ラブガイル!   作:いろはにほへと✍︎

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毎回意味ありそうなタイトルだけど、ない。


笑顔を見せて

 

 「た、たすけてにゃ!」

 

 リビングの真ん中に置かれたテーブルを使っている星空が、ソファに座っている俺たちに向かって手を伸ばす。悪いな、星空。生憎だが、俺は助けられないんだ。

 

 「静かにしなさい。そして早くこれを解きなさい。そもそも、にゃ、ってどういうことかしら。猫への冒涜だと受け取ってもいいのかしら?」

 

 星空の間からちらっと雪ノ下が見えた。猫への愛情は相変わらずのようだ。

 

 「にゃー!」

 

 星空が頭を抱えてテーブルに伏す。

 ……諦めろ星空。

 

 「た、たすけてー!」

 

 「うわあ! わかんないよー!」

 

 叫声が聞こえて振り返る。今度は高坂だった。あと由比ヶ浜。二人で頭を机に擦り付けて、伸びた。

 

 俺? 俺は西木野が担当するということで園田鬼教官からは逃れた。本当は園田にしごかれるはずだったのだが、中一レベルからできないことがばれてしまい、もっとしごかれると思ったが、一番できる後輩に教わることになった。ばれてよかった……。

 

 というか俺以上に由比ヶ浜ができないおかげで逃れた。一色は思った以上にできる子で、南と一緒に矢沢先輩に教えている。小泉は時々こっそり星空に教えては、雪ノ下に甘い、と怒られていた。

 

 おかげで二つあったテーブルは使われていて、「テーブルないし無理だな」と言ったところ俺は床でやるという結論になった。……というか後輩に中一レベルのところで間違っている、って注意されるのなかなかきついんですけど……。

 

 だいたい今日は土曜日だ。本来なら間違いなく一週間で一番幸せな日のはずだ。

 遅寝遅起き、昼ごはん。なんとなく本を読んで寛ぎ、気づいたころには夕方六時。その後は夕食をとり、風呂に入って、翌日のプリキュアに思いを馳せながら眠りにつく。それが土曜日のテンプレだ。

 

 そもそも、西木野や小泉、南は勉強会に参加する必要はない。

 

 が、高坂と星空に強制参加させられた。ほんと高坂たちに甘いな。

 

 俺は……参加しないはずだった。だが前に、数学ができないということがばれてしまっていたので、園田による強制参加を食らいました。ついでに無理やり俺の部屋で開催することが決定されました。帰りたいです。

 

 「八幡! ちゃんとやってるの?」

 「お、おう戸塚……愛して……間違えた……ちゃんとやってるぞ」

 「ホント?」

 「ぐはっ!」

 

 遠慮がちに下から覗いてくる戸塚の火照った頬を見て、あと五時間は頑張ろうと思った。

 

 × × ×

 

 強制的な勉強会から三時間ほど経過して、俺たちは今、千葉県民御用達のサイゼリヤにいる。

 

 十時に勉強会が始まったので、今は一時だ。混み合う時間ではあるが、真昼よりは少ないだろう、ともちろん俺の提案でサイゼにきた。

 

 俺の予想は外れて、結構混んでいた。しばらく待って席に着くと、隣の席がカップルのようで声が漏れてきた。

 

 「隣、ずいぶん多いな。何席に別れているんだ?」

 

 「分かんないけど、湯神くん変なこと言わないでよ?」

 

 「当たり前だ。あなたとは違って常識あるからな」

 

 「私だってあるから! というか百瀬さんも入れて三人同時に転校って何の運命なの? しかも同じ学校だし。……ご飯食べる時くらいイヤホンやめたら?」

 

 「いや、無理。今、平楽いいところだから。あなた鰍沢って知らないでしょ」

 

 

 ……いや、どういうことだよ。なんで彼氏さん落語聞いてるの? リア充はこんな感じなの? 友達いたことないからわかんないけどさ……。

 

 変なカップル? の話から耳を離し、テーブルの方に視線を送ると皆一様に不思議そうな顔をしていた。

 

 「どうかしたのか」

 

 俺が問うと、西木野が答えた。

 

 「斜め前よ、ほら右の方の」

 

 西木野が指をさしたほうを見ると、一人変態っぽいのがいたが、普通の二世帯家族にしか見えなかった。

 

 「あの人たちがどうかしたのか」

 

 「分からないの? 耳を傾けなさい」

 

 

 

 「ちょっと、先輩。本ばかり読んでないで注文してください。……ドリンクバーは?」

 

 「はいはい、彩花さんと真弓さんは?」

 

 「彩花はー、これとー、これかな?」

 

 「彩花、てめ気持ち悪いんだよ。きゃぴるん、みたいなのが! ああ、鳥肌立った」

 

 「ご、ごめんね。真弓さん。こういうのって年齢制限あるし、気に入らないんだよね? 行遅れみたいで……」

 

 「ほら、そこケンカしない! シロさん、縄はしまう!」

 

 「えー、宇佐くん……、ひどいよ。昨日あんなに縛ってくれたのに」

 

 「縛ってねーよ!」

 

 

 ふう、なんだ、このサイゼ。変人も御用達なの? というか変態だな、あれ。小泉とか絢瀬先輩とかかなりひいてるし。

 

 ……さっさと食って出よう。




次話から完全新作です。これまでのは前のやつのリメイクでしたあ!

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