女神世界の新生世代   作:Feldelt

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第19話 女神の在り方

悪魔は左、私は右からキラーマシンに攻撃をしかける。

が、キラーマシンはその両方の動きを読んでいたかのように防いだ。

 

「ほう...これは...」

 

左から接近した悪魔にはクローで応戦、こっちにはテイルブレードで応戦。

ったく...随分面倒ね、これは...

 

「だったらこれはどう!?」

 

テイルブレードを踏み台にしてキラーマシンの頭部らしきところに

一撃入れようとする。

 

「ふん、無駄ですよ。」

 

キラーマシンは頭部にバルカンがあり、それを照射して私を近づけなくさせた。

 

「面倒...!」

「ではこれはどうかな?」

 

悪魔は拳銃を放つ。

が、その数瞬前にはテイルブレードが防御姿勢に入っていた。

 

「...やはりか...」

「ちょっと!いくらなんでも普通の拳銃じゃマシンは壊せないわよ!」

「それはもちろんその通りだ。だが、私はこれで確信を得た。

 こいつは先読みに特化している。回避や防御に長けているのだ。」

「んなっ...」

「流石は審判の悪魔、早々に気付きましたか...」

「...消えろ外道。」

 

悪魔はガナッシュを一瞥するや否や銃弾を三発撃ち込む。

だがそれもキラーマシンによって防がれる。

 

「...仕方あるまい。こいつを使うこととしよう。」

 

悪魔の背中から羽根らしきユニットが現れると同時にキラーマシンは

悪魔に攻撃をした。その隙を逃す私ではないけど...

 

「ぐぅ...近づけないじゃない...」

 

その隙を埋めるような弾幕。それにその弾幕が街焼くことにつながった

瞬間を見た私は、目を見開いて、止まった。

そして、逆にその隙を突かれる。

 

「ノワールさん!」

「んなっ...きゃぁ!」

 

黒の声で何とか防御は出来たけど...あれ?黒?

 

「全くもう...やっぱりあの時の人はあなただったんですね。ネプテューヌさん

 だけですよ、それで騙せていたのは。最も、確証がなかっただけですが。」

「うぅ...仕方ないでしょ!?いきなり私がさっきの人ですって言えないじゃない!」

「それもそうですね...」

 

ほんとにこの子は何歳なのかしら...年齢がよくわかんないわ。

けど、この言い回し、どことなく影に似てるわね。

 

「呆けてる場合じゃないですよ。あれを壊すんでしょう?

 まさか僕たちが悪魔と共闘することになるとは思いませんでしたが。」

「む...その声はいつぞやの少年か...」

 

悪魔は全方位からちまちまとキラーマシンに攻撃している。

 

「今回は邪魔しないよ、悪魔...けど、いつかお前を倒す。それが、

 茜さんからの依頼だからね。絶対に、倒す。」

「茜...仙道、茜か...」

 

悪魔の反応は少し不可解だったけれど、そんなの考える間もなくキラーマシンが

私と黒に攻撃してくる。

 

「じゃあノワールさん。悪魔が派手にやってくれてるので、ここは白に任せて

 よさそうですね。気づかれずに魔法陣を展開できてそうですし。」

「そう...ネプテューヌは?」

「白の特大範囲魔法には少し手間が必要で、敵がマシンですから雷の属性の魔法を

 ねじ込みます。雷属性の使い手はネプテューヌさんくらいなので、

 今ネプテューヌさんには白の魔法の魔力を引き出す...えっと、人柱になってもらってます。」

「随分エグいことするのね。」

「本人はプリン10個で即答でした。」

「軽いわね!?」

 

さすがネプテューヌね...

戦闘中なのに緊張がほぐれたわ...

