銀髪スタンド使いの転生者はSAOの世界で第二の人生を過ごす 作:(´鋼`)
「………何時から気付いていた?」
紫の障壁が出現しながらヒースクリフが言った。そう急かすな、今から言うからよ。
「先ずはデュエルの時。アンタ、態々『楯を捨てる為だけに』オーバーアシストを使ったろ?軽量化も含めて、奇想天外な発想でビックリしたぜぇ」
「………勿論、それだけじゃあ」
「無いんだな。これが」
一旦俺はヒースクリフから距離を取り、壊無を見せる。
「この壊無は実を言えばAI。それも『カーディナルそのものに保護されている』学習プログラムなのさ。幾らカーディナルが自分で学び、考えるといっても限界があるから作らせたんだろうが、逆にアンタの正体がバレちまったな」
「………飼い犬に手を噛まれるとはこの事か」
ヒースクリフは溜め息の後、此方に向かい話した。
「そうだ。私は茅場昌彦だ。そして、本来最上層で待つ筈だったこのゲームのラスボスでもある」
「漸く尻尾を見せたか、化け狐」
「出さなければならない状況を作ったのは君だろう?」
「はぁて、何の事やら?」
ヒースクリフがメニューを出すと、この部屋に居た全員が突然動きを止めた。俺とヒースクリフ以外。
「麻痺かい。ここでハンデでも与えようってか?」
「『チャンス』の間違いじゃないか?ここで私を殺せば、ゲームに囚われている全ての人間を解放しようじゃないか」
『!!!?』
「へぇ、アンタも酔狂な奴だなぁ。自ら閉じ込めさせた全プレイヤーを解放するなんざ、普通考えねぇぜ?」
「これはチャンスと言っただろう?私と君との一騎討ちだ。『それに勝てば』の話だがな」
「んまぁ、分かりやすくて良いねぇ。俺好みだ」
「君、学力低いだろ?」
「失敬な。これでも偏差値83だ」
「ほぉ………人は見かけによらないというが、実際に居たとは」
「一言余計だっつーの」
メニュー画面を操作しながら話してくるヒースクリフ。話が終わると、俺の目の前にデュエル申請の画面。
俺は承諾し、【完全決着】で挑む。
さて、残り60秒。何をしようかね。
「おい…………シヴァ………」
「………キリトか、お疲れさんだったな。俺が居ない間、よく頑張ってくれたな」
「なん………で………また………」
「………最後の総督命令だ」
「!?最後って…………お前!!」
「…………んま、後の事は頼んだぜ。腐れ縁」
残り10秒。9…8…7…6…
………ん?ヒースクリフの装備が変だな………って、ありゃあ!!!
「【紅桜】ァ!!?おま、何で!?」
「こちらの方が面白くなるからだ。この刀、作ったのは良いが一癖も二癖もあったな。その代わり、性能は君の壊無には負けてないがね」
「………つまり、俺と戦う為ってか。上等、さっさと来いよ」
ヒースクリフは何も言わず、紅桜を構えた。
「………って、その構え牙突じゃねぇか!!!何!?お前パクりたいの!?それとも無自覚!?」
「牙突?………はて、何の事やら」
「いや、その表情は知ってるだろ!!!どう見ても笑ってんじゃねぇか!!!しかもドヤ顔決めてんじゃねぇよ!!!色々と謝ってこいテメーは!!主にるろ○に!!!」
そうこうしてる内に残り2秒。すかさず壊無を居合いの構えに合わせる。
アラームが響く。俺たちは動き出した。
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~三人称視点~
両者が同じタイミングで動き出す。
ヒースクリフは何処ぞのる○剣の牙突を放ち、シヴァは鞘から一気に壊無を抜刀する。
お互いの刀から鳴り響く金属音。
両者共にそのまま真っ直ぐに行き、シヴァはつま先で着地し立ち上がる勢いで自分の体を回転させ、壊無を振るう。
