銀髪スタンド使いの転生者はSAOの世界で第二の人生を過ごす 作:(´鋼`)
『そしてそれから1ヶ月後 2026年5月23日』
~キリトside~
「裏モンスター?SAOの?」
「そうそう、今ネットじゃ賛否両論あってよ。この情報が面白くてな」
そう言ってスマホを見せてくるエギル。今俺はダイシーカフェで銀とクラインと一服している所だ。クラインは出されたスマホを俺と見て、銀はキセルで一服している最中だ。
出されたスマホにあった内容はこうだ。
・第45層の裏モンスター
・クォーターポイントのボスにも勝るとも劣らないステータス
たったそれだけだが、この情報だけでどれだけ強いかが理解できる。謂わばクォーターボス並みの強さを持ったモンスターなのだ。
そんな情報が掲示されているのにも関わらず、銀は一服しておりスマホに見向きもしない。それを見かねたクラインは銀に問いかける。
「おい、シヴァ……じゃなかった銀!!お前何でこの情報見ねぇんだよ?裏モンスターだぞ!?裏モンスター!!俺たちの所でも知らなかっt「ソイツ、一回戦闘したが勝てたぞ」……マジで?」
「お、おいおい銀よ。まさかSAOの時にお前……」
「あれブッ倒して【神壊刀・壊無】と【ソクラテス】ゲットしたからな?殺りあったに決まってんだろ」
「「「…………」」」
平気で話す銀は、ある意味余裕の表情で居座っていた。キセルの中にある煙草を取り除いた後、オーグマーの操作で銀が頼んだ【珈琲】の代金を払い店から出ていこうとする。
その前に銀は扉の前で歩みを止め、俺たちに向き直る。
「俺、ソイツの相手はしないからな。メンドクサイしよ」
「「「はぁッ!?」」」
そう言い捨てた後、銀は店から出ていく。外からバイクの音が聞こえたと思いきや、直ぐにその音は消えていった。
俺たちは驚愕の事実を受け止めきれなかった。それもそうだ。銀は何時もオーディナル・スケールに参加し周囲に居た奴等への指揮で多大な信頼を寄せていた。
しかも銀は2位に鎮座している強者。このボス攻略に参加しないのはある意味妥当な判断なのだろうが、銀がこの行為に移ったのは初めてだった。
因みに3位はドミナ/紫温、4位はエイド/影昌、5位はビーバック/秀哉というALO領主勢が上位を占めている。俺は102位程、クラインは106857位、エギルは105963位という結果になっている。
ふとクラインが俺の両肩を掴み、そのまま揺らされる。
「おぉい!!キリト!!何で銀が参加しねぇんだよ!?」
「知らねぇよ!!わーったから揺らすなよ!!」
肩にあった重みが消え、揺れも消えた。まだ頭がクラクラするが。俺は出された烏龍茶を飲み、一呼吸置いて話す。
「アイツの事は俺にだって分かる訳ねぇだろ、幾らお隣さんつっても知らねぇ事あるからな?アイツがリアルでもVRでも強い事から、意外にアイツ小動物好きって事までしか知らねぇからな?」
「「滅茶苦茶知ってんじゃん」」
「それによ、最近銀の奴俺と稽古してくれなくてよ」
「あー言ってたな。キリトも銀の親父さんと銀に鍛えられてるんだっけか?道理で102位なんて順位までいけるワケだ」
「んだよ~?暇だから稽古してほしいけど肝心の銀が遠慮がちだから拗ねてんのか?」
「誰が拗ねるかよ、あのバカに」
俺も席から立ち、頼んでいた【烏龍茶】の代金を払った後外へと出ていく。
しかし、この時は誰も知らなかった。まさか、あんな事になろうとは。
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~21時20分 スカイツリー前~
バイクに明日奈を乗せて、その裏モンスターが現れる場所まで駆ける。意外にも情報を見て来た者も多く、その中には紫温や秀哉、影昌やクラインたち風林火山のメンツ。そして、ALOでの奇兵隊メンバーであるリズ、シリカ、フィリア、シノン、ユウキ、エイジ、リーファたちが居る。
俺と明日奈はその集団の中に入っていく。
「みんな~!!お待たせ~!!」
「遅いわよ2人共!!」
「ごめんごめん。ちょっと信号に引っ掛かっちゃって」
「全くもぉ……そういえば、銀知らない?シノンとユウキに聞いても表情を強張らせるだけで……」
