女神世界の新生世代   作:Feldelt

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第29話 真実

「悪魔のこの封筒...本当にあの凍月影が書いたものなのでしょうか...」

 

僕は悪魔からこの国の女神様であるブランさん、だったかな...に渡してほしいと頼まれた封筒を持っている。うーん、本物じゃない可能性があるのがなんともいえないんだよなぁ...

 

「じゃあ、あかねぇに写真送ってみるね......すぐ行くだってさ。」

『仕事早っ!?』

 

ネプテューヌさんとハモる形になったけど、ほんと茜さんの仕事は早い。早すぎる。

 

「茜ちゃんが来るということは...これは本物ですわね。では届けにいきませんと。」

「そうですね...さて教会は...こっちですね。」

 

街の中心の大きな建物...教会に向かって僕らは歩み始めた。その先で、真実を知るとは知らず。

 

 

───────

 

 

ルウィーの教会に着いた。

まず悪魔に渡された封筒を従者と思われる人に渡して、しばらく待つことになった。

 

「...ここがルウィーの教会...静かですね...」

「静か過ぎてつまんなーい...黒君なんか面白いこと言って〜!」

「無茶言わないでくださいよ...」

「ですが、それを言う必要はなさそうですわ。」

 

ベールさんがそう言うと、教会の奥の方から僕と同じ茶髪で、白と同じ色の目をした、僕らよりひと回りだけ大きい女の人が出てきた。その手にはさっき渡した封筒がある。

 

「久しぶりですわね、ブラン。」

「...そうねベール...ネプテューヌも。それに...黒、白。元気なようで何よりだわ...」

 

耳を疑った。この人は僕達を知っている...?でも、僕達は知らない...どういうことだ...?

 

「貴方の思考の深さは影譲りね黒が内面とするのなら、...白、貴女は表面が男女の違いはあれど影そっくりね...」

 

頭を殴られたような衝撃が駆け巡る。

 

「...それ...どういう...」

「まさか...」

 

とんでもない予想が浮かんできた。

そしてそれは後ろからの声で肯定される。

 

「そーだよ二人とも。君達の考えてることはきっと正しい。話してあげなよブランちゃん。」

「そうね茜...その様子だとベールは気づいていたんでしょうね...黒と白は私と影の子よ。」

 

頭が真っ白になった。僕が...英雄凍月影の息子...?ってことはこの人が、ルウィーの女神のブランさん...つまり、僕達は女神様と英雄の子供...

 

「ちょ、ちょっと何言ってるか分からない...えっと、つまりどゆことー?」

 

ネプテューヌさんが困惑している。でも、僕と白は頭が真っ白になっていた。言葉を発することもできずに。よくわからくなっている。

 

「真実というものは残酷だよ。」

 

茜さんの声だけが、響いていた。

 

 




次回、第30話「事実は小説より奇なり」

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