ヒースクリフは回転で来た壊無を紅桜で受け止める。
お互いの武器から火花が散る。
つばぜり合いに持ち込んで様子を伺う。
「テメエ、ここで自分の命を落とすつもりかい!?そんなんじゃあ納得しないんだが!?」
「安心しろ、リジェネで持たせている」
「なら存分にッ!!!」
距離を取った後、接近し上にジャンプをして武器を左から右へと一閃する。その攻撃を武器を縦にさせて防ぐヒースクリフ。
着地の後、突きを狙って放つ。ヒースクリフも然り。
お互いの左肩にダメージエフェクトが現れ、ノックバックでも付いているのか後ろに飛ばされる。
直ぐ様立ち上がり、武器を構える。
「なーんかノックバック付いてるんじゃねぇの?その紅桜。前まで無かったのによ」
「この世界には強化というのが有ってだな」
「んまぁ、俺のも強化だがよ」
ソクラテスを着ているシヴァでさえも、ダメージが1/6程減る。そこまで強くなっていたという事だ。
しかも耐久値はほぼ無限。体力が続く限り、終わらない。
しかし、ヒースクリフの方も1/7程減っていた。
「(だったら、攻めるしかねぇな)」
シヴァは走り出した。そして刀を振るう。
刀を振った後、何処かへと消えた。
ヒースクリフは刀を後ろに回した。すると再び鳴る金属音。
シヴァは何時の間にかヒースクリフの後ろに居た。
「小細工は通用せんぞ」
「だろうなッ!!!」
シヴァは現在持てる速度距離を詰めてで刀を振るい、距離を取ってまた詰めて振るう。ヒット&アウェイの戦法でヒースクリフを仕留めに行く。
対しヒースクリフは防御の後、隙を見つけては的確に狙っていく。だが的確に狙っているとはいえ、当たる事は無かった。
しかも防御しているとはいえ、少しずつだがダメージの蓄積もされている。リジェネの効果を持ってしても、このダメージ差は埋まる事は無く只ひたすらに削られていく。
そして、それが暫く続き漸くヒースクリフのHPがイエローに成った途端。
「ハアッ!!!」
「ッ!!?」
ヒースクリフが漸く攻めた。オーバーアシストは使っていない筈だが、腕を振る速度や移動速度が上昇されていた。
間一髪で避けるシヴァも攻撃の手を緩める事は無く、隙を見つけては攻撃を仕掛ける。
だがヒースクリフは防御するどころか、回避を重点的に置いて戦っているようであった。
互いに譲らない状況の中、お互いのHPはそれぞれ
シヴァ:残り1/4 ヒースクリフ:残り1/3
という状態にまで持ち込まれていた。
ここでシヴァは何を思ったのか、壊無をヒースクリフの方に投げ【薙刀・梅桜】へと武器を変更する。
難なく避けるヒースクリフだが、続いてシヴァの攻撃で防御せざるを得なかった。
「シヴァ君、君の最強武器を自ら放棄したのか?」
「まっさか。俺が何の考えも無しに愛刀投げ捨てると思うか?」
シヴァは薙刀で押さえつけ、追撃にナイフを投げる。
咄嗟のナイフだったのでヒースクリフの体に刺さる。
そのナイフが刺さるとヒースクリフの体勢が崩れる。
「!!?これは………」
「そのナイフ、麻痺属性ナイフなんだよねぇ」
「こんなもの、直ぐに消しt」
瞬間、ヒースクリフの心臓辺りに何かが刺さった。
ヒースクリフは自身の体を見てみると、先程投げられた壊無が刺さっていた。
シヴァは薙刀を天高く掲げ、ヒースクリフに告げた。
「GAME CLEAR」
その薙刀でヒースクリフを斬る。
その攻撃の後、ヒースクリフは微笑んだかの様であった。
そして、ポリゴンとなって消滅した。
『11月7日14時55分 ゲームはクリアされました』
無機質な音声が、このゲームの中に居る全てのプレイヤーに響いた。