筆者の知能指数が著しく低いので、拙い文章となっております。
それでも『わたしは一向にかまわんッッ』という方は、生暖かい目で読んでください。
『Love&Peace』
戦争や暴力が蔓延る御時世に、この言葉を有言実行しようとするのは不可能に近い。
口では幾らでも言えるものも、いざ行動に移すと『個の力』のみでは到底成し遂げられない。例え『個の力』を集結させようにも、それを上回る醜悪な存在により成し遂げられないのが現実であり、真理である。
だが、そんな無理難題な壁を一人の神父によって、見事に破壊されつつあった。
~~~
『学園都市』
その名の通り、広大な土地に幾つもの教育機関が設けられており、外界より何十年も先のテクノロジーを誇ると称される最先端科学都市。
その他にも能力研究を旨とした研究機関や学園都市に住まう人間のフラストレーションを発散させる為の娯楽施設等々──正に、いた競り付く競りだ。
そんな輝かしい事態を背景に、裏では人間達の欲求と狂喜が暴走し、街の秩序を崩していた。
能力を持たない存在──スキルアウトの暴走、研究という名目で非人道的な人体実験が蔓延り、現に学園都市内での死傷者や行方不明者等は少なくはない。
その様な暗い背景を持つ学園都市の前に、1人の男が佇んでいた。
「ここが…学園都市…」
男は漆黒の神父服を身に纏い、金の延べ棒にも負けず劣らずの艶やかな金色の髪を後ろに流し、鼓膜に優しく響く低音ボイスにより落ち着いた雰囲気を醸し出されていた───が。
「待っていなさい!邪悪なる存在よ!今、私が貴方達に『love&peace』を御見舞いして差し上げます!」
突然、大声を出した神父に周囲の人々が不思議そうに眺める。
「そう!この無法地帯を救うには『Love&Peace』しかない!No,life.No,Love&Peace!!」
無法地帯までとはいかないが、確かに学園都市は決して治安の良い所ではなかった。能力を使い犯罪に手を染める者やスキルアウトが街に溢れ返っている。
善は急げと言わんばかりに、アダムの奇行に怪訝な表情で眺める警備員に近寄る。
「申し訳ありません、この中に入りたいのですが」
「…もしかして宗教関係の方ですか?」
「御察しの通り。神父の──」
自己紹介をしようと思った矢先、警備員は何を思ったのか神父を小馬鹿にする様に苦笑する。
「この学園都市は科学が発達した街ですよ。宗教を広めるには適していませんよ?」
小馬鹿にされているにも関わらず、神父は柔和な笑みを崩す事なく、警備員の話を静かに聞き入れていた。
「そもそも、この学園都市は観光地みたいに誰でも気軽に入れる訳ではないんですよ。明確な理由、若しくは学園都市在住の知人がいましたら、身元引き受けという形で迎えに来て頂かないと」
「ご心配に及ばずとも、私は決して怪しい者ではありません」
「ですから怪しい怪しくないの問題ではなく、規則ですので──」
警備員が真っ当な理由を述べ、神父に忠告する。
だが、当の神父は何を思ったかポケットから何かを取り出し、警備員に『ズィッ』と差し出す。
『TSU○AYA会員証』
「沈黙は了解と捉えて宜しいですね?では、これにて失礼をば…」
「待ちやがれ」
警備員が神父の頭を鷲掴みにする。
「あたたた…。何がいけないのでしょうか?」
「アンタ馬鹿だろ」
「何故です?」
「いや理解出来るだろ!?常識的に考えて!」
警備員の堪忍袋の緒が切れたのか、地団駄を踏み出す。
「やれやれ、ワガママBoyですねぇ」
「何で呆れてんの!?こっちが呆れたいんですけど!」
神父はまたも警備員に向けて何かを突き出す。
「河童捕獲許可書です、しかもゴールド」
「知らんがな!というか、河童の捕獲にゴールドなんてあるのか!?」
いよいよ埒が明かなくなったのか、警備員は不審者を捕らえる為の警棒に手を伸ばす。
突如、胸元のトランシーバーからノイズが洩れ始める。
神父に動かずジッとしている事と釘を刺すと、トランシーバーに向けて話し始める。
「──はい…はい、それなら目の前に」
ノイズ混じりの声により警備員しか聞き取れ無かった為、神父は他に身分を証明出来る物はないかとポケットから色々と取り出す。
中には『自爆スイッチ』と表記された起爆スイッチ的な物が見えたが、警備員は面倒事は御免だと言わんばかりに目を逸らす。
「えっ!?で、ですが……」
突如、警備員は素っ頓狂な声を挙げるも、次第に落ち着きを取り戻し、トランシーバー越しの声を聞き入れる。
やがてノイズが止み、自爆スイッチを携えた神父に目を向ける。
「…どうぞ、お入りください」
「おや、よろしいので?」
「上から命令ですので。良いですか?くれぐれも可笑しな行動は慎むように!あと、コレは没収です!」
神父から自爆スイッチを引ったくると、オモチャを取り上げられた子供の様に泣きそうな顔をしながら、覚束無い足取りで神父はゲートへ歩を進める。
~~~
とある学区のビル。
そこは窓が無く、人間が踏み入れるのを拒んでいるかの様に佇み、街行く人も近付く事を避けていた。
そんなビル内に、巨大なビーカーの中で一人の『人間』が逆さまの状態で入っていた。
学園都市の最高権力者にして学園都市統括理事長──アレイスター・クロウリー。
中世的な顔付きにより魅惑的且つ懐疑的な雰囲気を纏う『人間』はビーカーの表面に映し出された映像を静かに眺める。
映像には、先程ゲートで一悶着を起こした神父が意気揚々と学園都市を闊歩している姿が映し出されていた。
「待っていたよ、君の事を」
そう呟き、ゆっくりと口端を釣り上げる。
「この学園都市で君がどの様な働きをもたらすのか…見物させてもらうよ──アダム・ロクスバーグ」
映像内のアダムが足を止め、虚空を眺める。
だが、視線はアレイスターと重なる。
その事が不思議に思ったのか、アレイスターは小さく感嘆の声を洩らす。
『やだ…あたしってば覗かれてる!』
唐突にオネェ口調になり、身体をモジモジと捩らせるアダムにアレイスターは真顔になり口を閉じた。
~~~
アダムが去って数分後、警備員は持っている自爆スイッチの処遇を決めかねていた。
自爆スイッチとは何か?というか、自爆する必要があるのか?
そんな疑問が湧き上がり、ふと一つの疑問が生まれる。
『そもそも、本当に自爆するのか?』
人類の進化の原点、そして罪を造り出す現象──好奇心。
今まさに、警備員は自制心と好奇心で思考を廻らせていた。
「…ちょっと押してみるか」
そう言うと、軽い気持ちでスイッチを押す。
瞬間、目映い閃光が警備員を包まれ、警備員は後悔する。
『あーぁ…こんな間抜けな死に様か』や『来世は自爆スイッチは押さないようにするか』という遅すぎる後悔を思い、静かに死を受け入れる。
『──え?本当に自爆すると思った?』
と、先程聞いた様な声がスイッチから流れ始める。
『後悔した?それとも腹立った?ねぇ、どんな気持ち?ねぇねぇ、どんな気持ち?自爆する訳ないって思っ───』
自爆スイッチを力の限り地面に叩きつけると、見るも無惨に粉々になっていく。
『次会ったら生きて帰さん』
そう誓うと、粉々になった自爆スイッチを何度も踏みつけた。
皆さんに何か辛い事があった時に、この小説を思い出して鼻で笑って貰える様に執筆させて頂きます。