「悪魔のこの封筒...本当にあの凍月影が書いたものなのでしょうか...」
僕は悪魔からこの国の女神様であるブランさん、だったかな...に渡してほしいと頼まれた封筒を持っている。うーん、本物じゃない可能性があるのがなんともいえないんだよなぁ...
「じゃあ、あかねぇに写真送ってみるね......すぐ行くだってさ。」
『仕事早っ!?』
ネプテューヌさんとハモる形になったけど、ほんと茜さんの仕事は早い。早すぎる。
「茜ちゃんが来るということは...これは本物ですわね。では届けにいきませんと。」
「そうですね...さて教会は...こっちですね。」
街の中心の大きな建物...教会に向かって僕らは歩み始めた。その先で、真実を知るとは知らず。
───────
ルウィーの教会に着いた。
まず悪魔に渡された封筒を従者と思われる人に渡して、しばらく待つことになった。
「...ここがルウィーの教会...静かですね...」
「静か過ぎてつまんなーい...黒君なんか面白いこと言って〜!」
「無茶言わないでくださいよ...」
「ですが、それを言う必要はなさそうですわ。」
ベールさんがそう言うと、教会の奥の方から僕と同じ茶髪で、白と同じ色の目をした、僕らよりひと回りだけ大きい女の人が出てきた。その手にはさっき渡した封筒がある。
「久しぶりですわね、ブラン。」
「...そうねベール...ネプテューヌも。それに...黒、白。元気なようで何よりだわ...」
耳を疑った。この人は僕達を知っている...?でも、僕達は知らない...どういうことだ...?
「貴方の思考の深さは影譲りね黒が内面とするのなら、...白、貴女は表面が男女の違いはあれど影そっくりね...」
頭を殴られたような衝撃が駆け巡る。
「...それ...どういう...」
「まさか...」
とんでもない予想が浮かんできた。
そしてそれは後ろからの声で肯定される。
「そーだよ二人とも。君達の考えてることはきっと正しい。話してあげなよブランちゃん。」
「そうね茜...その様子だとベールは気づいていたんでしょうね...黒と白は私と影の子よ。」
頭が真っ白になった。僕が...英雄凍月影の息子...?ってことはこの人が、ルウィーの女神のブランさん...つまり、僕達は女神様と英雄の子供...
「ちょ、ちょっと何言ってるか分からない...えっと、つまりどゆことー?」
ネプテューヌさんが困惑している。でも、僕と白は頭が真っ白になっていた。言葉を発することもできずに。よくわからくなっている。
「真実というものは残酷だよ。」
茜さんの声だけが、響いていた。
次回、第30話「事実は小説より奇なり」
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