

「で、どうするんだい審判の悪魔...この結界の中に入るのかい?」

『あぁ、光、結界の外側に迷彩は張れるか?』

「余裕だね。ちょちょいのちょいだよ。」

『では頼む...』

 

そう言って審判の悪魔は結界の中に入っていった。

 

「女神を知る悪魔、か...」

 

光はそう呟いてその背中を見ていた。

 

 

----------

 

 

「あれ...私は...確か...審判の悪魔と戦って...それで...痛っ...」

 

全身がまだ痛い。そうだ、悪魔と戦ったとき、私の剣が

届く前に地面に叩きつけられたんだった...

 

見渡すと、生活感のある部屋で、他のみんなも、私含めて

布団に寝かされていました。

 

「誰か...助けに来てくれたのかな...」

 

誰だろう...そう考える前に戸が開きました。

そしてそれは、全く予想だにしない人物だったのです。

 

「お目覚めかな?我が妹達。って、ギアだけか。」

 

そう、完全に予想すら出来ない人物、『凍月 影』お兄ちゃんでした。

 

「う、そ...お兄ちゃん...なの...?」

「嘘だと思うのならそうなんだろうなぁ...」

 

間違いない、飄々としているこの受け答えは間違いない。

もう、21歳になっている、お兄ちゃんがいました。

 

「老けたと思ってるよな、俺もそう思う...しかし...いくらかパワーアップ

 したとはいえ、審判の悪魔に挑むとはね...俺でも死にかけたと言うのに。」

「お兄ちゃんでも...!?」

「驚いてる場合か?まぁ、驚くか...あいつらが戦いなんてしていなければ

 俺もすぐに帰れたはずなのに...」

 

そこで一つ思い出しました。聞かなければいけない事を。

このお兄ちゃんの、失踪の理由を。

 

「ねぇ、お兄ちゃん。」

「なんだ?ギア。まぁ、概ね俺の失踪の理由だろ?」

「うん。どうして...どうしてすぐに帰ってこなかったの...!?

 あの時に!私や、茜さんや、ブランさんを心配させて、

 どうして...どうしてなの...?」

 

お兄ちゃんは数拍の間を置きました。

 

「しょうがないだろ、この腕を、見せたく無かったんだよ...」

 

お兄ちゃんは左手で右手を触ります。その右手は、だらーんと、

力なく、まるで、ただくっついてるだけのようでした。

 

「変身すれば動くけどな...外側から無理やり動かしているに

 過ぎないんだけどね...」

 

「どうして...どうしてそんなことに...?」

 

聞いちゃいけない事を聞いた気がしました。

 

「天界救世のせいだよ。虚夜を倒すには、これしか無かった。

 それをブラン達には教えたく無かった...」

 

そうだったのか...そうだ、でも、お兄ちゃんが生きているなら...

 

「ネプテューヌに連絡しても無駄だ。そろそろ悪魔は第二段階に

 入る...守護女神戦争を止め、女神その物を消そうとするだろう。」

「そんな...!でもそんな事、どうやって...」

「俺が悪魔なら...1vs3を作るかな。」

 

具体的な作戦だ。けど、それには天界に行く必要がある。

 

「だから天界に行く前に叩くのさ...どうにか止めてやるよ...」

「待ってお兄ちゃん、じゃあ私も...痛っ...」

 

まだ身体が痛む。お兄ちゃんの力になりたいのに...!

 

「絶対安静だ。一本骨が折れてる。なーに、大丈夫さ。」

 

そう言ってお兄ちゃんは部屋を出ました。

 

 

----------

 

 

『待たせたな、光。』

「妹との再開はどうだった、悪魔様。」

『感動的だな、だが無意味だ。始めよう。人の業と性を浄化しに...』

 

審判の悪魔...仮面を着け、腕にギプスを着け、冷ややかな雰囲気を纏うその男は、

誰よりも女神を愛した人間、『凍月 影』であった。

 

『女神達は試されている。滅びか、それとも再生か...

 せめて、落胆させないでくれよ...?』

 

そして悪魔は1年かけて準備した。対女神の様々な仕掛けや物を。

 

--新生世代の物語はようやくここから始まる。

悪魔が張り巡らせた点と線の合間を縫っていくような偶然と共に。

そう、一人の少年が、少女が空から落ちてくるのを見つけたという

運命的な偶然から...




過去編、3話で解説しきっちゃった...?

いいや、では、次章からようやく始まるリバース1の世界の物語!
次回、『第一章 新たなる旅の始まり
    第1話、「少年の見た流れ星」』

感想、評価等、お待ちしてます。

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