銀髪スタンド使いの転生者はSAOの世界で第二の人生を過ごす   作:(´鋼`)

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思い誓い

『ボス部屋』

~セブンside~

 

 ようやく終わった。ボスを倒した。これは皆のお陰、皆が居てくれたから出来た結果。なのに……この空っぽな感じは何なの?何かが……足りない。足りていない。

 

 

『例え、この世界で本人が死ななくても、仮初めの命でも、命が失われるのをとっても嫌っていた』

 

 

 何故こんな言葉が思い出される?何故私は……この言葉を忘れていない?

 

 

「シヴァ……貴方は……一体何者……?」

 

 

 何故あの水妖精領主の事を……シヴァの事を考えていたのだろうか?

 

 ……分からない。彼ともう一度会った後、戦いを挑もう。勝敗が決定しても、彼は私の実験に協力してくれない。

 

 でも、キリト君は『時間をくれ』と言った。この可能性に賭けるしかない。

 

 そんな矢先、この部屋の扉が勢いよく音を立てながら開いた。煙幕の魔法なのか、扉には煙が立ち込めている。

 

 そして、彼らは煙の中から現れた。

 

 

「うーっす、セブンさんにお届け物でーす」

 

 

 皮肉が混じった事を言われた。彼は刀を肩に担ぎ、ある意味不敵な笑顔で此方を見つめた。

 

 

「デリバリーNo.1ホスト総勢19名の、ご到着でーす。今さらチェンジは無しだぜ」

 

「その軽いケツを拭いたか?神様にお祈り捧げたか?」

 

「まぁ、どっちにしろ………」

 

 

刀を此方に向けて言い放つ。

 

 

「今夜は……眠らせねぇよ。ませガキ」

 

 

 

 

 

 

──────────────────────────

 

 

 

 

 

 

~キリトside~

 

 決め台詞と言わんばかりの発言。しかし色々と純粋な子には不味いから、何でも吸収しちゃうからやめてお願い。

 

 

「しっかしよぉ……まさかテメエ1人で片付けたのか?ここのラスボス」

 

「……そうよ、あたしが倒した」

 

「へぇ……随分と大層なカラクリでもあんのかねぇ?テメエのスキルレベルだと、このダンジョンのラスボス倒せねぇだろ?」

 

「ご名答よ、シヴァ。このスヴァルトアールヴヘイム限定のOSSの引き継ぎを使用して、あたしは皆の力を集めてボスを倒したの」

 

「皆の力………?犠牲の上で成り立ってる力が、皆の力なの?」

 

「あなたは……?」

 

「ボクはユウキ。それよりも答えて。その力は本当に皆の力なの?」

 

「そうよ、あたしは皆の思いと力を受け継いだ。これは皆が居て初めて手に入れられた力よ」

 

「ボクはそう思わない」

 

「………理由を聞かせてもらえるかしら?」

 

「キミはプレイヤーとしては弱かった。でも、皆の犠牲で強くなるなんて……そんなの力じゃない。ただ欲張りなだけ」

 

「………」

 

「本当の皆の力って言うのは、皆が皆を支えあって、信頼しあって、助け合うのがそうだと思う。現にボクも、お兄ちゃんに支えられて、お姉ちゃんに支えられて、皆に支えられて強くなれた。……キミがしていた事は、自分だけ守ってもらって、自分だけ美味しい所を持っていくっていう自己中心的な考えだ。ボクはそれを力なんて認めない」

 

「ユウキちゃん……」

 

 

 ……凄いなシヴァ。あんだけ傍に居た妹も、これぐらい立派になっていったぜ。ふとシヴァに目線を向けると、シヴァは優しい目をしていた。今度は俺の番だな。

 

 

「俺も同じ考えだ、セブン」

 

「キリト君………あなたは……」

 

「実験に加担するのは無し。俺だって1ゲーマーとして言わせてもらうが、ハッキリ言ってセブンのしている事はゲーマーたちが苦労して貯めてきた経験を根こそぎ奪う様なものだからな。その行為を許したくない」

 

「キリト君もなのね……良いわ、データは取れた。後はスメラギ君の報告を待つだk」

 

 

 このボス部屋に、乾いた音が響く。その音の原因は……レインがセブンの頬を叩いた音だった。

 

 

「…………」

 

