女神世界の新生世代   作:Feldelt

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忙しすぎて遅れすぎました。これ年度末までに終わるかな...


第13話 二人の黒

三人で行ったシアンさんの依頼は達成したけど、何故か四人で帰ることになった。

 

「あ、あー、交易路のモンスター共を倒してくれたのは嬉しいんだが...

 どうして一人増えているんだ?」

「その点はさっぱり分かりません。ただ、ダンジョンで傷だらけで記憶喪失。

 パーティに入れざるを得ないのは事実...私は記憶喪失は嘘のような...

 そんな気がしますね。」

 

白の鋭い目が女性を射抜く。そういえばこの人の名前は...聞くか。

 

「では、一つ聞きたいのですが...まずは自己紹介ですね。僕の名前は黒と言います。

 こっちは妹の白。このネプテューヌさんの記憶と、僕達の両親のことを知るため

 に旅をしています。で、貴女のお名前は、覚えていますか?」

「え、えぇ、覚えてるわ。私の名前はノワールよ。それにしても...子供なのにとても

 礼儀正しいのね。そこのネプテューヌと大違いよ。」

 

「比較対象を間違えていますね。貴女の目は節穴ですか。お兄ちゃんをこんな

 ちゃらんぽらんと比べるのはお兄ちゃんへの侮蔑と受けとりますよ。」

 

怖い怖い、白さん怖いよ!

 

「うぅ、黒、貴方の妹の私への風当たりキツくない?」

「気のせいです。もっとひどいときはこの程度ではすみません。」

「そ、そうなの...」

 

「というか白ちゃん、さらっとわたしディスったね!?ほんとにさらっと!」

「ネプテューヌさんならバレないと思ったのですが...存外鋭いんですね。

 ちょっとだけ見直しました。具体的には1フレームくらい。」

「それってもう一瞬じゃん!」

 

今日も白の毒は回るのが速いこと...

 

「やっぱり気になる。さっきも聞いたが、なんで四人になってるんだ?」

「かくかくしかじかです。」

「そういうことか...わかった。じゃあまぁ飯でも食っていけよ。話したいこともあるし。」

「ご相伴に預からせて頂きます。」

「...なぁ、黒。お前ほんとに7歳か?」

 

年齢に突っ込みが来た...そうだよね、こんな敬語使う7歳児はいない。

 

「7歳ですね...僕たちは少し生い立ちが特殊ですから。」

「そ、そうか...」

 

シアンさんはそう言って食堂の奥に向かっていった。

 

「そうだ、貴方たちはなんで旅してるの?とは聞いたわね。

 ごめんなさい、あんまり聞いてなかったからもう一度言ってくれるかしら。」

 

ノワールさんから質問が来る。

 

「えっとねー、世界に四人いる不死身の生命体を倒すためー、って感じ?」

「はぁ、それは捉え方によっては女神様を倒すということですよ。愚かですね。」

「貴女に聞いた私が愚かだったわ...ごめんなさい。黒君、答えてくれるかしら?」

 

二人が容赦なくネプテューヌさんのボケにトゲを刺す。

 

「は、はぁ...僕達は各大陸にある鍵の欠片と呼ばれる物と、僕と白の両親のことを

 知るために旅をしています。記憶がない貴女に聞くのもあれですが、その...

 僕の両親を知ってたりしませんか?僕たちを護るために二人とも死んだって、聞きましたけど...」

 

小考の後、ノワールさんが口を開いた。

 

「...残念だけど知らないわ。そんなに記憶が残ってないから...」

「それもそうですね...」

 

そんな会話が終わるのと、シアンさんが料理と共に戻って来たのは同じタイミングだった。

 

----------

 

「さて、話したいことって言うのは全国技術博覧会のことなんだ。」

「えっと、トウキョウゲェムショウみたいなやつ?」

「そんな感じだ。今ラステイションはアヴニールに支配されている。

 その状況を打開するには、女神様の力、ブラックハート様のお力が必須なんだ。

 だから、博覧会に作品を出そうと思うんだが、その武器のテスターを頼みたいんだ。」

「...つまり、博覧会には女神様が来るということですか...そんな保証はないのに。」

 

白が一つ指摘を入れる。この子もほんとに7歳か怪しい。

 

「だが、女神様を止められる者もいない。」

「審判の悪魔がいますよ。女神様には手を出さないようですが。」

 

険悪な雰囲気が流れはじめてきたなぁ...

 

「じゃあ、その博覧会に出してどうしたいの?優勝したいの?」

 

ネプテューヌさんの雰囲気ブレイク、助かった...?

 

「いいや違う、重要なのは女神様のほうで...え、な、なぁ、ノワールとか言ったよな、

 もしかして、ブラックハート様だったりする、のか...?」

 

別の問題発生。ありのまま今起こったことを...あ、これネプテューヌさんの台詞じゃね?

 

「な、何言ってるのよシアン!これはその、コスプレよ!事情は言えないけど

 女神様のコスプレをしてるのよ、事情は言えないけど!」

「...大方、アブニールの目を欺いて本物の女神様を動きやすくするため、でしょう。」

「そ、そうよ!」

「...あからさまな狼狽ですが...まぁいいでしょう。今後はどうします?

 まだ鍵の欠片も見つかってないですし...」

 

白が現実に引き戻した。

 

「クエストも...なんか情報が集まりやすいのはないよねー。」

「...じゃあ、アヴニールのクエストを受けるのは...?」

 

『え?』

 

ノワールさんのトンデモ提案に、ネプテューヌさんと白の冷ややかな声が響いた。

 

「いや...アヴニールの情報を奪うのであればそれもありかも...」

 

僕は悪くないと思うんだけどな...この案。

 

「なるほど...それならいいな。作った武器も活躍の機会がありそうだし。」

「アヴニールを潰すのなら、仕方ないからやります...けど、言い出しっぺの貴女もですよ?」

「えぇ、もちろんそうするわ。」

 

こうして、僕たちの次の行動が決まったのだった。




次回、第14話「悪魔の計略」

最初に言っておきます、次回は悪魔サイドのお話です。

感想、評価等、お待ちしてます。

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