銀髪スタンド使いの転生者はSAOの世界で第二の人生を過ごす 作:(´鋼`)
『???』
「……………ん?」
不意に肌にさらさらとした感覚を覚える。その感覚は首と顎、手の甲に現れていた。目を開け、その感覚の正体を見ると……ヤタが翼を毛布代わりに俺に掛けてくれたらしい。その巨体便利だなおい。
「やっと目覚めたか銀」
「ヤタ………って、それより此処何処だよ?」
そう、目覚めると辺り一面本だらけ。某有名大学の図書館の様に棚に並べられた本を見ると、ある種気持ち悪さを覚える。
「分からん」
「いや分からんって何?そもそもヤタが連れてきたんでしょぉが!!」
「俺だって頭ん中で場所指定されてお前連れて来ただけだわ!!詳細なんぞ知るか!!」
「おぉいコラ!!それでも神獣かコラァ!!」
「神獣だろーが長生きしてよーが知らねぇ事だってあんだよ!!単細胞!!」
「だぁれが単細胞じゃゴラァ!?」
「あ、あのぉ…………」
「「んぁ!?」」
少々怒り口調で幼い声のした方に顔を向ける。しかし何処にもそれらしき人物は見つからない。
お互いに顔を見合わせ俺は立ち上がり、ヤタは縮小化して探索を始めようとする。つーかヤタの体伸縮自在なのかよ、餌代返せ。
「あ、あのぉ……探しても意味ありませんよ」
またも何処からか声が聞こえる。いい加減さっさと現れてくれと思っていると、俺の視線の先にその正体が居た。流石に呆気には取られた。
「おい銀、襲うなよ」
「お前は俺を何だと思ってんだよ!?何が虚しくて少女に欲情しなきゃなんねぇんだよ!?」
「何を話してるんですかぁ!?」
─────(茶飲んで落ち着け)─────
『それから5分後』
「ふぃー……えっと、お前はカーディナルっつうのか?」
「あ、はい。そうです」
………ごめん信じられない。だってカーディナルってあれだよね?今新ALOでクエスト開発だったりしてるプログラムだよね?
ザ・シードの話とか出てきたけど、あれだよね?VR復活させたあれだよね?そのプログラム?
「………悪い、俺頭痛くなってきた。誰か頭痛薬持ってない?」
「持ってる訳ねぇだろ。バカかお前」
「食事量減らすぞバ烏」
「いや、あの……その……」
────(もう1ぺん落ち着け)──────
んで、落ち着いて話を聞く限りだが……目の前に居るカーディナルは『アドミニストレータ』と呼ばれる奴がカーディナルと融合し、そのアドミニストレータは死ぬことを恐れて魂の上書きによって作られた存在であること。
カーディナルはカーディナルで『メインプロセスの間違いを正す』為にアドミニストレータに実力行使に出たが敗れて200年もの間この図書館で力を蓄えていたと。
そんでもって……俺にそのアドミニストレータを倒してほしいとのこと。
「ハッキリ言って一番難しい依頼じゃね?」
「だろうな」
「そこを何とか……お願いします!!」
端から見ればいたいけな少女に土下座させてる様にしか見えないこの状況。しかし俺とヤタとカーディナル以外誰も居ないので考える奴は俺ぐらい。
「んまぁ……そうさなぁ……それ相応の報酬があれば話は別だ。うん」
「ここでも商売かよ。鬼、悪魔、鬼畜、外道」
「そういう性分なんだよ!!ほっとけ!!」
「報酬ですか?」
「そうそう。報酬があれば「報酬ではないですけど、今貴方が不思議に思ってる事なら教えられます」………」
「???おい銀?」
「……詳しく聞かせてもらえないか?」
「は、はい」
~少女/カーディナル説明中~
「…………ふぅ」
カーディナルから知り得た情報によれば、俺が使ってた力は【心意《インカーネイト》】システムによる物が『近い』らしい。
心意システム━━簡単に言えば心によって性質の変わる力らしい。負の感情になれば負の感情の心意を、正の感情になれば正義の心意……しかし心意の多くはトラウマ等の負の感情が主なのが現実らしい。
しかし俺が感じた『懐かしい』感覚に陥る事はまず無いらしい。狂気の沙汰じゃなければ話は別だと思うが。
つまりは別物………心意システムとは全く異なるシステムが俺には使用できるらしい。本当かどうか分からんが。
「す、すみません。ここまでしか教えられないんです」
「それは、そこまでしか知らないって事で良いんだな?」
「はい………」
「なら良い。カーディナル、此処から出してくれ」
「ふぇ……?」
「ふぇ?って何だよ、ふぇ?って」
「いやだって……調べた限り貴方は報酬が無ければ動かない人だと」
「いや報酬は貰ったぞ。俺があの時に使った力に似た力の事をだ。それで十分さ」
「そ、そうなんですか………あ、あと」
「ん?」
「此方のデータを」
カーディナルが何かしらコンソールの様な物を出現させ操作する。エンターキーを押した後、俺の頭に情報が流れてくる。これがヤタの体験した感覚か。
「【武器完全支配術】?」
「はい。武器に宿る力を最大限引き出す為の方法になります」
「へぇ……面白そうだが、俺には要らねぇな」
「えっ?」
「その代わり、アイツらには教えとくかね。じゃあカーディナル、さっさと出してくれ」
「……………あ、はい」
カーディナルがコンソールを操作すると、俺の後ろに穴が開かれる。此処を通れば俺は元に戻れるんだよな?
「んじゃあなカーディナル」
「じゃあなぁ」
「あ、あのそれと!!」
「「??」」
「そこを出るとセントラル・カセドラル内部に侵入する事になりますから、十分注意してください」
「オッケー」
振り返らずに手をヒラヒラとカーディナルに向けて振り、縮小化ヤタと共に入っていく。
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【セントラル・カセドラル内部】
穴から出ると不気味そのもの。牢屋らしき部屋もあったりと気持ち悪さを覚える今日この頃。
「さて、適当にブラブラしていくか」
「だな」
上に続く階段を探してスニーキングミッション開始。