女神世界の新生世代   作:Feldelt

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第7話 旅立ち

一週間経って、というかたった一週間で僕は実戦に耐えうる戦闘能力を、

(あくまで能力であって体力は追い付いていないが)僕は手にいれた。

 

「後は、体力だよ、黒君。」

 

茜さんはホントに強く、結局ほぼ一撃も、ただの一撃も

与えられなかったものだから実際僕は強くなっているかはわからない。

 

「お兄ちゃんは十分凄かったよ...あんな動きは茜さんもびっくりしてたし。」

 

白はそうほめてくれた。

敢えて言うなれば白が僕にでさえもこんなにストレートに褒めることはない。

相当すごいことが目の前で起こっていた。

 

「ちょっと黒君白ちゃん!いい加主人公たるこのわたしを無視しないでくれるかな!?」

「何ですかネプテューヌさん、せっかくお兄ちゃんと二人で仲良くしてたのに

 邪魔しに来たんですか。お兄ちゃんは渡しませんよ。」

 

が、ツンデレ毒舌少女である白はネプテューヌさんが来たことにより、

僕に対するデレモードをやめていつもの毒舌モードに入る。

 

--今回は少しずれてるけど。

 

「お、揃ったね、3人とも。」

 

そんなときに茜さんが来た。手には鍵の欠片と言っていた物がある。

 

「ねーねー茜、わたしたちを集めてどーすんの?」

 

ネプテューヌさんは手を挙げて茜さんに質問をする。

 

「あー、それはね、私はここで忙しいから、いーすんの依頼である

 悪魔を止める事といーすんの解放を君たちに託そうって思ってね。」

 

さらっと重大な事を言う。

しかも、僕たち3人に頼むのにはあまりにも重大過ぎる事を。

 

「あかねぇ、それは無茶だよ...」

「そうですよ、ただでさえ悪魔は各地の女神候補生様を倒したんですよ!?

 ネプテューヌさんも僕も、もしかしたら白も、勝てる筈ないですよ...」

 

茜さんは少し考えこんだ。

「それは確かにそうなんだろうね」とも言った。

 

「けど、さ。黒君。私の目はね、君の力が見れるんだよ。

 少なくとも、10年前よりも私は物事を教えるのは上手くなってるはず。

 そしてそうだとするならば...『彼』よりも君の方が、絶対に強い。」

 

茜さんの過去を僕はほぼ知らないが、

時折出て来る『彼』という人物は一体どういう人なんだろうか。

 

「じゃあ、その『彼』って...誰なんですか、茜さん。

 どんな人で、どれぐらい強かったんですか?」

 

 

「...彼、凍月 影...えー君は、私の大事な友達だったよ。

 7年前、天界救世で世界を造り変えようとした虚夜 時雨を止める為に

 私たち仲間を置いて、勝手にたった一人で戦って、虚夜と刺し違えた、

 私の、大事な友達。えー君には彼女がいるんだけどね。私よりもずっと

 長くえー君のそばにいて、私よりもずっと、えー君を知っている子が。

 あぁ、少し話題がずれちゃったね。どんな人かを一言で表すならクールだよ。

 感情の振れ幅が小さいんだ。普通ならね。怒ると振れ幅は大きくなる。

 そうだね、最後の方はぶれぶれだったかな...えー君...生きてるよね、きっと...」

 

ひとしきりの解説の後、茜さんは哀しげな顔になった。

それだけ、その影という人が好きだったんだろうと思う。

 

「あかねぇ...」

 

流石の白もこれには毒は挟めまい。

そしてネプテューヌさんも静かになっていた。

 

「なんか、ごめんね。けど、えー君はこの世界を護ったの。

 だからねぷちゃん、黒君、白ちゃん、えー君の護った世界を、お願いするね。」

 

「うん、任せて茜!このねぷ子さんが頑張っちゃうよー!」

「ハイテンション過ぎやしませんか...まぁ、いいですけど。

 あかねぇ、私もどこまでできるかわかんないけど、お兄ちゃんを手伝うよ。」

 

茜さんの思いには、僕たちは応えなきゃいけない、そんな気がした。

ネプテューヌさんと白はもう返事した。当然、僕もする。

 

「お願いされました、茜さん。その影っていう人が護った世界、

 女神様の力も借りて、必死に護ります。」

 

「無茶だけはしないでね。いってらっしゃい。」

 

こうして、僕らは旅立った。

 

 

----------

 

 

「奇縁だね、えー君...今度は君の子供達が世界を救う旅なんて...

 寒い世の中になっちゃったよ、折角がんばったのにね。」

 

 

 

 

 




次回、第2章、黒の女神と白銀の翼
第8話「インダストリアル7.1」

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