銀髪スタンド使いの転生者はSAOの世界で第二の人生を過ごす   作:(´鋼`)

44 / 132
緋vs銀

「………何時から気付いていた?」

 

 

紫の障壁が出現しながらヒースクリフが言った。そう急かすな、今から言うからよ。

 

 

「先ずはデュエルの時。アンタ、態々『楯を捨てる為だけに』オーバーアシストを使ったろ?軽量化も含めて、奇想天外な発想でビックリしたぜぇ」

 

「………勿論、それだけじゃあ」

 

「無いんだな。これが」

 

 

一旦俺はヒースクリフから距離を取り、壊無を見せる。

 

 

「この壊無は実を言えばAI。それも『カーディナルそのものに保護されている』学習プログラムなのさ。幾らカーディナルが自分で学び、考えるといっても限界があるから作らせたんだろうが、逆にアンタの正体がバレちまったな」

 

「………飼い犬に手を噛まれるとはこの事か」

 

 

ヒースクリフは溜め息の後、此方に向かい話した。

 

 

「そうだ。私は茅場昌彦だ。そして、本来最上層で待つ筈だったこのゲームのラスボスでもある」

 

「漸く尻尾を見せたか、化け狐」

 

「出さなければならない状況を作ったのは君だろう?」

 

「はぁて、何の事やら?」

 

 

ヒースクリフがメニューを出すと、この部屋に居た全員が突然動きを止めた。俺とヒースクリフ以外。

 

 

「麻痺かい。ここでハンデでも与えようってか?」

 

「『チャンス』の間違いじゃないか?ここで私を殺せば、ゲームに囚われている全ての人間を解放しようじゃないか」

 

『!!!?』

 

「へぇ、アンタも酔狂な奴だなぁ。自ら閉じ込めさせた全プレイヤーを解放するなんざ、普通考えねぇぜ?」

 

「これはチャンスと言っただろう?私と君との一騎討ちだ。『それに勝てば』の話だがな」

 

「んまぁ、分かりやすくて良いねぇ。俺好みだ」

 

「君、学力低いだろ?」

 

「失敬な。これでも偏差値83だ」

 

「ほぉ………人は見かけによらないというが、実際に居たとは」

 

「一言余計だっつーの」

 

 

メニュー画面を操作しながら話してくるヒースクリフ。話が終わると、俺の目の前にデュエル申請の画面。

 

俺は承諾し、【完全決着】で挑む。

 

さて、残り60秒。何をしようかね。

 

 

「おい…………シヴァ………」

 

「………キリトか、お疲れさんだったな。俺が居ない間、よく頑張ってくれたな」

 

「なん………で………また………」

 

「………最後の総督命令だ」

 

「!?最後って…………お前!!」

 

「…………んま、後の事は頼んだぜ。腐れ縁」

 

 

残り10秒。9…8…7…6…

 

………ん?ヒースクリフの装備が変だな………って、ありゃあ!!!

 

 

「【紅桜】ァ!!?おま、何で!?」

 

「こちらの方が面白くなるからだ。この刀、作ったのは良いが一癖も二癖もあったな。その代わり、性能は君の壊無には負けてないがね」

 

「………つまり、俺と戦う為ってか。上等、さっさと来いよ」

 

 

ヒースクリフは何も言わず、紅桜を構えた。

 

 

「………って、その構え牙突じゃねぇか!!!何!?お前パクりたいの!?それとも無自覚!?」

 

「牙突?………はて、何の事やら」

 

「いや、その表情は知ってるだろ!!!どう見ても笑ってんじゃねぇか!!!しかもドヤ顔決めてんじゃねぇよ!!!色々と謝ってこいテメーは!!主にるろ○に!!!」

 

 

そうこうしてる内に残り2秒。すかさず壊無を居合いの構えに合わせる。

 

アラームが響く。俺たちは動き出した。

 

 

 

 

 

──────────────────────────

 

 

 

 

 

~三人称視点~

 

両者が同じタイミングで動き出す。

 

ヒースクリフは何処ぞのる○剣の牙突を放ち、シヴァは鞘から一気に壊無を抜刀する。

 

お互いの刀から鳴り響く金属音。

 

両者共にそのまま真っ直ぐに行き、シヴァはつま先で着地し立ち上がる勢いで自分の体を回転させ、壊無を振るう。

 