 

「さてじゃあノワールさん。とっととぶっ壊しにいきましょう。」

「えぇ!」

 

 

----------

 

 

「...マシンには魔力は感知出来ない、か...賢いな、少年。」

 

となると私の出番は終わりだろう。後は彼女達に任せられる。だが、

こちらの任務だけは任せられるのは一人だけだ。

 

「私が直接裁けないのは誠に遺憾だが...しょうがない。光!」

『はいな。』

「アヴニールのガナッシュを処刑せよ。確実に殺せ。」

『あいあいさー。』

 

奴は戦闘中に逃げた。こちらの注意はキラーマシンにしか注がれてはいないからな。

しかし...魔力が渦巻いてきた。これ以上いると黒切羽の制御出来んかもな。

 

「あわよくば私をも、か...少年!君の名を聞かせてもらおうか。

 私は審判の悪魔。ゲイムギョウ界の人の業と性を浄化する者だ。」

「...僕は黒。魔法の準備をしているのは妹の白。いずれ、お前を倒す者だ。」

「では黒君。こいつを破壊したまえ。何、殲滅の下準備位はしよう。」

 

黒切羽をキラーマシンに同時に突き刺す。

いくら先が読めようと、回避先や防御ポイントなどがなければ無用の長物だ。

だが奴は頭部のバルカンをあろうことか街全体にばらまこうとした。

 

「させないわよ!」

 

黒の女神がそれを察知し、二刀流で頭部に三撃いれた。

 

「やれ!白!」

 

黒の掛け声と共に、キラーマシンの足元に巨大な魔法陣が展開される。

 

「これは...二元属性魔法(デュアル·エレメンツ·スペル)...」

 

範囲から出つつ、魔法が放たれる様を見届ける。

氷による冷凍と結晶を走る雷によってキラーマシンはショート、爆発する。

それだけで十分だった。

 

「撤収するとしよう。」

 

 

----------

 

 

戦闘が終わり、僕とノワールさんは変身を解いた。

 

「終わりましたね。」

「えぇ。...なんか全部白に持ってかれた気もするけど。」

「おーい!黒ー、ノワールー!」

「お兄ちゃーん、ノワールさーん、終わったー?」

 

「終わったぞー。白ー、よくやったー!」

「へぇ、白とネプテューヌはシアンの所にいたのね。」

「えぇまぁ。それよりノワールさん。」

「どうしたのよ黒。」

 

ノワールさんに改まって質問してみる。

 

「ネプテューヌさんの正体、なんですか。」

「...貴方、それ半分というか答えわかってるわね?」

「わかります?じゃあ僕からネプテューヌさんに伝えますね。」

「あ、そう...なんかペース狂うわね...」

 

頬をかくノワールさんは子供目に見ても可愛いって思った。

...僕自身、僕が何歳か分かんなくなってきたなぁ...

 

「けど、そうしてもらうと助かるわ。私はここからラステイションの復興を

 しなければならないもの。この国の、女神なんだから。」

「...そうですか。わかりました。」

「何々、なんの話?プリンの話?」

「この状況でもプリンですか...まぁ、よしとしましょう...」

 

白とネプテューヌさんが合流した。じゃあそろそろ行かないとな。

 

「ノワールさん。鍵の欠片を見つけたら、僕たちに教えてください。

 それと、もう一回探しに来るかもなので、その時はお願いします。」

「そうね、わかったわ。」

 

僕はノワールさんに一礼して一旦第3分校に戻る事にした。

次の目的地を決めるためにも、拠点が欲しいからね。

 

「じゃーね、ノワールー!」

「はいはい。...またね。」

 

 

----------

 

 

「まさかキラーマシンが破壊されるなんて...けどあの技術があれば...」

「どこに行く気だい、ガナッシュ。」

「光さん...ひぃ...!?」

「ふふ、貴方、本来ならここで死ぬのだけれど気が変わったわ。

 貴方、私の傀儡となりなさいな。しからば、殺さないであげてもいいよ...」

「ひ、ひぃぃぃ!?」

 

「クク、存外悪魔もチョロそうね。」

 

 

 




次回、第20話 リーンボックス

第3章入りまーす。

感想、評価等、お待ちしてます。

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