「………レイン、あなたは何の権限であたしの頬を叩いたのかしら?」

 

「アンタのその減らず口を黙らせる為よ、セブン」

 

「何ですって……?」

 

「アンタ、一応アイドルなんでしょ!!?皆に希望を与えるのがアイドルなのに、そのアイドルが皆の希望を奪ってどうするつもりなのよ!?」

 

「!!!………アイドルになったのは、実験の為に必要な事だったからよ」

 

「その実験の為に、どれだけの人を騙したのよ!?」

 

「あたしは騙してなんかいない!!それに……これは、あたしが皆の期待に答えて、その見返りをあたしが皆に求めた……純粋な交渉よ!!皆それに賛同しt「じゃあ実験の為ってハッキリ言ったの!?」ッ!!」

 

「どうせその反応だと言ってないんでしょ!!それは騙してないと言えるの!?」

 

「それ……は………」

 

「それに、私たちはここでゲームをしに来てるの!!それをアンタの身勝手な理由でここを実験場にしないで!!」

 

 

 セブンはレインから少し離れる。冷静さを取り戻す為に落ち着いている様にも見える。

 

 

「分かったわ、皆の言い分は理解した。否定するつもりも無い。でも……それでもあたしは、この実験を続ける」

 

 

 セブンが武器である槍を装備する。それに合わせてシヴァも武器を手に取るが、それを止めた奴が居た。

 

       ユウキであった。

 

 

「お兄ちゃん、ここは任せて」

 

「……そうかい、分かったよ」

 

 

シヴァは武器を納め、戦闘態勢を解いた。つまりはユウキとセブンの一騎討ち。

 

 

「あなたが行くのね」

 

「キミはボクだけで十分だからさ、セブン」

 

 

片手剣を装備し、セブンに向けたまま体を横に向け左足を少し出して剣を後ろにして構えた。対しセブンは槍をユウキに向けて構えていた。

 

ふと、シヴァがユウキとセブンの間に割り入る。

 

 

「ここからは一本勝負、先に相手に攻撃を入れた者の勝利とする」

 

 

シヴァはその場から離れ、腕を挙げレフリーの真似事をする。

 

 

「………始めッ!!」

 

 

シヴァの腕が振り下ろされる。先に仕掛けたのは……セブンだった。プレイヤーから得たOSSを使用し、ユウキ目掛けて一直線に向かう槍の攻撃。

 

しかしユウキは動じず、SS【ホリゾンタル・スクエア】のシステムアシストで槍を避けた後、セブンの右腕、背中、左腕、腹部への斬撃を食らわせた。

 

 

「勝者 ユウキ!!!」

 

 

ユウキに軍配が上がる。セブンはこの事実に驚きを隠せなかった。このALOはゲームとはいえ、実際の運動能力が反映されるドスキル性だった為セブンの動きを読むのは誰でも出来た。

 

 

「いやよ……いやよ……あたしが……あたしがやられるなんて!!」

 

 

シヴァは呆れて物が言えずに居た。多分こうだろう、『何処のMobキャラだ?』と。実際そうだ。俺だってそう思う。

 

 

「いやだ……いやだ……皆から……期待されなくな…ルノガ」

 

『!?』

 

 

突如口調が一部変わった。それに俺たちは驚きを隠せなかった。

 

 

「アタシ……は……いつマデも……みんナに……ミトメられ……続ケル……存在デ……アリ続けるノ!!」

 

「マスター、セブンさんのアバターが情報過多に陥っています。このままではセブンさんが壊れてしまいます」

 

「そうか……なら!!」

 

 

シヴァは俺たちの方に戻り、二刀流の構えを取る。

 

 

「総督命令!!」

 

『!!!!』

 

「目標はセブンを救え!!例え姿形が変わろうがそうじゃなかろうが、セブンを倒す覚悟で救いやがれ!!」

 

『了解!!』

 

 

この激励で俺たちは全員武器を取る。そして俺を含めて全員、セブンの変貌した姿を見る。

 

その姿は、やはり人型を留めておらずモンスターと成り果てていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   「奇兵隊!!俺に続けぇぇぇえ!!!」

 

 

俺たちはシヴァを先頭に、変貌したセブンに突き進む。

アイツが築き上げてきた【救い】の思いを胸に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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