「銀なら来ないって言ってたぞ」
『ハアッ!!?』
シノンとユウキ以外はこの事実に驚く。その理由を伝えると、皆は呆れた表情をしていた。
「んだよ、あのモンスターと殺りあったのかよ」
「それで興冷めって……銀、変な所で自分勝手なんだね」
「「…………」」
「ねぇシノン、ユウキちゃん。何時までそんな恐い顔をしてるのかな~?」
フィリアが言った事に対しシノンとユウキは睨んでフィリアを黙らせる。フィリアはそそくさと逃げていった。
そして気が付けば、そろそろ21時29分。タッチペンを用意し時間を待つ。
緊張状態の中、21時30分になる。
『オーディナル・スケール起動!!』
周囲の景色が一変する。世紀末で出てきそうな風化された建物のオブジェクト、スカイツリーも風化されている様に見える。
そして、俺たちの前に現れたモンスター。ソイツの名前は【break and unknown】と情報にはあった。銀以外45層の裏モンスターに立ち向かったのは1人も居ないので名前は掲示されていた。
その風貌は異形。首と全身の区別がつかない程体は太く、似つかわない細い両腕に刀を持ち、顔は仮面の様に表情が変わらない。
そんなモンスターの風貌関係なく突っ込む上位ランカーたち。先ず先生はエイドからであった。
エイドはライフル銃【シークエンス・エンド】-シノン情報でH&K PSG-1という銃と似ている-でボスの顔面にダメージを与える。
ボスの顔面にエネルギー弾が発射され、顔が煙で隠れる。
その隙を見て他のプレイヤーたちもモンスターに突っ込んだ。それが後々間違いとなることを知らずに。
何とそのモンスターは、前が見えないにも関わらず刀を地面に叩きつける。それにより、多くのプレイヤーが飛ばされる。
「チッ!!エイドの射撃でも無理か……なら!!」
続いて行ったのはドミナ。刀身が他よりも長い細剣【ポッシブル・ランス】を持ち、周囲にある建物を利用してモンスターの体に刺し、ダメージを継続的に蓄積させる。
しかしそれにも気付かない様に、モンスターはドミナに刀を振るう。その刀が当たろうとしていたが、それはリズによって阻止させれていた。
「悪いリズ!!」
「良いわよ!!これぐらい!!」
次にビーバックが駆ける。片手棍である【モーニング・スター】をモンスターの周囲を駆けながらダメージを蓄積させていく。
そして、その上位ランカーとリズはモンスターから距離を取ると不自然な事を感じているのか、首を傾げる。
俺にも分かった。何故だかコイツは『痛みを理解していない』のだ。普通なら痛みというか、ダメージの蓄積具合に応じて仰け反ったりするものだが、コイツにはそれが無いのだ。
unknown……知らない。つまり痛みを知らないのか?はたまた何も知らないのか?そう考えている間に他の奴等はモンスターに突っ込んでいく。
シノンを筆頭にしたプレイヤーたちの銃撃、ユウキを筆頭にしたプレイヤーたちの剣撃や打撃がモンスターに炸裂する。
しかし、それは呆気なく終わった。HPが低いのか、5分も懸からず倒す事が出来た。
皆にポイントが振られ、帰ろうとした直後だった。
『!!!???』
鳴り響くアラーム。それに応えるかの様にユナが現れた。
アラームが鳴り終わると、ユナはマイクを持って喋り出す。
「み~なさ~ん!!まだこのモンスターは倒してませんよ~!!」
『ハアァァァァ!?』
突然の事で何が起きているか分からないのは、この場に居る全員が成っているだろう。しかしそれに相反する様に何処からか煙が出てきて、視界が遮られる。
そして、ユナは続ける。
「皆さんが倒した本体は、本体が持っていた刀の封印を解いた事と同じで~す!!つまり、ここからが本当の真剣勝負になりま~す!!」
煙がだんだん晴れてくる。少しうっすらと見えるのは……人?プレイヤーか何かか?
「ご紹介致しましょう!!モンスターの刀として封印され、その封印が今!!解き放たれる!!」
煙が全て晴れる。見えたのは……何と……
「ランキング2位のシヴァと!!ランキング1位のウツロさんでーす!!」
お………お………お………親子かよぉぉぉぉぉぉおお!!!