ヒースクリフは回転で来た壊無を紅桜で受け止める。

 

お互いの武器から火花が散る。

 

つばぜり合いに持ち込んで様子を伺う。

 

 

「テメエ、ここで自分の命を落とすつもりかい!?そんなんじゃあ納得しないんだが!?」

 

「安心しろ、リジェネで持たせている」

 

「なら存分にッ!!!」

 

 

距離を取った後、接近し上にジャンプをして武器を左から右へと一閃する。その攻撃を武器を縦にさせて防ぐヒースクリフ。

 

着地の後、突きを狙って放つ。ヒースクリフも然り。

 

お互いの左肩にダメージエフェクトが現れ、ノックバックでも付いているのか後ろに飛ばされる。

 

直ぐ様立ち上がり、武器を構える。

 

 

「なーんかノックバック付いてるんじゃねぇの?その紅桜。前まで無かったのによ」

 

「この世界には強化というのが有ってだな」

 

「んまぁ、俺のも強化だがよ」

 

 

ソクラテスを着ているシヴァでさえも、ダメージが1/6程減る。そこまで強くなっていたという事だ。

 

しかも耐久値はほぼ無限。体力が続く限り、終わらない。

 

しかし、ヒースクリフの方も1/7程減っていた。

 

 

「(だったら、攻めるしかねぇな)」

 

 

シヴァは走り出した。そして刀を振るう。

 

刀を振った後、何処かへと消えた。

 

ヒースクリフは刀を後ろに回した。すると再び鳴る金属音。

 

シヴァは何時の間にかヒースクリフの後ろに居た。

 

 

「小細工は通用せんぞ」

 

「だろうなッ!!!」

 

 

シヴァは現在持てる速度距離を詰めてで刀を振るい、距離を取ってまた詰めて振るう。ヒット&アウェイの戦法でヒースクリフを仕留めに行く。

 

対しヒースクリフは防御の後、隙を見つけては的確に狙っていく。だが的確に狙っているとはいえ、当たる事は無かった。

 

しかも防御しているとはいえ、少しずつだがダメージの蓄積もされている。リジェネの効果を持ってしても、このダメージ差は埋まる事は無く只ひたすらに削られていく。

 

そして、それが暫く続き漸くヒースクリフのHPがイエローに成った途端。

 

 

「ハアッ!!!」

 

「ッ!!?」

 

 

ヒースクリフが漸く攻めた。オーバーアシストは使っていない筈だが、腕を振る速度や移動速度が上昇されていた。

 

間一髪で避けるシヴァも攻撃の手を緩める事は無く、隙を見つけては攻撃を仕掛ける。

 

だがヒースクリフは防御するどころか、回避を重点的に置いて戦っているようであった。

 

互いに譲らない状況の中、お互いのHPはそれぞれ

シヴァ:残り1/4 ヒースクリフ:残り1/3

という状態にまで持ち込まれていた。

 

ここでシヴァは何を思ったのか、壊無をヒースクリフの方に投げ【薙刀・梅桜】へと武器を変更する。

 

難なく避けるヒースクリフだが、続いてシヴァの攻撃で防御せざるを得なかった。

 

 

「シヴァ君、君の最強武器を自ら放棄したのか?」

 

「まっさか。俺が何の考えも無しに愛刀投げ捨てると思うか?」

 

 

シヴァは薙刀で押さえつけ、追撃にナイフを投げる。

 

咄嗟のナイフだったのでヒースクリフの体に刺さる。

 

そのナイフが刺さるとヒースクリフの体勢が崩れる。

 

 

「!!?これは………」

 

「そのナイフ、麻痺属性ナイフなんだよねぇ」

 

「こんなもの、直ぐに消しt」

 

 

瞬間、ヒースクリフの心臓辺りに何かが刺さった。

 

ヒースクリフは自身の体を見てみると、先程投げられた壊無が刺さっていた。

 

シヴァは薙刀を天高く掲げ、ヒースクリフに告げた。

 

 

「GAME CLEAR」

 

 

その薙刀でヒースクリフを斬る。

 

その攻撃の後、ヒースクリフは微笑んだかの様であった。

 

そして、ポリゴンとなって消滅した。

 

 

『11月7日14時55分 ゲームはクリアされました』

 

 

無機質な音声が、このゲームの中に居る全てのプレイヤーに響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。